気付いたら『私』は夢中になっていた本の登場人物になっていた。
序盤で、物語から消えてしまう哀れな脇役、善良だが愚かな伯爵夫人セレスに。
『私』は、なんとしてでも生き抜いて、死なねばならなかった登場人物を救い、実らなかった悲恋を成就させ、
そして、セレスの親友である主人公アデライードと再会する事を心に誓う。
しかし、物語は『私』の知るものとは、まったく違った展開になっていった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-26 22:02:02
109165文字
会話率:27%
死というものに初めて触れたとき
不思議と冷たさは感じなかった
別離は哀しいことだけど
感じたのはかすかな温もり
最終更新:2024-09-26 07:00:00
614文字
会話率:0%
黄道を刻む二十四の時の詩
立秋の詩
巡る季節の境目は
いつも空が哀しく鳴いて
最終更新:2023-08-08 07:00:00
331文字
会話率:0%
やさしさで掬いとれるものは少ない
キーワード:
最終更新:2023-07-02 08:36:34
200文字
会話率:0%
大事な人をもう二度と失わない世界、を願った少女。
もう誰も傷付いて欲しくないとその手に誓った少年。
叶うならもう一度ともに旅をしたい、と夢見た天使。
どうか仲間が無事でありますようにと祈る、天使の長。
笑顔で二人が過ごせますように、とその身
を犠牲にした騎士団。
妹の為なら国さえ滅んでも厭わない、と決意した兄。
兄の為なら誰であろうと手段を選ばない、妹。
それぞれの想いが交錯し、やがて駒は揃う。
そして、《哀れなエフィア》に祝祭が訪れる。
それは祝いか災いか───。
願った全ての者たちが幸せになれる訳では無い。
けれど、泣いて欲しくもない。
そんな夢を描いた……。
『見果てぬ空で祈っているよ。どうかキミが、幸せでありますように。』
今ではもう、逢う事すら叶わない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-25 21:16:58
131260文字
会話率:69%
「癌です」と告げられた彼女は、哀しみよりも嬉しさの方が大きく泣いて喜んだ。
余命は一年持つかどうか。ただ死を受け入れるしかないと言われても平然としていた。
生きる意味を捨てた彼女は、親友の代わりにあるアイドルグループのライブへと参戦する。
そこで出逢った、人気アイドルグループ【ラフィルフラン】のメンバーとひょんな事から生活を共にすることとなった彼女は、僅かな時間の中で、恋をした。
遂げる事の無い想いを抱えたまま、病は彼女を死へ導く。
果ての見えない楽園で、生前の記憶が語られる。
「キミがその身を賭して愛してくれた事、おれは忘れない。もしキミの来世に、おれらの残骸があったら微笑んで欲しい。何度もキミを想うよ」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-23 17:22:12
69547文字
会話率:74%
『プロローグ』
昔は要所として栄えた ”海に浮かぶ古城”は、贅ある限りを尽くし溺愛されて育った哀れな貴族の息子と同様、見栄のみが先行し、中身のない恥知らずの伽藍堂と揶揄され、ひっそりと歴史の中に埋もれていく遺物でしかなかった。
そして今
、朽ち果てた城に行き来できる唯一の大橋が人策によって意図的に崩壊し、完全に孤立している。
因果なのだろうか、思わず顔に出てしまった嘲笑を制し、これから戦場となる舞台を悠然と見下ろす。
蒼白い月光に照らされた”海に浮かぶ古城”を最後の砦とし、逃れる場所がないことを悟り決意した領民たちは、農機具の鍬や鋤、身幅の大きい包丁を手に取り、つぎはぎだらけの布をまとって、海から渡ってくる外敵を退けるために身命を賭けよとしている。
青年は、ポケットに入れてあった何の変哲もないふたつの指輪を愛おしそうに見やると、果樹園から運ばれてくる花の香りを思い起こした。「故郷の匂いだ」 青年は呟くと頬を緩め微笑んだ。わずかに赤みを帯びた金色の髪を逆立せ、彼の碧眼は歓喜に色を輝かせていた。
青年は、前だけを見つめている
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-25 17:30:52
76309文字
会話率:37%
ひょんなことから死んでしまった俺には、人生の全てを犠牲にしてでも叶えたい大きな野望があった。
しかし、その野望は実現することなく俺の人生は幕を閉じたかのように思われた。だがーー
俺は幸運にも死後の世界で女神様に転生を持ちかけられた。
俺は前
世でついぞ叶うことはなかったその野望を叶えるため転生を決意する。
しかし、転生の条件として女神様から、ある任務の遂行を命じられる。
そんなこんなで転生した俺は、女神様からの任務を進めながら、俺の前世からの野望である、<絶世の美少女になる>夢を実現するため、新しい人生を歩んでいくーー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-24 22:03:31
18846文字
会話率:25%
シャイで奥手で硬派な主人公の夏野空(なつのそら)は、名門野球部所属の高校2年生。部活の帰りに急に降り出した雨に驚くも、持っていた傘をさし歩いていると……クラスでも人気の秀才美少女、涼風愛優(すずかぜあゆ)が雨やどりしているのを見かける。
空
は想いをよせている愛優に傘を差し出す。
様々な出来事に遭遇しながらも、良き協力者のもと進展してゆくのか。
ふたりの淡い胸キュンな恋模様をお楽しみ下さい。
作中、愛優の心情を表す詩も挿入します。そちらも併せてお楽しみ下さい。
この作品の第1章・第2章は、遥彼方さまの「夏祭りと君」企画参加作品です。
著作者:藤乃 澄乃
無断転載は固く禁じます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-24 18:38:36
146912文字
会話率:26%
テーマは主に恋愛中心ですが、投稿時の気分によって、変わると思います。詩を(うた)、集を(あつめ)としたのは、そういう意味合いです。できれば長く続けていきたいので、連載としました。是非、読んでみて下さい。
詩集なので、最初から読み進めていた
だいても、また目次から気になる題をチョイスしてお読みいただくこともできます。
『澄乃の詩』の世界を楽しんで下さい♪
小説の方も書いているので、不定期更新になるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。 ※尚、全てオリジナルですが、殆どフィクションです。
第169作品目は「夏の涼」企画参加作品です。
第184作品目は「紅の秋」企画参加作品です。
第206作品目は「夜語り」企画参加作品です。
第222作品目は「ほころび、解ける春」企画参加作品です。
第304作品目は「冬のあしあと」企画参加作品です。
2018年9月10日現在、ジャンル別 年間ランキング 6位いただいております!
2019年7月23日現在、ジャンル別 年間ランキング 5位いただいております!
著作者:藤乃 澄乃 無断転載は固く禁じます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-22 23:58:12
118912文字
会話率:6%
乙女ゲーム《ミオアルフィオーレ》の主人公サラ・パルモ・ライラックは1年前から不思議な夢を見ていた。
夢の中では
「乙女ゲーム」というもので遊んでいる感覚
そのゲームの中のアンジュという女の子に憧れる気持ち
そして真っ白な「病院」という
場所でベットに寝ている女の子を可哀想に思う気持ち
そんな感情で頭がいっぱいになる不思議な夢だった
そんな夢で出逢ったアンジュという女の子にどこか似ている美人を偶然夜の街で見つけ、声をかける。
彼女の夢は正夢なのか、
はたまた全く違う未来が待ち受けているのか、
彼女も、そして夢の彼女もまだ知らない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-23 11:14:07
10929文字
会話率:22%
主人公が死ぬということに意味がある。
曇るという過程も面白い。
絶望はスパイスで丁度良い。
誰かのために死ぬ大いに結構。
何も成し遂げずに潰える、思いは甘美である。
恐怖は蕩けるようにビター。
悲哀なんてものは甘酸っぱい。
だからそう、曇ら
せ、絶望、恐怖、破滅。
最高だから、そんな物語を書いたんだ。
だって、どうせみんな最後には死にたくないのに死んでる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-22 15:47:49
5753文字
会話率:15%
ただの会社員、小泉海斗は公園で捨てられていた4つ子を見つけました。 彼女らはそれぞれ喜、怒、哀、楽というそれぞれの個性を持ち、海斗の心を打ちました。海斗は彼らを連れて帰り、彼らを家族として迎え入れます。彼は会社員として忙しい日々が続くが公園
で遊びだり、みんなで楽しい時間を過ごしました。そして4つ子と過ごしていくうちに捨てられた過去、隠された本当の性格を知っていく。4つ子とただの会社員が繰り広げる日常コメディー!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-22 08:37:40
18698文字
会話率:34%
【☆書籍化☆ 角川ビーンズ文庫より1〜3巻発売中です。コミカライズ春頃連載開始予定。ありがとうございます!】
お兄様、生まれる前から大好きでした!
社畜SE雪村利奈は、乙女ゲームの悪役令嬢エカテリーナに転生した。
前世の頃から皇子より悪
役令嬢の兄アレクセイにハマっていたけど、実物はさらに素敵!そして悪役兄妹の生い立ちが可哀想すぎて泣く!
よーし破滅フラグと国の滅亡フラグを回避して、みんなで幸せになるぞー。
かくして建国以来四百年続く超名門ユールノヴァ公爵家の悪役令嬢と、口が悪くて気が強い歴女なアラサー社畜、ふたつの人格が統合。外見は上品なお嬢様、中身は怒涛のツッコミ属性。社会人の常識や歴史の知識で、多忙な兄を助けつつゲームイベントを乗り切ってゆく。
なんかそのたびに、超有能お兄様のシスコンレベルが上がっていくような。いや最初からシスコンだけど。ブラコンシスコンのラブラブ兄妹で幸せだけど。
そして、ヒロインと皇子に近づかないという破滅フラグ対策が、どんどんグダグダになってしまうのはなぜなのか。いや、二人ともいい子でいい友達だけど。けど皇子、君は私にとって破滅フラグの化身なんで……仲良くなるのはまずいんだよう。
それにしても乙女ゲームの世界と言いつつ、設定になかったことだらけ。
とにかく悪役令嬢エカテリーナは、お兄様のために頑張ります!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-22 08:00:00
1056744文字
会話率:28%
一人じゃ生きていけないなんて可哀想。(※重複投稿しています)仲仁へび
最終更新:2024-09-22 00:00:00
269文字
会話率:50%
哀れみの視線をうけると、呪いたくなる。だからその目をやめろ(※重複投稿作品)
最終更新:2023-09-09 03:00:00
409文字
会話率:6%
踊るかつお節はたのしくて踊っているわけではない。(※重複投稿作品)2023.5.24簡易チェック
最終更新:2022-09-09 01:00:00
335文字
会話率:0%
――何時からだろうか?
一体、何時から…わたしは『あなた』様に――…いや。
違う…。
言葉の誤りをお許しください。
わたしは『あなた』様の“本来”に戻ったのですね。
しかし、ほんの“一部”にしか戻られていない…寂しく、哀し
いことです。
どうすれば、いいのでしょうか?
一体、どうすれば…わたしは『あなた』様を“元”に戻せるのでしょうか?
難題です。
無心…。
無情…。
『あなた』様は、わたしにそう教え込んでいただいたが…難しいです。
――当時のわたしを思い出してみました。
お恥ずかしい話しで…今もなのですが…今の世の中は、わたしには“棲みにくい”です。
まるで、酸素を奪われた魚のように…必死に酸素を求めて、もがき苦しみ続ける感覚に日夜、襲われています。
そんな右往左往をしているわたしに『あなた』様は、気づいてくださった。
お声を掛けていただいた。
――嬉しかった。
わたしは「誰でもいいから気づいてほしかった」のだと…遅れながら自覚いたしました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-21 00:00:00
87456文字
会話率:4%
僕から逃げて欲しかった
しかし、僕と共に生きて欲しかった
最終更新:2024-09-20 15:54:44
984文字
会話率:20%
『神から見放された哀れ子』と言われ続けてきた少年、カリウスは、今まで自分のことを散々嫌ってきた村人たちを助けるために隠してきた自分の【能力】を使って村の危機を救う。
しかし、カリウスの【能力】がいずれ自分たちに害を及ぼすものと判断した村
人たちは、助けてもらった恩を無碍にし、追い出すことを決意。カリウス自身、もう村の人からの態度に耐えられなくなり、自分が認められるために旅を始める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-20 14:35:59
2026文字
会話率:44%
人とは、失ってはじめてその大切さに気づける。
人は、失うことでしか後悔を得られない生き物なのだ。
少女が辿る結末は生か死か、それとも愛か哀か、幸か辛か。
最狂の魔法少女が生み出す儚き人生をお楽しみ。
最終更新:2024-09-18 22:19:41
7571文字
会話率:9%
「祝福は、悪魔のあざ笑いだ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
祝福とは神から与えられる幸福を指す。
しかし、それを祝福と取るかは自分次第。
それは、祝福を取り違えた世界に生きる少女と青年の物語。
愛、哀、逢い、遇い、遭い
世界には沢山のア
イがあるのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-05 02:00:49
8405文字
会話率:48%
僕の手で作ったVtuberは『元同級生』だった。
でも、その同級生は直ぐに消え––アイとしていつの間にか出てきた。
『アタシはバーチャルで生きてるんだから!』
そこから一気に話は進み……僕は今事務所設立メンバーになりました。
ほぼ同居人の
子に迫られつつ––沢山の過去の上書きをし、楽しい未来を作る。
そんなシリアスありなラブコメVtuber物語。
◇ ◇ 登場人物 ◇ ◇
草薙青(主人公)→大学二年生。過去に高校を再起不能にさせるまでの事件をリークするのだが……実はそれは“元”同級生の子と後輩を救うためだった。実は女装やコスプレをしていて【にじライブ】というギリギリアウトな同人サークルで物語を書いたりする。実はエロいが押しに弱い。
桜井春香(絵師)→大学一年生。施設育ちで親族はいない状態だったが、ある時に姉の存在を知り会いに行くが……。青のことが大好きで青と一緒に高校を壊した一人。【にじライブ】の絵担当で新規事務所の絵師兼ママ。青と結婚することが目標。人見知り。エロいが自覚がない。
緑哀、アイ(Vtuber)→元同級生でリアルではない存在。そこには多くの理由があるがバーチャルとなって明るく主人公達を弄っていく。春香の姉であるが理解しているかはわからない。下ネタ好き。この物語の中心にもいる。
黄瀬真(社長)→アイの先輩で新規V事務所を設立する。『オタクが楽しい未来』を創造するために尽力するが実は私利私欲のためでもある。案外有能で社長らしさを発揮するが酒を飲むとドMになる(泥酔ババアと呼ばれる)
黒瀬アレクサンドラ(副社長)→黄瀬とは長年の友人でクールなハーフ。見た目とは裏腹に幼女化することがあり、青と春香には何度も甘える。時にはカッコいいのだが『女装男子』が好きすぎてコスプレした青を見ると我を忘れる。案外春香の良きライバル。酒を飲むとドSになることがある。
白鷺湊(メイド、声優)→青と哀の同級生。弱小声優事務所に在籍していた際に青達に出会う。演技は好きで役に入ると我を忘れる。下ネタは嫌いでツッコミ役に回りやすい。髪色で「信号機」といわれたり、胸をみて「山なし」って言われるのを嫌う。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 22:14:10
149182文字
会話率:51%
ラクラスは、読書好きで魔導研究者になりたい一五歳。力を欲せず、争いを好まない。心優しく可憐な少女。
――少女の世界の始まりは、終わりと同時に訪れた。
氷結世界の極寒すら蒼褪めるような鋭い視線、一点の淀みも無い透き通った翠緑の瞳。その瞳の
奥には、想いを貫く強い意志と、哀愁を帯びた調べ。
奏でる旋律は、滅びへの導き――。
ラクラスは、「死の祝福」と「闇の加護」を宿し、贖罪の十字架を背負う、絶対領域の少女。
「祝福」は力、「加護」は守、「支配」は使者。
「祝福」、「加護」、「支配」を頂点の名前として描いた神の三角形。その三辺の内側領域に属する極一部の者の総称を絶対領域(Absolute Territory)という。
絶対領域……。
それは、禁忌の力。人智の及ばぬ力――。
キメ細やかな柔肌。薄く桜色に染めた頬。絹のような光沢を放つ艶やかで張りのある、腰まで真っすぐに伸びた線の細いサラサラとした金色(こんじき)の髪。小さく華奢で触れると壊れてしまいそうな幼さの残る肢体。
背筋が凍りつくような神気をまとう人形のように美しい幻想的な少女が、力の代償として生まれながらに失ったものは眠りの世界に広がる『夢』。
暗黒が支配する終わった世界の眠りに堕ちた少女は、永久の闇の果てに光差す世界の始まりを求めて、運命に抗うことを決意する――。
ラクラスの『夢』探しの旅と出会いの物語が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 21:40:17
170446文字
会話率:37%
日本で生まれ育った少女はある日病気に罹ってしまう。
「病気が治ったら家族に恩返しをするんだ」
そう決めていたのだが、無情にも病はその少女の命を奪ってしまう。それを哀れに思った異世界の神様が、少女を異世界へ転生させてくれる。
だが転生してもま
だまだ弱くさらに記憶もない。そんな少女の成長の物語。
現在は、不定期更新になります。投稿時間は19時です。
少しずつ誤字などの修正を挟んでいますが、まだまだ未熟なので感想など頂けたら嬉しいです。
五十話くらいまではかなり短めで、少しずつ文字数を増やしていく予定です。物足りないと思うかもしれませんが良ければ読んで頂けると幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 19:00:00
619117文字
会話率:37%
世界が終わる少し前の話。
人類は、人一人と引き換えに一つ何かを手に入れることができる、魔法みたいな『機械』を手に入れた。
ルールは簡単。
生物を願わないこと。
一度に一つ以上願わないこと。
『機械』の中に寝かせた適性のある人間は、静かな光り
に包まれて消える。それから少しの時間を置いて再びその人が現れたとき、指一本触れればたちまち卵の殻の割れるように崩れて、その内側から、望んだものが溢れ出してくる。
概念でも、物体でも、強大でも繊細でも、生物以外は何でも手に入る。
そんな反則みたいな機械を手に入れて、それでも、人も他の生命も、皆滅んだ。
それからずっと先の話、世界が丸ごと滅んだ遥かあと。
空っぽになった地球でやがて目覚めたのは、二つ以上を願われてしまった存在、卵殻者達だった。
『機械』のルールに違反したそのせいで、割れきることができなかった、哀れな卵の殻。
卵殻者の一人である神御成音湖はその日、何百、何千年ぶりに目を開けた。
見知った高校の保健室、そのベッドの上、音湖の身体は卵の殻のように変わっていて、その内側にはー
彼らは擬似的な生に囚われて、平坦な日々をただ過ごす。
それぞれの願いの、叶うその日を切望して。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 18:30:00
42220文字
会話率:23%
これは自分の記憶を思い出すまでの女の物語。
目が覚めた時、全ての記憶を失くしていたユタは真っ白な空間で男と出会う。
その男は自分をクラウンと名乗り哀しく笑った。
道化師を自称するこの男は、ユタが全て思い出した時に本当の名前を教えると約
束をする。
交わした約束を胸に、ユタは記憶を手繰り寄せる。
全てを思い出した時、それは本当にハッピーエンドになるだろうか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-18 01:56:43
12914文字
会話率:45%