※残酷描写と念の為です!
英雄になりたかった。ただ、それだけだった。
けれど――“英雄は、孤独だ”という言葉の意味を、僕はまだ知らなかった。
高校生・朝倉遥斗は、放課後の図書室で一冊の古い本――《異端の書》を手にする。
その日から、世界
は静かに揺らぎはじめた。
裂けた口元に笑みを浮かべる魔人ロギュル。
彼は“物語の外”から来た存在であり、遥斗の願いを見透かしたように告げる。
「君がページをめくった時点で、もう物語の端役じゃいられない」
悪魔が現れ、現実が軋み出す。
ロギュルとの“契約”を通じ、遥斗は英雄としての力を得ていくが、同時に自らの存在もまた、ページの外へと侵食されていく――。
これは、
英雄になることを望んだ少年が、世界を救い、すべてを失い、
それでも祈り続ける者へと至るまでの物語。
物語の外で、君はまだ、見ているか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 19:00:00
79917文字
会話率:24%
剣道部主将でバスケ部のエースで生徒会役員である大和青葉の世界は、体育館裏での出会いから少しずつ歪み始めていく。優等生の仮面の下に執着の炎を秘めた後輩・加賀見蓮は、その儚げな美しさで周囲の目を欺いていた。
『私は美しい顔の中に全てを閉じ込め
ることができる、あなたの欲望も、絶望も、愛も』(蓮)
図書室でのランボーにインスパイアされた自詩の朗読、マッサージを口実にした触れ合い。梅雨の雨音に包まれた放課後、二人の距離は縮まっていく。
「先輩を見ていると、詩が読みたくなる」
芸術的な言葉で狂気を隠す蓮。その美しい詩の奥に潜む危険な想いに、完璧な強さの中に弱さを持つ大和は、気づきながらも次第に心を奪われていくのか?
また見つかった…
…何が?
永遠が。海と溶け合う太陽が…
(地獄の季節・ランボー 引用)
✲ノベマの第1回 BL短編コンテストの最終選考に残して頂いた作品を
一人称に書き換えて文字数を倍位にしました。
〈登場人物〉
《攻め》
加賀見 蓮(かがみ れん)
高校2年生、身長178cm、美術部、図書委員
(詩人のような繊細さと、白昼夢のような狂気を持つ)
•グレージュの髪と儚げな瞳を持つ美形。その繊細な外見からは想像できない執着の深さを秘めている
•天才的な文才の持ち主で、特にフランス象徴派の詩に傾倒
•マッサージの腕前は天才的。これも大和に近づくための周到な準備の一つ
「僕は、先輩の鏡になりたいんです」
「詩は、本当の心を隠すのに丁度いい道具なんです」
✖️
《受け》
大和 青葉(やまと あおば)
高校3年生、身長180cm、剣道部主将、バスケ部エース、生徒会役員
(強さと優しさを併せ持つ)
•剣道とバスケの両方で頭角を現す文武両道の優等生
•表面上は冷静沈着だが、蓮の言動に次第に心を奪われていく
•強さの中に秘めた繊細さが、蓮の罠に絡め取られていく要因に
「俺のどこがそんなに特別なんだ?」
「お前の愛は、俺を殺す愛か?生かす愛か?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 18:00:00
25351文字
会話率:36%
高校1年生の男子生徒・桐谷湊は、密かにペンネーム「ミモリン」として活躍する売れっ子小説家。
そんな彼が心を奪われたのは、学校の図書室で働く38歳の司書・朝倉叶。
穏やかな笑みと知性に満ちた叶に恋をした湊は、正体を隠しながら読書を通じて少し
ずつ距離を縮めていく。
「好きな作家は?」と尋ねた湊に、叶は答える。
――「ミモリン。あの人の物語、私を救ってくれたの」
目の前に“本人”がいるとは知らずに。
誰にも気づかれぬまま、ふたりだけの恋が始まる。
そして卒業式の日、湊は自身が“ミモリン”であることを明かし、叶に交際0日でプロポーズ。
年齢差を超えた極秘婚。そしてその先に待っていたのは――三つ子の妊娠、出産、家族としての日々だった。
図書室から始まった“静かで確かな愛”は、
やがて「家族という物語」へと育っていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 16:30:00
2314文字
会話率:27%
絵にかいたような優等生である唯の放課後の楽しみは、一人で図書室で読書をすること。そんな彼女の平穏を打ち破る存在がいた。
小中学生に爆発的な人気を誇るトレーディングカードゲーム「デュエル・ザ・バース」、通称デュエバ。明らかな不要物を携えて現れ
たのは、同じクラスの少女友美だった。
暇つぶしで勝負を挑むも、あっけなく敗北してしまう。だが、それが唯の闘志に火をつけた。友美に勝ちたい。そんな思いで始めたデュエバだが、やがて彼女はその道に邁進していくことになる。
そして、唯をデュエバに誘った友美の真意とは。
美少女たちがカードゲームに熱き青春を捧げる健全百合小説、ここに開幕!
カクヨムとも同時連載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 14:52:11
214538文字
会話率:53%
長北高校の生徒である、深見常夜は1年間の絡みが無かった謎の少女である芽生いちしと図書室であう。
忘れ物取りに帰ろうとするみちすがら、いちしから「告白したいことがあるから二人になれないか?」ときかれ、それを快諾する。
ところが、告白を受ける場
所になるはずの1−4に血を流して倒れている男子生徒の遺体が。
するといちしさんはこの事件を僕が捜査すると宣言。
俺も助手として手伝いすることに。
果たしていちしさんが抱える謎とは?
衆人環視の密室からの脱出に成功した犯人の驚くべきルートとは?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 07:00:00
29084文字
会話率:27%
春から司書教諭になる予定だった、本浦翠(もとうら すい)。
念願の仕事だったのに、いきなり異世界に召喚されて「聖女」になっちゃった!?
でも、国は平和で聖女の仕事はないらしい。
なら、司書教諭をやらせてもらいます!
魔法学園の図書室は、荒
れ放題荒れていた。
その図書室を改善するべく、持っている知識フル総員で立ち直らせます!
聖女なのに、司書教諭。
チートな力を使いながら、本を愛していく物語です。
*カクヨムでも投稿中です*折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 23:34:25
108437文字
会話率:36%
――今日も彼女は、事件を詩にして詠んでいた。
県立さくら坂高校の文芸部部長・夜凪詩音は、ちょっと……いや、だいぶズレている。
「詩人としての感性を鍛えるのよ」と言ってはロッカーにこもり、図書室で焚き火を起こし、黒板に短歌を書き連ねて自動消
滅装置を作動させ――毎日のように「事件(?)」を起こしている。
そんな彼女の暴走を止めるのは、1年生のツッコミ3人組。
冷静毒舌の情報処理部員・佐倉まどか、体育系突撃娘・風見さつき、癒しの天然少女・白鳥こより。
非公式の「文学少女対策課」として、今日も校内を右往左往!
詩と笑いとトラブルにまみれた、青春(?)ドタバタ学園コメディ開幕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 15:00:00
8470文字
会話率:44%
高校2年生の紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心に幾度となく告白されているが、全て振っている。クールで笑顔を全然見せないことや、「氷織」という名前から『絶対零嬢(ぜったいれいじょう)』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱いている。しかし、落とし物を拾ったり、図書室で本を取ってあげたりするくらいの関わり。フラれるのが怖く、氷織に告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。「紙透さんには助けられてばかりですね」という氷織の言葉をきっかけに、明斗は氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうかな?」
明斗のそんな提案を氷織は受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる学園ラブコメディ!
※最新作がスタートしました!(2021.4.1)
※1日1話ずつ更新していく予定です。
※カクヨム、アルファポリスでも公開しています。
※ブックマーク登録、感想、評価、レビューをお待ちしています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 17:16:58
864603文字
会話率:56%
もうすぐ三学期が終わる高校一年生の冬。
【犬甘敬】は気まぐれで訪れた図書室にて一人の少女と出会う。
その少女の名は【大撫天子】。小さくて可愛らしい女の子だ。
そんな二人の間には劇的な出会いがあったわけではない。強いて言うならば、敬が少女が取
ろうとして届かなかった本を取ってあげたぐらい。
しかし、そんな些細な出会いをキッカケに、二人の運命は大きく動き出す。
時は少し流れ、四月。二人は高校生二年生となり、同じクラスとなった。
敬はいつも通り登校すると、そんな彼に謎のストーカーが現れる。すると、その正体は図書室にいた少女であり、そして少女は敬に頼み込んだ。
「と、友達の作り方を教えてください!」
これは友達が作りたい少女と、それを手伝うことにした少年が織りなす青春謳歌ラブコメである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 22:19:55
159317文字
会話率:29%
青陵高校2年B組の西野陽太は、クラスでは委員長、バスケ部ではシューティングガードで活躍する、明るい自信家のアルファ。
フェロモンで周囲を惹きつけるアルファの陽太は2年のクラス替えで、目の前にいる月岡悠真の足元に消しゴムを落とした。悠真が消し
ゴムに気づきそれを拾い、そこではじめてお互い会話を交わす。
その日の放課後、図書室で本を落とした悠真を陽太がタイミングよく助けた。目の前で柔らかくほほ笑みながらお礼を言った悠真の笑顔に、陽太は一目惚れする。
なにげない出来事で胸の高鳴りを感じた陽太は、悠真を『運命の番』と認定。次の日からアルファのフェロモンを使いまくり、悠真を落とそうと試みるが、ベタの悠真はフェロモンを感じることができない体質だった。
果たして恋に不慣れな高飛車アルファの陽太は、恋をまったく知らないド天然ベタの悠真と『運命の番』になれるでしょうか⁉
(ネオページ契約作品:月水金曜日更新予定)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 21:43:23
50096文字
会話率:49%
舞台になるのは『極夜の館(きょくやのやかた)』。主人公は青年。名前は思い出せない。
青年の記憶は、極夜の館を取り巻く茨の森に辿り着いた所から始まっていた。館で暮らしているのは、吸血鬼、ゾンビ嬢、人魚。怪物だらけの館で暮らすことに嫌気が
差しがちな青年は、度々ここを抜け出そうとするが、どれだけ出口に向かって進もうとも、不思議と茨の森から出ることはできず、結局は館に帰ってくるのだった。
青年と怪物たちとの日常を描きながら、青年が無事に森を抜け、極夜の館を後にするまでを追う物語。なぜ、彼らは館に集められたのか、どうして茨の森から出ることができないのか。青年の正体は、吸血鬼の過去は……。彼らと、館に纏わる謎を、館に残された天井画、図書室の本などを手がかりに解き明かす。
※ちゃんとあらすじを書き直しました。ちゃんとね。
※アルファポリスさんにも投稿しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 11:15:59
432240文字
会話率:53%
私立異世界博物館、それは異界の暗黒地帯と称される勤務地の総称である。
図書室に勤務する司書の菜花奈都姫(なばななつみ)さんは、一般の職員とは異なった仕事に従事している。
労働基準法の存在を真っ向から否定した過激な勤務。
そんな仕打ち
を律儀に耐え忍び、長期出張の日々を過ごさなければならないのだ。
日々不満を抱きながらの勤務ではあるものの、私立異世界博物館から支給される道具や能力は使い勝手が非常によろしい。
出張経費は、衣食住総て博物館持ちで一切かからない。
薄給を埋めてもまだ有り余る特典に慣れてしまい、いつしか辞めるに辞められない生態へと変化してしまった。
それもこれも、祖母から受け継いだ一戸建てを維持管理しながら、栄養失調にならずに生き延びるためである。
地球に生息する人類ただ一人の異世界司書奈都姫さんは、今日も元気にどこかへ出張している‥‥‥。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 08:06:47
635211文字
会話率:36%
天才高校生月本響は、ある日学校の図書室で謎の本を見つける。気がつくと見たことのない大草原のど真ん中。響は異世界転移の能力を手にした。5xxx年、その世界の二大勢力である「ネオンズ連合王国」と「ノーマルズ共和国」が数百年にわたり周辺諸国を巻
き込む世界大戦を繰り広げていた。響はその天才的な頭脳で周辺諸国と同盟を結成し新たな同盟国「ウォールズ連邦国」を建国。そして異世界転移によって現実世界と異世界を自由に行き来できることに気付く。しかし元の世界でも世界情勢の悪化により全世界を巻き込んだ「第三次世界大戦」が勃発してしまう。響は2つの世界で戦争のない平和な世界を実現するべく、現実世界では「歴史の暗躍者月本家15代目当主月本響」として、異世界では「ウォールズ連邦国盟主ムーンライト・ウォールズ」として暗躍する。
2つの世界を行ったり来たり?!新感覚異世界系物語「NEON THE WORLD」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-28 22:20:39
7353文字
会話率:60%
雑司ヶ谷高校1年生の武田純也は、図書室で絡まれた2年生の上杉紗夜に無理やり歴史研究部に入部させられる。
部長の伊達恵梨香などと共に、その部の活動として、なし崩し的に日本100名城をすべて回る破目になってしまう。
※この小説を読んでも歴史や
お城に詳しくなれません(笑)
※コロナ禍の前の取材の情報なので、お城などの施設の開・休館などの情報、交通経路および料金は正しくない場合があります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-28 20:53:24
762219文字
会話率:43%
本が好きで、いつも図書室にいる地味な女の子。ある日、人気者の男子が忘れ物を取りに来たことで、二人の秘密の時間が始まる。共通の小説を通して、少しずつお互いの本当の姿を知り、惹かれ合っていく静かで優しい恋の物語。
最終更新:2025-06-27 19:10:00
5961文字
会話率:41%
「じゃあ、俺たちライバルだな? お互い頑張ろう!」
幼なじみで初恋の相手パーシヴァル(パーシー)から、告白されていたはずなのに...…早とちりからライバル宣言されてしまった、メイベル(ベル)公爵令嬢。
「こうなったら、プリンスキャラで
行く!」
破れた恋心を隠して、後輩女子達の憧れ、魔法学園の王子様を目指して。
ついには最優秀生徒に贈られる、『時間旅行』を勝ち取ったメイベル。
旅行当日、助手代理のパーシーと一緒に、旅の扉を開ける事に。
行先は50年前、革命に消えた帝国。
幼い皇女の寝室。
図書室に隠された秘密と、思いがけないトラブル!
2人の旅と恋の行方を、ぜひ見守ってください。
(アルファポリスの『恋愛小説大賞』参加作品を、加筆修正しています)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 17:52:27
21798文字
会話率:39%
三大公爵家の三男で、のんびり屋のノア・アードルフ。勉強の為に自宅の図書室で歴史書を読んでいたが、変わった書物を発見。読んでいると、いつの間にか千年前の世界に飛んでいた。まだ4歳の幼い体ながら、元いた世界に戻る為と、この世界を少しでも良くする
為に奮闘する、ほのぼの家族ファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 17:13:12
87624文字
会話率:44%
高校生・匠真は、図書室の返却カウンターで重ねた本を返し終えたその瞬間、床下に開いた《青い扉》に吸い込まれる。目覚めたのは、空と大地を巡る魔素に満ちた異世界〈ルーメリア〉。そこで出会った自由奔放な風の魔術師・結那との「互いの誓い」を胸に、匠
真は仲間たちとともに暴走する魔導炉、禁呪による竜の襲撃、崩落寸前の巨大図書館――数々の危機を学びの力と記録の剣で乗り越えていく。
果たして彼は、「帰還の門」を再起動させて無事に故郷へ戻ることができるのか?――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-26 17:10:00
33350文字
会話率:40%
承知いたしました。先ほどの小説「桜並木の約束」のあらすじですね。
桜並木の約束:あらすじ
高校2年生の悠真は、通学路の桜並木でいつも少し前を歩く美咲のことが気になっていた。クラスは違うものの、図書委員として週に一度顔を合わせるうちに、悠真
は彼女の何気ない表情や仕草に惹かれていく。
ある日の放課後、図書室で資料を読んでいた悠真は、同じく読書に没頭する美咲に思わず声をかける。そこから、二人はお互いの好きな本や趣味について語り合い、少しずつ距離を縮めていく。特に、美咲が猫を飼っているという意外な共通点を見つけ、悠真は胸の高鳴りを感じる。
週末、悠真は勇気を出して、駅前にできたカフェで期間限定の桜スイーツを食べに行こうと美咲を誘う。カフェでの時間は、共通の話題で盛り上がり、二人の間には心地よい雰囲気が流れる。
帰り道、再び桜並木の下を歩く二人。美咲はふと立ち止まり、悠真に「この桜、来年も一緒に見れるかな?」と問いかける。その言葉に、悠真は精一杯の笑顔で「うん、絶対!」と応える。舞い散る桜の花びらの下、二人の間には甘酸っぱい未来への予感が漂っていた。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-25 15:28:55
2214文字
会話率:40%
十六歳の女子高校生、佐倉葵は、おどおどした性格で人見知り。クラスに馴染めず、自分の意見も言えないまま、常に教室の隅で息を潜めるように過ごしている。些細なことでも自分を責めてしまい、漠然とした焦りの中で学校に行くことさえ億劫になっていた。
ある日の昼休み、一人になれる場所を求め図書室へ向かった葵は、そこで一冊の古びた詩集を見つける。その詩集の余白には、かつてこの本を読んだ誰かが書き残した、心のこもった小さなメモが挟まれていた。さらに、その中のページには、まるで自分に語りかけるかのような、手書きの短い詩が綴られた紙片が挟まっているのを発見する。
誰が書いたのかも分からない、どこか寂しげだが希望も感じさせるそれらの言葉に、葵の心は静かに揺さぶられる。詩集に書かれた「通り雨はアスファルトを濡らし、やがて乾く。残されたのは微かな匂いと虹の夢」という言葉は、葵自身の抱える問題にも重なり、やがて来るであろう希望を予感させる。
それ以来、葵は図書室に通い、詩集を読み返すことで、少しずつ心を落ち着かせていく。そんな中、クラスの中心的存在である佐藤美咲から気さくに話しかけられるようになり、ささやかながらもクラスメイトとの交流が生まれていく。
ある帰り道、美しい夕焼け空を見上げた葵は、詩集のメモの言葉を思い出し、自分の抱える困難もいつか通り雨のように過ぎ去ると感じる。そして、再び図書室を訪れた葵は、詩集の空白のページに、今度は自分自身の言葉で「雨上がりの空に虹はなくてもきっと光はある」という新たな詩を書き残す。
まだ劇的な変化があったわけではないが、葵の心には確かに温かい光が灯り始めていた。あの詩集がくれた小さなきっかけと、ほんの少しの交流を通じて、十六歳の葵の日常は、ゆっくりと、しかし確実に、新しい色を帯び始めていくのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 09:00:00
3416文字
会話率:23%
ある日、図書室へ急いでいると、不思議な部屋にたどり着いた。
そこには、あまり仲の良くないノアがいて…
最終更新:2025-06-24 22:40:20
16611文字
会話率:46%