バー『Alter』の雇われ店長兼バーテンダー、抽冬淳は紆余曲折な人生を経てすでに三十代。どこぞの地方都市にある廃ビルの地下フロアで、今日も今日とてシェイカーを振る……わけではなかった。趣味の家庭菜園で育てた収穫物でお通しを作り置きしては、
ある意味同業の常連客を相手取る日々。変わったことと言えば、当時まともに交流していなかった中学のクラスメイト達が、常連として通うようになったこと位だろう。
別に同窓会等で再会し、旧交を温めた結果とかでは断じてない。単に副業の都合で、偶々顔を合わせただけに過ぎない。だからこそ、淳をはじめとした常連達は思う。
『社会の裏側も、存外狭い』
と。
雇われ店長兼バーテンダーこと抽冬は、オーナーである『―――』の受付担当だった。おまけに『バーの利益は求めていない』からと、腕の方は期待されていない。
なのでこの話は、世界で唯一『バーテン』の蔑称で呼ばれても不自然ではない男と、常連をはじめとした周囲の人間達が駄弁るだけの物語である。
『この物語はフィクションであり、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在するものとは一切関係ありません。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-01 00:00:00
42151文字
会話率:49%
手触りも、手応えも乏しい、つくりもののような世界で。
生身をかかえて、生きる僕らは。
なにを。どう求め。どう手に入れることができるのか?
最終更新:2022-08-05 07:00:00
323文字
会話率:0%
生まれとは異なる、この世界に転移してから今日まで。幾度となく死地を潜り抜けてきた。与えられたスキルは一本。
丈夫な身体と、打たれ強い精神。何よりも、何をしてでも"生きろ"が家訓に基づき。必死で、がむしゃらに生きてきた。「
ああ……目が霞む。足がふらつく。腹に、力が入らない……最後に。腹一杯食いたかっーー」
〈チャージ完了〉ん? なんの?
〈スキル発動〉なんか、来るーー?!
『掃除くらいしなさいって言ってるでしょう!』
「母……さん!?」
そう、俺の持つ唯一のスキル。それはーー
アルファポリスさんにて掲載している「泣いてません、雨ですから。」を改題したものです。あらすじ載せられて満足。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-31 14:43:14
268文字
会話率:58%
作り置きのお料理となにかです。
最終更新:2019-06-19 02:46:02
1876文字
会話率:0%
飯を作って、駄菓子をつまみにビールを飲む至福の夜。
俺は会社の社史編纂の部署で働いている。だいたい定時であがります。
共働きの妻は帰りが遅い。だから、2人分のご飯を作って帰りを待っている。
でも先に食べていることがほとんど。
無心になっ
て料理を作り、ご褒美にビールと駄菓子。
苦さと甘さ。
その味わいを噛みしめるのが人生。記憶、これからのこと。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-07-31 17:19:19
8106文字
会話率:17%
いつも通りの朝。カーテンから溢れる朝日を浴びて目を覚ましたあたしは、いつも通りの朝食(修道院で分けてもらった黒パンを、作り置きしているスープに浸してゆっくり食べるのが最近のあたしの楽しみの一つだ。)を平らげて、代わり映えのしない、流行遅れで
継ぎ接ぎだらけのワンピースドレスを着て、三つ編みを手早く編み上げ、いつも通りの時間に出かけようとしたその直後に、あたしの『いつも通り』は終わった。
・・・理由は解らないけれど、身なりの良い男たちがあたしに向かって頭を下げていたから。
『貧民層《スラム》』で育って15年。そんなあたしが実は貴族の娘だったとか、一体何の冗談なんだ!?
*作品の表現に不快に感じるものや暴力表現等ございますので、お読みになる際はご注意ください。
メイン連載の合間でぽつぽつと、息抜き程度のゆるーい感じで書いていきますので、生暖かい目で見てやってください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-20 18:41:43
22437文字
会話率:65%
いつかのどこかの昭和の時代、とある夕暮れ。
学校から帰った子どもの食事風景。
色あせた情景は綺麗ではない。残された書き置きの文字も綺麗ではない。もちろん、作り置きの豚カツの形も。
他サイトのタイトル企画に瀨川潮♭名義で出展した旧作
品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-16 19:06:06
498文字
会話率:15%