アンドロイドのエメラルドが機械生命体のクリスタルとなり、惑星アミナス去ってからの話。
アルバートやサ・ジャラと共にと共にユーグ本部にやって来たクリスタルであったが、平穏な暮らしの中で、満たされない思いを抱えていた。
それは、機械である
自分が、誰の役にも立っていないことへの疑問であり、何かをしなければならないという焦燥であった。彼女は自分もアルバートやサ・ジャラのようにユーグに加わることはできないかと考えた。
しかし、それは彼女にとって簡単な道とは言えなかった。いくつかの問題があり、彼女はそれを乗り越えなければならなかった。
一つは、クリスタルには兵器という、ひとを殺す為の機械が受け入れられないということ。
また一つは、彼女には、そもそも人権も成人年齢も、正式に定まったものがなく、そもそも入隊志願の応募資格がないこと。
そして、一番の問題は、クリスタルが、自分に何ができるのか等、彼女自身のことを良く理解できていないことであった。
そんな問題を抱えながら、クリスタルは、それでも、誰かの役に立ちたい、その思いだけで、ユーグへの入隊を、目指すのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-08 01:00:00
111357文字
会話率:46%
それは、地球人類が、宇宙に進出を遂げ、数多の異星文明の連盟の仲間入りを果たしている、遠い未来。あるアンドロイドが、機械の体を持った生命体になる話。
彼女は、本来、人間を模したアンドロイドの開発が違法とされている、未来の地球圏の宇宙コロニ
ーで、ある博士が隠れて開発したアンドロイドだった。エメラルドと名付けられたそのアンドロイドは、遥かに遠い惑星アミナスに送られた。
惑星アミナスは、地球人によく似た容姿の異星人が入植し、また、アンドロイドが違法とされない地であった。エメラルドは、そこで平穏の日々を過ごし、その人工頭脳を成長させていく。しかし、アミナス内で、エメラルドとは無関係に起きた事件が、彼女の運命を変えていく。やがて彼女は周囲の思惑と、自身に目覚めた感情に動かされ、運命の中を歩き続けた。
――誰かも分からない、誰かに導かれるように。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-23 00:00:00
113730文字
会話率:44%
王国一と謳われる冒険者ギルド『白銀の女騎士』。そこの新人冒険者であるアレキサンドラ・ベル・エメラルドは、ギルド加入初日に偶然ギルド最強の男・バロッサに声をかけられる。「俺たちのパーティーに入らないか?」。バロッサの提案を受けたアレキサンドラ
は、彼らと共に行動をすることに決める。しかし……初めてのクエストで、アレキサンドラはバロッサたちに裏切られ、深い森の中に置き去りにされてしまう。格上のモンスターがアレキサンドラに迫る中、そんな彼女を救ったのは……「世界で2番目に強い」と言われながら、『敗北者』の異名を持つ不思議な男だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-01 13:00:00
91718文字
会話率:38%
魔物が跳躍跋扈する世界で、「スライムは魔物の頂点に立ち、ドラゴンは雑魚」。 見た目が雑魚な程強く、見た目が強そうな程弱い!! この世界は、ありきたりの常識的な異世界ではなく、ちょっと風変わりな世界なのだ。
そんな世界に生まれてきた、平民の
ソフィアと、吸血鬼令嬢のレティシア。 二人はスライムによって親を失ってしまう。 失望した二人は、親の仇を打つべく旅に出ることを決意する。 身分的に出会うはずの無い二人だったが、ひょんなトラブルから偶然知り合い、お互いの境遇を知ることで、一緒に旅に出ることに。 二人は、スライムを一緒に倒そうと決意する。
そうして、旅の途中で次々と出会う "ちょっと!?" 風変わりな仲間たちと、共に冒険を繰り広げてゆく。 果たして、ソフィアとレティシアは、スライムを倒し非常識な異世界の平和な日常を取り戻せるのか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-25 20:08:13
12473文字
会話率:48%
この世界には2種類の奇病がある。
1つは生まれつきのもの。
もう1つは呪いによるもの。
しかし、必ずしもそれが悪いものだとは限らない。なにせ奇病を患う者だけが、魔法を使うことができるのだから。患者が精神的に苦しめば苦しむほど魔力は増大す
る。
故に奇病との付き合い方は人それぞれである。
それを治療し魔力を失うもの。
その苦しみに耐え魔法を使い続けるもの。
それに侵し尽くされ永い眠りにつくもの。
そもそもそれを自覚していないもの。
そしてこの世界には、自身が奇病を患いながらも、その魔力を使って他者の奇病を治療する“奇病医”が存在する。
そう、この街にも。
読者の中にも知らないものはいないだろう。
若く優秀だが冷酷かつ守銭奴。
かの天才奇病医、
「エスメ・ガザニア」
深く帽子を被った少年はそう呟いて、写真の中の燃えるような赤い髪を見つめた。そして持っていた新聞をくしゃくしゃ丸めて運河に捨てる。
きらめく水面を、ポロポロ紙くずを切り離しながら新聞は滑っていき、やがて小橋の側面に貼りついた。その小橋をコツコツとハイヒールが鳴らす。
彼女は長い赤髪を日に透かしながら、エメラルドの宝石眼に大きな屋敷を映した。ふう、と息を吐き、呼び鈴を鳴らす。
そして屋敷の扉が開いた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-27 17:41:59
4607文字
会話率:68%
残業で遅くなった男は帰り道を急いでいた。そこで遭遇してしまったのは一人の幼い魔法少女。
10年前の【大災厄】により吹き飛んだ中国大陸を祖とする5大悪、その中の|如月鉄道《キサラギ=ティエル》で生み出された人造魔法少女、検体ナンバー「εー
33」。その彼女は闇の特殊部隊に追われていた。
魔法少女は救われない。特に身寄りがそもそも存在しない、作られた魔法少女には。ゆえに彼女の運命はそこで終わるはずだった。そう、彼が通りがかりさえしなければ。さらに見計らったかのようなタイミングで”国さえ滅ぼせる”SS級の魔物が出現。その混乱に紛れ、彼は魔法少女を連れて脱出する。
――けれど、それはほかならぬ”彼”に全て仕組まれていたことだった。全ては|翡翠の夜明け団《エメラルド・ドゥーン》の計画通りに。これは”彼女”が絶望的な事実の前に心折れ、主人公に依存する物語。
※AIに書いてもらったイラストをキャラ設定とともに公開。Twitterからイラストを公開していきます。良かったらフォローをお願いします。
https://twitter.com/red_stone____折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-13 18:00:00
114632文字
会話率:49%
オーロラみたいな金髪に、エメラルドの瞳と真っ赤なドレス。
人気異世界マンガのヒロインと瓜二つの美少女は、本当に「マンガの中の異世界」から飛ばされてきたと言っていて……
故郷の世界に帰るためにも、ひとまず日本で新生活!
ちょっぴり日本に詳しい
大学院生と日本初心者な異世界王女の、穏やかそうで穏やかじゃないラブコメディー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-11 20:43:09
16108文字
会話率:44%
エドワード公爵家嫡男であるサッチは己の立場を笠に着て好き勝手に生きてきた。
甘やかされぶくぶくと太り、周囲から豚貴族と馬鹿にされてきた彼は闇の勢力を招き入れ、家宝である魔王の腕を持ち出した。
何の因果か、闇の儀式の暴走により未来の人生を追
体験した豚貴族、気が付けばその手は魔王の腕に変わり、かつての勇者が手にしたと言う聖剣を手に入れぬ限り魔王に体を乗っ取られるのだと言う。
未来の自分の死を回避しつつ、いきなり始まった魔王の腕と言う未来と異なる状況にも対応しなければならない、そんな絶望的な状況を打破するオリジナルチャートは光の勇者への覚醒、いまからエドワード・エメラルド・サッチこと豚貴族の聖剣獲得リアルタイムアタックの始まりであるはずなのだが……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-08 17:00:00
3684文字
会話率:17%
モンスターが蔓延る剣と魔法の世界、リディアス。
各国々には冒険者ギルド、商工ギルド、医療ギルドがある典型的異世界。
その中でも平和を願うロード家が率いる王国『アストラ』
深夜、アストラの近くの村、人目のつかない場所でそれは起きていた…
「
ハァ…ハァ…!」
二人の男性が距離を開けて向かい合って立つ。
一人は黒のローブを頭から被っており、両手で剣を持ちながら肩で息をしている。
「…夜遅くに何をしていると思ったら、いきなり攻撃ですか?
村を襲撃でもしようとしてたんですかね?」
肩に着くくらいの綺麗な銀髪のもう一人が物腰柔らかく問いかける。が、静かな怒りが伝わる。
右手に剣を持ち、左腰には鞘。剣と言うより刀の様だ。
「ハァ…ハァ…。
情報ではお前に大した力は無いはずだ…!まさか…俺と同じか…?異世界からの転生者なのか!」
黒のローブを着た男が問い掛ける。銀髪の青年は吸い込まれる様なエメラルドグリーンの瞳を見開き…。
「異世界?転生…者…?何ですかそれ。」
「えっ?」
「えっ?」
銀髪の彼の名前はクロス・ロード。
これはアストラ王の心優しき長男が、たまたま知ってしまった計画を仲間達と止めるお話…。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-14 21:18:31
1851文字
会話率:33%
精神を病んでしまって飛び降り自殺をしたサラリーマン。
坂村 慶次(さかむら けいじ)が、次に目が覚めて最初に見た光景は綺麗なエメラルドグリーン輝く海だった。
ヤシの木のような植物に囲まれて砂浜に佇む慶次が、ずっと考えていたことは『どうやって
死のうか』と言うことだけで、この無人島のような場所に訪れたとしても、慶次の精神はずっと暗く沈んだままだった。
しかし、夜になり星空の中、死のうとする慶次は、自分を救ってくれる存在に出会う事になる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-03 06:53:24
10071文字
会話率:35%
聖・ブリリアント王国。
聖女エメラルドは、由緒正しきグリーン公爵家のご令嬢で、王太子殿下の婚約者だ。
「エメラルド! そんなことを言うなら君との婚約は破棄だッ!!」
しかし今彼女は、婚約者である王太子から婚約破棄を突きつけられていた。
※がっつりコメディです。
※恋愛は一応してます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-08 19:21:05
4595文字
会話率:47%
槙野沙彩(まきのさあや)は、ショッピングモールの片隅にあった占いの館の老婆に告げられる。
「今日、これから出会う男性を信じてついて行きなさい。それが、アンタの運命を幸運へと導く」
占い師の言葉を信用出来なかった沙彩だったが、そ
の後、地震に巻き込まれて異世界・アマルフィアへとやって来てしまう。
アマルフィアの森で男に追われていた沙彩を助けてくれたのは、銀髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ青年・エグマリスだった。
「ずっと待っていた。俺の姫ーー俺の愛おしい花嫁」
沙彩を溺愛してくれるエグマリスだったが、実はアマルフィアの第一王子でーー!?
※ゆっくり更新予定。
※他サイトにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-03 23:00:00
57689文字
会話率:40%
白猫の獣人ルナは17歳の女の子、エメラルドのような美しい緑の瞳を持っている。ある日祖母に教わった子守歌をきっかけに金色の瞳のユキヒョウの獣人マックスと出会う。彼は騎士団の団長で、幾多の災害や他国からの侵略に立ち向かった国民的ヒーロー。新聞で
しか見たことがない存在だ。しかも、ルナには誰にも言えない秘密があった。陽が沈むと体が男性化して、人格も乗っ取られたように変わってしまうのだ。それでも、マックスの役に立ちたいと仲間と共に飛び回るルナを、沈着冷静は騎士団長の顔を時々崩してしまいそうになりながらも、見守り、時に、その活躍に驚かされながら惹かれていくマックス。子守歌に導かれ、王妃の病気や隣国との軋轢に立ち向かう二人は、いつしかなくてはならない存在になっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-27 08:00:00
78051文字
会話率:57%
そこは、現実に似ているが21世紀初頭に、魔法使い・超能力者・妖怪系・変身能力者etc,etcの様々な「異能力者」の存在が明らかになった世界の福岡県久留米市。
やってる事は似ているが「文化」が全然違う「自警団」から「正義の味方」に転職したばか
りでイマイチ勝手が判っていない天台密教系「魔法使い」の篠原千晶と、台湾の台南チームから「新人研修」にやって来た台湾先住民族系の「巫術」の使い手で、規格外の「霊力」を持つ緋桜は、臨時コンビを組む事になるが……うっかり、あるチート級の変身能力者でもある暴力団幹部をボコボコにしてしまったせいで、九州各地の「妖怪系暴力団」を巻き込んだ予想外の大騒動が起きてしまい……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-14 20:34:32
28175文字
会話率:55%
男爵令嬢のセシリーは生粋のオタクで、貴族学園の放課後は、いつも自習室で漫画を描いている。
そんなある日、セシリーは自習室に向かう途中の廊下で、たくさんの令嬢に取り囲まれた、侯爵令息のライナスを見かける。
ライナスはスクールカーストトップのチ
ャラ男で、いろんな意味で自分とは住む世界が違う人種。
セシリーはライナスたちから目を逸らし、自習室に歩を進めた。
陽が沈みかけるまで自習室で原稿を描いていたセシリーだが、今日もカーテンで仕切られた隣の席に、誰かが座っている気配がする。
とはいえ、それが誰か確かめる理由も勇気もない。
原稿を鞄に仕舞い、帰ろうとしたその時――隣の席からペンが転がってきた。
流石に無視するのは忍びないと、ペンを拾いカーテンを開けるセシリー。
が、何とそこにいたのはライナスその人であった――。
あまりの出来事に、その場で尻餅をついてしまう。
しかもその拍子に、鞄から原稿が飛び出してしまった――。
――ああ、終わった。
――明日から私は、ライナス様たちから一人で漫画を描いてるキモオタと嘲笑されるんだわ。
絶望に打ちひしがれるセシリーだったが、ライナスは、
「マジでッ! スッゲェじゃん君ッ!」
「……え?」
少年のように、エメラルドの瞳をキラキラさせ……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-01 21:02:22
5835文字
会話率:47%
「かあさま、ごほんよんでー」
「あらあら、アリスは本当に絵本が好きね」
四歳になる娘のアリスが、何度も読み込んでボロボロになった絵本を抱えながら、とてとてと歩み寄ってきた。
ふわりとカールした金髪は私に、そしてエメラルドの瞳は夫にそっ
くりだ。
「じゃあこれを読んだらねんねするのよ?」
「はーい」
「ふふ。よいしょ」
アリスを抱きかかえながら、二人でベッドに横になる。
箔押しで『婚約破棄』とタイトルが印字された絵本の表紙を、指先でそっと撫でる。
「かあさま、はやくはやくー」
「はいはい、今読みますよ」
表紙を捲ると、華やかな衣装に身を包んだ令嬢と、その令嬢に対して怒鳴っている王子様のイラストが現れた。
「――あるところに、アリシアという公爵令嬢がいました」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-27 21:06:10
3841文字
会話率:67%
クリスト·フォロス·エメラルドコートは自身が異世界転生者である事に気付く。
彼のいる世界は異世界転移者によって文明が発展していた。最近はモンスターの凶暴化による事件が多発しており、彼の通う魔法学園も警戒態勢であった。学園内に侵入者が入った事
により、穏やかな日常は最悪な世界へと変貌してしまう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-23 00:01:04
29638文字
会話率:45%
「永遠なんてない。ただ、私はそれでも望む」で始まり、「緑が目に眩しかった」で終わる物語
キーワード:
最終更新:2022-05-12 07:49:55
935文字
会話率:48%
手帳を拾った。エメラルドグリーンのカバーに覆われたシンプルな手帳。平凡な女子高生の私は、いつもの日常を過ごしていた。
最終更新:2022-05-07 20:38:57
4031文字
会話率:25%
とある世界のとある時代。
200年以上続く長い長い戦乱の世。
一人の転生者が現れた。
その名は『ディムル・エメラルド』
時代を変え、世の価値観を変えた、偉大なる王の誕生である。
最終更新:2022-05-06 19:36:56
201369文字
会話率:27%
この世界に生まれ落ちた人々の右手には魔力の宿った宝石が埋め込まれている。人々はその力によって魔法という奇跡を起こすことが出来た。
ルビー、サファイア、エメラルド、トパーズ――右手に煌めく宝石とその輝き方によって辿っていく運命が決まってしまう
そんな世界。そして私の手に宿った宝石は色を持たない透明な石――出来損ないを証明する無色透明だったのだ。
私と同じ色の宝石を持つ人を見たことがない。だから私はいつもひとりぼっちだ。多くの人達から蔑まされ馬鹿にされる毎日。だけど私は信じていた。そんな私でも必要としてくれる誰かが現れてくれる事を。そして虐げられ続けたある日――私の運命を大きく変える出来事が起こる。これは不幸の底にいた少女が聖女として目覚め、幸せを掴み取るまでの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-14 21:11:39
4891文字
会話率:43%
私達兄弟姉妹は今まで贅沢な暮らしをしてきた。
洋服を望めば新品の舶来品が手に入り、髪飾りをを強請ればエメラルドがゴロゴロと着いた立派なモノが幾らでも手に入った。
父は海運業で一代で財を成したマルセーユの大商人であるトーマスは、今頭を抱
えていた。
「行商を再開してはどうでしょう? 行商であればまだ活路はあるかと……」
「行商など大した稼ぎにはならん! 今必要なのは船だ! それも大きな大きな輸送船がな!」
しかし、自分の意見が現実身を帯びているとは思えない事を自覚しているのか、ワインをグッと煽った。
「行商ですと確かに稼ぎは低いですが、安定して利益を上げることも出来るでしょう……しかし」
「時間がかかりすぎる……それならば婚姻を結ぶしかあるまい」
四人の娘達しかいない訳で……私以外は器量がわるく大商人の娘と言う付加価値しかない訳で……必然的に私《マーサ》に白羽の矢が立つという訳だ。
二人そろってこちらを見た。
どうや自分たちからは言いずらいらしく、仕切りにゲホン、ゴホン咳払いをしている。
はぁ……家のため。いや従業員のためよ。
私は家のための贄になる事にした。千人を超える従業員を雇う大商会が潰れてしまうと、路頭に迷う人があまりにも多すぎるからだ。
私は自分を奮い立たせてこういった。
「私が嫁ぎ船団をそろえるだけのお金を用意して見せます」
父と番頭は手を繋いで子供の様にはしゃいでいた。
私は思わず握り込んだ拳をスッと体で隠して、殴りたい衝動を隠し笑顔を張り付けた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-09 12:07:25
13241文字
会話率:42%