※『がんばってカンストすると魔皇になります~うろ覚えHow to 知識から始まる能力チート生活~』のリメイクです。
大変なことをしてしまった。
倉木瞳は初め、自分が引き起こした事の大きさに不安を覚えた。
発端は研修を終え、配属された営業部初日。
ある上司とのトラブルが原因だった。
「荒木さん、止めてください。セクハラですよ」
上司のセクハラを咎めた。
その日から倉木瞳は異常な量の仕事が回されるようになった。
新卒で覚えが悪い。要
領が悪いと罵られながら、仕事に忙殺された。セクハラも犯罪まがいに悪質化していった。
上司の荒木はある日懲戒解雇の上、会社から訴えられた。
倉木瞳は我慢の限界を越え、労働基準監督署と本社に訴え出たのだ。
調査が始まり、横領が発覚した。
倉木瞳は報復を恐れた。
訴えたのが自分だと知られれば何をされるか分からない。
そんな不安を抱き、荒木のいない会社に出社すると同僚からとんでもないことを聞かされた。
「え? 荒木課長に殺された? 喜多村先輩が?」
報復されたのは自分では無かった。
「なんで‥‥‥? あ!」
倉木瞳はすぐに思い当たった。
荒木がクビになったあと、酒の席でつい喜多村にだけ、自分が告発したと言ってしまったのだ。
「まさか、喜多村先輩、私の代わりに‥‥‥?」
喜多村誠一25歳。
倉木瞳と同じくパワハラを受けていた一人だ。
彼女はそんな彼にシンパシーを感じていた。
彼も、整った容姿の彼女に好感を抱いていた。
荒木に問いただされ、自分がやったと言ってもおかしくない。
倉木は後悔した。
最後に話した時、喜多村に対し言ったことを。
『告発するなら喜多村さんからして欲しかったです』
身代わりになった一番の理由は、きっとあの恨み言だ。
取返しのつかないことをしてしまった。
後悔し、罪悪感に苛まれる倉木瞳にできることは彼の冥福をただ祈るのみだった。
―――そんな彼女の気持ちを他所に、異世界で始まった喜多村誠一の新たな人生。
パワハラに耐えるだけの冴えない人生とは打って変わって不正を許さず、見逃さず。
付いたあだ名は『陰謀潰しのバリリス侯』
その『記憶の神殿』に蓄積された詳細な記録を元に、人生を振り返る追想劇。
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