記憶を失った主人公アスクは、目覚めた場所も自分の過去も一切思い出せないまま、ただ「前に進む」という強い衝動に突き動かされて冒険の旅に出る。仲間との出会いや生命の危機、危険な魔物が潜むダンジョンを進む中で、アスクは断片的な記憶のフラッシュバッ
クに遭遇する。初めはデジャヴの感覚、そこから徐々に未来予知に近づいていく。しかし、その全てが曖昧で完全な形を成さない。
旅を続けるうちに、アスクは自分の行動に奇妙な違和感を覚え始める。まるで誰かが自分の次の行動を予測し、道筋を用意しているかのような感覚だ。偶然出会った仲間たちとの会話や、仕組まれたかのような出来事が、その疑念をさらに深めていく。ある時、アスクは自分の記憶の断片に繰り返し現れる影のような人物に気づく。その人物はアスクの行動を操っているかのように、遠くから見つめ、囁きかけている。
アスクは自分を操るこの謎の存在の正体を突き止めるため、旅を続ける。やがて彼は、自分の失われた過去には世界の運命を変える秘密が隠されており、操っている人物がその秘密を巡る壮大な計画の中心にいることを知る。自分自身を取り戻し、操られる運命を断ち切るため、アスクは記憶の深淵に立ち向かい、真実を解き明かす決意を固める。
果たして、アスクは自分の記憶と自由を取り戻せるのか? そして、彼を操る人物の目的とは一体何なのか? 冒険の果てに待つのは希望か、それともさらなる絶望か――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 20:10:00
26453文字
会話率:17%
凄惨な幼少期、目を背けたくなるような境遇、追い討ちをかけるかの様な病、志半ばで失った夢、繰り返される挫折、いつまでも灯りの燈らない奈落の底。逃れられない運命に心を抉られ、気付けば愛だの夢だのくだらないと、誰にも関わらず人間を拒絶し笑顔を失く
し世界を断絶し、瞳に映る全てに絶望していた。だがそれでもただ懸命に、たった一つだけでもいいと〝生きる意味〟を探し続けながら大人になった孤独な男、幡西鷹斗。彼はある日、知らぬ間に病院のベッドに平伏していた。気を失っていたのか?事故か?記憶を失くしたのか?何も思い出せずにいた。ふと、何となく病室のテレビをつけてみることにした彼は、テレビを見た途端に何故かそこから様々な事がフラッシュバックしていく。以前から感じていた身体の違和感、身に起きてきた不可解な現象。しかしその自身が感じている症状は、どれだけ医師に説明しても全く伝わらず、呆気なく精神疾患だと診断されてしまう。誤診だと納得出来る訳も無く自ら身に起きる症状の原因を調べる事になったそんな中、今まで見た事が無かった色の二筋の光が微かに彼を照らし始めた。長い間暗闇に居過ぎた彼には、その微かな光でさえも眩しすぎて眩暈を起こしそうになる。しかしそれは次第に、身体と心をゆっくりと温め治し硬直していた心の筋肉を優しくほぐす様な、そして心をケアする様な感覚に包み込まれる程の光だった。〝生きる意味〟を見つける事が出来ず全てを諦めた筈なのに、世界を断絶していた筈なのに、ずっと独り殻に閉じ籠ったままで良かった筈なのに。心とは裏腹に徐々に思い出していく人の優しさ、温もり。そんな二筋の光によって色が変わり始めた運命に、人並みの幸せを掴みたいと淡い夢を見始めてしまうのだが・・・一つ乗り越えればまた一つ産み落とされる絶望。誰かと手を取り合い生きるのには必ず何らかの理由が必要なのか?幸せを手にするには必ず何かを犠牲にしなければならないのか?悲喜交々の人間世界はどこまでも儚く虚しいだけなのか?そんなわけが無いのに繰り返される暗闇は彼の心をまた揺さぶる。そしてそもそもの疑念点であった不可解な現象の真相に辿り着く事が出来るのか?人の温もりとは自分にとってどれ程大切なのか?彼の凄惨な過去とは?失った夢とは?二筋の光とは?少しずつ光と陰の狭間で蠢く様に見えてくる真実、待ち受けている本当の運命とは・・・。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 18:07:44
137363文字
会話率:54%
2040年、記憶操作が一般化した近未来。
病院で目覚めたステフは、親友メアリー殺害の容疑をかけられていた。
しかし彼女には、自分の過去も、メアリーのことも、何一つ覚えがない。
フラッシュバックする断片的な記憶、積み重なる違和感、そし
てたどり着く真実とは――
恋人マイク、冷静なノア刑事、熱血なスティーブン刑事。
信じられるのは誰か――
記憶を奪われ、真実を偽られたステフが、すべてを取り戻す物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-31 13:44:32
7126文字
会話率:32%
母が病死し、父は変わってしまった。
そんな父と、私(娘)の、寂しくて悲しい物語。
フィクションです。
最終更新:2025-05-30 20:53:42
869文字
会話率:17%
『いじめ』問題の解決はとても難しい。
でも本作を読んで再度、行動や言動を考えてみてほしい。
最終更新:2025-05-30 17:20:00
507文字
会話率:0%
アストレア王国の片田舎で生まれ、魔法学校を首席で卒業した電撃魔法使いのユイ。発電会社で幸せな結婚をし、三人の娘に恵まれるも、過去の性暴力のトラウマに苦しむ日々を送っていた。特定の音や状況でフラッシュバックに襲われ、誰にも打ち明けられない秘
密を抱えるユイ。二次被害への恐れから沈黙を守る彼女だったが、愛する家族の存在が、過去の傷と向き合い、乗り越えようとする力となる。トラウマを力に変える発明を通して才能を開花させるユイは、家族の温もりを支えに、過去の暗闇から再生していく。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-07 12:08:45
19703文字
会話率:17%
某県・某市・某所にある県立の精神科、その閉鎖病棟に入院中の青年・雨宮 嵐は退屈していた。否、入院患者はみんな退屈していた。淡々と過ぎていく、彩も何もない日々。なにか大事件でも起こらないか、と誰もが変化を求めていた。そんな時。嵐の病室の隣り、
一番重たい症状の患者が入れられる個室に一人の女の子が入院してきた。その女の子・中谷 智恵里はパッと見、普通の女の子だった。が、精神科病棟で「普通に見える」とは「普通じゃない」ことの証明でしかなかった。勇敢にも中谷さんへの接触を試みる嵐。それは全て、退屈という病を治す為。──しかし、嵐は後に知る。退屈とは尊いものであったのだと……。
記憶障害の主人公、雨宮 嵐。度の過ぎた繊細さで入院している、ゲイの後藤さん。喧嘩っ早く、血の気の多さをどうにかする為に入院させられた、徹君。そして「K型」が原因で入院してきたヒロインの中谷さん。部屋番号・223の3人が隣室の中谷さんに翻弄される日々が始まる……!
◎筆者の実体験を織り交ぜた、何でもありの精神科(ラブ)コメディです。◎精神科病棟が舞台のお話ですので、読者様の中には何らかのフラッシュバックを起こしてしまう方もいるかもしれません。自傷行為のお話やシリアスな展開等も出てくるので苦手な方はそっとUターンしてください。◎控えめな描写を心掛けていますが、性的な描写があります。また、同性愛の描写もあります。◎あくまで筆者の「実体験を織り交ぜた」お話です、ほとんどがフィクションであることをご承知ください。◎設定等はゆるゆるで、執筆しながら修正する点も出てくるかもしれません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-06 22:49:14
194103文字
会話率:58%
韓国人アイドルと日本人プロデューサーの男性同士の恋愛小説。同性婚問題や日韓の関係性に触れながら、愛する人はしょせん他人であるという気付きに至っていく話です。
※現代の同性愛者差別や日本社会の韓国への偏見についての問題提起のため、カミングアウ
トを揶揄する言動や差別発言等の描写を含みます。ショックを受けたりフラッシュバックに繋がる可能性がありますので、無理をせずご自身の判断にてお読みいただくようお願いいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-27 20:28:44
62585文字
会話率:40%
田舎町。平成最後の夏。有名酒造店の後継ぎとして期待されることが嫌で仕方ない長男・朔太郎。 大学の夏休み期間の帰省中、誰よりも大切に思っていた弟・操が死んでしまう。 が、乗り過ごした電車が止まった駅で再び操に会う。
仲の良い兄弟の、お互いへの
重い感情がおりなす薄気味悪い話です。 都市伝説の「きさらぎ駅」オマージュ要素があります。
※作中後半、文字化けしている箇所がありますが、仕様によるものです。
※本作品には、ショックを受けたりフラッシュバックに繋がる可能性のある描写が含まれます(自死、心中描写)。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-15 23:14:04
45791文字
会話率:46%
田舎の夏。幼馴染の高校生同士と、駄菓子屋の老爺と幼い孫娘の、どうしようもない死たちの話。
※本作品には、ショックを受けたりフラッシュバックに繋がる可能性のある描写が含まれます(家庭内暴力、殺人、自死描写)。
最終更新:2024-06-15 22:20:32
9157文字
会話率:45%
「死にたい。でも、独りで死ぬのは怖いの」
声優を目指して血の滲む努力を重ねてきた女子高校生・日菜。しかし、何度も挑戦したオーディションはすべて不合格。絶望の中、日菜は声優志望仲間で、交際相手の「僕」を自宅に呼び出す。
日が落ちた部屋の中
で、白いネグリジェ姿の日菜は「殺して」と静かに懇願する。独りで死ぬ勇気はない、だから好きな人の手で最期を迎えたいと――。
かつて日菜と交わした言葉、過ごした日々、共に練習したあの時間が脳裏にフラッシュバックする。
「あなたが犯人役で、私が被害者役。お稽古だと思って」
--それは、二人で夢を追いかけた“あの頃”の延長線のようで、狂気の始まりでもあった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-13 18:03:45
5066文字
会話率:27%
※事実をそのまま書いたノンフィクションです。文字はなるべくソフトにしてありますが、内容はドス黒く正義は無く救いはほぼありません。
小学6年生~中学1年生までの約2年間の出来事を文字にしました。昨年報道で取り上げられた某新興宗教での出来事を
記憶をもとに描きました。
神に救われることもなく今を生きる。神の存在は否定しないものの救われたことのない者には神は助けてはくれないのだと心から思います。
セクハラではありますが、セクハラを超えた行為もあるので気分を悪くした人は先を見ないでいただけますようお願いします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-11 05:07:41
17151文字
会話率:7%
とつぜんイヤなことを思い出してまう。
最終更新:2025-04-08 22:12:26
690文字
会話率:0%
朝、完璧すぎる世界で目覚めるカイ。穏やかな街並みと優しい人々に囲まれながら、心の奥に違和感が疼く。ある日、赤い目をした黒猫が現れ、彼を町の外れへ導く。そこで見つけたのは、光の膜に閉ざされた“珠玉”の壁。触れた瞬間、焦げた記憶がフラッシュバッ
クし、この美しい檻の真実が揺らぎ始める。ここは現実か、夢か?黒猫の視線に導かれ、カイは何かを選ぼうとする——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-22 17:42:35
2531文字
会話率:14%
ある夜、主人公は幼い頃に見た何かを彷彿とさせる悪夢にうなされる。
夢の中には血や悲鳴があり、割れた鏡が床に散らばっているが、すべては断片的で深い靄に包まれている。
やがて、それがかつて両親を失った悲惨な事件に繋がっているのではないかという
疑念が主人公の胸をよぎる。
さらに不気味な既視感と共に、事件の詳細に踏み込むほど、自分の記憶にもさまざまな違和感が芽生えていく。
主人公は失われた過去を取り戻そうと、当時の関係者や古い新聞記事を辿りながら真相へ迫っていくが、やがてはっきりとした「ある手掛かり」を掴む。
その瞬間、知られざる秘密がゆっくりと輪郭を結び始め、閉ざされていた記憶の扉が音を立てて開こうとしていた。
はたして、悲しい運命を呼び覚ます真実はどこに潜んでいるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-16 13:25:00
3848文字
会話率:10%
若くして妻に先立たれた主人公は、ある晩遅く帰宅すると、倒れ息絶えた妻を見つける。
警察や病院での手続きに追われながら、遺体安置所で対面した妻の顔は苦しそうにむくみ、受け入れがたい現実を突きつける。
急遽行われた家族葬では、戒名に戸惑いつつも
、最後まで見送るしかなかった。
妻の骨は遠方へ持ち帰られ、気軽には参れない墓の存在が、主人公の心にさらにぽっかりと穴を開ける。
その後、独りの空虚を埋めようと人と会い、飲み会に参加し、時には夜の店で一瞬の温もりを求めてみるが、記憶が呼び起こすのは常に妻の笑顔と喪失感だ。
それでも時が少しずつ前に進むにつれて、主人公の心はかすかな再生の予感を抱くようになる。
この先も悲しみは消えないと悟りながらも、彼は妻が残した思いを抱え、歩み続けていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-03 01:48:44
4420文字
会話率:8%
舞台は湿った夜の路地裏。薄暗い倉庫で手にした「粉」は、実はサッポロ一番味噌ラーメンのスープだった。
だが、塩分という名の“成分”に取り憑かれた主人公は、まるで禁断のドラッグを求めるように粉を貪る。
容赦なく押し寄せる塩分過多は脳を圧迫し、
やがて彼を倒れさせる。
入院後も、フラッシュバックのように脳裏をよぎる茶色い粉の幻。
理性を保ちながらも、舌の奥に染みついた味噌の記憶が消えない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-01 02:22:32
2972文字
会話率:10%
職場の人間関係が原因で体調を崩して退職したシェーンは約十年ぶりに戻った地元で偶然、旧友のベンに再会する。二人は学生時代に同じクラブ活動をしていて仲が良かったが、ある日を境に疎遠になっていた。触れられない過去を抱えながらも旅行へ行くことになっ
た二人。旅先での様々な出会いによって過去の傷に向き合いながら距離を縮めていく。
アーティストのベン(29歳)と元会社員の現在無職のシェーン(28歳)のお話。
ノー・ウォリーズ(=「心配ない、大丈夫」と言う意味)
※注 トラウマ、虐待の言及があります。男性同士の恋愛表現があります。
「Pixiv」に投稿した作品に一部加筆修正が入る予定です。「アルファポリス」でも公開中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-15 20:23:58
24745文字
会話率:58%
ある日、死から蘇るもそれまでの記憶と本来の姿を失った人間…○○○がいた。
○○○は虚無感に襲われ、1人の女性を手にかける。その途中で○○○はその女性に酷い仕打ちを受けていた記憶がフラッシュバックし、怒りと憎しみの果てにその女性を嬲り殺しに
し強い多幸感を得るのだった…。
○○○はやがて復讐の怪物として蘇り世に解き放たれるのだった…。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-21 00:42:03
5459文字
会話率:48%
バイト終わりの女子高生が遭遇した、ひやっとした話。
出オチ説明しますが、よくある「生きてる人間のが怖いよね~」みたいなありふれた話です。
オチは比較的マイルドにしましたが、夜道でなんらかの被害に遭った方は閲覧をお控えください。
フラッシ
ュバック注意。
※この作品はプロフィール記載の各投稿サイトにも重複投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-01 17:11:08
3157文字
会話率:18%
人生に絶望した「無敵の人」による犯罪が増加する近未来、有効な対策など見つからないまま、流血の惨事が繰り返されていく。
被害者の記憶は残酷だ。
妻と娘を通り魔に殺されたトラウマは悪夢の形でフラッシュバック、生き残った「俺」を苛み続ける。
何処へも向けようのない怒りと憎しみ。
せめて家族の無念を世間へ訴えようと試みる「俺」だが、記者の無神経な一言をきっかけに自ら暴力を振るい、心の闇へ落ち込んでいく。
そして混乱、錯綜する悪夢の果てに「俺」が見つけるのは、受け入れがたい意外な真実だった。
アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+にも投稿しております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-11 07:50:28
16311文字
会話率:17%
小中と男子に虐げられて来たゆえに、フラッシュバックする事も多いのだが、芋づる式で思い出す事もある。
それは『男性は自慢話をする傾向が強い』という事。
上位に立ちたがるのは本能か。
けれどもそれが滑稽だった。
注意事項1
起承転結はありま
せん。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何でも許せる方向けです。特に男性はご注意下さい。
でも分かりやすい方が良いですよ。
信用されやすいって事ですから。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-16 17:57:37
891文字
会話率:48%
私よりキッつい過去を送っている人だって知ってるけれど、私だってそれなりにしんどかったよ。
フラッシュバックが蘇ってきて、手先が震える。
目の前の机に包丁をぶっ刺したい。
全てを殺してでも、生きてやる。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
私は性格が悪い人間なので、された嫌な事は全て覚えてますし、生涯をかけて恨みます。
だから、次会った時に相手を潰せる程に強くならなくては。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-03 18:06:53
1118文字
会話率:50%
大事にしているもの程、離れていく。
でも、酷い別れだったのは、中学時代の□友との別れ。
生存確認さえ出来なくさせやがって。
私は何時だって痕跡探してるのに。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
最後、少し変えます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-04 11:11:55
1290文字
会話率:30%
「私」はある日、猫として生まれ変わった。人間の頃の記憶はおぼろげだったが、何故か異常なほどの解放感があった。「私」は中学校の飼い猫として気ままな日々を送る。生徒の中に一人だけ、注意を惹きつけられる女子生徒がいた。彼女の正気のない目が、人間
の頃の自分の目と似ていたからだった。暑さに倒れていたある日の「私」を、彼女(中元依子)は助けてくれる。それが縁となって「私」は依子の家にも出入りするようになる。そこで「私」は一匹のメス猫(ミケ)と知り合う。ミケは以前から依子の家に出入りしており、今までの依子の複雑な家庭環境による苦労を「私」に教えてくれる。そして「私」は白昼夢を見る。そこには一人の女子生徒が登場する。それは「私」が中学生の頃の記憶だった。その夢は「私」に深いトラウマを呼び起こす。体調を崩した「私」は依子の手で動物病院に運ばれる。
「私」はミケから聞いた依子とのエピソードを思い出す。そこには気を狂わされた一匹の黒猫が関わることになる。そのエピソードから「私」は依子の異常なまでの自己犠牲を知る。そして「私」は夢の中の女子生徒について、自身の記憶を手繰り寄せる。その記憶は「私」の人格形成に、深い影をもたらした過去だった。「私」が運び込まれた動物病院は、依子の友達(芦沢鈴)の父親が営んでいた。「私」に新たな記憶がフラッシュバックする。父子家庭であるこの親子には、壮絶な過去があった。その過去を人間の頃の「私」が知っていた。
依子には思いを寄せる人がいた。その少年(白川悟)は生まれた頃から病気を患っていた。「私」は二人を見守っている。少年は死について思い巡らす。依子は未来の可能性を思い悩む。そんな二人の会話から「私」は、自分の妻との記憶を思い出す。しかしその記憶は「私」が最も思い出したくない過去だった。「私」は自分の妻との記憶を辿る。そして「私」は人間の頃の憂鬱に引き戻されるのだった。その後、依子にいくつもの辛い出来事が重なる。そして「私」と出会ったもう一人の男子生徒(杉本和彦)との縁が、物語をさらに動かしていく。絶望に落ちる依子を、果たして「私」は救い出すことができるのか。自らの重い過去と向き合いながら、新しい「今」を生きる「私」の、破滅と再生の物語を描く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-28 00:00:00
127327文字
会話率:7%
就職活動を続ける大学生、織口柚香のもうひとつの顔は、大学はじめのフィギュアスケーターだった。いつものように氷上練習をする中、面接で浴びせられたある言葉が柚香の脳裏にフラッシュバックする。
自我を出せずにいる柚香。見かねた友人の導きで、迎えた
出会いが凍りついた車輪を溶かす――。
自分らしさを取り戻せずにいるあなたへ捧ぐ、ひとつの「旅立ち」の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-24 19:03:52
8693文字
会話率:37%