SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)
それは、登録者が自由に発言し、情報提供し、コメントなどで共有出来る便利ツール。
気の合う者同士コメントし合い、そこから交友関係が広がる事も多い。
! だがしかし !
使い方を
ひとつ間違えると、他人を誹謗中傷し、罵り、苦しめ、果ては犯罪にまで発展する事もある。
これは、そんなSNSの中でもとりわけ炎上が多いと噂されるMTG-roomという名のアプリにて、人の心の黒い部分を垣間見た女が自らを黒く染めてゆき、変貌してしまう物語。
主人公・佐倉美優
彼女は元々、優しくお洒落で可愛い女性だったはず。
MTG-roomを始めたのは、たまたま目に留まったある女性のファッションが気になり、リスペクトしようと思ったからだ。
ところがある日、アプリを開くと、ファッションとは無関係なスレッドが表示された。
何故?
そんな事を考えるまでもなく、その内容に美優は共感し、レスポンスしたのである。
ここから始まる“戦い”の日々。
彼氏である小塚蓮は、こんな美優をどう見る?
同級生の池山範子は、どう接する?
顔の見えない人同士、心の奥の黒い闇を掘り起こし、展開する、言葉と言葉の陰険勝負。
とくとご覧あれ!
※ストーリー設定上、非常に汚い言葉が飛び交う事があります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 21:00:00
18802文字
会話率:26%
15歳で異世界に転生した浅海悠真は、気がつけば35歳になっていた。
帰還を願い続け、料理屋『Tsumugi』を開きながら、旅費と情報を蓄え、ただ“帰る方法”を探してきた。
けれど——
20年という歳月は、彼の魂と身体をこの世界に染めてしまっ
た。
帰りたくても、もう帰れない。
そんな現実だけが、鍋の底の焦げのようにこびりついている。
それでも彼は、今日も味噌汁を作る。
かつて日本で食べた、最後の記憶。
あの日の朝食だけが、なぜか消えずに心に残っていたからだ。
そしてこの店には、時折、同じように“帰りたい”と願う稀人(まれびと)たちがやってくる。
彼らは、何のために帰りたいのかも忘れてしまっている。
悠真の料理が、そんな彼らの“記憶”を呼び起こす。
この店は、帰れなかった男が紡ぐ、記憶と料理の物語。
そして——
帰る理由を失った誰かに、“帰り道”を届ける物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 20:00:00
19085文字
会話率:27%
わたしは製薬会社に勤める40歳の男。
若白髪が気になる独身男。
だから、髪を染めて、人生を変えようと思った。
それだけでなく、思い切って会社を辞めて、大学院に入学して、新たな道へ進もうと思った。
そんな時、吉祥寺の美容室で可愛い美容師と出会
った。
その瞬間、一目惚れをした。
初々しい姿に釘付けになった。
想いを募らせていると、幸運の女神が微笑んだ。
偶然の出会いを演出してくれたのだ。
その後、彼女の夢を知ったわたしは、なんとしても実現させてあげたいと思うようになった。
彼女のために人生を捧げる覚悟を決めた。
✧ ✧
私は美容師。
新米の美容師。
秋田から東京に出てきた美容師。
吉祥寺の店で働き始めた美容師。
最初は掃除と雑用しかさせてもらえなかった。
でも、シャンプーの試験に受かり、ヘアカラーやパーマの試験にも受かり、最後のカットの試験も合格して、お客様担当になることができた。
最初のお客様は若白髪の男性だった。
その人は会社を辞めて、大学院で学んで、MBA(経営学修士)を取ろうとしていた。
その前向きな姿に惹かれた。
その人と店の外で偶然出会い、付き合うようになって、人生が変わり始めた。
自分の店を持つ夢を果たしたくなったのだ。
私は彼と共に夢に向かって歩み始めた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 01:10:00
120885文字
会話率:24%
泣くには何かが足りない。あるいは、何かが多すぎるのかもしれない。
最終更新:2025-07-25 19:41:37
1156文字
会話率:0%
頭を打った衝撃で、公爵令嬢ロザリンドは前世の記憶を取り戻す。彼女の前世は、ファンを熱狂させた宝塚歌劇団の男役トップスター『朝霧 玲』! しかも、ここは自分が悪役令嬢として断罪される乙女ゲームの世界で、すでに破滅フラグが林立していることに気づ
く。
婚約者の王子はゲームのヒロインに夢中で、このままでは婚約破棄からの家門没落は避けられない。
「冗談じゃない! 緞帳が上がる前に叩き出されるなんて、トップスターの名が廃るわ!」
絶体絶命の状況で、彼女が導き出した前代未聞の解決策。それは――「王子がヒロインを落とす前に、私が彼女を口説き落とせばいい」。
嫉妬に狂う代わりに、男役として培った完璧なエスコートと甘い囁き、そして圧倒的なイケメン力(ぢから)を武器に、ロザリンドはヒロイン救出劇の主役の座を王子から強奪! 危険が迫れば誰より早く身を挺して護り、ダンスパーティでは王子からヒロインを奪ってフロアの中心で踊り明かす。
その姿はもはや悪役令嬢ではなく、学園の誰よりも麗しい『王子様』そのもの。
いつしかヒロインは頬を染めて彼女を見つめ、王子は当て馬のように立ち尽くす。
元・トップスターの悪役令嬢が、破滅の脚本(シナリオ)を最高のパフォーマンスで書き換える! 華麗なステップでヒロインの心を奪い去る、痛快ドタバタ・ラブ(?)コメディ、ここに開幕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 07:00:00
4349文字
会話率:33%
「冷酷令嬢」と呼ばれたアポロニアは、望まぬ結婚を強いられ、夫に虐げられて、非業の最期を遂げた。
――キレたのは、三人の娘達である。
長女ディア「お母様はあんな腐れ外道に殺されていい人じゃない!」
次女ネリ「許せなーい!」
三女アン「こうな
ったら、黒魔術です!」
三姉妹は黒魔術に手を染めて、自らの存在を代償に時間を巻き戻した。
しかし、彼女たちにはそれぞれ「前世」の体があった。
「前世」の体に逆転生した三人は、母親の幸せのために動き始める。
――ただし、三姉妹は腐女子であった。
志は高く、母を想う心は深けれども、道のりは遠く、何なら殿方同士の恋愛模様(妄想)をめぐって、少女たちはふらふらと道をそれる。
文句垂れの長女ディア、ド変人の次女ネリ、考えなしの三女アン。
頼れるのは、腐った心と戦友たち(シスターズ)。
果たして三人は、愛する母を救えるのか――?
*三年前にカクヨムにて投稿した同タイトル作を、ネトコン13に合わせて加筆修正しました。
*カクヨム版では自重した猥談・かっこ悪いヒーロー・ヒーローの扱いがあんまりな描写を含みます。
*腐女子たちはBL妄想に勤しみますが、BL展開そのものはありません。
*番外編含め、全41話で完結します。一日7話を目安に更新予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 20:10:00
126727文字
会話率:36%
天正二年。小国の姫・螢(ほたる)は、織田信長の侵攻によって故郷と家族のすべてを失った。絶望の淵で彼女が思い出したのは、「未来を知る」前世の記憶。それは、信長の将、明智光秀によって自らも非業の死を遂げるという、あまりにも残酷な運命だった。
捕らえられた螢は、その知性の片鱗を見せたことで、冷徹非情と噂される光秀に興味を持たれる。「利用価値あり」と判断され、殺される代わりに彼の居城で「籠の鳥」として生きることを余儀なくされた。
利用し、利用されるだけの関係。しかし、氷の仮面の下に隠された光秀の苦悩と優しさに触れるうち、螢の心には密やかな恋が芽生えていく。
だが、運命の時は迫る。彼が主君を討ち、歴史に汚名を刻む「本能寺の変」。そして、その先に待つ破滅の未来。
愛する人を救うため、螢は歴史という巨大な流れに抗う決意をする。一人の姫の小さな光が、戦国の世の闇を照らし、未来を紡ぎ出す、運命の恋物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 23:49:49
81553文字
会話率:33%
かつて、魔法を操る神々の世界と、人間の世界は一つだった。ある時は神から与られ、ある時は神と契約を交わすことで、人間は魔法の力を預かることになった。そして、その魔法よって、人々は過酷な自然を生き抜くことができていた。やがて、二つの世界はバラ
バラとなって、神に与えられた魔法だけが人間の手に残ることとなった。
そのような話が神話となりつつあるほどの長い時を経て、魔法が人のものとして、日常に溶け込んだ環境の中で人は日々の暮らしを送っていた。
東の海に浮かぶ島・アスタリアでは、国王・ノクトが亡くなり、十四歳の娘・ユアが王女として即位することになった。しかし、まだ国を治めるには若すぎるとして、実際の国の政事は叔父であるネリアスが担うこととなったが、アスタリアは次第に軍国化していく。
それから二年、ネリアスに男の子が生まれたことを知ったユアは、自身の身を守るために、アスタリアから抜け出すも、逃げた先で人狩りに襲われてしまう。そんなユアを救ってくれたのは、軍国化したアスタリアに集落を襲われたルアーニア人だった。
ユアはアスタリア人がルアーニア人に残した傷跡を見て、自分の不甲斐なさと王女としての未熟さに苦悩しながら、ルアーニア人との交流を通して、人として、王女として少しずつ成長していく。
アスタリアが再びルアーニア人の領地を攻めようとしていることを耳にしたユアは、ルアーニア人と共に立ち上がり、国を取り戻す決意を固めるも、アスタリアの軍隊は、ある魔法に手を染めていた。
狂気に満ちた魔法が今、ユアとルアーニア人に襲いかかる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 19:49:18
11085文字
会話率:39%
俺は妻となる黒檀の少女に白い結婚を提案した。
これは少々複雑な事情があってのことだ。
少女は答えた。
「"白い結婚”だと……我が漆黒に染めてくれよう!」
なんでもっと複雑な状況を被せてくるんだよ!?
※※※
本作はリクエスト企画
にて、清坂正吾さまが投稿された小説
"白い結婚”だと……我が漆黒に染めてくれよう!(異世界恋愛)
を男性向けラブコメにアレンジしたものです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 22:51:53
5270文字
会話率:40%
男二人兄弟、兄・英(ひで)と弟・明(あきら)は、幼い頃から家業である中小企業の経営を目の当たりにし、企業経営の仕組みに強い興味を持つようになった。努力家で頭脳明晰な兄・英は、全国最年少で中小企業診断士の資格を取得し、その実力を存分に発揮して
いく。
しかし、母方の実家で営む町工場が倒産の危機に直面した時、英と明は企業再生のため、法の枠組みギリギリの補助金スキームに手を染めてしまう。結果的に工場は蘇るが、“補助金だけで延命するゾンビ企業”という副産物を生んでしまった。その裏で、英の忠実な右腕だった部下・洋介が失踪、さらに弟・明はスキャンダルの渦中で社会的に抹殺され、兄弟の間に深い溝が生まれる。
過去の過ちを抱えながらも、英は「失われたもの」を取り戻すため、自分の経営支援のあり方に再び挑む。彼のサポーターとして、右腕を失った英に代わる有能な人材を手配する派遣社員の女幼馴染・沙月(さつき)が現れる。さらに、謎多き主婦でありながら非常に高い経営分析力を持つ“師匠”――国家資格を毛嫌いしつつ裏で多くの企業を救ってきた女性コンサルも加わる。
各地で補助金行政のひずみが露わになる中、新たな使命感に燃える英の前に、“焔(ほのお)の中小企業診断士”と呼ばれるカリスマコンサル・火野(ひの)が立ちはだかる。火野は「企業の本当の救済」とはなにかを問いかけ、英と激しく対立する。
「鋼」のごとき意志と経営知識を武器に、英は何を犠牲にし、何を得ていくのか――。現代社会の企業支援の闇と倫理を描く、経済戦記小説。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-17 21:57:26
496文字
会話率:15%
『虚数0域 ―市場を穿つ者たち―』
東京の片隅、AI詐欺師・神林サトルは国家を揺らす金融構文詐欺に手を染めていた。
だがそれは、六本木の高層階に棲む魔女ミスティ・ルナバードが張り巡らせた罠に過ぎない。
一方、孤独な天才プログラマー御園ア
マネ。
彼が生み出した量子経済数式ψ(S,t)は、人間心理を市場そのものに織り込み「未来を確率ごと書き換える」。
その異常なアルゴリズムに目をつけたミスティは、闇の金融ネットワークを用いて国家を超える詐欺計画を動かし始める。
貪欲な国家権力、中国公安部。
血に飢えた経済ヤクザ・島内。
彼らを嘲笑うように、金と運命は静かに狂っていく。
これは、弱者の涙すらトレード資産に変わる世界で、
「人間が作った市場を、人間が超える」ための物語。
量子金融×詐欺構文×群集心理。
最後に笑うのは誰か――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 20:55:15
62123文字
会話率:23%
現代社会における、最強の力。
それは【魅力】である。
魅力があれば、簡単に他人の注目を集めることが出来る。
魅力があれば、簡単に自分の関わったコンテンツをバズらせる事が出来る。
魅力があれば、簡単に優秀な人材を自分の陣営に引き込
むことが出来る。
想像してみてください。
あなたにもし、イエズス・キリストやブッダに匹敵するような超絶のカリスマ性と魅力があったら?
あなたにもし、芸能界の頂点に君臨して人気の絶頂を極められるような伝説のアイドル級の魅力があったら?
これは。異世界で極振りした魅力値を現実世界に持ち込み、世界を自分色に変容させていく男の物語。
極振りした魅力で、絶望の現実世界《リアル》を自分色に染めていけ。
異世界で獲得したチートなステーテスで
現実世界の序列をひっくり返す。
スクールカースト最上位のリア充に蹂躙され、
人生を奪われた童貞無職ニートの復讐劇がはじまる。
■■■■■■■
異世界で得た異能で現実を改変!
リアルでスーパー大金持ちに。
世界中のセレブ美女に言い寄られる。
大人の知能と異世界で獲得したチートな異能を保有したまま、小学生時代にタイムリープ。
自分の人生をめちゃくちゃにしたいじめっ子にリベンジを果たし、
ダメニートの黒歴史を修正!人生をスクラップ&ビルドして現在の境遇を根本から改変!
極振りした魅力で日本の格差社会を登りつめろ!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 14:55:22
1910934文字
会話率:18%
数多の努力を積み重ねて疲弊しきった女子高生・三芳芽亜。ある日自身に向けられる期待の眼差しに耐えきれなくなり、動物殺しに手を染めてストレスを発散するようになる。好奇心からふと生き物の首を切り落とした時、少女は首を刎ねる快感に目覚め、のちに人で
同じ罪を犯し『刎ね子』と呼ばれるようになる。
若くして数多くの難事件を解決に導いた『若き天才』と呼ばれる青年・瀬波碧斗。彼は『刎ね子』が起こした最悪の事件を解決すべく、自身が信奉する正義に誓い難事件の解決に挑む。
狂気と正義が交差するサイコサスペンスが幕を開ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 21:08:12
243057文字
会話率:28%
灰色に覆われたアポカリプス後の世界――。
空を取り戻すため、謎の「鍵」を集める旅を続けるユウトとカナメ。
クールで無表情ながらも冷静な剣士・カナメと、少し騒がしいが心優しい銃使い・ユウト。
かつて「アスラ」と呼ばれた暴走ロボットたちが、鍵
を持つ存在として立ちはだかる。
なにも知らぬまま、ユウトはカナメと出会い共に戦うことを決意する。
暴走ロボットとの死闘、悪党集団との対峙、
そして謎の騎士ロボットとの激戦を経て、
二人は少しずつ「アスラ」の正体と知っていく。
かつて人類の螳郁ュキ閠として作られた機械のたちは
暴走し、世界を灰色に染めている。
旅の終わりはまだ見えない。
それでも、いつか青空が戻る日を信じて、ユウトとカナメは剣と銃を携え、灰色の世界を進み続ける――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-05 17:00:00
15859文字
会話率:31%
礼音には予知能力があった。
しかし、視えるのはいつだって『選ばなかった方の未来』である。
時間は一次元であると言うが、選ばなかった方に流れる時間は並行してそこにある。つまり時間は二次元であるともいえる。
高校時代の仲間と集まるはずが、一
人だけ姿を見せない健斗。
礼音の視る『選ばなかった未来』で健斗は血を流したり手を赤く染めていたりと不可解だ。
不安になった礼音は健斗を探し当て、真相を知る。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 21:52:10
9938文字
会話率:43%
魔法学院最後の一幕
ネーデラ王国魔法学院の広場には、卒業生たちの笑顔が溢れていた。その中央で、ひとつだけ異様な空気が漂っていた。
「これ以上、婚約関係を続けるつもりはない。悪いが、今日で終わりだ」
その言葉に、会場の空気が凍りついた。
「なに言ってるの?」
ロッテ伯爵令嬢。理知的な眼鏡越しに目を見開いていた。彼女の横に立つのは、かつての婚約者ハーグ。式典の途中、突然の婚約破棄宣言だった。
「俺様、もうアインと付き合ってる。あいつの方が魅力的さ」
そう言って彼が肩を抱いたのは、ピンクの髪を軽やかに揺らした少女。アイン。男爵家の令嬢。にやりと笑って言う。
「だってぇ、ロッテってお堅いん。男の人、楽しませなきゃ♡」
「一年後に、結婚って」
「気が変わったんだよ。俺様のせいにすんな」
「やめて」
振り返り、駆け出した。銀髪が宙に舞い、ドレスの裾が風を切る。群衆の視線を引き裂くように、ロッテは会場から飛び出して。
誰かに思い切りぶつかった。
「あっ、だ、大丈夫ですか?」
低く、どこか気の弱そうな声。ぶつかった相手は、金髪に分厚い眼鏡をかけたマルセルだった。物静かで目立たない、けれど学院でも知る人ぞ知る天才魔術師。実は隣国の伯爵家の三男だ。
「ご、ごめんなさい。いま、わたしっ」
「足をひねったみたいですね。すぐに医務室に」
「ダメ、式場に戻るなんていやなの」
「わかった。外に出ましょう。ボクが支えますから」
学院の門を抜けると、夕暮れが街を金色に染めていた。ロッテの歩幅に合わせて、マルセルはゆっくりと歩いた。街角に立つ、木造の看板。その文字がマルセルの視界に飛び込んだ。
魔酒とハーブの宿酒場
マルセルが小さく喉を鳴らした。無意識に、口元がゆるむ。彼の頬がわずかに赤くなる。
「飲みたいの?」
ロッテがふと、尋ねた。マルセルは慌てて視線を逸らした。
「い、いえっ、そんなことは!た、ただ、ちょっと看板が……気になっただけで!」
「ふふ。いいよ、わたし、おごってあげる」
「えっ?」
「わたしも今日はボロボロになって飲みたい気分なの。だから、付き合ってよ。先に酔いつぶれたら許さないから」
「は、はい!」
チリン、と澄んだ鈴の音が鳴った。夕暮れと、木の香りと、ほんのりと漂うハーブ酒の香りが、彼らを迎え入れた。
不思議な二人の、忘れられない夜が始まろうとしていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 07:40:00
84538文字
会話率:44%
かつて世界を恐怖に陥れた魔王。ホワイティア・クライツァ伯爵令嬢は、その魔王が転生した存在だった。そんな彼女は王国の第三王子クロノスと“白い結婚”をする。そして、二人はお互いに惹かれあっていく……。
最終更新:2025-06-16 17:36:26
2551文字
会話率:40%
奨学金と生活費のため、日々ギリギリの生活を続けていた地方国立大学の理系学生・伊吹駿。冬休み、SNSで見かけた「高額短期バイト」の画像に誘われ、高知県四万十川へ向かう。
仕事内容は、夜の川でうなぎの稚魚「シラスウナギ」を捕ること。だが、その
バイトには決して表に出せない事情があった。
現地で出会ったのは、元自衛官、失踪した技能実習生、家庭に居場所を失った少女、そして過去を抱えたフリーターたち。名前も、年齢も、素性も不明の彼らと共に、伊吹は密猟という静かな犯罪の最前線に立たされる。
川の冷たさ、他団体との縄張り争い、地元住民と漁協の目、そしてバイトを斡旋する企業の裏に見え隠れする大きな影。
「自分は、何に手を染めているのか?」
「この金は、誰の犠牲で成り立っているのか?」
やがて、ひとりの仲間が姿を消し、もうひとりが川に沈む。
静かな夜の作業の中で、伊吹の倫理と現実がじわじわと侵食されていく。
これは、“ほんの3ヶ月”のつもりだった若者が、社会の裏側に触れてしまった記録である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-14 21:08:14
13664文字
会話率:27%
政略結婚で嫁いだ日に転生していたことに気付いたメイベル。
既に婚姻していたことに驚いた。
夫は世間では醜いと言われているらしいけど、メイベルの知る価値観で照らし合わせたら普通に美形。
美醜に厳しい世界なんだなと、周りの評価を気にせず夫になっ
た男を愛して、可愛がって褒める。
彼は頬を染めて、妻の対応にまんざらでもなさそう。
どうせなら、世界一の相思相愛夫婦として、名を馳せていきましょう。
ねえ、旦那様。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-24 06:00:00
3511文字
会話率:22%
「可愛いぬいぐるみを作れ」
大国ロックミア共和国の首都、オックストンに店を構える高級服飾工房ハーディプール。
そこで働く若手服職人のネイトの元に、ある日突然思いがけない仕事が舞い込んだ。
事の発端は冗談のような話だった。
ロックミ
ア共和国は隣国ヘザーリン帝国と長きに渡って衝突してきた歴史を持つ。
両国の外交関係が悪化の一途を辿っていく中、ヘザーリン帝国は嫌がらせの一環として、国産の高級ぬいぐるみ「ベアトリス」を輸出禁止にした。
そして、この嫌がらせが思いもよらぬ波紋を起こす。
ロックミア共和国の権力者たちが、ベアトリスを欲しがる家族から非難され始めたのだ。
権力者たちからの輸入再開の訴えに耐えきれなくなった共和国の大臣は、ハーディプールに国産の高級ぬいぐるみを開発するよう命令を下し、その任務がネイトの元へと転がり込んで来る。
与えられた仕事は誰もが嫌がるものだった。
政府が絡む注文など、失敗した時のリスクを考えれば絶対に受けたくない。
そもそも彼らは服職人であって、ぬいぐるみ作りは完全な素人。
ネイトは礼儀知らずでたびたび客を怒らせ、短気で喧嘩っ早く他の職人と折り合いが悪い。
相方のラッセルは経験豊富な服職人だがハーディプールに来たばかりで、しかもネイトと同じく周囲に馴染めていない。
そんな爪弾き者2人が外れくじを引かされた。
ネイトとラッセルは当初、適当に仕事をこなしてさっさと解放されようと企てる。
しかし、事態は更に悪化する。
ロックミア共和国のモーリス元帥とヘザーリン帝国のドルフ元帥が、ぬいぐるみをきっかけに衝突。
激昂したモーリス元帥はネイトらに向かって、「このぬいぐるみ作りは共和国と軍の威信を賭けた争いだ」と叫んだ。
そして、「失敗は許さない。首を刎ねられたくなければ、最高のぬいぐるみを作れ!」と命令を下した。
ただのぬいぐるみ作りが、気がつけば命のかかった仕事に変わっていた。
ネイトとラッセルは慌てて本腰を入れだすが、彼らの前に多くの壁が立ちはだかる。
「俺にはもう、可愛いってのが何なのか分からねえ!」
こうして、2人の職人が悩み、苦しみ、ぬいぐるみに振り回される日々が始まった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 19:28:53
95019文字
会話率:20%