遺体化粧師として十数年の経験があるが、こんなにも美しい遺体を見たのは初めてだった。
間違いなく、美しいのだ。
それは、よくあるような作り物のような“整いすぎた”姿ではない。まるで熟睡しているかのような自然な表情だった。
服装は整い、肌は清潔
で、顔には一切の歪みがない。死の苦しみにもがいた痕跡など、どこにも見当たらなかった。彼女は静かに横たわり、まるで病院の長椅子で疲れて眠り込んだだけのように見えた。
私はしゃがみ込み、しばらく彼女の顔を見つめていた。
この遺体にはほとんど手を加える必要がない。軽く化粧を施し、髪を少し整えれば、今日の仕事は終わるだろう。
しかし、手袋をはめて動き出そうとしたその瞬間、私はふと立ち止まった。
これまで何度も自殺遺体に接してきた。
首吊り、線路飛び込み、服薬――ほとんどの遺体の顔には、最後のもがきが刻まれている。
決意の瞬間であっても、体は痛みから本能的に逃れようとする。
眉間に深い皺を寄せ、目は白目を剥き、口元は痙攣し、顔は歪み、まるで人間とは思えぬ形相になることもあった。
だが、目の前のこの少女は――
顔に痛みの一片もなかった。
あまりに穏やかで、静かすぎて、まるで自ら死を選んだかのように思えてしまうほどだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 18:23:23
18242文字
会話率:31%
20XX年。都市国家シミアンは、多くの人種と民族、そして獣人が入り混じって暮らすカオスな地。
レオナ・モアはシミアンの民間軍事会社であるアレクサンダー・セキュリティーの特殊業務課第六小隊の隊長として、日々仕事をこなしている。
ある日、シミ
アン警察の要請を受け、レオナは副隊長の獣人フィニアン・バークと共に3人の隊員を率いて立てこもり事件の現場に派遣される。膠着状態は50時間を越えたが、突入によって未成年を含む人質全員を救出、犯人3人組を軽傷のみで確保した。
死者を出さなかったことで株価が上がり上機嫌らしい会社上層部を尻目に、レオナは報告書をまとめ始める。
しかし突入までの待機時間が長引いたことでホルモン抑制剤を服薬できなかったバークは、激しい発情状態に陥っていた。
◆登場人物
レオナ・モア
長い黒髪を持つ女性。種族は人間としてID登録されている。
シミアンの民間軍事会社アレクサンダー・セキュリティーの特殊業務課第六小隊の隊長。
訳ありの元警官。実はレオナ・モアという名はアレクサンダー・セキュリティーに入るにあたって新しく名乗り始めた名前にすぎない。
社内屈指の戦闘能力を持ち、高い洞察力や判断力を備え、危機対処能力に優れる。
清楚でおとなしそうに見えるが、実際は冷酷非情なプロフェッショナル。
ただし未成年にはそこそこ寛容。
フィニアン・バーク
白狼の遺伝子を持つ獣人の男性。第六小隊副隊長。真面目で実直。
かつて警官を志すも身体能力が法律の規定を越えていて検査段階で落とされたため、規定の無いアレクサンダー・セキュリティーに入社した。
とある経緯からレオナを慕っていたが、第六小隊で共に任務にあたるうちに強い尊敬の念を抱くようになった。
フラビオ・フアン
虎の遺伝子を持つ獣人の男性。特殊業務課課長。元第六小隊隊長。
元警官。レオナを自分の後任として連れてきた。
常にクールで冷静沈着だが、猫科の体質には逆らえずマタタビが効く。
ダグラス・ラング
人間の男性。
アレクサンダー・セキュリティーの医療部門所属の医師兼研究員。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-11 20:27:30
8316文字
会話率:33%
1990年、主人公優の初恋の相手が、16歳という若さで病死した。
それからというもの優は、喪失感にずっと苦しみ続ける。やがて、心のバランスを崩し、鬱の症状やパニック症状が出始め、心療内科にかかる
そこでカウンセリングを受け、幼い頃の記
憶を紐解き始める。
優は、幼稚園の頃、広島で暮らしており、そこで翔という同い年の男の子と出会った。彼は、優をいじめっ子から守ってくれる優しい男の子だった。
優は、彼の母からの手紙で、彼が癌で亡くなったことを知る。そして、 大きなショックを受け、絶望し、生きる意味を見失ってしまう。
やがて心療内科に通い始め、服薬とカウンセリングのおかげで少しずつ症状が改善していく優。
大学生になると、大学のオーケストラに所属し、オーケストラの色んな人々と交流したりして、充実した学生生活を送るようになる。さらに、親友の兄 仁一に出会うと、その人が、以前自分が通っていた心療内科の担当心理士だったことが分かる。そして、仁一と親友が二人で暮らす家に、やがて優も一緒に暮らし始めることになる。
優は、様々な人と出会い、葛藤しながら、翔を失った悲しみを乗り越え、自分の大切な人が誰なのか気付いて行く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 16:20:25
103869文字
会話率:26%
様々な惨い環境で育った6人の男子高校生の学園生活は幸せだった。しかしある日、皇克己という6人のうちの1人が動き出す。「謎の男」と出会った6人は怪しい薬を服薬。そこから始まる”異能力バトル_”!悲しみ、怒り、絶望、苦悩などの様々な感情の葛藤に
苛まれた男子高校生達はどう生きていくのか。青春・友情・恋愛・ダーク・異能力ストーリー!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-10 12:07:52
13986文字
会話率:41%
世間の荒波に揉まれ、服薬自殺で脳死してしまった弱者男性の体に、異世界の神が宿った。これは、そんな異世界の神が弱者男性の怨恨を晴らす物語である。
完結まで20話→すでに完結済みでどんどん投稿予定。
最終更新:2024-04-24 23:50:00
36926文字
会話率:63%
老人性うつの治療と服薬について 老人って先がないから、うつになりやすいんだよな?
キーワード:
最終更新:2023-12-01 17:02:05
1674文字
会話率:0%
また詩(?)です。ってか、詩、なの?わかりません。
最終更新:2023-11-19 13:21:33
289文字
会話率:0%
重複投稿しています。Pixivにも掲載しています
発達障害の生きづらさをなんとなく感じていたところ
「図解よくわかる大人のADHD」を読み
「どこまでこの本の内容と合っているんだろう」と疑問を感じ
自分にとって合ってる部分と合ってない部分
を本にしてみたというものです
ちなみに自分ADHDとASDという診断は受けました。
服薬の影響もあるのかあまりあてはまらなくなりました折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-24 17:24:55
4440文字
会話率:25%
おクスリへの妙な嗜好と実際の服薬と酒におぼれてる話と人生への愚痴とナツメグ。
残酷ではないけれどえぐめの話なので注意してください。
せんべろ忌が明日なので急ぎ執筆。
この作品はカクヨムにも掲載しています。
最終更新:2022-07-26 04:59:06
5101文字
会話率:0%
詩?
©2022 弓良 十矢
最終更新:2022-06-23 10:36:03
202文字
会話率:0%
二〇XX年。
大地が荒廃し、人類は屋内ビル型都市で生活していた。
そんな世界で唯一の希望が不死身化薬だ。
しかし不死身化薬にはある制約があった。
十五歳の間一年間のうちに服薬しないと効果を発揮しないだ。
即ち十五歳で自身が不死身
となるか寿命を全うするか決めなくてはならないのだ。
そんな究極の選択の瀬戸際に立たされているのが現在十四歳で中学三年生の俺、恋澄真言(こいずみまこと)だった__。
近未来SFものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-17 18:43:31
11866文字
会話率:51%
モンスター退治や荒事を有料で引き受けるハンター呼ばれる職業。そのハンターの中に悪い意味で目を引く存在のチームがあった。彼らは全盛期をとっくに過ぎた五十を超えた年齢の者ばかり。精悍そうに見える剣士、マッチョな聖職者、自称ぽっちゃり系の薬師、見
た目は幼女の魔法使い。現役ハンターには見えないメンツだが彼らには大きな秘密があり、とある目的のために生きていた。今日も老いと戦いながら食後の服薬は欠かさず、助けを求める声に促され重い腰を上げるのだった折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-26 11:00:00
195492文字
会話率:43%
結婚3年目、猫2匹と暮らしながら妊活中。周りの何気ない一言や内服薬の副作用、旦那の理解してるようでしてない言動にイライラしながらの不妊治療の日々について書いていきます。
最終更新:2021-01-25 00:52:56
617文字
会話率:0%
月ヶ丘高校自転車部は、高校インターハイなど目もくれず、アマチュアロードレースの最高峰『ツール・ド・おきなわ』を目指す!
第一章~現在までのあらすじ
山城野々香はロードバイクが大好きな高校二年生。しかし、とある病気により思うような学校生活
を送れていなかった。そこへ、新人教師の鈴原輪太郎がやって来たことにより、彼女の歯車が動き出す。
月ヶ丘高校に自転車部を創設するべく、野々香は奔走する。
彼女は、四人の部員を集めて無事に自転車部を作ることのができるのか?(まだ途中です)
※この小説の対象読者
・自転車とか関係なく青春群像劇が好きだという方。
・ロードバイクに興味があるけどママチャリとの違いが分からないという方。
・そもそも自転車に乗れないという方。
ロードバイクをめぐる青春群像活劇をお楽しみください!
登場人物
主人公・ヒーロー:鈴原輪太郎
新人教師。二十八歳。月ヶ丘高校二年四組の担任。過去に『ツール・ド・おきなわ』二連覇を含む様々な大会で優勝した実績を持つが、ある出来事がきっかけで三年間ロードバイクを降りている。現役時代には、ブログ「ノーペイン・ノーゲイン」を通じて情報を発信していた。
主人公・ヒロイン:山城野々香
月ヶ丘高校二年四組。ロードバイクのことが大好きだが、とある病気を抱えている。頑張り屋だが、感情の起伏が激しい。自転車部を作ろうと奔走している。
佐渡瑠衣
月ヶ丘高校二年四組で野々香のクラスメイト。運動音痴とかいうレベルを超えた運動恐怖症。自転車に乗れない。
小平智哉
月ヶ丘高校二年四組で野々香のクラスメイト。帰宅部。女の子にすぐ声をかけるなど軽い性格。あだ名は『フラーレン』だが、その由来は不明。
※注意その1
この物語は、信号無視、速度制限違反、併走行為など、現実で行うと法令違反となるような危険行為が描写されています。
絶対に真似しないでください。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※注意その2
この物語は、治療や投薬などの医療行為等が描写されています。実際の医療及び服薬行為は、必ず医師及び薬剤師の指示に従ってください。
この小説は、「カクヨム」にも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-22 20:25:43
81793文字
会話率:48%
もう若いといえなくなる年齢のころに男の人に捨てられ、大量服薬した時のことを思い出た状況の詩です。日本ブログ村に投稿してます
最終更新:2019-11-26 16:00:00
271文字
会話率:0%
とある科学者が透明になれる薬なるものを発明したそうだ。
薬は世界中に広まるものの、その出所は見つかっていない。
各国でも服薬を禁止されるも未だに流通はなくならない。
今日もどこかで誰かが薬を飲む。
あなたはどうする?
最終更新:2019-09-11 18:47:58
1412文字
会話率:17%
その死刑囚の男には、長年の宿痾となった顔面の奇形があった。男は死刑執行の前、最後の希望を訊かれ、その奇形の治療を望む。ところが、服薬によって簡単に治療可能なはずのその奇形は、いっこうに治る気配がない。男は刑務官と何日にも渡って短い会話を交
わし続けるのだが……。
(※)書いておいてなんですが、自分でも最後のところの意味はわかりません。書いたときはわかっていたのかもしれません。
(11/5/18~11/5/18)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-26 00:00:00
2165文字
会話率:47%
獣人が人間のペットとして飼われている、未来の地球。
猫型獣人の少女シュクルは法律家のご主人様が大好き。ご主人様の婚約者ダーナさんに嫉妬しつつ、ご主人様に朝から晩まで甘え倒すだけの毎日を送っています。しかしそんなある日、奇妙な病気『転生病』
にかかって人間恐怖症になってしまいます。
服薬でいったんは病気を抑えることができたシュクルですが、あることがきっかけで『転生病』は進行。シュクルの前世の記憶が蘇り、シュクルは街中で召喚魔法を使ってしまいます。そのショックで前世(リイファ)が完全に覚醒。しかし前世(リイファ)はご主人様に「なるべく早く戻してやる」と約束します。
※プロローグはかなり固めですが、以降はゆるゆるな文体を目指して書いてますので気楽にお楽しみいただけると嬉しいです!
☆☆
更新は不定期です。週に2~3回ほどを予定しています。
☆☆
1/18 タイトル変更しました。
3/3 ジャンルを文芸(ヒューマンドラマ)に移動しました。なんかあまりにも恋愛フラグが立たないので(爆)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-16 11:55:29
62805文字
会話率:40%
睡眠薬の過剰服薬により死んだ主人公・神楽坂優人。
自殺した事を罰するように無慈悲な女神イリアは過酷な世界へと優人を叩き落す。
神への復讐を決意する優人だが、それよりもまず過酷な世界を生き延びねばならない。
と思ったがすぐに転移した森で魔獣に
襲われてしまう優人。
女神の愉悦がとまらない!異世界アクション(になるかもしれない)ファンタジー開幕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-10 15:49:15
5223文字
会話率:24%
治療は、時代によって姿を変えた。
祈祷、服薬、様々なアプローチで健康を取り戻さんとする人々。
やがて、鉄砲の弾を受けて苦しむ者が出てきた。
外科的な手法を用いようとすると、ひとりでに体が傷ついて、治療を拒む。
この怨念じみた症状、いかに改
善するかというと……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-10 13:36:31
3802文字
会話率:4%