今川家の内情が安定し、伊豆の戦火も落ち着いてきた。
勝千代改め孫九郎は、日々国内の政に邁進し、忙しい日々を送っていた。
その知らせは、梅雨入りも間近なとある日にもたらされた。
急使によりもたらされたその一通の書簡が、信濃での騒動の始まりだっ
た。
「冬嵐記」「春雷記」に続く第三部です。
前作から二年後、数え十二歳の孫九郎視点でお話は進みます。
★「冬嵐記」新紀元社モーニングスターブックス様より書籍化しています★折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-25 00:22:18
727680文字
会話率:25%
電車は、まだ来ない。
旅人は、日本海を望む小さな駅の待合室で時間を持て余していた。
壁際の古びた本棚に、背表紙の擦れた一冊の詩集がある。
なにか特別な気がして、旅人はそれを手に取った。
ページを開いた瞬間、一枚の手紙がふわりとこぼれ落ち
る。
和紙のような紙は黄ばみ、折り目は薄く裂けかけていた。
ところどころインクが掠れ、いくつもの言葉が黒く塗りつぶされている。
手紙は、どこか遠くへ旅立ってしまった愛する人へ宛てたものだった。
満州の風景を感じさせる遠回しな言葉。
珈琲の香り、夕暮れの街角、秋の風の記憶。
そして最後の一文——それは滲んで読めなかった。
旅人は静かに手紙を戻し、ふと詩集の頁をめくる。
そこには、一篇の詩が書かれていた。
「たとえ遠くても、君の影はこの頁にいる。」
旅人は、詩集をそっと本棚に戻す。
夜の海は暗く、波は静かだった。
遠くで、電車の音が微かに響いた——。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-15 16:14:09
2515文字
会話率:0%
セオルエクトゥスの反乱から30年。
首席判事ラグアティウスは“叛逆者“セオルエクトゥスについての新たな証拠品を王に提出する。
その中には、“叛逆者の友”として処刑されたニトルス教会博士の手紙が含まれていた。
ラグアティウスはこの手紙がニトル
スの潔白を証明するというが……。
たった一人に読んでもらうための手紙を書いた者、誰にも読まれないように封印した者、公にして”真実”を主張する者。
その手紙は過去という亡者を埋めた墓だった。掘り起こされて暴かれなければ、そのまま過去の亡霊は消え去るはずだった。
過去と現在、私信と歴史、愛憎と復讐が2通の手紙に交錯する、中世ヨーロッパ風ハイファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-09 19:30:33
2685文字
会話率:8%
ハンセン病、以前は癩病と言われ国民浄化の大号令のもと強制収容させられた時代があります。現在の国立療養所多磨全生園(旧 全生病院)に昭和9年、ひとりの若い男性が自力で辿り着く。彼の名は北条民雄(本名、七条晃司)
名を捨てて、故郷を隠し執筆に
専念した3年数ヶ月の末、あっけなくこの世を去る。
彼は自身の創作を川端康成氏に送り、文壇の人となる。第3回芥川賞候補にまで上り詰めるが、その人生は明らかにされていない。
僅か1年のみであるが婚姻関係にあった女性がいるが癩病と診断されると破婚となる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-07 09:00:00
50426文字
会話率:17%
届いた一通の封書には、書き手も受取人も判然としないまま、幾重にも重なる言葉が記されていた。
何気なく開いた手紙の中には、さらに別の手紙が隠されており、その手紙もまた第三の手紙を指し示す。
だが、それらを読み進めるほどに見えてくるのは、
自分自身が最初に手にしたはずの手紙と同じ文面だった。
一体、どの手紙が「最初」なのか。
そして、いつの間にかはじまりの言葉へと引き戻されるこの不思議な円環は、書き手の想いをどこへ導くのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-04 07:41:29
3385文字
会話率:3%
袁紹、劉表、張繍、呂布、袁術。
ほとんど四方を敵に囲まれているのが曹操の現在置かれた状況だった。
その現状を打破すべく、曹操はあらゆる手立てを講じていた。
そんな中、北の袁紹から使者がやってくる。
それを呼んだ曹操は怒りをあらわにする。
使
者のもたらした書簡の内容が、実に身勝手な内容であったからである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-25 14:32:13
6522文字
会話率:0%
前略籠絡中道反対全後退
最終更新:2025-01-14 23:06:24
1518文字
会話率:0%
〝方やフライヘル、方やヘルツォーク。私達はあって然るべき壁を構築した。〟
ある日、前線の皇帝大本営より書簡が届けられた。
差出人は元帥閣下―――そして主人公の旧友だった。
※本作はフィクションであり、実在する歴史的事象、人物、組織、
国家、民族等とは一切の関係がありません。
※「架空の歴史をさも現実かの如く登場させる小説」みたいな所があります…。
※小ジャンルは一応「純文学」としておりますが……これが純文学であるか否か確証が持てません……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-01 02:20:36
2749文字
会話率:7%
ケイナス大陸の北東部ブレッシェン伯領では、領主の娘セリカが、婚約者との結婚を控えていたが、城にカストニア帝国ダイン皇帝の使者が来る。帝国軍と戦うが、父は処刑され、多くの領民が命を落とした。
帝国陣営の天幕の中、ラリサは、息子のルークと、
皇太子カイザの警護をしていた。セリカは、カイザが眠る天幕を、ダインのものと勘違いし、ダイン暗殺に失敗し、帝都ルーヘンに連行される。
ダインの居城ヴェリア城で、セリカは、カイザに仕えた。彼は変わった皇子で、周囲に対する関心が薄く、反応が鈍かった。
ラリサは、セリカに、カイザと自分との関係について話して聞かせた。ラリサは、地方の商人の娘だった。十五の時、帝国と他国との戦いがあり、都から来た貴族ルイスと恋に落ち、彼の子を身籠り、兄ルーク、弟アンリという双子の男の子を産む。弟の左の二の腕には、青い痣があった。双子が三か月の時、アンリは、何者かによって拉致される。アンリを探す為に、ルイスと共にルーヘンにやって来たラリサは、ダイン皇帝と皇太子カイザと対面し、カイザの左の二の腕に青い痣を見つけ、恋の相手がダイン皇帝であったこと、アンリが、皇太子として育てられていたことを知る。皇妃イザベルは、カイザを心理的、身体的に虐待していた。ダインは、実の母であるラリサに助けを求めた。
セリカを信頼するラリサは、カイザの妃となって欲しいとセリカに懇願する。セリカは迷うが、カイザに惹かれ始めている自分を認め、カイザの妃となることを決意する。カイザが即位した後、彼の叔父が謀反を起こした。カイザは、セリカとキースを城から逃がした。地下牢に捕らえられたカイザの元に、かつて、妹がカイザから恩顧を受けたという男が現れ、彼を逃した。
カイザは、帝国都市ルイファの商人キースによって、保護されていた。父宛の書簡にカイザの筆跡を見つけたラリサは、ルークと、キースの館を訪れた。カイザの復位を目指すラリサの執念に打たれたキースは、皇帝としてのカイザの資質を認め、ラリサへの協力を決めるが、カイザは、迷い、悩む。
セリカは、ブレッシェンに戻り、孤児院で働いていた。ルークから受け取った皇妃の証である指輪を、左手の薬指に嵌め、カイザの無事を願った。カイザは、セリカと孤児達の姿を見て、無辜の民と無垢な子ども達を守る為に、再び皇位に就くことを決意する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-04 22:31:40
143281文字
会話率:33%
ある日、聖女の力に目覚めたローズは、勇者パーティーの一員として魔王討伐に行くことが決まる。
婚約者のエリオットからお守りにとペンダントを貰い、待っているからと言われるが、出発の前日に婚約を破棄するという書簡が届く。
エリオットへの想いに蓋を
して魔王討伐へ行くが、ペンダントには秘密があった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-15 18:13:21
7921文字
会話率:30%
私の名前はミリセント・アグエッドス。アグエッドス公爵家の娘。——そして七歳の今日、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと気づいた。
「……婚約者と仲良くならないと!! そうだわ!! 交換日記をしましょう」
悪役令嬢は、自分の破滅フラグをへし折るため
に婚約者と交換日記をすることを決意する。
僕の名前はティモ・リードレ。リードレ王国の第一王子。——七歳の時に急に婚約者の様子がおかしくなった。
「……ミリーと交換日記ねぇ? まぁ、面白そうだからいいか」
婚約者は面白そうだからとその交換日記を受け入れる。
――これは、悪役令嬢として生まれ変わった少女と、その婚約者の交換日記である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-13 13:17:01
218542文字
会話率:2%
現代の高校に通う田中翔太は、歴史好きで特に江戸時代の名君・保科正之に憧れている。しかし、彼の日常は、クラスで起こるいじめ問題によって影を落とされていた。
ある日、翔太は、いつもクラスで孤立している加藤が、数人の生徒からいじめられている現場
を目撃する。過去のトラウマから行動を起こせず葛藤する翔太だが、学校図書館で偶然見つけた保科正之の書簡集から、公正さと人々への思いやりを学び、加藤を助けることを決意する。
翔太は、保科正之の書簡を参考に、加藤を助ける方法を探し、クラスメイトたちとも協力していく。学級委員長選挙では、責任感の強い佐藤美咲が候補者として悩む姿を見、保科正之の公正な統治の教えを伝えて励ます。文化祭の実行委員会では、几帳面な山本大輝が予算配分で苦労する姿を見て、保科正之の財政改革の経験から協調性と柔軟性を教える。
また、熱心な環境保護活動家の井上涼子が、エコクラブのイベントで困難に直面する際には、保科正之の自然への思いやりや地域住民との共存を重視していたことを紹介し、彼女の活動を後押しする。さらに、中国から来た転校生・李明華が、言葉の壁や文化の違いに苦しんでいる様子を見て、保科正之の異文化理解を重視していたことを伝え、クラスメイトにも明華を受け入れるよう促す。
翔太は、保科正之の教えを実践することで、自分自身も成長していく。そして、周囲の人々も変化し、学校全体に温かい空気が生まれていく。
この物語は、現代社会で直面する様々な課題に対し、歴史から学び、行動することで、未来をより良いものに変えていくことができるという希望に満ちた物語である。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-09-17 01:25:42
10279文字
会話率:47%
【最後まで執筆済み】
十歳の誕生日の日、プレゼントとしてもらった鏡をのぞいたことで、ニーナは呪いにかかり、美貌を失ってしまう。
それから八年後、輝くほどに美しく育ったミーナは帝国の皇太子との婚約が決まる。一方、ニーナは家の中でさえ無視
され、社交界では虐げられる存在になっていた。
婚約式の日にニーナは美しい男と出会う。美しくない自分に気を悪くするかもと緊張したニーナだったが、意外なことにダンスに誘われ楽しい時間を過ごす。
後日、ニーナの元に婚約を願い出る書簡が届く。書簡の送り主は魔法の王国、ザフィーラの王子ルイだった。
求めに応じてニーナは隣国に向かったが、ルイから顔を見るなり婚約破棄を言い渡され、三ヶ月後には城を去ることになってしまう。その三ヶ月は人を殺す雨が降る呪われた季節だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-14 21:44:08
104652文字
会話率:38%
無駄に長い歴史と由緒正しい血筋だけが誇りのランゼリア聖国。超が付くほどのド貧乏なその国の王家に、大陸最大の帝国から王太子の後宮に入る側妃候補を差し出すようにと書簡が届く。
日々、狩りと採取、農作業に勤しむ王女アリアンナは、大金貨五枚という慰
労金に目が眩み、帝国に向かうことに決める。冴えない冒険者に身をやつしたアリーは、帝国の冒険者たちと共闘しながら旅をし、やがてたどり着いた後宮で、封印された宮の中にダンジョンを見つける。
これは貧乏王女がよそ様の後宮で、側妃にならないように頑張りながら、ダンジョンを攻略する話…です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-06 18:00:00
94625文字
会話率:50%
こちらは2023年12月(待降節)にカクヨムのアドベントカレンダー企画に寄せて書いたものの転載です。
『遺形の承継者』の番外編といった位置付けになります。
本編はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n134
1fq/
主人公が従弟に宛てた手紙を一日ずつ紐解いていきますが、内容としては日記に近いものになります。
本編未読の方は、謎の背景をあれこれ想像しながらお楽しみいただければと思います。
全二十話。一日ずつ公開します。
作品説明:
【主人公】
この年に両親と死別し、自身は王から蟄居を命じられ、僧院に暮らす貴族の少年。
本作中で語られることは無いかもしれないが、『遺形の承継者』の主人公ヴィーのことである。
二歳歳下の従弟がいる。
【世界観】
中世に近い文化程度の異世界であるが、生物相は現世に準ずる。
舞台となるエルム大陸には多くの国が存在し、いずれも聖者バルサムを信奉するエルム教(別名バルサム教)を信仰している。
魔法など超常の力の類は登場しない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-14 12:30:00
18521文字
会話率:14%
「郵便屋」に勤める主人公ノアは、今日も「検閲」の仕事をしていた これは彼らの日常が「検閲」される話である
最終更新:2024-05-06 19:00:00
5906文字
会話率:64%
この作品は、読書メーターでのお話企画「覆面お題小説」です。
【手紙文(書簡体)形式】のお題で書かれた物語集です。
どの物語も、読む人の心を震わすこと必至です。
ご期待ください。
最終更新:2024-02-21 00:32:03
48864文字
会話率:8%
七年前に別れた二人が再び出会うまでの話。年下×年上。元生徒×元教師。往復書簡形式のBLです。
本編&解説で完結のハッピーエンド。
古池ねじ&サブローの共作です。
解説は二月こまじさんにお願いしています。
※本作品の同人誌をBOOTHで販売
しています。詳細は活動報告でお知らせしています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-12 18:44:53
9796文字
会話率:0%
X(Twitter)に投稿している【#140字小説】まとめ其の三十♪
【#140字小説】は、
Twitterの文字数制限140文字以内で完結するショート小説です。
No.291
【#書簡をしたためる】
No.292
【#説得力】
No.
293
【#アイスについて私の私による私のための選択】
No.294
【#餃子タレについて俺の俺による俺のための正義】
No.295
【#鏡よ鏡】
No.296
【#待ってる】
No.297
【#待ってて】
No.298
【#謎の風邪】
No.299
【#優秀なバカ】
No.300
【#聞き上手】
jewemi❀Twitter
@july20211001
YouTubeで自作朗読をした作品には、リンクを貼ってあります♪
@jewemichannel3828折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-30 16:02:37
1574文字
会話率:40%
「炎の画家」ゴッホとそれを健気に(?)支える弟のテオ。二人の往復書簡から読み取る愛と芸術の深淵…を書こうと思ったのですが、そんな高尚なものではなくなりました。もちろんまるっきりのフィクションです。気軽に読んでいただければ。
最終更新:2023-07-29 16:58:08
5800文字
会話率:0%