晩夏の蜂蜜宴(ハネムーン)* ヘイゼル×ルチシャ
竜王×人間の異類婚姻譚。
「封印を解いてくれたこと、心から礼を言うよ」
暦(月の巡り)を司り、太古の森を守護する高位精霊である竜王は、竜種にしては穏やかな気質であり、数多の知識を有する
賢者であると評されている。
けれどもそれはあくまで『竜種にしては』穏やかなだけで、人間の基準ではやはり、脅威は脅威でしかない。
そして彼の得意とする『呪い』は、じわりと染み入る毒のように、肉体から精神に至るまで自由自在に蝕む悪辣さを有している。
▽
「僕は暴力には向かないんだ」
「……。(他の竜の鱗を悉く剥いだって言っていたような…)」
「加減がうまくないからね」
「……。(察し)」
「呪いは万能だから、こちらの方が扱いやすい」
「……私の事は呪わないでくださいね?」
「必要がなければ、呪わないよ」
ハシバミ色の瞳に宿る蜂蜜のような甘さに絆されて、ルチシャはいつも、それならば良いかと許してしまうのだ。
▼プロローグ
耽溺という言葉の意味を身を以て思い知ったのは、ルチシャが十九歳になった晩夏の頃。
地上で最も力ある竜である竜王に、嫁入りしてからの事だった。
深い深い太古の森のなかに佇む、木と漆喰壁で出来た大きく荘厳なお屋敷、その一室。
部屋の主が竜の姿に戻っても困らぬよう、主寝室は人間には想像できないくらいに広く、天井も高い。
そんな寝室に置かれた、人間が五人くらいは横になれるサイズのベッドに、人型になった竜王とその妻であるルチシャはぎゅっと身を寄せ合って横になっている。
自分を抱き込むようにして眠る竜王の立派な体躯に頬を寄せながら、ルチシャは小さく欠伸を噛んだ。
目を閉じれば今でも思い出せる。
ルチシャが生まれ、十八年間を過ごしたカントリーハウス。
その裏手の森にひっそりと佇んでいた、竜が眠るという伝承を持つ祠石。
すべてはそこから始まったのだわ…と、ルチシャは夢と記憶の狭間にその身を委ねた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 10:12:36
156718文字
会話率:36%
左官とは一体なんなのだろうか。未だに一概に言えないこの行為、職業、建築、製品の答えを探す物語。
壁を塗ることは祈りか、はたまた呪いになり得てしまうだろうか。
最終更新:2022-11-23 23:36:51
1910文字
会話率:36%
1.白日の漆喰
彼は廊下を歩いていた。周りには、白い服を着た子らが立っている。彼が子供たちに抱く感情とは………。
2.セイゼンノカノジョ
──僕は彼女の好きな花を持っていきました。
3.Love so bitter
誕生日の前日、彼
女は最愛の彼に振られた。翌日、目的もなく訪れた公園で出会った相手は──
1ページ(多くて3000字)ほどの短編作品をまとめていきます。更新は不定期です。ふと感じたとき・思ったときのものや、他の作品を作る上でのボツネタを再構成したものが入ります。後者はかなり低いですが……。
ジャンルは一応「純文学」で統一しておきます。
「エブリスタ」でも掲載。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-26 11:32:54
5534文字
会話率:44%
夢に出て来た狛犬…
それは、妖怪すねこすりだった。
最終更新:2018-10-04 11:24:48
4961文字
会話率:0%
男装執事喫茶Ib's Edenのキャラ紹介
キーワード:
最終更新:2014-10-08 02:07:39
1795文字
会話率:2%
世界が崩壊してから百年後、世界は再び平和を謳歌していた。異能力を駆使する新人類が管理する一つの世界『神の楽園』。この世界の心理を解き明かした時、少年は神になる。
最終更新:2014-03-09 17:00:00
7353文字
会話率:38%