西暦1917年3月15日(ユリウス暦3月2日)、一羽の鷲が地に伏した。
鷲は、名を『ロシア帝国』と言う。
周辺諸国を武力によって併合し、『民族の監獄』とすら呼ばれた帝政ロシア――ツァーリによる専制体制は、強大な軍事力によってのみ、そ
の秩序を保っていた。その軍事力の脆弱さを露呈させ、帝政ロシア崩壊の遠因を作った戦争が、『日露戦争』。中でもロシア海軍が決定的な大敗北を喫し、時の皇帝ニコライII世を講和のテーブルに引きずり出した戦いを、『ツシマ海戦』と言う。日本で言うところの『日本海海戦』。東郷平八郎率いる連合艦隊と、ロジェストヴェンスキー率いるバルチック艦隊の決戦である。
ジノヴィー・ロジェストヴェンスキー中将――敗戦の将と言うこともあり、何かと悪く書かれることの多い人物であるが、実際はどうであったろうか。
1905年……帝政末期のことである。官僚機構は腐敗し切り、労働者はストライキやデモに明け暮れ、ウラジーミル・レーニン率いるボリシェヴィキが既に暗躍を始めている時代に行われた、4000海里にも及ぶ想像を絶する大航海。道中の海は全て敵国イギリスもしくはイギリスの顔色を伺うばかりのフランスに握られ、碌に寄港も出来ず、慣れない熱帯の気候で病死者が相次いだ旅路。
実に1万人もの将兵及び非軍人水夫を、遠くバルト海からアフリカ大陸は喜望峰を回り、対馬海峡まで引っ張り続けた彼を、その統率力を、『敗戦の将』などと言う言葉で纏めてしまって良いのであろうか。
これは、ロシア帝国海軍バルチック艦隊司令官ロジェストヴェンスキーによる、救いのない、苦難に満ちた旅路の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-07 18:04:05
6621文字
会話率:4%
「ずっと肉壁役に耐えてようやく聖騎士になれると思ったか? お前はここでお別れだ」
魔法攻撃に対して不死身というユニークスキル【魔法耐性】を持ったエドワードは、勇者パーティーの肉壁役として、拷問に近い地獄の日々を送っていた。
魔王戦を耐え抜
けば国から聖騎士として認められ、ようやく地獄の日々が終わる。そのはずだった。だがエドワードは、魔王戦の直後、用済みとして勇者パーティーから追放される。
勇者たちから受けた10000回の拷問によりスキル経験値が溜まり、【魔法耐性】が万能チートスキル【吸魔】に変化。
これは魔法を無効化して吸収するだけでなく、魔力、スキル、ステータスまで奪取するという規格外の性能を持っていた。
【吸魔】を使い、魔王のスキルとステータスを吸収。あっという間に最強に。魔力由来の体を持つモンスターたちを次々と人間へと変え、彼らの持つスキルを吸収。元魔王の少女と共に、魔の森に理想の国を建国する。
一方勇者は失敗に失敗を重ねて犯罪者として国から追われ、救いのない絶望へと転がり落ちる。落ちて落ちて落ちた先に立っていたのは……かつて見下し、おもちゃとして遊び倒した相手、エドワードだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-02 19:11:20
151681文字
会話率:40%
「幻想なんて抱いていない。けど、このどうしようもない世界こそが、異世界なんだなって」
ある日、高校生である旭川ひなのと高田ハヤトは異世界に転移してしまう。
原因も、そもそもここが異世界なのかも理解ができないまま、しかし現実であるという事
実だけが重くのしかかっていく中、二人は生き延びようとあらゆる手段を尽くす。
傷だらけの身体と、ぼろぼろの心が擦り切れていくものの、それでも彼らは諦めず、ただ本能に従い生きようと努力を重ねる。
そんな中、彼らに手を差し伸べたのは――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-18 19:00:00
4472文字
会話率:39%
時間の無駄にならないように注釈。
合うか合わないか判断材料として、ネタバレ気にならない方は269話(275部)『異人の遠い言葉』を読んでみて、そこまで読み進めてみたいと思ったら前作から読んでやって下さい。
前後の経緯を抜きに作風が伝わ
ると思います。
戦記の為、敵味方の視点でそれぞれの事情がわかる構成になっています。主人公視点のみでは進みません。全体の物語の流れを楽しんでほしいです。
甘々パートと、厳しめシミュ風味の戦闘パートになります。
奴隷の女性たちの扱いは、救いのない過酷さと汚辱に満ちた日々だった。
解放された奴隷少女たちによる人類への復讐の戦い。
生きる尊厳を踏み躙られ続けて生きてきた被差別種族、清廊族の少女アヴィ。
最も大切なものを奪われた彼女は復讐を誓う。
人間を、この大地から消し去る。この世界から滅ぼすと。
そんなアヴィの誓いを叶える為に、手を取り合う同じ清廊族の少女たち。
戦いの果てに、彼女らの願いが叶う日まで。
イラスト:いなり様よりご提供です。
イラスト下のデータサイズは小説表示ページでのサイズです。元画像データは違います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-17 19:48:20
1552902文字
会話率:30%
星から墜ちてきたとも語られる、異質な生き物『妖獣』。
それらを相手に民を、土地を守るため剣をとる騎士達がいた。
セイヴァン王家より銀の細剣と破邪の能力を下賜された彼らは、閉ざされた楽園たるかの国の、まさに守護者と呼ばれるべき存在であった..
.
特殊能力と銀の細剣を武器に化け物退治する王道異世界ファンタジー……のはずが、あまり特殊能力活用されてません。力業率がけっこう高いかもです。
メインはそれぞれのキャラクターの交流と生き様。第一部ではほとんど男性ばかりですが、第二部からは女性キャラも登場します。
救いのない話はありません。ご都合主義でもなんでも、最後は(少なくとも主役達だけは)格好良く幸せにをモットーとしています。
自サイト「私立杜守図書館」で掲載しているものの転載です。
完結しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-24 05:00:00
659659文字
会話率:28%
愛していた。けれど、
「おしあわせに、閣下」
いちばんの笑顔で告げる。
あなたがわたしを忘れないように。
百人一首の和泉式部の和歌よりイメージした短編です。
救いのない、ひたすらに重い話が苦手な方はキーワードを確認の上、退避してください。
最終更新:2021-02-13 20:20:00
3365文字
会話率:30%
「泥の中に住んでいる」
泥の中に住んでいる主人公の救いのない話です。暗い気分にひたりたいときにどうぞ。
この作品は自サイト・ノベプラ・カクヨムにも掲載しています。
最終更新:2021-01-15 18:00:00
1214文字
会話率:0%
「身を起こそうとすると、身体がずしりと重い。きっと疲れているのだろう」
メンタルが追いつめられている感じの社会人の救いのない休日の話です。救いがないので注意。
この作品は自サイト・ノベプラ・カクヨムにも掲載しています。
最終更新:2021-01-14 18:00:00
2324文字
会話率:2%
交通事故により自らプレイ済&ドハマりしていた家庭用ゲーム機向け王道ファンタジーRPG『エリピスカ・オブ・レガルノータ』(略称『エレガル』)のラスボスである『魔王』ジーナ・クロルネアスに転生したオタクであるという事以外は特に特徴も個性
もない都内在住の平々凡々な女子高生・日瀬椎奈(ひなせしいな)。
世界最強と謳われる程の闇の魔力と強靭な体を持ちながらその力を自国・クロルネアス国の民を傷つけ苦しめる事にしか使う事が出来ずゲーム本編において一切救いのない最期を迎えた冷酷で残忍な女王『ジーナ』を理解する事はできても共感する事は全くできない椎奈は、自らの力は民と自国を守るためにあると決め『ジーナ』とは全く異なる女王ジーナとしてクロルネアス国に君臨し自らの運命に逆らい、結末を変える事を決意する。
そんなある日。
ゲーム内では『ジーナ』により引き起こされた悲劇で大勢のプレイヤーがトラウマを植え付けられたエピソードとなった隣国・リュミラルス国において王家の次に力を持つとされるローデルヴァイン公爵家三男シャハル・ローデルヴァインから求婚の申し込みがあった事を自らの護衛であるリラ・ヴェルテアードから伝えられ、悲劇を回避することでゲーム内では当たり前のように破談となったこの婚姻話を成立させてしまえば『エレガル』のストーリーを大きく改変できるのではないかと気が付いた椎奈は本心では全く乗り気ではなかったものの婚姻成立に向けて動き出す。
さらに逢瀬を重ねるうちに穏やかで懐が深く甘やかし上手のシャハルに徐々に絆され惹かれていく自分を否が応でも自覚して……――。
※アルファポリス様にも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-11 21:12:09
7731文字
会話率:21%
――これでいいわけがない
スィースタン大陸は、聖教と呼ばれる神の教えを掲げるメルクルシア聖教国によって統一統治されていた。
博愛と献身、そして平和を説く聖教の教えによって統一されて以来、人と人との争いが根絶された大陸ではしかし、今なお、人
々の暮らしは平穏とは程遠かった。
妖魔と呼ばれる神の敵が出現したからである。
聖教を憎み、聖教徒を恨み、神を呪う妖魔によって齎される惨劇の数々。
恐るべき魔力を持った、この世ならざる存在である妖魔を倒せるのは、神の力を操る聖騎士のみであった。
ある日。
旅の女騎士、シルフィ・ロックウェルは謎の少年ダンテとともに、妖魔の作り出す怪物、呪骸に襲われていた少年を助ける。
少年の住む街が妖魔に狙われていることを知った彼女は街を救うために動き出すが……
神とは何か。信仰とは何か。妖魔とは何か。
これは信奉する神を裏切り、敬愛する全ての人々を裏切った少女の、どこまでも救いのない、戦いの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-03 17:00:00
66260文字
会話率:25%
滅びゆく国にての蛇足というか、少しだけ書きたかった物を追加で。
途中、何度か視点変更します。
一応続きですので、前作を読んでいただければ幸いです。
薄いですが、ボーイズラブ要素ありますのでご注意を。
団長は聡く察しがいいですが、自分に
関してはどうでもいいと思ってるので、気付いていてもスルーしたりとか結構してます。
クズ騎士団長は頭は悪くないのですが、異様なぐらいの自己評価の高さが、色々なモノを見えなくしています。
救いのない悪役にしたかったので、救いのない馬鹿を書こうと頑張った結果が、こうなりました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-27 04:01:22
5430文字
会話率:45%
ーー彼女は雨に濡れながら、泣いていたーー
遠目からずっとこちらを見ていている彼女は、今にも壊れそうな顔で泣いていた。そんな女の子を見て不謹慎にも見とれてしまった僕は、彼女と目が合った。数秒にわたり沈黙が続く。外の風はひんやりと冷たく、降り続
ける雨は僕たちを濡らした。
どれくらい時間がたっただろう。沈黙が続いている中、初対面の僕たちは同時に、、、舌打ちした。
僕は感情を人よりも敏感に感じ取ることができる。その思いが強ければ過去に何が起きたのかをある程度把握できる力だ。
「君は、人が死んだ瞬間、何を思っているか想像できる?」
「私は体験できるよ。最後の瞬間は決まってこういうんだ。どんな人も、まだ死にたくないって」
そう彼女は、誰かの重荷を背負って生きている。彼女は憑りつかれた思念体、この世に未練を抱えた人々の死の瞬間、その記憶を事細かに体験することができる。幸せな死に方など、僕の知る限りそうあることではない。彼女はその最後の瞬間の絶望を、物心がついた時から体験し続けているのだ。
「ねえ、ケイくん、私はこの能力を使った時の記憶がないんだ。だからね、私には君のような記憶を読み取れる人の協力が必要なの」
思念体がこの世からいなくなる条件は一つ、実際に起こった死に方をその人に自覚させること。納得云々ではない。自覚してしまった時点で思念体は消えてしまうのだ。
ーー誰が幸せになるんだ。だってそんなこと無意味だろーー
彼女は、投げ出さない。それがどんなに苦しい死に方だったとしても、それを受け止めて立ち上がる。本当に救いのない物語はきっとこのことだろう。現実に起きたことは変えられない。つまり意味のないあがきでしかないのだ。
「その人がたどった道を変えることはできなくても、一緒に考えて彼らがそれを受け止める手助けをすることはできる。だから私は君に助けを求めるよ。彼らに現実を突きつけるピースを用意してほしい」
「私が現実で起きたことを体験して、君に情報を提供する。あなたは真実を見つけ出して彼らの旅路に終止符を打つ。」
「僕に拒否権はないの?」
「え、だって君は拒否しないよ。君は私と違って誰も傷つかない方法を模索する。だから私の提案も断らない」
「僕は君が嫌いだ。」
「うん私も。」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-09 02:23:14
11495文字
会話率:38%
世界を恐怖のズンドコに叩き落とし続ける、極悪非道にして謎の秘密結社"黒い日曜日"──
その怪人製造部門の最高責任者であるフォロカレ女史は、ついに永きにわたる組織の悲願を果たす。
それは過去に類をみない最強のバイ
オニックコマンドーの完成だった。
その名は製造番号(シリアルナンバー)を含め"ドラコ666號(ごう)"とした。
だが、この怪人には致命的な欠点があった。
それは、並みの怪人とは比べものにならないほど、まさしく救いようもないほどに"知能が低いこと"だった。
ゆえに、集団作戦行動では仲間との連係をとることもむずかしく、また単独機動であったとしても複雑な任務などはまったく理解不能という、どうにも使いものにならない存在だった。
そして遂にある日、このあまりに尖り過ぎた怪人ドラコ666號に"殺処分"の指示が下ってしまう。
だが、生みの親であるフォロカレ博士は、この奇跡に奇跡が重なって誕生したとしか思えない超絶兵器を惜しみ、またなにより不憫に思ったので上層部へ猛抗議をした。
だが、それは"危険過ぎる"という理由で直ちに却下された。
そこでフォロカレは、まったく救いのない殺処分よりは──と、怪人製造と同時進行で進めていた、未だ完成にはほど遠い段階であった時空転位装置、通称"異界門(ゲート)"に一縷の望みをたくし、自身の最高傑作を別世界へと転送してしまう。
結果ドラコ666號は、みたこともない別世界にて覚醒を果たした。
その奇妙な世界では、今まさに彼のような強大な力を持つ者による"救世"を必要としていた──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-26 12:23:43
11415文字
会話率:58%
生まれてすぐ、人間に嬲り殺された仔猫。人間への憎悪と怨みがが深すぎ、地獄に残された沙弥。
沙弥は、救いのない地獄で、救いのない悪党を眺めつづける。その生活の中で、彼女に救いはあるのか?
最終更新:2020-05-27 03:16:47
1380文字
会話率:34%
過労で精神を病んでいた篠木 直(しのき なお)は、メンタルクリニックの帰り道に階段から滑り落ちて、頭を強く打ってしまう。
遠のく意識の中、救いのない人生に絶望して死亡する。
ところが目を覚ますと異世界に転生していて、しかも美少女。勝ち
組かと思いきや、転生した身体はゾンビだった。
しかも、蘇生させたのはネクロフィリア(死体愛好家)の王子様で、変態だった。
今度こそまともな人生を生きたいと願う篠木 直が、逆境に抗って戦う話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-27 20:18:38
1634文字
会話率:4%
九十二地区、五十三番目の魔法少女は過去を振り替える。
それは、取り戻せない日常と自分自身の罪の記憶。
救いのない世界で、少しでも救いを求めようとした魔法少女の物語。
最終更新:2020-04-24 18:03:45
4344文字
会話率:26%
秘境とも言えるような場所で暮らしていた姉妹の下に男が訪れる。男は酷い怪我を負っていて村の者は警戒しながらも手厚く看病をし、男は回復するが村に得も言われぬほどの神の花嫁と言われる美女がいると聞き男子禁制の美女の住まう場所へと勝手に入り、そして
美女に一目惚れし、求婚するが美女は自分は神に捧げられた身であるとそれを断り……。
求婚を断られた男が一度村を離れた後、兵を大勢連れて村人を虐殺し姉妹の妹の方である神の花嫁を引き摺りだし、姉を妹に言う事を聞かせるために人質として捕えた後から話しは始まります。始終不愉快&血腥い&救いのない話です。かっこいい神様、王子様を求める方は避けてください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-17 20:55:58
4898文字
会話率:25%
前世、社畜だった主人公。今世、気がつくと、またしても社畜だったorz
救いのない短編。同病相憐れみたい気分のときに、読み返したいので書いておきました。
最終更新:2020-03-31 22:00:00
969文字
会話率:52%
300文字でスクールカースト底辺のコミュ障ぼっち陰キャ男子の俺がスクールカースト最上位の生徒会長もやっている美少女幼馴染女を流行りの幼馴染ざまぁする事にした。
しかし300文字逆ざまぁの返り討ちにあってしまう、俺にとっては救いのない哀しい逆
ざまぁ物語。
※メンタル弱い人は読まないでください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-26 09:13:11
300文字
会話率:13%
未来のどこかで、こんなことが行われるているかもしれない。
この話は、救いのないバッドエンドです。
いつかの未来の裏側に、このようなことがありませんように。
最終更新:2020-02-10 23:00:00
2924文字
会話率:29%
身分の違いにより、「来世は必ず一緒になろう」と約束した恋人がいた。
※前作の『すきなひと』の彼sideの話です。
※前作を見た方が分かりやすいです。
※救いのない話なので、苦手な方はご遠慮下さい。
最終更新:2020-01-25 01:35:53
2785文字
会話率:16%