「目覚めたようだな。わしは神。お前は『現実がクソだから異世界に行きてえ』という人間の思いを具現化させた存在」
目を開けると魚がいてそう言った。自分は人魚だった。
魚は異世界の深海の神、ノアタム。深海に人魚の世界を作りたいが、世界観に矛盾がな
いか、異世界の視点で吟味して欲しいという。
私、シンは日本人の自我を持ったまま、魚の姿の神と共に人魚の世界を旅することになった。
その世界、ノアタムアは人魚の世界とはいえ、基本は中世ヨーロッパ風ファンタジーの世界だった。
精霊のストレスが魔物になり、魔物を退治してお金を稼げる世界なので、私は『魔物狩り屋』として行動することになった。
だがまず、人魚も下着を着けるとか、深海にも泉があるとか、太陽と月があるとか、驚くことばかり。
そして人魚の食事はどんなものか? 海中でトイレはどうやって行うのか?
という感じで、世界観の描写を詳しくしながら話を進めています。
人魚の排泄方法について割とリアルに描写していますが、トイレは全年齢が行うことなので、アダルトでは無いと判断しました。
人魚の繁殖方法についても詳しく描写していますが、メダカの繁殖方法の説明のような物なので、アダルトでは無いと判断しました。
世界観はある程度「オリキャラのキャキャキャ」シリーズと共通ですが、独立した話です。
主人公の自我は現代の日本人で、異世界で人魚としての新たな生を受けた存在です。
だから『異世界転生』かと思ったのですが、なろうの定義では異世界転生は「主人公が元の世界で一度死亡し、異なる人物として「異世界」への生まれ変わりを果たしている作品。」とのこと。
日本人の特定の個人が死亡した描写はありません。
主人公が異世界で人魚の姿になったのは、「『現実がクソだから異世界に行きてえ』という人間の思いを具現化させた」という設定です。
なのでこの作品は、「日本人の意識が異世界の人物に憑依している」状態に近いと考え、『異世界転移』と判断しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-01 10:07:18
503272文字
会話率:42%
「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」
幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。
──どこ
ろか。
「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」
決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。
この作品は、アルファポリス様にも掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-18 12:03:50
17952文字
会話率:42%
桜並木の足元に、ぽつんと置かれたぬいぐるみ。
“落とし主との待ち合わせ”
話しかけた少女に、ぬいぐるみはさくら色のやさしい声でそう言った。
最終更新:2023-04-11 22:45:00
2582文字
会話率:17%
「飼ってください」
初対面の見知らぬ女がそう言った。
被害にあったのは僕と、彼女の中にいる見知った友達。
加害者は僕と彼女。もしかしたら彼もそのうちそうなるかもしれない。
最終更新:2023-04-07 08:00:00
60463文字
会話率:43%
「池田くん、運命って信じる?」
会社の先輩の諸見里さんが皓太にそう言った。彼女は運命論者だった。
皓太は運命など全く信じたことがなかった。しかし、ある日、ひょんなことから、一人の女性と出会い、皓太は彼女に一目惚れをする。彼女との出会いにより
、皓太は次第に運命を信じ始める。
運命を信じ始めた皓太の運命とはいかに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-01 21:40:05
33184文字
会話率:50%
その日、山崎晴斗(やまざきはると)は妻の彩乃(あやの)と新婚旅行で京都へ来ていた。二人は嵐山の旅館に一泊二日で泊まっていた。
その夜、二人が部屋で懐石料理を食べていた時、ふと彼女が口を開いた。
「ねえ、あなた。私達って、世界の料理を食べ歩い
てきたじゃない? だけど、日本の料理ってまだよね」
彼女にそう言われて、晴斗は確かにと思った。
それから、晴斗は四年前のことを思い出した。四年前、二人は趣味で世界の料理を食べ歩いていたのだった。
懐かしいなと晴斗は思った。
「ねえ、あなた。今度は、日本中の料理を食べ周らない?」
それから、彼女がそう言った。
「日本中の料理か」と、晴斗は呟く。
それから、いいだろうと思った晴斗は、今度、二人で日本の料理を食べ歩く趣味を始めようと決める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-15 17:36:28
61369文字
会話率:46%
心の内をのぞいてみせる、奇妙な男に私は出会った。
かつて別れた恋人が亡くなった、その知らせを受けて訪れた、恋人の故郷の島で。
シルクハットをかぶった、奇妙な男は言い当てた、私が島を訪れた理由を。
「見つかるとよろしいですな。『空白を
埋める言葉』」
私は空白を抱えていた、かつての恋人が死んだと聞いても、何の感情も湧かなかった。空白だけが居座る胸の内を埋める何か、『空白を埋める言葉』を探して、恋人の故郷へと来たのだった。
そして奇妙な男は、その旅に同行を申し出る。ハザマダ ブンガクと名乗るその男は。
「お探しのもの見つかるように、このブンガクがお供します。お嫌なら、ま、結構ですが。ただしゆめゆめ忘れぬように、人は誰しも一人とて、文学からは逃れ得ぬこと。それはまるで自身の影から、いやいやまさに自身から、決して逃れ得ぬように。えぇ、決して」
ブンガクはひざまずくように、うやうやしく礼をしながらそう言った。シルクハットを取りもせずに。
喪失と空白と、小さな島と。心と言葉をめぐる、小さな旅が始まる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-30 19:00:00
29419文字
会話率:37%
「本当に楽しそうだね」
私は君に疑問を投げかける。僕たちは虐げられ、誰にも相手にされなかった弱者で、君を殺して死のうとしているのに、「だって、やっと死ねるのよ、一緒に地獄に落ちようね」
「この世界に地獄があるとは思えないけど」
僕はそう言っ
た。彼女はそれでも笑顔で
「なら、次も一緒に産まれようね」
そう言った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-24 01:54:08
5415文字
会話率:41%
「……突然ですが、過去に戻れる不思議な手鏡にご興味はありませんか?」
突然部屋に現れた風変わりな女神は、そう言った。
過去に戻れる?それって過去をやり直せるってことか?そんなの欲しいに決まってる。だってあの日をやり直せたらきっと、今もリフ
ィは俺の婚約者でいてくれているはず――。
婚約して五年もたつのに、婚約者リフィのことが大好きすぎてまともに顔も見れずデートにも誘えない青年メリル。それでも一見穏やかに婚約期間を重ねていた二人だったが、ある日不幸な偶然により、リフィとの婚約を解消することに。
会いたいのに会いにも行けず、うじうじと屋敷の自室に引きこもる日々。でもリフィへの思いは募るばかりで。
そんなある日、部屋に奇妙な女神が突然現れこう言ったのだ。「過去に戻れる手鏡はほしくありませんか?」と――。
なんとしても愛するリフィを取り戻したいメリルは、その話に飛びついた。
あの日をやり直し、婚約解消なんてなかったことにしようと意気揚々と過去に戻ったメリルだったが、そううまく事は運ばなくて……?
少々ヘタレで不器用な青年メリルとリフィの、婚約しているのになぜか両片思いの恋と、個性豊かな友人たちとの友情のお話。
★男主人公視点でつづられる恋愛話です。個性豊かな友人たちとのワチャワチャな友情もお楽しみいただければ幸いです。
★小説家になろう、アルファポリス、カクヨムでも連載中(予定)です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-23 09:41:54
45106文字
会話率:29%
「私はヒトの記憶を奪って生きているの」
進藤准の前に突如として現れたアイと名乗る少女はそう言った。
物事を斜に見る癖のある進藤は当然この荒唐無稽な話を信じる訳はなかった。しかし、実際にその少女の持つ異能の力を身を以て体験することで進藤は彼女
の言葉を信じざるを得ない状況へと陥っていくこととなる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-16 21:05:28
32122文字
会話率:26%
「人は一人では生きていけない。だから隣人を愛しなさい」かつて誰かがそう言った。少女はその言葉を解釈し、そして同時に囚われてしまう。それから時が流れ中学二年生の時、少女は人生で初めての挫折を味わった。なにが正解でなにが間違いなのかは少女にも分
からない。ただ、高校生になった彼女が一つ教訓を見出すとするならばーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-05 05:00:00
2411文字
会話率:13%
――――だから、ボクは正真正銘の未来人なのです!
桜の花弁が降る道で、少女は高らかにそう言った。
恋人を作る事に命を懸ける男子高校生、信乃方 歩夢(しのかた あゆむ)。
その幼馴染であり、整った外見ながらも備えついた怪力にコンプレックスを
感じる美少女、水原鈴音(すずね)。
「……もしや、未来人の力を借りれば、簡単に俺の運命の相手がわかるのでは?」
未来人が現代で行動しやすいよう、鈴音と歩夢は協力する事にする。
だが未来人の真の目的――――それは歩夢のラブコメを成就させること!?
「だからボクは、ママがセンパイと……パパと結ばれる手伝いをしにきたのです!」
「あ、あたし!?」
失敗すれば世界消滅のリスクまでも背負う、未来人の極秘ミッション成功のため、恋する乙女は大奮闘!
美人で文学少女な先輩に、クソザコ中二病な男の娘。
青春な部活を作ったり、フィクションみたいに馬鹿げた青春を笑い合う。時に喧嘩して、笑って笑って泣いてまた笑う。
これは、確かに存在した彼らの青い物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-01 19:43:54
97896文字
会話率:41%
「どうせ死ぬなら、その人生、僕にくれない?」美しい吸血鬼はそう言った。婚約者から双子の妹の妊娠を理由に婚約破棄されたアデル・ウェルチは孤独であった。このままつらく苦しい人生を送るくらいなら、と死のうとしたアデルだが、それを止めたのは見知らぬ
吸血鬼だった。「僕、君に一目惚れしちゃったみたい」……絶対に嘘だ。そう思うのに、かけられた声に応えてしまう。わたしは生きたいのだろうか。お互いに実は縁のある吸血鬼と伯爵令嬢が幸せになるまで。25P完結で毎日更新します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-18 04:46:50
134820文字
会話率:31%
わたくしは初代聖女の末裔にして王太子の婚約者だった。けれど闇属性の魔力持ちで死霊術が得意だったせいで家族からも婚約者からも好かれてはいなかった。そうだとしても、わたくしは確かに公爵令嬢で王太子の婚約者であったはずなのに。「死霊術師など穢らわ
しい」最期に婚約者はそう言った。魔族と通じてなどいなかったのに処刑された。……絶対に許さない。前世の記憶(乙女ゲーム)を思い出し、リッチとして密かに復活した元公爵令嬢レイチェルだが、復讐するために魔族側について魔王を復活させたら何故か魔王から「あなたは私の運命だ」と言われて……? ※毎日更新で25話予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-31 17:05:05
135152文字
会話率:29%
「そうやって何度も、あの時間を巻き戻す記憶が自分の中に残っている限り、俺はそれだけで、十分なんだ。」
高校二年の夏、あの花火の下、僕は隣に座る人物と口づけを交わした。
「忘れた事なんて、ないよ」
彼は、そう言った。嬉しかった。誰
かを信用することが怖くて、誰からの関心を受けることから逃げてきた僕を、彼だけは、覚えていてくれたことが。そうして、今も尚、その〝キーホルダー〟を持ってくれていたことが。
「蒼井!」
だが。その声は彼に届くこと無く、ああ、また僕は、大切な存在を失った。夏休みが明けても、彼が姿を現すことは無かった。
あの日、花火の下、僕は隣に座る人物の頬に、そっと唇を触れさせた。
記憶を少しずつ失っていく僕には、どうしても忘れられない、決して忘れたくない、ある人物との〝一つの記憶〟があった。このキーホルダーをくれたことを、彼は覚えているのだろうか。いや、もし忘れられたとしても、構わない。僕が覚えているのならば、それでいい。ぼくは自分に、そう言い聞かせてきた。最後に小学生の彼と別れを告げてから今まで、ずっと。
だが、あの日。僕らが花火の下、交わし合った言葉。
「忘れるわけ無い。忘れた事なんて無い、一度も。」
その言葉は、僕の心臓を奪う程だった。
この感情は、一体何だ?竜巻のように生まれる、複雑に絡み合った感情の渦。それは、何とも衝動的な一夏の過ちだった。
繰り返す出会いと別れに胸を震わす、二人の青年の感情を描いた青春物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-07 16:29:36
80968文字
会話率:50%
「恋とは何か教えてくれんかの?」
上半は人、下半は蜘蛛、アラクネである彼女はそう言った。
でも、主人公は彼女のことが見た目がグロイと思っているし、怖くて仕方がなかった。
そんな二人が紡ぐラブストーリー。
最終更新:2023-01-05 23:31:47
6367文字
会話率:29%
*短編(「王太子は不幸体質な公爵令嬢とハプニングを楽しみたい」)を長編用に(短編前後の話を追加して)創り直したため、短編とは違う構成(主にアリシア視点)になっていますが、話の内容はほとんど変わっていません。ご了承ください。短編を読んでいなく
ても楽しめますが、短編を読んでから長編を読んでも、変化の違いが楽しめてお得です。
公爵家の公女(令嬢)のアリシア・メロディアスには、妹のヴィヴィがいる。小さい頃から大切な物をヴィヴィに譲っていたアリシアは、成長していくにつれて、ヴィヴィの要求が大きくなっていることに辟易していた。ヴィヴィは両親の魔法の力を色濃く継いだ<原性遺伝子>を持っていて、両親(ローランドとリーサ)には可愛がられている。比べてアリシアは<零性遺伝子>を持っているため、病弱で早死にしやすく、将来何も成せないと言われて、心ない言葉をかけられる日々を過ごしていた。
そんなある日、アリシアがルイス・キャロ・ヴェイン王太子の婚約者に選ばれてしまう。そのことを知った両親やヴィヴィは、時間をかけて壮大な計画を練り、アリシアに呪いをかけた。
「ごめんね、また欲しがっちゃって」
王太子の婚約者という立場が欲しくなったヴィヴィは、アリシアにそう言った。王国の前例に倣い、アリシアを婚約破棄させてヴィヴィ自身が婚約者なるという計画は、こうして動き始めた。
呪いという秘密を抱えたアリシアは、その秘密が暴かれることを怖れながらも、その年16歳になる王族と上位貴族の義務であるファウスト王立学院に入学する。ルイスと距離を置いていたアリシアだが、ローズ・マインベルク伯爵令嬢のおかげで、2人の距離はぐっと縮んだ(短編部分)。楽しい学生生活の訪れを感じていたが、1年後にはヴィヴィが入学してくるのだ。気が重くなるアリシアに対し、ルイスは悪戯に笑った。
主人公アリシアと裏主人公ルイスのささやかな(?)仕返しが始まろうとしていた。
下記短編の連載版です。
https://ncode.syosetu.com/n6098hp/折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-27 09:17:21
191519文字
会話率:43%
「俺を呼び出すとは良い度胸だ……なんだ、子ども、か? ……まあいいだろう。お前の願いを一つ叶えてやろう。さあ、願いはなんだ?」
美しい顔なのに妙に歪な笑顔で目の前の男、悪魔がそう言った。
私はいつもこの部屋の中にいる。
この部屋はただ
の物置。
私はここに一人でいる。
昔は、誰かの温かい腕の中にいて、明るい部屋にいたような気もするが、もう、あまり覚えていない。
それが今日の朝、驚いた。
隣に熊がいた。
そう、熊。
子ども向けの丸い可愛い熊ではなく、いわゆるガチな熊。
『メリークリスマス! このぬいぐるみはあなたのともだちよ!』
クリスマスの朝、ひとりぼっちは熊と二人になり、嬉しくて踊ったら、それは偶然に悪魔を呼び出す儀式になってしまい……。
寂しいのは、誰だった?
冬童話2023参加作品です。
少ししんみり、でもほっこりしていただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
m(_ _)m
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-25 13:14:07
6863文字
会話率:33%
『パパ、今夜は夏祭りだよ。私、パパと夏祭りへ行きたい』
今夜が峠だと宣言された十歳の娘が、一時的に意識を取り戻した。娘は私の手を握り、震える声でそう言った。
もう長くはない命。妻や医者の制止を振り払い、ベットに横たわる娘を背中におぶって、私
は外へ飛び出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-22 17:06:06
995文字
会話率:56%
僕と君は同じバンドが好きな友人で
コミュニティでも、個人としてもたくさん話をした。
バンドのこと、勉強のこと、これからのこと。
そうして話をしているうちに、僕は君のことを好きになっていた。
でも、その気持ちに気付いたのは
君が友達から
告白されたことを告げられた時だった。
僕と君の共通の友人。
彼とはそこまで親しいわけではなかったけれど、
彼がまっすぐで誠実な人だってことはわかってた。
彼女はその告白に躊躇っていたけれど
その言葉の端々から嬉しさを感じることが出来た。
だから僕は「もう答えは出ているんじゃないかな」と、そう言った。
それが彼女の幸せに繋がると信じて。
そうして僕は連絡を絶った。そうする必要があったから。
僕にも、君にも、彼にも。
だから、こうしてまた、君を前に話す日が来るなんて
その時は本当に思ってなかったんだ。
▽▲▽▲▽
「第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-18 07:00:00
1000文字
会話率:14%
田舎を舞台にした青春群像劇。
田舎で幼馴染や家族とそれなりに本人から見ると、平凡な、だが持っていないものから見ればそれは、とてもうらやましいそんな平穏な毎日を過ごしていた、主人公の朝日。
幼馴染と一緒に街に向かうときに、電車で薬と筒状の何か
が入った袋を忘れた女の子にそれを届ける。すると、女の子は迷惑そうに薬を受け取った。
「ありがとう」
明らかに、ありがたそうではなかった。
その後、町をぶらついていると、美術館に入っていくその女の子を見かける。
美術館の前には、17世紀ルネサンス美術展。
思い出したのは、届けた袋に入っていた筒状の何か、女の子を追いかけたときに聞こえた[カラカラ]
という音。
嫌な予感がした、アサヒは美術館へと入り女の子を探す。女の子がいたのは、”大公の聖母”と書かれた絵。その絵を見る彼女はどこか悲しそうで、しかし、悲しみの隙間には恨みのようなものが見え隠れしていた。絵を見ているだけかと、安心した朝日だったが女の子が袋に手を入れて瞬間にアサヒは、女の子を止めに入る。
「何する気なの?」
「離して。」
-----------------------------------------------------
女の子を止めた朝日はどうしてそんなことをしようとしたのか、聞かざるを得なかった。
朝日には、わからないのだ。平均的なしかし、最も完成された幸せが身近にある朝日には、なぜ展示されている絵にスプレーで落書きをしようとしたのかが。
「私は、神を信じていたの。これっていう神様はいないけど、神様が見ているよの神様。だけど、神様を調べてみると、最終的には権力やお金に行き着く。むかついたから、仕返ししてやろうと思って。」
悪びれもなく彼女はそう言った。自分の正義に一ミリも罪悪感が介入する隙はなさそうだった。
「神様…。君は、神様がいないから失望したの?」
朝日は、吸い込まれそうな彼女の深淵のような瞳孔から目をそらせなかった。
「神様にいつか助けてもらう予定だったからよ。」
俺は、その深淵から抜け出すことはできなくなっていた…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-18 00:13:38
8470文字
会話率:34%
「うちの猫がいなくなっちゃった」
ある日、加奈ちゃんはぼくを見上げてそう言った。
最終更新:2022-12-13 12:08:35
2592文字
会話率:7%