王宮の広間は、冷え切った空気に満ちていた。
玉座の前にひとり、少女が|跪い《ひざまず》ていた。
エリーゼ=アルセリア。
目の前に立つのは、王国第一王子、シャルル=レインハルト。
「─エリーゼ=アルセリア。貴様との婚約は、ここに破棄す
る」
「……なぜ、ですか……?」
声が震える。
彼女の問いに、王子は冷然と答えた。
「貴様が、カリーナ嬢をいじめたからだ」
「そ、そんな……! 私が、姉様を、いじめた……?」
「カリーナ嬢からすべて聞いている。お前は陰湿な手段で彼女を苦しめ、王家の威信をも|貶めた《おとし》さらに、王家に対する謀反を企てているとか」
広間にざわめきが広がる。
──すべて、仕組まれていたのだ。
「私は、姉様にも王家にも……そんなこと……していません……!」
必死に訴えるエリーゼの声は、虚しく広間に消えた。
「黙れ!」
シャルルの一喝が、広間に響き渡る。
「貴様のような下劣な女を、王家に迎え入れるわけにはいかぬ」
広間は、再び深い静寂に沈んだ。
「よって、貴様との婚約は破棄。さらに──」
王子は、無慈悲に言葉を重ねた。
「国外追放を命じる」
その宣告に、エリーゼの膝が崩れた。
「そ、そんな……!」
桃色の髪が広間に広がる。
必死にすがろうとするも、誰も助けようとはしなかった。
「王の不在時に|謀反《むほん》を企てる不届き者など不要。王国のためにもな」
シャルルの隣で、カリーナがくすりと笑った。
まるで、エリーゼの絶望を甘美な蜜のように味わうかのように。
なぜ。
なぜ、こんなことに──。
エリーゼは、震える指で自らの胸を掴む。
彼女はただ、幼い頃から姉に憧れ、姉に尽くし、姉を支えようとしていただけだったのに。
それが裏切りで返され、今、すべてを失おうとしている。
兵士たちが進み出る。
無骨な手で、エリーゼの両手を後ろ手に縛り上げた。
「離して、ください……っ」
必死に抵抗するも、力は弱い。。
誰も助けない。エリーゼは、見た。
カリーナが、微笑みながらシャルルに腕を絡め、勝者の顔でこちらを見下ろしているのを。
──すべては、最初から、こうなるよう仕組まれていたのだ。
重い扉が開かれる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 12:40:00
61147文字
会話率:24%
【はじめに】 沈黙を破るために
2025年、名古屋の街は雨に濡れていた。児童相談所の看板は色褪せ、軒先で滴る水音が響く。遠く、救急車のサイレンが夜を切り裂く。毎年、約22万件の児童虐待相談が寄せられ、50から100人の子どもたちが命を落と
している。この数字は、単なる統計ではない。一つひとつの裏に、声にならない叫びがある。
本書は、2003年10月15日、名古屋市昭和区で起きた児童虐待致死事件を基にしたフィクションである。4歳の少年は、小さなリュックを背負い、浴室の冷たいタイルの上で息を引き取った。リュックには、震える文字で綴られたノートと、恐怖を訴える絵が遺されていた。彼の声は、誰にも届かなかった。
なぜ、彼は救われなかったのか。母の傍観、交際相手の暴力、保育園や児童相談所の沈黙、隣人の無関心。それらが連鎖し、幼い命を孤立させた。2003年から22年が経ち、児童相談所の体制は改善されつつあるが、依然として児童福祉司は不足し、1人当たり100件を超えるケースを抱える自治体も多い。2025年、私たちは何をすべきか。
児童相談所189番、通報アプリ「SafeKids」は、一人の命を救う第一歩だ。少年のリュックに宿った声は、今も私たちに問う。「あなたは沈黙を選ぶか?」本書を通じて、その問いを共有し、虐待を一つでも減らすことを願う。
勇気君の死を、決して無駄にしてはならない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 10:50:38
5528文字
会話率:44%
とある村で宿を取った陸王(りくおう)、雷韋(らい)、紫雲(しうん)の三人。早めの夕食を摂り終わって寛いでいるところに、仕事を終わらせた村の男達が現れた。その中の一人が獣の眷属である雷韋に気付き、差別的な目で見てきた。その視線に気付いた陸王が
「何か面白いものでもあるのか」と問うが、男は答えない。その代わりに別の男が口を開いた。「吸血鬼じゃないんだし、異種族くらいいいだろう」と。それを聞き、修行(モンク)僧の紫雲が反応する。吸血鬼がいるのかと。男の言葉を引き継いで、宿の主人が答えた。ここではない、ほかの村に出るのだと。紫雲は勿論、雷韋も人助けのために動きたがった。だが、吸血鬼というのは堕天使が上位魔族に転化するときに時折現れる亜種だ。変異種と言ってもいい。その為、教会でも寺院でも吸血鬼に関する書物が僅かにあるだけで、生態などははっきり分かっていない。それに吸血鬼は亜種・変異種とは言っても上位魔族と同等なのだ。魔族に耐性のない雷韋が相手をするのは無理な相談だった。それでも雷韋は、純粋に困っている人々を助けたいと訴える。そこで陸王と紫雲が動くことになるが……。
※本作品はシリーズもので連作になっています。単体でもお楽しみいただけるかと思いますが、途中、前の作品を読んでいないと意味の分からない事柄が出て来ますので、その点ご注意ください。
※ファンタジーものですが、和洋折衷となっており、名前が漢字になっております。ルビは振ってありますのでご安心ください。
※一応、ダークファンタジーです。後半、グロテスクな描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※この作品はカクヨムでも同時掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-06 19:42:01
103512文字
会話率:33%
宴の場で突然王子から婚約破棄を言い渡された公爵令嬢のマルティナ。
男爵家の令嬢・リリアンをいじめ続けたという言われもない罪を被せられたのだ。
無実を訴えるも叶わず、マルティナは宴から追い出されてしまった。
だが、その様子を見てほくそ笑むリ
リアンは気づかなかった。
掌の上で踊らされていたのはマルティナではなく……?
※全6話、完結予定です。
※他サイトにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-06 17:35:33
17449文字
会話率:40%
これは人間の思考パターンである『連想』を排する努力をしながら描いた物語です。まともな小説を読みたい方は読まれないことをおすすめします。
最終更新:2025-06-05 20:47:53
5377文字
会話率:28%
70年前の幼い記憶から始まる感動的なエッセイ。炊きたてのご飯の上で踊る鰹節を見て「これ生きているの?」と母に尋ねた朝食風景から、現代の深刻な「コメ騒動」まで、日本人と米の関係を描く。
戦後復興期の農村での米作り体験、高度経済成長期の減反政策
、農家の高齢化と後継者不足、食料自給率38%という危機的状況を検証。回転寿司の「しゃり小」ボタンに感じた違和感を通じて、米への敬意の喪失を鋭く指摘する。
「空気を見ずと安全保障はタダ」という防衛論を引用し、日本人が水、平和憲法、そして米まで「タダ同然」に扱ってきたツケが今回ってきたと警鐘を鳴らす。単なる農業問題を超えて、日本人のアイデンティティと文化継承の危機を訴える力作。「お米には七人の神様がいる」という先人の教えと現代社会の対比を通じて、私たちが取り戻すべき「食への敬意」を問いかける。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-05 07:17:31
5872文字
会話率:9%
68歳の田中修一は年金不足からスーパーでパート勤務する日々。友人の木村と「老人が将来のために貯金している」というかつてのコメディアンのネタが現実になった皮肉を語り合う。一方、若手テレビディレクターの山田は祖父世代の窮状に問題意識を持ち、政治
討論番組で佐藤議員が同じネタを引用して高齢者問題を訴える様子を撮影する。修一は諦めず町内会の高齢者問題集会に参加、そこでの発言が反響を呼び山田の特集番組に取り上げられる。状況は劇的には変わらないが、修一と木村は「孫の世代のために」と声を上げ続ける決意をする。笑い話が現実になった社会で、小さな変化の兆しと希望を描いた物語。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-03-15 12:12:16
5645文字
会話率:66%
菊井芙実乃は、小学四年の弟に呼吸器を止められ、命を落とす。
再び目覚めた芙実乃だったが、そこが元の世界でなく、魔力保持者になったとも知らされ、パートナーを呼ぶよう求められる。なんでもここは、年八千を超す異世界人を召喚する学校とのこと。魔
力保持者の声なら、言葉が通じる同年代の魂に響くのだそうだ。
その芙実乃の呼びかけで捕捉された魂がこの世界に迎えられた。
柿崎景虎だ。芙実乃は彼の美貌と人柄に尊崇の念を抱き、日本一の侍を呼べたと確信する。
しかし二人の身体能力は年度最低。劣等人種と判断し、担任は密かに憂慮していた。景虎が傷を負わない力場を周知させる模範試合に選出されたからだ。学校側はその試合を、トップの生徒による一方的蹂躙と無傷の最下位生徒を見せる、例年行事のつもりで行った。
そこで予想を覆す景虎。死なないはずのステージで対戦相手を殺し、蘇生に来た相手方担任の首をも刎ねてしまう。その光景を控え室で見ていた芙実乃と担任は、景虎を射殺すべく踏み込んだ軍人と対峙する。
絶体絶命かと思われたが、魔法でも異能でもない芙実乃の特性が軍人を止め、担任が景虎に非はないと中継で語ることで、二人は無事学校生活を送りだす。
パートナーの殺害を願うルシエラと親しくなるが、一方でそのパートナーであるクロムエルとも交流を持った二人。試合で彼を殺めかける景虎を見た芙実乃が咄嗟に力場を作り、結果、景虎に黒星をつけてしまう。
不相応な勝利だとクロムエルが返上を訴えると、審議のため景虎が上級生に呼ばれることに。異世界人差別の緩和を夢見る彼らを下し配下とした景虎が、考えていた計画の実現性を検証し皆に告げる。その内容は元の世の狙った時と場所へ魔法を放つこと。
それが叶うなら、芙実乃の死を天災に見せることができる。
弟や両親を世間からの非難に晒さないため、芙実乃は魔法に励む決意をするのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 11:00:00
747641文字
会話率:40%
判事部調査課に勤めるプラムベリー公爵令嬢のもとに
公爵夫人である母親を国罪で訴える旨の告訴状が舞い込んで来た。
罪状は「横領罪および国家反逆罪」だが
国王の信頼の厚い外交官である母がそんなことをするはずがないと
当事件の調査担当になること
を申し出る。
しかし、家族であることを理由にはねのけられてしまう。
「母様の無罪を証明できるのは私しかいない!!」
プラムベリーは溜まりに溜まった有休を叩きつけ
自慢の稀有魔法「バニッシュ」を武器に独自調査に乗り出す。
そんな時、母をよく知るという謎のイケメンが現われ
「まさか、母親の有罪証拠を先回りして葬る気じゃないよな?」
などと言い出して……
家族の無実を証明しようと奮闘するリーガルラブコメディです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 00:30:00
19847文字
会話率:62%
魔術学校に通うエリカ。
通信具を使った、クラスメイト(男)の執拗なメッセージ攻撃に悩まされていた。
心身共に限界を迎え、ついに直接訴えるが……
誰もエリカを信じてくれなくて?
最終更新:2025-05-24 23:22:06
5362文字
会話率:43%
ハートネル侯爵家の長女エリッサは、フルヴィオ王太子の婚約者。やがては王太子妃となりフルヴィオを支えるために、幼い頃から自己研鑚を重ねてきた。外交が苦手なフルヴィオをフォローするためにと、エリッサは学園を休学しながら近隣諸国を飛び回り、外交
や異文化の勉強に努め、次期王太子妃として人脈も広げていた。
そんなある日、国外にいたエリッサの元に国王陛下崩御の知らせが。慌てて帰国すると、自分の婚約者であるはずのフルヴィオ王太子の隣には、エリッサの実妹キャロルが寄り添っていた────
「君がこの国にいない間、キャロルはいつも俺のそばで、俺を支えてくれていた」「フルヴィオ様があたしを必要だと言うの。ごめんなさい、お姉様……!」
自分が国外を飛び回っていたのは全てフルヴィオのためだった。そう訴えるエリッサに、フルヴィオと妹キャロルのみならず、両親までもエリッサを咎める。
「承知いたしました。殿下、私を解放していただきます」
これからは自分のための人生を生きよう。そう思い再び国を出たエリッサの元に、両親から縁談の知らせが届き────
※いつもの全てがファンタジーな世界です。何もかもファンタジーです。現代風にアレンジしてある箇所も多々ございます。ご都合主義なお話です。
※この作品はアルファポリス、カクヨムにも投稿予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-21 08:05:04
153333文字
会話率:43%
本書は、日本の年金制度が抱える構造的限界に真正面から向き合い、感情論やその場しのぎの修正に留まらず、抜本的な「制度再設計」の必要性を訴える提言書である。
現行制度の破綻が時間の問題であるにもかかわらず、それを見て見ぬふりする社会──政治、
メディア、国民──を鋭く批判しつつ、筆者は「年金銀行」と「任意加入制」という新たなモデルを提示する。
この制度は、個人が自ら積み立てた資金を自ら管理し、自由かつ責任ある老後設計を可能にするものである。同時に、国家は最低限のセーフティネットを担うという、自由と保障のバランスを追求した構造を持つ。
感情と理性、自由と義務、過去と未来。これらを丁寧に架橋しながら、著者は読者に問いかける──
「制度とは何のためにあるのか。あなたは、どんな未来を選び取るのか」と。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 14:25:40
13533文字
会話率:1%
5年半前、とある企業と行政機関の癒着を追っていたネット配信者が、取材現場で転落死したというニュースが流れた。その配信者はマスメディアの在り方に疑問を呈する立場を発信しており、それに共感する若者が増え始めた頃にその事件は起きた。
若者は
政府の隠蔽体質を責め立て、報道の透明性を訴える自分たちを『清廉情報思想』と謳う。その煽りを受け、国はAIによる報道システムの導入を余儀なくされた。
これが後に『報道革命』と名付けられた一連の社会運動である。
そんな業界に嫌気が差した元記者は転職を試みるが、その節目となるある日、ヘルメットを被った不思議な少女に出会う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 23:28:28
670文字
会話率:36%
フレディ王子とブランシェは婚約者。
フレディが他の女性ばかり構うことを国王たちに訴えるブランシェ。
最終更新:2025-05-10 20:00:00
14642文字
会話率:63%
『いいかい? カルラ。 家族というものはね、温かいものなんだよ』
私がまだ小さかった頃、お祖母様がそう教えてくれたーー。
ある日、王都で魔法使いをしていたカルラ・ヴァーベナは西の森への配置換えを言い渡される。
国境沿いに広がるその森は
通称『迷いの森』とも言われており、魔物が多く、腕の立つ騎士や魔法使いでも苦戦を強いられる魔物の巣窟となる場所だった。
行けば即死。
そう訴えるも「そんなことない」と根拠の無いことを言われ、結局地図を片手に西の森を目指すこととなった。
目的の西の森から一番近い町へと着いたカルラ。西の森を管理しているという辺境伯の元へ立ち入りの許可をもらいに行くが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-07 16:02:10
82197文字
会話率:36%
その日、公爵令嬢シャルロッテは屋敷の一角にある薄暗い部屋へと蹴り込まれた。悲痛な顔で見上げる彼女に、姉のアンネローゼは当分この部屋から出るなと冷たく告げる。
最終更新:2025-05-04 21:39:09
1502文字
会話率:70%
不器用なのに必死でレース編みに挑む公爵令嬢・ステラ。 魔物は居ない、勇者も居ない。華やかなロマンスもない(今の所)けれど、彼女の日常は確かに“何か”を編んでいる。 小さな違和感が街の空気に溶け込み、人々の記憶を紡ぎ、時間を織り込んでいく。
これは、目には見えない物語が静かに編まれていく世界
♡ 『編む。—消える白パンの謎—』 街の小さなパン屋で起こる不可解な出来事。 「5個買ったはずの白パンが、袋を開けるといつも4個に—?」 毎朝「パンが減る」と訴える客と、「間違いない」と言い張る店主。 ただの勘違い?それとも、街のどこかで“消えた白パン”が何かを語っているのか。 些細な違和感が、静かに街の記憶を編み込んでいく—。*⑅୨୧┈┈┈┈
♡『編む。—晩餐会の幽霊—』 「知り合いの話なんだけど…」「屋敷に幽霊が出るらしい…」「それって本当?」 ひっそりとじわりじわり広がる“幽霊の噂”。 そんな折、公爵家に届いた晩餐会への招待状。名代としてステラが参加することになるが、そこで起こる奇妙な出来事。 囁かれる怪異、広がる噂、そして揺らぐ貴族たちの表情。 幽霊は本当に存在するのか、それとも—?
※ゆるふわっと設定です。
※世界観も史実ではなく、ファンタジー世界の延長な感じです。
※若輩者です。生暖かく見ていただけましたら嬉しいです。 宜しくお願いいたします折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-04 18:00:00
86275文字
会話率:40%
「アデレイド! お前との婚約を破棄する!」
聖女アデレイドに婚約破棄を言い渡す、王太子ミハイル。
ミハイルの傍らには、可憐な男爵令嬢イサドラが寄り添っていた。
聖女にかけられた嫌疑は、イサドラをいじめ抜いたこと。
アデレイドは必死に無実
を訴えるが誰も信じず、孤立し、追放される。
しかしその場の誰も気付いてはいない。
これが男爵令嬢イサドラが仕掛ける、復讐計画の一環であることを。
聖女アデレイドとイサドラが、裏で繋がっていることを……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-29 16:19:26
116286文字
会話率:49%
ミレイ・シュライアーは、侍女を苛め抜いたと指弾され、王太子のフェリックスから婚約破棄を通告される。
事実無根だと訴えるミレイだが、フェリックスは聞く耳を持たない。
そこへ現れた、国王は王太子を殴りつけ、ミレイに優しく微笑みかける。
「
確信した。あれは、君のように賢い女性には相応しくない。俺の妻に――王妃になってほしい」
※他のサイトにも掲載しております折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-06 18:40:36
47562文字
会話率:50%
ミランダは想い人と婚約が成立した翌日、なぜか猫になっていた。
猫をミランダと気づかない父に家から追い出され、助けを求めて婚約者のもとへ。そこで婚約者が浮気をしていることを知る。
途方に暮れ、寒さに凍えているところを動物好きの強面青年に
拾われる。女嫌いの褐色肌筋肉青年に可愛がられ癒やし、癒やされる日々。
そんな、ある日。ふとしたきっかけで猫から人に戻る。そこから、強面青年の態度が変わり……
そこへ浮気をしていた婚約者がやってきて。
ミランダは婚約者の浮気を理由に婚約破棄したいと両親に訴える。しかし、浮気の証拠がないと却下される。
絶望したミランダは初めて自分の意思で動く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-24 20:14:04
218699文字
会話率:50%
王子とその婚約者の仲は、政略だけあってかとても冷め切っていた。
そんな中、王子が自ら距離を縮めた令嬢は、いつしか自分が彼に選ばれる未来を夢見てしまう。
そうして婚約者である令嬢に訴えるのだ。
彼を、解放してください――と。
そこか
ら明かされる真実の愛もへったくれもない話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-24 06:00:00
11405文字
会話率:17%
王国の王女 イレーネ・ヴァルディナ は、剣を振るう姫君と呼ばれるほどの実力を持つ。
外交の場で隣国の第一王子 レイヴェル・アークヴィス と出会った彼女は、その完璧な容姿と優雅な振る舞いに、瞬く間に心を奪われる。
彼もまた彼女に惹かれ、甘
い言葉と情熱的な手紙で彼女を包み込み、やがて二人は秘密裏に恋人関係となる。
しかし、その幸福は儚く崩れ去った。
突如として 「敵国と内通し、戦争を企てた」 という罪を着せられたイレーネは、祖国に裏切り者として扱われ、無実を訴える間もなく戦場へと駆り出される。
そして、憎き レイヴェル と再会した瞬間、彼女の世界は完全に崩壊する。
「……何も感じないの?」
「……何をだ?」
傷だらけで膝をついた彼女を、冷え切った瞳で見下ろす男。
かつて甘く愛を囁いた唇が、今は彼女を嘲笑するために存在する。
あの日交わした言葉も、触れ合った指先の温もりも、すべてが嘘だったのか。
――私は、利用されたのか。
戦場で敗れ、捕虜となった彼女は、レイヴェルに囚われる。
処刑されることを覚悟していたが、待っていたのは――
予想外にも、まるで恋人のように甘く扱われる日々だった。
レイヴェルは彼女を 「俺のもの」 だと宣言し、傍に置き続ける。
憎いはずなのに、時折見せる優しさに、イレーネの心は揺れ始める。
「こういうのは好きか?」
戦場では見せなかった穏やかな横顔、そして彼の胸に抱かれたときに感じる微かな安心。
すべてが策略だとわかっていながら、彼の腕の中にいるときだけは心が溶けそうになる。
やがて、彼は告げる。
「城に戻ったら、式を挙げよう。俺の妻になれ」
信じられるはずがない。
彼は、私を陥れた男。
私のすべてを奪い、戦場に追いやり、捕虜として扱った男。
なのに、涙を流す私を 「ごめんな」と抱きしめる腕は、なぜこんなにも温かいの?
――憎しみの檻の中で、彼に囚われた私は。
――このまま、愛に堕ちてしまうのだろうか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-23 01:28:16
18157文字
会話率:18%