少年が暮らす荒涼とした世界には、朽ちかけた風車と黄ばんだ月光が広がり、彼の心には幼い頃からの孤独が横たわっていた。そんな中、遠い土地から流れ着き「また帰る」とだけ言い残す少女・光裡(ひかり)と、問いを投げかける謎の存在・ケルンが現れる。少年
の母はいつしか姿を消し、夜な夜な月に祈りを捧げていたという痕跡だけを残していた。
月へと伸びる道を暗示する古い伝承や、人が飛翔するために羽根を縫いつける儀式の残酷な痕跡――。風車が軋むたびに、少年の胸には母の祈りと痛みが宿っているように思える。光裡もまた自分だけの“帰る場所”を探し、痛みを引き受けながら何度も荒野をさまよっては風車のもとへ戻ってくる。ケルンは「問い」を象徴するように彼らの旅を導き、「何を捨て、何を得るのか」を問いかけ続けるのだ。
廃墟となった礼拝堂、干上がった川辺、岩山の裂け目で出会う傷ついた異形――どこか歪んだ月の世界を彷徨ううち、少年は母が隠していた真実や犠牲の意味を知り始める。痛みは成長と表裏一体であり、祈りの果てには喪失と再生が待つかもしれない。幼いころの孤独に囚われていた少年が、光裡やケルンと行動を共にしながら“月”へと続く道の象徴を探し、母の残した愛と痛みを受け継いでいく物語。
やがて、人々が夢見た月への想いと血の滲む羽根の伝承は、崩れかけた風車の下で少年を試すように立ち上がる。母は、月で何を見つけようとしていたのか。少年が抱えた痛みは、いずれ自らの翼となり得るのか――。回るはずのない風車が、最後に軋む音を響かせるとき、星々の下に生まれ落ちる“幼き歌声”が、新たな祈りと救済をもたらすのかもしれない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-12 01:08:59
22996文字
会話率:34%
そう、これは地球に人類が住めなくなった未来のお話。月に事務所を構える『異次元探偵社』は、細々と依頼業務をこなす極普通の探偵事務所でした。ただ、この事務所を開くために新畑懐が集めた面々は、ちょっと変わった人達だったのです。
会社を立ち上げ
て二年も経過しようという頃には、『人類委員会』と称する者からメールで依頼される仕事が大半を占めるようになりました。それは、文字通り異次元で展開されるお伽噺を本来のハッピーエンドに戻すことだったのです。
ひょんなことから竹取物語のかぐや姫をアルバイトに加えた異次元探偵社は、様々なお伽噺のハッピーエンドに挑んでいきます。
笑いとユーモアに富んだ六人の探偵が巻き起こす、奇想天外な未来の物語をどうぞお楽しみください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-02 11:14:00
322220文字
会話率:73%
2022年02月21日 に投稿した俺の王子様の加筆修正バージョンになります。
小説家になろうには、加筆修正前の作品も置いています。
大好きな双子の姉を亡くした1年後に父親を亡くしたそんな美月は、再び大嫌いなあの街に出掛けるのだった。
父
が出生届の名前をミスをしたせいで、姉と美月の名前は間違って登録されてしまう。
どうにかしようとした父と母だったけれど、どうにもならないまま二人は成長していく。姉と美月は納得したわけでないけれど、何とか名前と折り合いをつけて生活していた。
しかし、その運命が変わったのは小学5年生の時だ。
好きな人に告白した姉は、名前のせいで振られてしまう。
それから、どんどん悪い方向にいき。
姉は、事故に遭って亡くなってしまうのだ。
美月も、また名前のせいで嫌な目にあっていた。
そんな美月を助けてくれたのが、心春と秋帆だった。
二人とは、中学を卒業し会わなくなった美月。
大人になっていく美月の世界に心春と秋帆の思い出はなくなっていく。
それから時は流れ35歳になった美月の元に同窓会の招待状が届く。
嫌な思い出しかないと思っていた美月は、あの街に行くのを拒絶する。
そんな美月を何度も母は説得する。
そして眠った美月は、二人のヒーローの事を思い出す。
ヒーローに会いたい。
その思いだけで美月は、同窓会に参加する事を決める。
やってきた同窓会の会場には、美月が会いたくない人物がいた。
せっかく払拭したはずの出来事を思い出す事になってしまった美月を助けてくれたのは……。
35歳、恋人も結婚もしていなかった美月の前に、現れた運命の相手は、男だった。
二人との出会いが、美月の運命をかえていく。
こんなに人に愛されて、愛する事は二度とないのがわかる。
だから、この愛を大切にしていきたいんだ。
これは、同窓会からかわっていった美月の人生の話
掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
カクヨムに載せています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-26 01:33:06
13724文字
会話率:42%
満月の夜、湖面に月光が神秘的な輝きを投げかける中、洋館に住むミルは窓辺で過去の愛を思い返していた。彼の心には、ユリカとの思い出が鮮やかに蘇ってくる。二人はかつて、この湖畔で運命的に出会い、言葉を超えた深い絆で結ばれた。月光の夜、幻想的な湖面
で永遠の契りを交わし、現世の束縛から解放された二人の魂は、時間を超えて共に在り続ける。しかし、今宵も再び姿を現したユリカは、ミルに不安を吐露し、愛が永遠に続くかどうかを問う。ミルは穏やかな微笑みで彼女を包み込み、二人の愛が月光よりも永遠であると誓う。やがて二人は光に包まれ、月の世界へと溶けていく……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-08 06:51:53
3576文字
会話率:23%
地球からある物体が発射されるようになった西暦2970年頃の月の世界では大変な事が起きていた。そこで、立ち上がった人物とは誰なのか。
最終更新:2023-09-29 12:04:00
277472文字
会話率:4%
α世代のオタク大学生渡邊光は、令和五年(2023年)の日本から、昭和十四年(1939年)七月の世界へと、送り込まれてしまう。勿論、召喚能力があるのはお約束だ。
最終更新:2023-09-09 16:00:00
49665文字
会話率:18%
冬の間、私たちはめったに友人、隣人、親戚に会うことはありません
もちろん冬も秘密・謎・犯罪が多発
雪が秘密を覆っている限り、安全です
春に雪が溶ける限り、秘密はいたるところに広まります
これは、友人や隣人からミステリー、秘密、xxxxx
を探している 2 人の女の子の物語です。
はい、ミステリーに満ちた月の 4 月へようこそ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-28 00:00:00
4605文字
会話率:75%
僕は小さいころからウサギが好きだった。だから僕は大きくなったら宇宙飛行士になる、そう決めていた。
ある日気がついたら月にいた。自分の行きたかった月に行けたから最初はよかったんだけど...
女王と出会って僕の人生が変わった。
最終更新:2022-10-28 01:00:25
27682文字
会話率:80%
地球(現実)と月(異世界)が再び邂逅する。
私たちの住む世界とは少しだけ異なる歴史を歩んだ2014年の日本。
蒸発した祖父が残した借金によって、高校生でありながら一家離散と借金返済に追われる雪下 龍吾は、ある日バイト先で空から降ってきた
彼にしか見えない竹に出くわす。
その竹から発せられる声に導かれるまま竹を切ると、中から竹取物語に出てきた、あの輝夜姫が出てきた。
月の世界を捨てて地球で生きることにすると言う輝夜は、紆余曲折を経て龍吾の元で暮らすことになるが、その輝夜を狙う月の者たちと、地球の者たちによる陰謀と戦いの渦中に龍吾と輝夜は巻き込まれていくことになる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-29 20:06:36
687467文字
会話率:28%
ゲームが大好きな女子高生、日向葵(ヒナタ アオイ)。
自室で寝てたと思いきや真っ白な部屋にいて神様から貰ったのは…ジョウロとクワ!?
そして葵はゲームのような剣士も魔法使いもいるファンタジーの世界に飛ぶ。
一年=四ヶ月の世界で葵は生きる、前
の世界では見つけられなかった理想の人生を探す為に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-01 13:11:20
34052文字
会話率:34%
平凡なリーマン、瑛二は婚約者が別人とデート中の姿を発見。直後に謎多き美女・環によって、異世界へと強制転移される。そこは魔法や火龍、グリフィンが闊歩する国。同時に瑛二は自分が大魔法使いになっているのを知る。さらに婚約者そっくりの令嬢とその姉も
出現、混乱に輪をかけるが肝心の魔法の呪文は危機に陥らないと思い出せない。内乱の続く中、はたして瑛二は無事自分に秘められた謎を解き明かせるか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-16 16:30:19
22865文字
会話率:25%
高校1年の夏休み初日。その日は一日快晴で絶好の天体観測日和であり、星を見るのが好きな少年、天地月(あまちるな)は夜に外へ出かける。その帰りに一人暮らし先のマンション近くの公園で同級生の少女と出会う。この出会いは月にとってかけがえのない経験と
なり、急速に月の世界は広がっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-20 17:48:27
7850文字
会話率:24%
魔王の首を取る準備は整った。
伊月はスナイパーとなり、神の目を経てアイラスと魔王の戦いを遥彼方から眺める。
世界の破滅を阻止すべく、魔王の首を射抜いてやる!
伊月の世界…
世界とは…
最終更新:2021-01-17 21:00:44
4099文字
会話率:1%
月の世界で働くウサギたち。過酷な労働の中、本能のまま地球に降り立つ1羽のウサギ。果たしてウサギの運命や如何に!
最終更新:2020-11-02 12:07:54
1354文字
会話率:0%
竹林の井戸の中で、
皿を数えるお菊のもとに、
小さなかぐや姫が間違って
転がりこんできた。
どうにか、かぐや姫を
月の世界に返してやろうと
奮闘するお菊。
最終更新:2020-10-09 21:00:00
2910文字
会話率:20%
十三月の世界。それは、あってはならない(ゼロ)の世界。
本来の世界がいらないと判断したモノを捨てるゴミ捨て場。
元の世界に見切りを付けて完全な別離を望む【閂】
元の世界と共存をしたいからその方法を模索する【要】
そして、自分達
は選ばれたものだと元の世界を支配しようとする【戒】
それぞれの立場の者達のそれぞれの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-05 12:00:00
3983文字
会話率:36%
ある日、現実の人類は永遠に繰り返す6月の世界に閉じ込められていた。
主人公の暁夜(きょうや)は戸惑いつつも2週目の6月を満喫し、文香(ふみか)という恋人もできる。
その最中、暁夜は妹の雪奈(ゆきな)と共に異世界へ転移させられる。
そこで出
会った猫又(ねこまた)に、この異世界――サヤでツユバライという刀を手に入れなければ永遠の6月は終わらないと告げられる。
暁夜たちは現実の生活を送りつつもサヤでツユバライの捜索をすることになる。
しかし捜索は遅々として進まず、3週目の6月を迎える。
だがループした後の世界では、現実とサヤを行き来できる暁夜たちリメンバーズ以外の人類は前の6月の記憶を失っていた。
暁夜は4週目の世界で記憶を共有できない恋人の文香に絶望し、別れを告げる。その後サヤでずっと隠していたリメンバーズの一員、香夢居(かむい)が文香とそっくりの顔だったことに気付き、また彼女が胡蝶の夢のような原理で文香の記憶を継いでいたことを知り、恋に落ちる。
が、結ばれた直後に香夢居は先刻まで戦っていた敵に殺される。
一度は失意に落ちかけた暁夜だが、それでも次に香夢居が蘇生されるだろう6月までに少しでもツユバライの捜索を進めようと奮起する。しかしその最中に、雪奈まで命を落としてしまう。
二人を失ったことで、リメンバーズの士気は落ち込み、次の6月を待つことにする。
だが5週目の世界、そこで蘇生されたのは雪奈だけだった。
猫又いわく、香夢居は一定数以上死んだため解脱し、もう生き返らないのだという。
そのことで死を恐れた暁夜は雪奈と共にサヤに踏み入らず、繰り返される6月を受け入れて現実で生きることにする。
しかしそうしている間にも人々は次々と死んでいく……。
※毎日17時頃に最新話を投稿予定! *全30話予定折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-30 17:00:00
137782文字
会話率:50%
夢を見ていたら、黄金の月の世界へ彼女は攫われたらしい。そこで出会った男と緩やかに交流してゆく。夢の中それは恋にすぐ変わった。
ゆったり、少ししっとり、穏やかなお話かと思います。ヒロインはぼんやり、ヒーローはむっつり。結ばれるハッピーエンドで
す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-26 22:00:00
13618文字
会話率:65%
古書カフェで竹取物語を読んでいた美月は夢の中で竹取の翁と出会う。翁の言うことには、かぐや姫の真実とは月の世界出雲から来た巫女修行の話で、日の当たる表舞台には立てないと言う。小さい頃から月に縁があった美月は、かぐや姫と重なり合う高校ラグビー部
のマネージャー時代を過ごした自分の人生に思いを馳せるのだが・・・。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-07 14:13:57
8188文字
会話率:58%
この物語は、映画『かぐや姫の物語』(高畑勲監督、スタジオジブリ製作、2013年)を観た著者(橘 漱水)が深く感動し、月に連れ戻されたかぐや姫と地上に残されて悲しむ老夫婦の「その後の物語」を描いた作品である。(400字詰め原稿用紙:200枚
)
都から山に戻った翁と媼は、かぐや姫のような幼い可憐な少女「月の子」と出会い、一緒に暮らし始める。不思議な能力を持つ月の子は老夫婦(翁と媼)を驚かせる。そして、老夫婦の夢の中に愛しいかぐや姫(竹の子)が現れる。月の世界では、かぐや姫が「もう一度、地上へ帰りたい」と強く願い、月の世界の最高位にある阿弥陀如来を悩ませる。そして、ついに阿弥陀如来は明暗を思いつく。(この作品はアマゾンのKindle本として出品されている)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-12 12:00:00
68211文字
会話率:0%