スマートフォンを用いたアプリゲームが、ゲーム業界を塗り替えようとしてた昨今、手軽にできることが売りのソーシャルゲームと対極に位置するゲームが発売された。
『Another(アナザー) reality(リアリティ)』。完全没入型VRMMORPGという新たなゲームジャンルを生み出したこの作品は、今までの常識を覆す画期的なものだった。
ゲームのプレイ中、肉体を全く動かせなくなる点から安全性を問われたものの、そのあまりにもリアルな世界を前
に、多くのユーザーから高い評価を得て、爆発的な人気を誇った。
それから、3年の月日が経とうとしている頃、バレットはメインのジョブレベルが、いよいよカンストするのも見えてきたことで、さらに強くなる為の手段を考えていた。
そんな時、一番プレイヤーが行き交うロポッサの街で、初期装備の新米プレイヤーと思しき少女、プラナシカに声を掛けられる。
彼女との話し合いと交渉の末、隠しジョブの調教師(テイマー)が取れるという曰く付きのクエストを手伝うことになった。
そのクエストと調教師の噂についても詳しく聞くために、バレットが度々利用している情報屋へ赴き、女店主のディオラからクエストの発生条件と、調教師に一番近い人物についての情報を得る。
彼女の情報を元に、一人のプレイヤーに会ってみると、既に調教師を持っていたが、それは最初から与えられたものだった。
しかし、調教師の存在自体が確認できたことで、俄然やる気になった二人は、クエストを発生させる為の条件を満たす為に奮闘する。
数日後、無事にクエストが発生したところで、バレットは助っ人として魔法使いの少女、エレノアを呼び出して、クエストに挑む。
助力の甲斐もあり、捻りのあるクエストをクリアすると、噂通り調教師のジョブを手に入れることに成功する。
おめでたいことは続き、気づけばゲーム発売から3周年を迎える節目の日である翌日に、バレットを含めた個人ランキングの最上位に位置する10名が集められた。
そして、ミウヒ姫から今までのお礼と共に、他言無用と固く注意された上で、これまで秘密にしていた重大な話を聞かされる。
それは、今バレットたちがいる場所は、地球から何兆光年も離れた大陽(だいよう)系第三惑星の『自球(じきゅう)』であり、この世界は仮想現実ではなく、もう一つの現実だということだった。折りたたむ>>続きをよむ