辺境伯の一人息子、跡継ぎとして育ってきたシーベルタ。次期当主として相応しくあるべく強く逞しくあるために、男を磨き続けてきた。そしてもうすぐ成人を迎え、正式に跡継ぎとなることが決定するはずだったその時、父の第二夫人が出産、弟が生まれた。
弟が
生まれて浮かれているシーベルタに、父から衝撃的事実を告げられる。「シーベルタよ、お前は女だ」と。そして弟を次期当主に据えると言われる。
男以外が当主になれない貴族界、シーベルタの未来は完全に閉ざされた。
自分の生きる道を模索したシーベルタは、メイドと共に家を出る決意を固める。
男として生きてきた辺境伯令嬢とメイドとで、世界を旅する珍道中の始まりである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-16 20:14:38
85708文字
会話率:45%
いつも通りの朝。カーテンから溢れる朝日を浴びて目を覚ましたあたしは、いつも通りの朝食(修道院で分けてもらった黒パンを、作り置きしているスープに浸してゆっくり食べるのが最近のあたしの楽しみの一つだ。)を平らげて、代わり映えのしない、流行遅れで
継ぎ接ぎだらけのワンピースドレスを着て、三つ編みを手早く編み上げ、いつも通りの時間に出かけようとしたその直後に、あたしの『いつも通り』は終わった。
・・・理由は解らないけれど、身なりの良い男たちがあたしに向かって頭を下げていたから。
『貧民層《スラム》』で育って15年。そんなあたしが実は貴族の娘だったとか、一体何の冗談なんだ!?
*作品の表現に不快に感じるものや暴力表現等ございますので、お読みになる際はご注意ください。
メイン連載の合間でぽつぽつと、息抜き程度のゆるーい感じで書いていきますので、生暖かい目で見てやってください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-20 18:41:43
22437文字
会話率:65%