現代中国の大学研究室。若き歴史学者、林暁は、魏晋南北朝時代の複雑な歴史と、その時代の「不老」の思想に憑かれたように没頭していた。彼は自身の集大成となる論文を書き上げ、最後の筆を置いたその瞬間、過労により静かに息を引き取る。だが、それは終わり
ではなかった。神のいたずらか、彼の魂は、最も深く研究していた時代――天下統一を志す若き日の司馬炎が台頭する乱世へと転生する。
目覚めると、林暁は知識と記憶を持ったまま、見知らぬ乱世の只中に放り出されていた。現代の常識が通用しない世界で、出自不明ゆえに彼は剣闘奴隷として過酷な日々を送る。文献知識として知っていた血生臭い歴史の現実を、彼は文字通り肌で体感することになる。民衆の苦しみ、人間の欲望、そして命の軽さ――これまで紙の上でしか知らなかった時代が、生々しい現実となって彼の目の前に広がる。
当初、林暁は未来の知識を活かし、持ち前の知恵と洞察力で司馬炎の統一事業を支え、二人は固い友情で結ばれていく。林暁の協力もあり、司馬炎はついに中国を統一し、西晋王朝を築き上げる。しかし、平和が訪れたのも束の間、林暁の体に異変が起き始める。彼だけが歳を取らず、若々しい姿を保ち続けるのだ。
親友だったはずの司馬炎は、自らが老いる一方で変わらぬ林暁の姿に、次第に怪訝な感情を抱くようになる。やがてその感情は深い警戒心へと変わり、遂には毒殺を試みるまでに至る。林暁は奇跡的に一命を取り留めるものの、不老の秘密が露見したことで居場所を失い、世をさまよう中で貴族に拾われ、剣闘奴隷として過酷な日々を送ることになる。
血と砂埃にまみれた闘技場で生き抜く林暁の目の前で、司馬炎が築いた西晋は、八王の乱という内紛によって急速に瓦解していく。かつての友の王国が崩壊する様を、林暁は皮肉にも最底辺から見つめる。そして、西晋の終焉を決定づける永嘉の乱が勃発。戦火から必死に逃げ惑う林暁は、偶然にも安楽公 劉恂の屋敷へと転がり込む。
林暁は、剣闘奴隷としての過去を隠しながら、この新たな場所で生き延びようとする。彼の「不老」の体は、乱世を生き抜く術となるか、それともさらなる不幸を招くのか。そして、彼はこの時代で、歴史の傍観者となる「楽塵」としての、長い旅路へと足を踏み出していくのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-27 02:15:05
103256文字
会話率:29%
酒毒に冒されて晋陽宮を彷徨う皇帝高洋の言葉から、高長恭は父親暗殺の黒幕は皇帝であることを確信する。しかし、皇帝はあえなく崩御して、従弟の高殷が即位する。権力を取り戻したい、婁太皇太后は、暗躍する。
最終更新:2025-07-25 23:23:01
11833文字
会話率:39%
太白星の出現し日食が起こったことにより、北斉の皇帝である高洋は、忠臣を粛清していた。一方、北周では家臣から献策書をつのり、南朝の陳では新帝が着々と政治的な基盤を固めていた。
最終更新:2025-06-07 21:19:50
10830文字
会話率:37%
婁皇太后により宣訓宮に捕らわれていた王青蘭は、やっと解放されていけにもどることができた。しかし、祖母の皇太后は、二人の婚姻を許してくれたわけではない。そこで、高長恭は北周との戦いに出征し武功を立てることにより、皇太后の許しを得ようと決心する
のだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-05 17:58:39
108065文字
会話率:42%
「志怪の世界を覗いてみよう」。
中国南北朝時代に編まれた伝奇小説集『捜神後記』。あまり志怪の世界に触れてこなかった訳者が「どんな世界なのかしら?」と覗き込みます。一緒に訪問して頂ければ幸いです。
隔日12:00に更新予定。
当作はカクヨ
ム様にて先行公開中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 12:00:00
221990文字
会話率:19%
更新停止中。
長江の向こうは、異民族のるつぼと化した。
三国志の時代から下ること二百年。中原には異民族が割拠し、漢族は呉の地への退去を余儀なくされていた。捲土重来を期し、幾度もの北伐の軍が起こるも、はかばかしい成果が上がることはなかっ
た。
そのような中を這いあがってきた男がいた。男の名は、寄奴。のちの南朝宋の建国者、劉裕である。
寄奴には、かれを陰に日向に支えてきた一人の男がいた。この物語は、その男――丁旿を介し、語られる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-16 18:00:00
405477文字
会話率:34%
昭和21年(1946年) 春、終戦間もない東京赤坂の旧宮家邸をGHQダグラスマッカーサー元帥の密使が訪れていた。訪問の目的は。
南北朝時代から始まる壮大な歴史サスペンスが幕を開ける。
最終更新:2025-06-19 18:35:34
35338文字
会話率:24%
激動の南北朝時代、英雄ならざる時代の影法師たちの生き様を描く。
鎌倉幕府が滅び、公家一統の世を迎えた時代。
時の帝・後醍醐帝から朝敵とされた足利氏は、否応なく時代を動かす存在になっていく。
窮地の足利を支えるのは、累代の家人・高一族。
足利尊氏の執事・高師直の実弟として生を受けた高重茂は、名将たちへの複雑な思いを胸に抱えながら、激動の南北朝時代を駆け抜ける――!
※本作は「カクヨム」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 19:00:00
911193文字
会話率:37%
南北朝時代、多くの武将が生き残りをかけて勢力を見定める中、殊更に「変節の将」と語られた細川顕氏。
彼の視点から観応の擾乱と呼ばれる乱を描いた短編小説。全4話予定。
※本作はしっかりと歴史考証をして執筆したものではなく、作者の想像が多分に含
まれています。
※本作は「カクヨム」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-25 07:53:01
24030文字
会話率:24%
複雑な立場で生まれ育ち、生涯を通して見ても実体がなかなか掴めない男、足利尊氏。彼は何を思い、鎌倉幕府、後醍醐天皇、そして弟直義らと争う道を選んだのか。英雄とも逆賊とも言われた室町幕府初代将軍・足利尊氏を中心に南北朝時代を描く、長編小説。
※この作品は「夕凪の広場(http://www.yuuduki.jp/)」で連載しているものになります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2009-11-15 16:15:55
100747文字
会話率:37%
鎌倉時代後期から南北朝時代初頭にかけて、新田義貞、足利尊氏、楠木正成など教科書で一度は見たことのあるような人物や、最近話題の北条時行など多くの英雄が乱立した"乱世"だった。そのため、自分の身は自分で守るのが当たり前であり
、朝廷や幕府の命令に従わず、略奪し、各地を転戦する武士が現れた。人々はそれを「悪党」という
主人公は、御家人多治見国長に拾われ、その後各地を放浪し、南北朝の渦に巻き込まれていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-25 10:59:08
3171文字
会話率:47%
反保裕司は福井県庁の文化課で働く学芸員だが、NHKの年末大河ドラマの舞台を福井に誘致するプロジェクトの特命を東山知事から受ける。同様の指令は奈良県でも野坂陽子が受けていた。NHKは大河ドラマの舞台決定で各県からの要望が多く、政治家からの圧力
も多い。奈良県の邪馬台国と福井県の継体天皇に絞られた最終候補の決定に際して、外部機関の意見を取り入れることになり、宮内庁に依頼することになった。宮内庁でその役割を任命されたのが佐久間美佳。反保と野坂と佐久間の3人は早稲田大学の研究室の同級生だった。さらに佐久間と反保は元恋人同士という間柄だった。
意見書を書くために奈良と福井に調査に出かけた佐久間美佳は、福井で謎の死を遂げる。重要参考人として前日の夜に行動を共にしていた福井県庁の反保裕司が疑われる。同様に誘致を争っていた奈良県庁の野坂陽子も怪しいと思われていた。疑われた2人は自分たちの身の潔白を証明するため、東京まで行って佐久間美佳の最近の様子について調査してみた。反保と野坂は佐久間美佳が他の外圧に苦しんでいたことが気になり、彼女の出生について調査する。すると3人の先祖が福井県に関係が深い南北朝時代の南朝方の末裔という不思議な関係であることがわかった。
反保と福井県警の林田は、犯行時間の防犯カメラに怪しい人物が映っていることに気が付く。最後の姿が映っていた足羽川原を調査して佐久間の携帯電話を発見する。携帯電話からは佐久間のダイニングメッセージが録音されていて、犯人が関口議員の松村秘書であることが判明する。事件は過失致死罪が適用されるが不起訴になってしまうが、反保は調査をしていた二本松山古墳の発掘に全力で取り組む。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-28 13:50:12
108818文字
会話率:22%
教科書で習う「メルセン条約で、フランク王国が分裂してフランス・ドイツ・イタリアの元となった」という話。
実はその後、フランク王国は統一されていた。
というか、フランク王国はかなり昔から、分裂しては統一、分裂しては統一という、中華帝国の項羽と
劉邦やら三国志やら南北朝やらってのと同じ歴史を辿っていた。
それなのに肥満王カール3世による最後の統一フランク王国の後、分裂が常態で固定され、中国のように統一王朝になる事なく現代に至ったのか?
この歴史の分水嶺を、とある脳筋王子を主役に描く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-27 19:00:00
150416文字
会話率:24%
Twitterでつぶやいた楠木話などを順不同に雑記録として掲載。仮想、空想、迷想、妄想?! 何でもありで南北朝をつぶやいてます。合わせて「大河小説 南北朝時代/楠木正儀伝」もよろしくお願いします。
https://ncode.syose
tu.com/n4772fd/
※カクヨムから転載中折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-19 08:10:11
77117文字
会話率:0%
『父正成と兄正行の意志を継ぎ、南北朝の動乱を収めることに、その生涯を捧げた武将の物語』
主人公は楠木正成の三男正儀。物語は父正成の挙兵に始まります。鎌倉幕府を倒したものの、後醍醐天皇の親政は長くは続かず、朝廷は南朝と北朝に別れます。南朝軍
の主力となった正儀は、北朝の幕府と戦いながらも、和睦を求め奔走します。南朝内で和睦派と強行派の対立が深まるなか、正儀がとった驚くべき行動とは? 果たして南北朝の合一は成るのか? 楠木正成の時代と、一休さんと足利義満の時代とを橋渡しする正儀の生涯。二転三転する激動の南北朝時代を、ぜひ御堪能ください。
2018年 正田前 次郎
※正田前次郎のTwitter ぜひフォローください! https://twitter.com/shodamae_jiro
※小説投稿サイト「カクヨム」から転載中!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-01 19:00:00
1061129文字
会話率:46%
室町幕府の創始者・足利尊氏。
彼は鎌倉幕府の倒幕、時の帝への謀叛、室町幕府の設立、弟との決別、それぞれで何を思い何を信じ時代を駆け抜けたのか。
というお話を書きたいと思っている時代小説です。
※本作の主人公はクズです。
※書きたい話優先
となるため、時代考証や登場人物の関係性などは本作オリジナル要素あります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-28 17:43:32
2134文字
会話率:25%
鎌倉幕府の衰亡が目に見えてきたころ。上野、武蔵で「関羽の武」とされた用心棒がいた。時代を変えるほどの豪勇が小さな娘と白い犬と出会うと、それが合図となるように時代は大きくうねる。動乱の世、それでも生きようとした人たち、死んでいく人たちの、それ
ぞれの物語を背負い、関長生の大太刀は唸り、切っ先が突っ走る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-26 19:11:41
181806文字
会話率:41%
ある日、鎌倉に友達と来ていた辻堂和音(つじどうわおん)。
そんな中、鶴岡八幡宮の方角から光が出ていた。
体が光のある方へ向かい、光の中に飛び込むと...
なんと、1335年の鎌倉に転移していた!
未来の知識を使って、足利直義公の力になるべく
奮闘している和音の物語。
ぜひ最終回まで見ていってください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-20 20:41:32
6226文字
会話率:41%
武家と公家を中心に、武家が貴族に取ってかわる時代から、武家政権の終わりとなる江戸幕末までの時代の流れを書く予定です。
ほぼ史実通りの話の流れですが、一部作者なりの見解も入ったりします。
最終更新:2024-02-07 07:47:29
30069文字
会話率:17%
大河ドラマの今後50年間、100年間の大予測です。
今後50年、100年続いていくとしたら、こうなるという、原作者の独断と偏見で書いています。
古代史から、飛鳥、奈良、平安、源平、鎌倉、南北朝、室町、応仁の乱前後、戦国、安土桃山、江戸、そし
て明治以降の近現代、第二次世界大戦前後、さらに戦後に至るまで網羅する予定です。掲載許可願います。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-17 12:03:09
81996文字
会話率:5%
南北朝時代、あるいは太平記の時代と言った方が通りがいいかもしれない時代。
日本がその歴史の中で初めて遭遇した未曽有の大転換の時代に現代の大学生の若者、建速勇人が突然にタイムスリップした。
何ら秀でた知識も無ければ力も無く、何より自分が何を為
すべきかを知らない生きて行く事に疲れた一人の若者。
だが、大きな志と小さな秘密を抱える一人の若き公家将軍、北畠顕家との出会いが彼を、数奇な、そして過酷な戦いの運命へと導いて行く。
"もっとも彼や彼女が真に自身の幸福だけを願ったのであれば、運命を擲っていただろうが…"
全30万文字ほどになる予定です。
※2021/2月16日追記
カクヨムの方にも投稿を始めます折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-29 18:41:39
573664文字
会話率:42%
拙作「異説太平記~時の果ての朝~」の登場人物及び参考文献です。本編と分ける事にしました。
最終更新:2021-12-14 19:10:26
920文字
会話率:0%
こちらで投稿させて頂いている拙作に合わせて書いてみた南北朝時代・太平記に関する恐ろしく簡単で雑な解説です。
南北朝時代に関してほとんど知らない人向けに書いています。
玄人の方はなるべくツッコミは控えてゆるーい気持ちで目を通して下されば…
最終更新:2021-03-08 19:31:11
1673文字
会話率:8%
南北朝の争乱に活躍した、十代の若き公家がいました。
名は北畠顕家。
東北を鎮守する役割を担った若き公家は、東北の国人を率いて、南朝の将として、鎌倉を攻め落とし、北朝の軍を、次々に撃破していきました。
ですが、そんな日の本一の兵も、疲労には
勝てず、徐々に数を減らし、大阪湾で若き命を散らすことになってしまいました。
その最後の戦いとなった「石津の戦い」を、物語調に記載してみました。
※史実とは異なる部分は多々あると思いますが、物語としてお楽しみいただけたら幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-15 01:09:35
3952文字
会話率:40%
長崎県雲仙市に住む会社員が、ある日、白い光に包まれて、肥前国高来郡(たかきぐん)千々石(ちぢわ)の領主・林田隠岐守に転生した。
時は南北朝時代。初陣を多々良浜の戦いで迎え、南北朝の騒乱に巻き込まれていく。
最終更新:2023-09-18 16:47:47
282456文字
会話率:46%
讃岐国阿野郡林田郷は、古くは波夜之陀(はやしだ)と呼ばれていた。林田湊は讃岐国府の玄関口になった。平安時代には保元の乱に敗北した崇徳院が流された。南北朝時代は白峯合戦の舞台になった。江戸時代は高松藩の領地になり、林田村と呼ばれた。
林田は古
くから塩田が発達していた。江戸時代後半には讃岐和三盆の産地として栄えた。林田村は一八九〇年の町村制施行で阿野郡林田村となる。一九四二年に坂出町に編入され、その後に坂出市となった。林田の名前は坂出市林田町として残った。
戦後はオーストラリア産小麦ASW;Australian Standard Whiteが讃岐うどんの原料として使われることで、讃岐うどんが全国に出荷されるようになった。林田港はAWSの輸入港として賑わっている。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-21 01:00:00
97212文字
会話率:60%
林田左門(林田内膳)は戦国時代から江戸時代初期に活動した剣客である。戦国大名・有馬晴信の家臣・林田右近の子として生まれた。林田氏は清和源氏満季流である。九州に土着し、南北朝時代には林田隠岐守が南朝側の武将として活躍した。時代が下り、有馬氏の
家臣になっていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-26 15:22:52
33918文字
会話率:77%
眉目秀麗にして文武両道な後醍醐帝の第三皇子・護良親王。鎌倉幕府を倒すために粉骨砕身の働きで父帝を支えるが、陰謀により捕らえられ殺される。死後の世界で菅原道真公を名乗る神に「君の行ってもらいたい世界がある」と提案され、異世界ルクスソリアへと
転生する。元からチートな皇子はさらに過剰な魔力とスキルを与えられ、令和時代から転移してきたJK・ミナミと共に新たな人生を歩み始める。
前世を戦いに費やした皇子は、魔法を使えるようになりたいと思い、老魔法士に弟子入りする。王太子を救ったことで宮廷に出入りするようになった皇子は、前世で自分を救って自害した家臣・村上彦四郎義光の生まれ変わりである令嬢と出会う。再び皇子に仕えることを望む令嬢・リコリス。だが令嬢の父親に訴えられてしまう。前世での忠臣との別れと令嬢の苦しみを見せつけられた皇子は令嬢を受け入れることを決めた。
全100話。アルファポリスでも公開中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-14 20:08:52
315718文字
会話率:50%
|神亀元年《西暦724年》、はじまりの|機神《クリガミ》が発見されたことで、日本の歴史は大きく変わる。戦は機神を駆る武官貴族がするものとなり、兵とは機神に従う者となった。
『其《そは》|不朽《くちず》、|不錆《さびず》|不腐《くさらず》
、|不死《しなず》、|不眠《ねむらず》、|唯休也《ただやすむのみなり》』
蝦夷の反乱が続く中、各地の地方貴族は機神を求め、軍の魁として戦陣を駆けた。そうして、朝廷は官位として機神を授けるようになっていく。しかし、平和が訪れると、朝廷は形骸化し、武門の公家が落ちぶれて、機神を伴い地方へと流れて行った。
平穏な時代は終わりを告げ、政治闘争に武力を伴うようになると、機神「|小鴉《コガラス》」を駆る伊勢平氏が成り上がる。朝廷はこれを良しとせず、陽成源氏を武家の棟梁として肩入れし、源氏は機神「|髭切《ヒゲキリ》」を筆頭に機神「|膝丸《ヒザマル》」・機神「|静《シヅカ》」を以て平氏を討ち果たした。
しかし、源氏は鎌倉に幕府を構えたため、後鳥羽院は朝廷復権を懸け、兵を挙げるも、幕府が勝利し、以後朝廷は中立となった。この頃、機神の移動手段として機馬が生み出された。
朝廷の復権を目論む後醍醐帝が鎌倉幕府を転覆させるも、武家を蔑ろにした公家政治を行ったことから、源氏の嫡流に最も近き足利氏が武家の棟梁として北朝を打ち立てる。足利尊氏は機神「|尊《みこと》」を駆って、後醍醐帝に|叛《そむ》いた。朝廷が二つに割れ、陰陽寮も二つに割れた。南北朝時代となったが、機神の供給が上手く行かぬ南朝は模造品ともいえる機兵を生み出し、この製造技術は寺社勢力に引き継がれていく。
足利義満が南北合一を果たしたが、機神に乗れぬ義政が将軍となると、天下の箍は直ぐに緩んだ。
時は戦国、日ノ本は各地の群雄らが覇を競う乱世。戦うのは機神と呼ばれる絡繰兵を駆る侍たちである。
大名は一騎当千の機神とその主である絡繰武者の招聘に躍起となり、神社はその力の源であると保護された。
機神と|機馬《クリウマ》、そして|機城《クリジロ》が織りなす架空戦記――の前日譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-07 06:00:00
16626文字
会話率:55%
就職氷河期世代で群馬県出身のアラフィフ退魔師五領徳業(主人公)は、世の中に対して深く絶望し、何事にも興味を持てず投げやりに生きてきたのだが、うっかり吐いた失言によって新田義貞に逆行転生させられることとなった。
前世はただ時代に流されるだけの
人生だったが、今世では徹底的に足掻いて、悔いの残らない自身の望む人生を送りたい。
そう誓った主人公は、今日も悪戦苦闘を続けるのであった。
一応、本作品では朱子学や日本教(①怨霊信仰、②言霊信仰、③ケガレ忌避)とも言うべき日本人の奥底に潜む宗教観や思想についても触れていく予定です。
なお、本作品の歴史観は、井沢元彦著『逆説の日本史』を参考にしています。
あと、南朝を悪く書いているので、南朝びいきの人には先に謝っておきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-10 10:00:00
165994文字
会話率:36%
人外×人間の異種族和風恋愛ファンタジー。notコメディ。
南北朝時代。盲目の娘・あやが住む滝の沢村の近くでは、夜な夜な漆黒の巨人・だいだらぼっちが出現していた。村人はだいだらぼっちを化け物と呼び、災いをもたらす存在として恐れていた。
そんな
ある日、唯一の家族だった父を流行り病で亡くしたあやは、生贄として山に捨てられてしまう。
だがそんなあやを拾い保護したのが、神と人間の混血である那岐毘古(なぎひこ)。美しいこの青年こそが、だいだらぼっちの正体だった。
盲目ゆえにだいだらぼっちを怖がらないあやは、那岐毘古と彼と共に暮らす妖(あやかし)たちと仲良くなっていく。そして那岐毘古の人柄に惹かれ、やがて恋に落ちるが――
※本日4/7に1時間毎、全9話更新予定です。「イケメン人外×ヒロインの和風恋愛ファンタジー」をテーマにしたプロットから書き起こしたので、あらすじが見事にテンプレです。ご了承ください~折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-07 15:03:04
39003文字
会話率:34%