その国は幾年月廻る、穏やかなる調律の坩堝にて無辜の民草を生やし、ただ至上の人の叡智と恩赦のうちに微睡むことを赦されていた。
兎角見るべきものは非ず、御国に地平の弦を見る者は逸れものに等しき眼を向けられる。
───『逸脱者』。
その世
界にあったのは
無知の民、統制の王、
そして有識の者の三つに限られた。
王国の中座に聳える白くは高き螺旋の城。美しく日照りを返し、輝ける白光を放つ叡智の象徴である。そこにいるとされた『王』は、誰の眼にもつかずに、民の信仰(かみ)として在る。
御国を環に囲う外縁、淵の高壁はまさしくその最たる権現であり、無知が知に覆われるようにして"外"を知らしめず、この地を調停せる。
斯くて数多の教会が白の玉座を仰ぎ、無数無形の民は膝を折る。祈りはそれだけの手の繋ぎにて形となり、彼らはついぞ識ること無し。
民とは無である。その境がロゴスである。
そして保たれた理を何れかが破る時、それが逸脱となるであろう─────。
『お前は、それでも進むのか?』
ソピアーよ、まだ見ぬ意志らの苗床よ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 18:22:23
66982文字
会話率:26%
とあることをきっかけに、乙女ゲーム“霖雨蒼生の姫君”の世界に迷いこんでしまった雫音は、生まれ持った特異な体質がある。
それは“雨女”であること。嬉しい時、楽しい時、心躍る時には特に、いつも決まって雨が降った。
そんな体質のせいで周囲から疎ま
れ、自らも壁を作って生きてきた雫音だったが、雨が降らず日照りが続いていた乙女ゲームの世界で、雫音は雨女神様として讃えられ、感謝されることになる。そして、そんな雫音を巡って、四つの国で様々な陰謀が渦巻くことになり……。
これは、死にたがりの少女が、四つの国を旅しながら恵みの雨をもたらし、自分自身の存在意義を求め、人の心に触れ――愛を知っていく物語。
※こちらは「ノベマ!」の【第52回キャラクター短編小説コンテスト「和風恋愛ファンタジー × 〇〇」】にて最終選考作品に残していただいた作品になります。
長編化に伴い、内容が変わっている箇所がございます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 21:10:00
87363文字
会話率:47%
ナナは男日照り〇年のファイター見習いである。男寄せに、かわいい系のマジシャン見習い・マユを連れて今日も元気にイケメン・ウォッチング。そしたら発見しました、街角に佇むロマンスグレー。こんな機会、めったにないぞ、と思って近づいてみたら、突然、
唾をくれといってきた。変態かよ。
ふ ざ け ん な !折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 05:00:00
115620文字
会話率:52%
時は江戸。日照りの昼下がり、剣豪・藤原玄信こと宮本武蔵は、ひとときの涼を求めて奇妙な「隧道(ずいどう)」へと足を踏み入れる。
だがその先にあったのは――見たこともない背の高い建物が林立し、人々が南蛮風の異様な衣をまとって歩く、不思議な“異
界”の街であった。
戸惑いつつも、甘美な料理、泡立つ酒、気さくな若者たちに囲まれ、武蔵は異なる世界へと迷い込んでいたことに気づく。
異なる世ながら、義と礼を重んずる心は変わらぬ。
人々との出会いが、やがて武蔵を思いがけぬ争いへと巻き込んでいく。
江戸と令和、二つの時を跨ぐ見聞録。
剣豪、異界にて義を貫く。
今、幕が上がる――“現代時代劇”の一閃!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 22:02:03
6403文字
会話率:36%
平民出身の聖女の私は、八年間の努力も報われず王子から婚約破棄されて聖女の任も解かれて王都から追放された。それから国は暴風雨が吹き荒れ、大雪に閉じ込められ、雪解け水で水害が起こり、日照りに苦しむ事になる。私が住んでる村以外は。「王都に帰って来
い」と言うので帰りますが、どうなっても知りませんよ?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-17 07:33:08
7055文字
会話率:36%
森で道に迷った、ことだま守り人のリオ。
辿り着いたのは、地図にも記されない小さな村だった。
そこは、どんな日照りにも実りが絶えぬ地──けれど、一度足を踏み入れた者は、二度と外へは戻れないという。
村人たちは穏やかで親切。だが、どこか“何か
”を隠している。
そんな中、リオは風のない丘で、美しい青年・ナイールと出会う。
優しく、どこか懐かしく──そして、とても悲しげな彼に、リオは少しずつ心を寄せていくが……
やがて浮かび上がるのは、村に根づく“祈り”と“罰”、そしてナイールの正体。
※本作は【前後編+番外編】の全3話構成で完結予定です。
すべて投稿予約済みですので、最後まで安心してお読みいただけます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 21:00:00
14649文字
会話率:20%
トラックに轢かれ、あっけなく人生の幕を閉じたはずの私、佐藤幸子(さとうさちこ)、28歳。
目覚めると、そこには女神様(自称)が。
「おめでとうございます! あなたは選ばれました! 異世界にて、聖女として新たな生を謳歌するのです!」
そして授
けられたスキルは――『不幸吸引(アンラッキー・ドレイン)』。
人々の不幸、苦痛、負の感情を吸い取り、自らの内に封じ込めることで無効化する、稀有で強力な力らしい。
最初は、日照りに苦しむ村を救い、戦場で傷ついた兵士を癒し、感謝され、崇められた。
スキルは確かに強力だった。私が「不幸」を吸い取れば吸い取るほど、人々は笑顔になり、世界は平和になっていく。
でも、その代償はあまりにも大きかった。
吸い取った「不幸」は消えるわけじゃない。それは全て、私の心と体に蓄積され、私自身を内側から蝕んでいく。
私がやつれ、苦しみ、感情を失っていくほど、世界は理想郷へと近づいていく。
これは、世界で一番不幸になることで、世界を救い続ける聖女の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-04 11:12:51
10429文字
会話率:34%
日照りに苦しむ村人が頼るのはネコマタのサクヤ。頼まれた彼女があめを降らせる話。
キーワード:
最終更新:2025-06-03 20:55:39
3252文字
会話率:30%
八歳の時、小さな精霊を助けた私。この時の出来事を話した私は、父と継母から『嘘つき』と呼ばれ、私の居場所はなくなった。
十年後、十八歳になった私は『嘘つき』の烙印を押され、実家で使用人として働く日々。村では日照りが続き、人々は水不足と不作
に苦しんでいた。
父はこれを村の守り神「水神様」の怒りだと考え、継母は私をその「生贄」として滝へと突き落とした。
意識を取り戻した時、目の前にいたのは、なんと「水神様」で……。
これは虐げられていた少女が、村の守り神に溺愛されていくまでの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-30 21:35:15
9592文字
会話率:42%
仕事のいい加減さにかけては定評のある主人公:常松は、お酒が大好きな中年サラリーマン。
面倒な仕事のせいで残業が続き、“飲み屋日照り状態”に陥りテンションはだだ下がりだった。
しかし、持ち前のいい加減さを発揮した常松は、ネオンとナオン(注:
死語)に導かれ、
夜の街に繰り出してしまう。
夜の神様に導かれるように入った飲み屋ビルで常松が見た光景は。。。。。
なーーんと、そこは、飲み屋ビルなのに異世界だった。
そんな飲み屋ビル(異世界)で、次々に襲いかかる不思議な甘い罠。
男のロマンを踏みにじるかのような手口に打ち勝ち、
常松はこの飲み屋ダンジョンを攻略できるのだろうか。。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-26 23:15:29
118776文字
会話率:38%
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかない
と聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-10 06:10:00
13648文字
会話率:47%
――蛇神さまに捧げられた かわいそうな贄らしいが、ようすがおかしい。
贄として囚われていた少女・累は、日照りが続いたある日、郷が祀る神さまに捧げられる。けれど、累のまえに現れた《蛇神さま》の廻は、贄を所望してはないようで――? そして、そ
んな廻に秒速で恋に落ち、「すきです!つがいになってください!!」廻に襲いかかったのはなぜか累のほうで――?
「どうかおそばにおいて? わたくしの愛に溺れて?」
「溺れません!」
実は吸血鬼の肉食系贄嫁×訳ありヘタレ神様の逆転・和風恋愛FT!
※全2話/完結 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-02 16:19:24
8868文字
会話率:49%
※この作品はBLの要素を含みます。
直接的な描写は手を握ったりキスしたりくらいです。
ただ手脚が再生する人達が出てくるので、手を切り落とす描写などがでてきます。
苦手な方はご注意ください。
【白い蜥蜴と黒い宝石】という作品の続編です。
里同士が和解してから10年。クロに憧れる里の少年チヤは、糸の力が弱く不器用なせいでコンプレックスを抱えていた。
ある日、雨宿りに入った小屋で青年ウォンイに出会う。唯一の特技である天気を読む力や瞳をウォンイに褒められて戸惑うチヤ。そのまま小屋を飛び出してしまう。
だが再会したウォンイに誰にも言えなかった本音を話せたことで、次第に心を開いていくチヤ。里は大好きだが甘やかされている状態から抜け出したいと話すと、ウォンイは自分の妻にならないかと提案する。
王弟として子を持ちたくないウォンイは、男であるチヤを女と偽り妃として迎える。共に過ごすうちにお互いの好意に気づいていく2人。周りの後押しもあり、ついに結ばれる。
そんな中、糸が見える人間や、白の人と普通の人との混血の人間が現れる。ウォンイは白の人は人間の進化のカタチなのではないかと仮説をたて、チヤ達は白の人について調査を始めた。国王も味方となり調査を進めるチヤ達だが、王妃が懐妊したことにより高官達の思惑でチヤが魔女だという悪評を流される。
そこに日照りによる水不足で国は暴動がおきる寸前の状態になり、チヤは魔女の噂を利用して全ての不満を自分が受け止め城を去ることを決意する。
この作品は「カクヨム」「エブリスタ」「ノベルアップ+」「アルファポリス」「NOVEL DAYS」「note」「pixiv」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-13 05:00:00
66106文字
会話率:52%
それは、魂が生まれ、また還るとこしえの場所――常世国の神と人間との間に生まれた青年、千尋は、みずからの力を忌むべきものとして恐れていた――力を使おうとすると、恐ろしいことが起こるから。だがそれは、千尋の心に呪いがあるためだった。その呪いのた
めに、千尋は力ある神である自分自身を忘れてしまっていたのだ。
千尋が神に戻ろうとするとき、呪いは千尋を妨げようと災いを振りまく。呪いの正体も、解き方の手がかりも得られぬまま、日照りの村を救うために千尋は意を決して力を揮うのだが………。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 12:06:21
90520文字
会話率:51%
人々が喘ぎ苦しむ酷い日照りの中、ある日ふと雨が降り出した。
最終更新:2024-08-21 19:41:09
717文字
会話率:15%
とある小説投稿サイトに『異界のおみくじ』という短編怪奇小説が投稿された。
実際に語り継がれる京都の伝承を元にしたこの作品では、文壇を目指す栗彦という名の男が、夢を叶えると言われるおみくじの内容を不服とし、底が着くまで引き明かした挙げ句、最
後にはその肉体を狐に奪い去られるという結末を迎える。
ある日“怪奇蒐集家”であり骨董屋の店主であるメザメの元へと、栗彦の妹だと名乗る女が、兄の魂を取り返して欲しいと依頼に来る。
ツユと名乗った女曰く、『異界のおみくじ』はフィクションではないという事である。
怪奇に目がないメザメは興味を示し、ツユの依頼を受ける事に決めた。
ツユはメザメの助手だというフーリという男と共に、怪奇を追う旅に出るのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-30 20:00:00
114668文字
会話率:41%
雨の女神に祝福された聖女エレオノールは、婚約者であるレオンハルト王子から「辛気臭い女だ」と言いがかりをつけられて祖国を追放されてしまった。すべては異母妹カタリナの企てらしい。
聖女、そして公爵令嬢としての身分を捨て、国を出て西に向かう旅の
道中で、エレオノールは野盗の襲撃に遭う。いよいよ死んでしまうのかと覚悟したとき、白馬に跨る精悍な青年に窮地を救われた。
「俺はロラン・フォン・ブロワ。一応は砂漠の国の王をやらせてもらっている」
「わたくしは……エル。ただのエルでございます」
青年の正体は、隣国の国王であるロランであった。
エレオノールがロランの下女として居場所を得る一方、祖国である緑の国は雨が降らず長い日照りに見舞われて――
これは祖国を追放され、己の名さえも捨てた聖女エレオノールが、幸せを掴むまでの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-30 18:10:00
10193文字
会話率:51%
公爵令嬢に転生したオディールが得たのは【お天気】スキル。それは天候を操れるチートスキルだったが、王族にはふさわしくないと馬鹿にされ、王子から婚約破棄されて追放される。
元々サラリーマンだったオディールは、窮屈な貴族社会にウンザリしていたの
で、これ幸いと美少女メイドと共に旅に出た。
倒したドラゴンを従えて、広大な砂漠を越えていくオディールだったが、ここに自分たちの街を作ろうとひらめく。
砂漠に【お天気】スキルで雨を降らし、メイドの土魔法で建物を建て、畑を耕し、砂漠は素敵な村へと変わっていく。
うわさを聞き付けた移民者が次々とやってきて、村はやがて花咲き乱れる砂漠の街へと育っていった。
その頃追放した王国では日照りが続き、オディールに頼るべきだとの声が上がる。だが、追放した小娘になど頼れない王子は悪どい手段でオディールに魔の手を伸ばしていく……。
女神に愛された転生令嬢とメイドのスローライフ? お楽しみください。
※以前連載していたものの改稿版です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-29 06:48:14
208131文字
会話率:37%
降らない雨、日照りの日々。
その原因は本殿の奥深く、神の住まう間に引きこもった龍神にあった。
「さぁ、龍神さま! 都で買ってきたお菓子ですよ。こちらに出てきて食べませんか?」
「こっちは流行のお着物です! 袖を通してみたくはありませんか?
」
「やだっ!」
「「りゅ、龍神さまぁー!」」
東郷と輝子は、果たして引きこもった龍神を現世に引き摺り出す事は出来るのか?
また、龍神が引きこもった理由とは?
新感覚コメディここに爆誕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-02 12:00:00
9014文字
会話率:54%
小さな国モルシェルに王国から遣わされたラングラム伯爵は日照り続きで穀物の育たない大地に日々頭を悩ませていた。
ある日伯爵は国で一番の老婆の元を訪れ、この地の言い伝えとなっている龍神の存在について話を聞いた。
「龍神は確かに存在する」と老婆に
言われ、神の住む谷を目指し足を踏み入れた伯爵は遂に龍神と対面する。
そしてこの国に雨を降らして欲しいと懇願する伯爵に対し、龍神は伯爵の娘を捧げよと条件を突き付ける。
伯爵には4人の娘がおり、生け贄となったのは娘達の中で唯一婚約者のいない地味な娘のアメリアだった。
約束の日、アメリアを連れて龍神の元を訪れた伯爵に対し、龍神は「このような醜い者を何故連れてきた!」という怒りの言葉を放つのだった。
果たしてアメリアの犠牲で雨を降らすことは出来るのか。
*30000文字以内の短編連載です。
*プロローグと全10話で完結予定です。
*一応ラブコメ要素ありのざまあ話となっています。
*少し暴力的な表現やラブシーンを入れているのでR15とさせて頂きます。
*アルファポリスにも掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-24 23:11:38
28636文字
会話率:36%