二次元世界に棲むサーフたち。彼らは平面を走り続け、ある時は他のサーフと戦い、ある時は彼らの死骸(破片)を取り込むことで自らの体の面積を大きくしていく。相手の体を取り巻き輪郭線を完全に囲ったとき相手を完全に自分の中に取り込むことができる。そして、彼の持っていた記憶、知識までも吸収できる。彼らが戦い、体を大きくしていくのには訳がある。サーフにも性があり、多くのサーノ(男性)がごく稀にしか出会うことがないサーナ(女性)を求め、『融合』を目指
している。ただ、誰もその『融合』のことを知らない。
カイもそのサーノの一人。平面を走っているときにテラ、ムキと出会う。彼らは三人で合体することで共同体を作り、敵の体を取り込む効果以上に情報が共有できること、敵や障害物(固定面)を見つける能力が増してスピードアップできることなどを知る。
そして、多くの破片を吸収し、色々な敵サーノと出会い、固定面の存在理由を知ることになる。
次第に彼らに合流するサーノも増え、「共同体」は多くの単体が境界を接する「集合体」へと変貌していく。
そして、ある理由で離ればなれになっていたムキと再会し、彼が合流したとき、集合体に異変が生じる。集合体の中心に潜り込んでしまったムキにカイもテラも多くの仲間たちも吸い込まれていく。そこはかられが知覚することができない3次元の世界だった。
ムキこそがみんなが求めていたサーナだったのだ。彼らの意識は融合し、そして融合体は次第に回転し、サーフとしての最小単位である限界面積の大きさで次々と平面に放出されていく。これこそが新たなサーフの誕生であった。
折りたたむ>>続きをよむ