王宮の広間は、冷え切った空気に満ちていた。
玉座の前にひとり、少女が|跪い《ひざまず》ていた。
エリーゼ=アルセリア。
目の前に立つのは、王国第一王子、シャルル=レインハルト。
「─エリーゼ=アルセリア。貴様との婚約は、ここに破棄す
る」
「……なぜ、ですか……?」
声が震える。
彼女の問いに、王子は冷然と答えた。
「貴様が、カリーナ嬢をいじめたからだ」
「そ、そんな……! 私が、姉様を、いじめた……?」
「カリーナ嬢からすべて聞いている。お前は陰湿な手段で彼女を苦しめ、王家の威信をも|貶めた《おとし》さらに、王家に対する謀反を企てているとか」
広間にざわめきが広がる。
──すべて、仕組まれていたのだ。
「私は、姉様にも王家にも……そんなこと……していません……!」
必死に訴えるエリーゼの声は、虚しく広間に消えた。
「黙れ!」
シャルルの一喝が、広間に響き渡る。
「貴様のような下劣な女を、王家に迎え入れるわけにはいかぬ」
広間は、再び深い静寂に沈んだ。
「よって、貴様との婚約は破棄。さらに──」
王子は、無慈悲に言葉を重ねた。
「国外追放を命じる」
その宣告に、エリーゼの膝が崩れた。
「そ、そんな……!」
桃色の髪が広間に広がる。
必死にすがろうとするも、誰も助けようとはしなかった。
「王の不在時に|謀反《むほん》を企てる不届き者など不要。王国のためにもな」
シャルルの隣で、カリーナがくすりと笑った。
まるで、エリーゼの絶望を甘美な蜜のように味わうかのように。
なぜ。
なぜ、こんなことに──。
エリーゼは、震える指で自らの胸を掴む。
彼女はただ、幼い頃から姉に憧れ、姉に尽くし、姉を支えようとしていただけだったのに。
それが裏切りで返され、今、すべてを失おうとしている。
兵士たちが進み出る。
無骨な手で、エリーゼの両手を後ろ手に縛り上げた。
「離して、ください……っ」
必死に抵抗するも、力は弱い。。
誰も助けない。エリーゼは、見た。
カリーナが、微笑みながらシャルルに腕を絡め、勝者の顔でこちらを見下ろしているのを。
──すべては、最初から、こうなるよう仕組まれていたのだ。
重い扉が開かれる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 12:40:00
156489文字
会話率:34%
「……もう、終わりにしよう」
幼なじみであり、恋人だった篠原美琴は、曇りのない声でそう告げた。
その隣には、見たことのない男が立っていた。
肩と肩が、自然に触れ合う距離。否応なく、関係を物語っていた。
「……あ、そう」
三神静馬は、ほ
んのわずかにまばたきした。
驚きや怒りはなかった。ただ、何かが音もなく落ちたような感覚だけが、胸の奥で響いた。
言葉は浮かばなかった。何を言っても、すでに意味はない。
彼女の中から自分が抜け落ちた、ただそれだけのことだった。
静馬はそのまま歩き出した。
行き先もなく、あてもなく。
気がつけば、かつて遊び場だった廃遊園地に辿り着いていた。
今では誰も近づかず、鉄の匂いと風の音だけが支配する場所。
フェンスの隙間を抜け、錆びたレールの下をくぐり抜ける。
止まったメリーゴーランド。色の抜けた看板。
その奥――崩れかけた観覧車の影に、ぽっかりと地下へと続く通路があった。
興味があったわけじゃない。ただ、足が勝手に向いていた。
階段を降りるたび、湿った空気が濃くなっていく。
その先にあったのは、異様な空間だった。
壁一面に貼られたお札。
その中心に、黒く焼け焦げたような石碑があった。
無数の鎖が巻きつき、それでもなお封じるように力を放っている。
まるで、“誰にも見つけられたくなかった”かのように。
その時だった。
頭の奥に、どこか色香を含んだ女の声が、すっと囁く。
「……久々の人間ね。
ねぇ、ちょっと付き合ってくれない? ヒマなのよ。封印されてから、ずっと」
静馬は、少しだけ眉を寄せた。
そして、ため息まじりに、ひとことだけ返した。
「……別にいいけど。オレもヒマだし」
それが、三神静馬と“封印された女”の、すべての始まりだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 08:26:42
23847文字
会話率:40%
夏になると北海道を旅せずにいられない旅人が、雨や高速バスに翻弄されながら、教会の鐘の音に、大雪山の花と絶景に、湿原の湖と伝説に、あと白鳥にも癒されて……。
コダワリと陶酔のちょっと強めな旅人が、鉄道・山・花・自然のモロモロを求めて、北海道と
東北をひとり歩く旅行記。雨に靴を濡らし、高速バスや宿に振り回され、花の咲き具合に心を曇らせたりしながらも、おおらかな北国の大自然が旅人を癒し、浄化していく。
イセカイやらザマアやらコンヤクハキやら、そんなものに疲れたら、緑に染まった新鮮な空気を吸いに、北国への旅をご一緒しませんか?
※カクヨム・ステキブンゲイでも別タイトル(『北の旅路は雨の彼方に』)で公開しています。プラットフォームごとの違いや読者層との相性を見るためです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 07:40:00
23276文字
会話率:4%
身分の格差、陰湿な策略、そして転生者として巻き込まれたくなかったはずの世界で、彼女は気づいていく。
本当に望んでいたのは、ただの“平穏”ではなく“自分の意志で選んだ未来”だったことに。
これは、悪役令嬢でもヒロインでもない令嬢が、
自
分の足で、穏やかに、それでも確かに歩いていく物語。
*カクヨム様でも掲載してます*
*B-novel様でも掲載してます*折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 07:40:00
68711文字
会話率:34%
誰かの一番になりたかった少女の話。
※バッドエンドです(◜◡◝)
ヒロインの性格がとてもじめじめしています。
梅雨の時期の湿気くらいじめじめしています。
設定はわたあめみたいにふんわりしています。
全十二話、一日一話投稿なので
纏めて読みたい人は七月五日の朝六時以降だと纏めて読めます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 06:00:00
21039文字
会話率:5%
異世界のアマゾネス国家「イェルマ」。
子孫を残すための「婿探しの小旅行」が意外な展開に!
最終更新:2025-06-26 00:02:09
1295882文字
会話率:53%
性格が悪いクズの俺は、友達が一人もいない童貞の高校生。
トラックにはねられて死んで、剣と魔法の世界に転生したから、ウッキウキでスライム倒しまくって、死ぬほどレベルをあげて最強を目指した。
寿命で死んだら、また転生した。レベルは引き継いでい
た。
強くてニューゲーム。
二回目の転生で世界征服し、王になった。
しんどかったから、もう二度とやらないと誓った。
三回目の転生でモンスターになった。
世界征服とかダルいからもういい。
無邪気に最強だけ目指していたい。
そう思っていたが、三回目の世界は、糞な貴族が好き放題やっている地獄だった。
どいつもこいつもクソ調子こいててムカついたから、とことん苦しめてから皆殺しにすることにした。
俺は性格が終わっているのだ。
自己中心的でサイコパスなシリアルキラー。
皆殺し破滅計画の初手として、俺は、
「スペックは高いが、頭がおかしいとウワサの悪役令嬢」に目をつけた。
「こいつを女王にして、こいつの犬として暗躍しよう」
うまいこと力を隠しつつ、悪役令嬢の犬として、陰湿に、残虐に、シニカルに、ビターに、ダーティに、手際よく、小気味よく、カス貴族共に絶望を与えていく。
改めて思う。
やはり、俺は性格が悪すぎる。
俺ほどのサイコはそういない。
もはや、自分で自分が可哀そう。
※周りの声。
悪役令嬢『あなたほどの聖人は見たことがない。私ではなく、あなたが王になるべき』
手下1『あなた様こそ、正当なる支配者』
手下2『世界で一番優しいあなた様に、この世の全てを奉げたい』
手下3『この上なく尊き方。全ての生命を照らす光よ』
……なんで、こうなる……
ゲロ吐きそうなほどキモい連中だ。
どうやったら、性格最悪の俺を、いい人間だと勘違いできるんだ。
俺を善人扱いするのは、フェルマーの最終定理よりムズいだろ。
――これは、『性格最悪の俺が、ハンパなカスどもを陰湿にイジメる物語』だが、
――『絶対に王にはなりたくない性格最悪の俺』と、そんな俺を『聖人』だと誤解して王にしようとするバカ共との、『終わらない血みどろの闘争』を描いた物語でもある。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-25 18:09:48
254561文字
会話率:28%
――ヤンキーの王様『蝉原(せみはら)』にカツアゲされていた時のこと。主人公『閃(せん)』の頭の中に『謎の声』が響いた。
「閃(せん)、お前に最強のチートをやるから、未来の地球で、好きに暴れろ」
閃がもらったのは、今、まさに、閃をボコボ
コにしているヤンキー蝉原(せみはら)を『奴隷(どれい)にできる力』だった。
気付いた時には、『ハイファンタジー化した未来の地球』にタイムスリップしていた閃。
未来の地球は、『100体以上の魔王が戦争しまくっている戦国時代』だったが、一緒にタイムスリップした蝉原(せみはら)は、どの魔王も瞬殺(しゅんさつ)できる『無敵の力』と『最強の軍勢(ぐんぜい)』というチートを与えられていた。
『無敵の大魔王である蝉原』と、その配下である美男美女の最強軍勢。
その全てが、閃のモノ。
『閃に絶対服従(ぜったいふくじゅう)という縛(しば)り』以外完璧な蝉原は、
「どうにかして、閃を殺して自由にならないと」
と考える。
「まあ、閃みたいな無能のクソ陰キャだったら、いくらでも丸め込めるだろう」
そうタカをくくっていた蝉原だったが、
閃という男は、蝉原の想像をはるかにこえる男だった。
タイムスリップする前の閃は、
『友達ゼロの陰キャな社会不適合者(しゃかいふてきごうしゃ)』という、
とんでもない過小評価をされていたが、
『ファンタジー要素をもった未来世界』における閃は、
『蝉原を奴隷にできる能力』だけではなく、
『無限に覚醒(かくせい)し続ける』という、
『蝉原のソレとは次元の違うチート』を持つ『理想の英雄』だった。
「蝉原、これから俺は『戦争のない理想の世界』を目指すから、その手伝いをしろ。そんな『救世主みたいなマネ』は、極悪人のお前にとって最大の屈辱(くつじょく)だろう? 俺は、お前を許さない。『善人であり続ける』という罰を受けて、死ぬまで罪をつぐない続けろ」
蝉原に対して『考えうる限り最大の復讐(ふくしゅう)』をした閃。
閃は『陰湿(いんしつ)な復讐』を果たしただけ。
事実、『根っからの悪人』である蝉原は、その状況に絶望し苦しむことになる。
だが、閃は、敵味方問わず、全員から、
「この上なく尊(とうと)い、高潔(こうけつ)な御方(おかた)」
と、あがめられるようになっていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-11 11:03:48
122340文字
会話率:24%
白髪の少女が目を覚ますと、そこは異様に歪んだ不思議な空間だった。湿った草や苔に覆われ、空は青緑に染まった幻想的だが不気味な世界。突然、少女は黒い甲冑をまとった存在に命を狙われ、槍で攻撃される。命からがら逃げ込み、深い森へと姿を隠す。
その
後も彷徨い続け、空腹と疲労で限界を感じた頃、再び黒い甲冑の者を見かけて身を隠すが、そこで謎の仮面の女性「ファイ」と出会う。ファイは不気味な笑みを浮かべながらも、少女を森の外れにある村へ案内してくれることに。
少女は自分の名前も思い出せず、過去の断片的な記憶(母との暮らし、見知らぬ男たち、そして黒い甲冑の存在)を語りながら、ファイと共に村を目指す──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 01:16:11
1329文字
会話率:38%
しいなここみ様主催の『梅雨のじめじめ企画』参加作品です。(期間:2025/6/11~6/21)
24世紀。
600光年離れた箇所に地球型惑星が発見され、そこへ超光速航法機能を備えた宇宙船で到達したある調査員。
しかし、陸地がほとんどない水
の惑星で、且つ熱帯雨林気候であった。
全4話になります。
【関連作品】
本作は「惑星への意志」(N8349IZ)の関連作品となっています。
当該作品を読んでもらえると、内容的に入りやすいと思うので、未読の方は事前にご一読いただくとありがたいです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 23:10:00
8571文字
会話率:20%
しいな ここみ 様 主催の『梅雨のじめじめ企画』(企画期間:R7.6.11〜R7.6.21)に参加したくて書いたも作品。噛みたくて、噛みたくて……という内容の作品。オメガバース設定を使用。オメガバース設定使用だけれど、異世界が舞台ではないの
で、ジャンルは現実世界恋愛を選択しています。作品作者は伊勢うどんを食べたことはありませんが、作品冒頭部分は食べたことのある特定の個人の感想を参考としており、食べた感想には当然個人差がありますので何卒御容赦願います。企画の必須ワード『雨』『水』『陰』『湿』『カビ』『キノコ』『憂鬱』をやや無理矢理にコンプリート。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 21:24:17
3430文字
会話率:24%
人を殺す雨は人類に下す罰だった。抗う術のない人類は生き残るために足掻く。湿気を隔離する家、雨を飲用水に変換する装置……。制限があっても人類は頭脳を活用しかろうじて生き延びてきた。それでも人類は傷を癒せない。
世界唯一雨の日から生還した少年は
「バブル」という力と共に旅に出る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 15:11:13
9459文字
会話率:51%
しいな ここみ様主催企画「梅雨のじめじめ企画」参加作品です。
最終更新:2025-06-21 13:00:00
554文字
会話率:0%
しいな ここみ様主催企画「梅雨のじめじめ企画」参加作品です。
最終更新:2025-06-21 01:00:00
773文字
会話率:0%
しいな ここみ様主催企画「梅雨のじめじめ企画」参加作品です。
最終更新:2025-06-20 13:00:00
448文字
会話率:0%
夜。私の部屋は二階の六畳間だった。
もとは納戸だった部屋で、家具もないが、妙に「人の気配」がある。誰かがまだここに住んでいるような、そんな錯覚を覚える。
寝転がったとき、不意に聞こえた。
――カラン。
押入れの中。
何かが、小さく落ち
るような音。湿った木と紙の匂いが立ち込める中、私は恐る恐るふすまを開けた。
暗がりの中。
紙コップと、赤い糸。
それは、かすかに揺れていた。風もないのに、ふる、ふる……と。
その瞬間、コップの奥から、声がした。
「……やっと、見つけてくれたね」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-20 07:11:04
5839文字
会話率:11%
世界で名高い最強傭兵団Snow Woldに所属する少女-海唯(かい)、生まれから17年、日々戦場で過ごした彼女はもう何があっても自然に向き合えると自負する。が、ある日の激戦の中、突然真っ白な光に包まれ---!?
光が消え去った後、周りの人達
がコスプレ?して、『聖女様』と呼んできた!?
「ん~待て待て、一旦落ち着こう~可憐な彼女に、彼女の首に刃物を架かってるボロボロ黒服の私。……ん!悪者は私か!!!」
再び目覚めたところはなんと、湿たい地下牢!?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-19 22:00:00
586446文字
会話率:37%
雨が降ると厄介だ、雨と共に正体不明の何かが降り注ぐから。
※しいなここみ様主催「梅雨のじめじめ企画」参加作品です。
最終更新:2025-06-19 22:00:00
855文字
会話率:7%
多雨の王国シッケテルでは、頭からキノコが生えるという謎現象が勃発していた。
アジロの婚約者であり、この国の姫であるツキヨの頭にもキノコが生えたのだがツキヨはそのキノコを食べてみようと言い出し……
※しいなここみ様主催「梅雨のじめじめ企
画」参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 22:00:00
4262文字
会話率:65%
私は雨が好きで、キノコのような人間だった。
そんな私と対照的に、兄は太陽のような人物だった。その兄が今日、ジューンブライドだからと言って結婚式を挙げる。
最終更新:2025-06-13 22:30:00
2846文字
会話率:17%
梅雨入りしたら、湿気と戦うだけだと思っていましたが。
まさかの、猛烈な暑さにヒィヒィ言うております。
真夏になるといったい、どうなってしまうのだろうか……
最終更新:2025-06-15 21:55:29
200文字
会話率:0%
ほどよく湿ってくると、過ごしやすい季節になると。
アイツらは、増えてきます――、いくら気をつけても。
最終更新:2024-05-07 00:09:11
200文字
会話率:0%
あづい…………。
どうにかならんものか……?
時計を見る度に鬱陶しい。
そんな長針と短針に思いを馳せてみました。
くれぐれも真剣に読まないように(笑)
最終更新:2018-05-26 02:00:00
256文字
会話率:0%
アニメや漫画を親しむ中で、ふと筆者は思った。
――何故オタクには言語化出来ない『陰湿さ』『卑屈さ』があるのか?
90年代のサブカルチャーに育てられた筆者が、何気なくAIに投げかけると返ってきたのは社会の空気、承認欲求、そして物語構造の変化を
説明するものだった。
90年代の退廃と露悪から、00年代の癒しと萌え、10年代の異世界と快楽――。
本エッセイではこのAI解析を通じて、新しい物語の地平を静かに見つめ直すための一歩となれば幸いである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-15 16:46:37
6403文字
会話率:10%
梅雨の季節、霧村潤太は長く続く雨のように沈んだ日々を過ごしていた。幼馴染の爽風はそんな彼を案じ、なんとか自信を取り戻してほしいと願う。しかし、潤太はなかなか一歩を踏み出せず、もどかしい時間が続いていた。ある日、爽風は潤太に「好きな人に気持ち
を伝えるべきだ」と背中を押すが、まさかの相手が学園のアイドル・白雪姫乃だと知り、激しく動揺する。自分の想いを気付かぬまま潤太が去っていくのを見て、爽風は後悔と焦りに苛まれる。しかし、戻ってきた潤太は驚くべき言葉を口にする。
その瞬間、じめじめした空気がまるで晴れ渡るように変わる。 果たして二人の梅雨は、本当に明けるのか――?
この作品は、しいな ここみさま主催『梅雨のじめじめ企画』参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-15 14:32:06
2312文字
会話率:42%
湾岸エリアの高級タワーマンション最上階に、雲雀(ひばり)は幽閉されたも同然だった。
というのも人気ホスト、裳玲(もれい)に惚れ込み、結婚して早3年と5カ月。
しかしながら、夫婦関係は冷え切っていた。
梅雨に入り、例年にないこの異常な長雨が
いけないのだ。
陰鬱な雨は人の心まで荒廃させる。
ことあるごとに潔癖症の夫から罵倒され、雲雀のストレスは最高潮に達していた。そのたびに陰湿なやり方で仕返ししてきたが、ついに殺害を計画。
かくなるうえは裳玲を殺してでも、このマンションから巣立ちしなければならない。
雲雀は巧妙に夫の命を削っていくのだった……。
※本作はしいな ここみさま主催『梅雨のじめじめ企画』参加作品です。
※全5エピソードの連載です。微グロとバイオレンスあり(*^-^*)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-14 12:00:00
15844文字
会話率:13%
異常気象によって滅亡する寸前の尼崎で、あたしらは笑顔でかき氷を食った
最終更新:2025-06-14 08:01:29
1527文字
会話率:58%