永代橋のそばに、注ぎ酒屋を営む夫婦がいた。
その店の常連になっている棒手振りの老人が今日もやって来た。
最初は一合、その次はもう半分、もう半分と酒を呑んでいく老人だったが、今日と言う日に限って、娘が吉原に身を売ってこしらえてくれた百両という
金を持っており、しかもそれを店に置き忘れて帰ってしまう。
いっぽう金を包んだ包みを見つけた注ぎ酒屋の夫婦は悪心を起こし、
ネコババして知らんぷりを貫く。
追い詰められた老人は…?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-04 00:36:33
10505文字
会話率:1%
日本の国技、相撲。
その起源は古く、古事記にその記述がみられる。
時代が下がり、江戸時代の徳川家斉の御代になると、谷風、小野川、雷電、阿武松など、後の世において有名となる強豪力士が登場する。
その中に一人の力士がいた。
佐野山、階級は十両筆
頭。
親孝行で有名だったが、ある時母親が大病を患ってしまい、その治療のために自分の食費を削って代金を工面していた。
十分な食事をとれない体は満足な力を出せず、結果として9連敗を喫してしまう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-16 22:47:08
9002文字
会話率:1%
お稽古事好きの熊公。
熱心なのはいいがどうも上達せず長続きしない。
ある日、横丁にあくび指南処という稽古場ができる。
これに興味を引かれた熊公は友達の八五郎、八っつぁんを半ば強引に誘って訪ねるが…。
最終更新:2024-07-22 15:32:02
7463文字
会話率:1%
小説ではなく、落語のようなものです。お目汚しですが、ご一読賜れば幸い。──「志ん生には間に合わなかったが、オレたちは志ん朝とともに生きられて幸せだ」なんて意気がってた私にとって、ここ何年かで接した訃報のなかでも最大級のショックを受けた現実。
落語好きの、髭面編集者のF君からは「嗚呼、もう落語はお終いだ」なんてメールも舞い込む始末。確かに、あんな端正な噺家は二度と出現しないだろう。でもしかし、「落語にはまだもう一方の旗頭がいるじゃないの」という思いを込めて返書した一席です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-08 20:19:44
3740文字
会話率:5%