過去の壮絶な出来事から引きこもり生活を送っていた健太の心の拠り所は、アコースティックギターだった。人通りの少ない路地裏で細々と路上ライブを続ける彼に、ある夜から不可解な現象が起こり始める。毎回のライブ後、投げ銭用のケースに真新しい一万円札が
そっと置かれているのだ。そして同時期、ライブの度に深くキャップを目深に被り、マスクで顔を隠した男性が微動だにせず、彼の歌に耳を傾けるようになる。
謎の投げ銭とマスクの男性の存在は、健太の孤独な歌声に小さな変化をもたらし、彼の歌はかつてないほどの感情を帯びていく。そんなある日、健太の路上ライブの動画がSNSで突如バズり、有名インフルエンサーAの推薦もあって瞬く間に再生回数を伸ばしていく。熱狂する観衆で埋め尽くされた路上で、健太はもうあのマスクの男性の姿を探すことはなかった。彼も、あの不可解な一万円札も、彼の前から静かに姿を消していたのだ。
マスクの男性が誰なのか、なぜ彼を支え、そして突然姿を消したのか。健太は彼の不在に胸を締め付けられ、漠然と「インフルエンサーA」と「マスクの男性」、そして自身の過去の引きこもり生活との関連性を重ね合わせる。健太は最後まで、インフルエンサーAが自身の過去の出来事に関わる人物であることに気づくことはなかったが、名も知らぬ恩人への深い感謝を胸に、健太は音楽活動に打ち込む。やがてメジャーデビューも果たし、彼の歌は多くの人の心に届くようになる。健太は知っていた。今、これほど多くの人々に歌が届くのは、あの謎めいた恩人の存在があったからだと。彼の歌は、孤独を感じる誰かの心に、そして、遠くでこの歌を聴いているかもしれない、健太にとっては最後まで正体不明のままの恩人の心に届くことを願い、これからも歌い続けられる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 20:48:50
2306文字
会話率:0%
自称『ニートだけどたまに世界を救っている男』、逆神杏太郎(さかがみきょうたろう)は、ある日、いつものようにネットゲームに課金をするため、母親からもらった一万円札を握りしめて二週間ぶりに外出していた。
無事に課金を終えたその帰り道、杏太郎
は駅前で様子のおかしい少女と出くわす。
オレンジ色の長髪に水色の瞳、異世界アニメに出てくる聖騎士のような騎士服、杏太郎の地元である郊外の駅前にはあまりにもそぐわない見た目をしているその少女は、自分のことを『七聖騎士団聖騎士長、アリシア・エーデルワイス』であると名乗り、いきなり杏太郎へと斬りかかってくる。なんと彼女は、本当に別の世界からこの現代日本へと迷い込んできた、本物の聖騎士様なのだった。
剣と魔法を駆使して襲い掛かってくるアリシア。
自分の難儀な境遇に溜息を吐くしかない杏太郎。
はたして、杏太郎の平和なニートライフの行く末やいかに…………
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-05 11:09:26
88750文字
会話率:42%
あなたのことを許さない。怪物に喰われ続ける私を見捨てたのだから。
あの頃、僕たちのすぐ隣で暗闇は生きていた。悪意を持てない少年メロスと暗闇に喰われ続ける少女かふかの懐かしくて哀しいジュブナイルホラー。
5月の連休初日。メロスが部屋で起き
ると母親は失踪していた。母の遺した一万円札を持ってモール型ショッピングセンターに行くと学校一の嫌われ者である永井かふかがクラスメイトにいじめられる場面に遭遇する。メロスはこっそりとかふかを助けるが、逆にかふかに逆恨みされ善意をつけこまれる。メロスにはかふかに決して逆らえない負い目があった…。
「メロスはかふかを見捨てた。かふかはメロスに殺されたの」
その夜、アパートのベランダで永井かふかが暗闇の怪物に生きたまま喰われるのをメロスは見る。それはまるで夕暮れの校舎で少女を見捨てたときと同じように―――。
ちょうど同じころ、モール型ショッピングセンターで幼児失踪事件が起きていた。かふかが言うにはその事件にはかふかを喰らっていたクラヤミの怪物、晦虫が絡んでいるという。
晦虫は人の悪意を喰らう。ショッピングセンターの奥に捕らわれた少女の絶望を美味そうに食べているが、もうじきその絶望の灯も消えるのだと。
少年は耳たぶを報酬に晦虫の毒である少女の助けを得ると、晦虫に捕らわれた女の子を助けに深夜のショッピングモールに潜入するのであった。そこで少年と少女が見たのは大人の悪意に寄生した晦虫の群れと巨大な晦虫の王、そして、■■の裏切り―――。
ヒトの悪意は怪物にとって蜜の味、じゃあ、ヒトの善意はどんな味?
※本作品はホラーです。性的描写、身体欠損など猟奇的描写はできるだけ抑えめにしていますが、人によっては不快と感じる描写が多数あります。ホラー、サイコサスペンスが苦手な方はご注意してお読みください。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-07 16:00:00
69898文字
会話率:38%
1万円札にはなぜ1万円の価値があるのか……というお話。短く、めちゃやさしく書いたつもりです。新紙幣が発行されるということで。
※他サイトにも掲載
最終更新:2024-07-03 19:12:25
12946文字
会話率:5%
なくした一万円札を探しに図書館へ行った男が不思議な少女と出会う。
最終更新:2024-02-15 17:37:26
1735文字
会話率:58%
大学の夏休みに図書館で勉強をしていた会計学科一年の銀杏は、同じ大学の三年、宇佐美から相談を受ける。サークルの部室で同級生の黒木と銀杏が宇佐美から見せられたのは、カンマのようなものが打たれた一万円札であった。
最終更新:2023-12-31 16:08:34
4209文字
会話率:48%
清掃の仕事中に一万円札を見つけ、自分のものにした主婦。
またラッキーが起こらないかと期待する彼女は……。
この作品は、エブリスタにも掲載しています
最終更新:2023-10-13 21:00:31
676文字
会話率:16%
絶対に使っちゃいけない金、それを使ってしまった男の手帳。
最終更新:2023-06-11 19:41:10
921文字
会話率:10%
社会の底辺の男、生きる意味を知らない男、まだ生まれていない男。 そんな俺がいつものように自動販売機の下に落ちている小銭を拾おうと、屈んで手を伸ばして手に入れたのは一万円札だった。
その日から連続で毎日一万円札をそこで拾った。
不思議
に思った俺は、誰がこの一万円札を落としているのかを確認することにする。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-05 22:42:06
7987文字
会話率:15%
彼女の家で、男子高校生のあなたは裏と表を見た。
※変態的な描写があります。
最終更新:2023-05-30 16:46:21
1658文字
会話率:26%
爆乳で美人な黒髪ロングの先輩AKURYOと共に、人間の屑共を呪殺する仕事をしている幽霊の俺は先輩のことが好き。片思いしながら仕事をしている。今回の任務は悪徳成金クソ野郎を呪殺するお仕事。楽な仕事だと思っていたら、そいつが住む家にはおふだでは
なく、一万円札が大量に貼られていたのだった。いったい一万円札にどんな効果があるというのか⁉折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-16 12:43:58
979文字
会話率:43%
私は一万円札なのだが、誰にも拾ってもらえない
最終更新:2021-10-14 23:11:09
2381文字
会話率:6%
付き合って1年になる高校2年生2人の下校途中。
彼氏がくれた誕生日プレゼントは、お年玉袋に入った1万円札だった。
それをキッカケに私は5つの初めてを奪われる事になる。
最終更新:2020-05-05 16:13:05
2071文字
会話率:16%
漫才の台本です。銀行強盗をしてきた二人組のやりとりを描いています。
最終更新:2019-08-27 00:45:15
844文字
会話率:100%
紙幣のデザイン、取り分け一万円札の肖像変更……というより福沢諭吉の持つシンボル性について筆者の感じる由無し事を思いの丈のままに綴りました。
最終更新:2019-04-22 02:13:24
1843文字
会話率:0%
あらゆる「もの」たちは人間の目の届かない場所で自由に行動する。
それは一万円札だって変わらない。お札に書かれた肖像は日々、人間の様子をうかがっているのだった。
最終更新:2018-05-05 18:21:20
1315文字
会話率:0%
政府の方針で印刷局が新技術によって一万円札に命を与えた。
最終更新:2018-01-09 17:15:32
262文字
会話率:25%
これは一万円札、福沢諭吉の独白。
札となった彼は何を思い、何を望むのか。
最終更新:2017-12-20 11:00:00
1047文字
会話率:0%
旧一万円札と化した聖徳太子は
現一万円札の福澤諭吉に強い嫉妬を抱いていた。
そんな太子のとある一日を紹介します。
最終更新:2017-03-20 20:33:52
2772文字
会話率:55%
ある日、帰宅すると、俺の部屋で魔王の使いを自称する幼女が寛いでいた。壁をすり抜けたり、物を爆散させる能力を有していたりと、人外の存在であることは、確かなようだ。
そいつは俺に語りかける。異世界を征服して、暇を持て余すようになった魔王の余
興に付き合えと。
「そんな難しいことじゃないよ。アパートの一室を使って、現金の争奪戦をやるだけだから」
どうやら魔王は、欲にまみれた人間どもが醜く争うさまを鑑賞して楽しみたいらしい。
試しにもらった一万円札は、紛れもない本物。アパートの一室だけなら、簡単だろうと軽い気持ちで快諾するが、舞台となる部屋は怪しく蠢き出していた…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-30 00:22:21
595448文字
会話率:47%