『それは叶えられる願いではないからこそ、言葉にしたい』
あの日、あなたはそう言って夜空を見上げたのです。
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最終更新:2025-06-01 19:19:18
18068文字
会話率:1%
中納言の姫、月白は、都の貴公子たちに「花の君」と囁かれるほどの美しい容姿を持つ十九歳の少女だ。右大臣の嫡男との婚儀が決まり、誰もが雅やかな縁談だと祝う中、月白の心には誰にも言えない秘めたる想いが深く根ざしていた。それは、彼女の異母兄である
蔵人頭の朝霧への禁断の恋だった。
都の慣習では兄妹の親しい交わりは禁忌とされ、二人が言葉を交わせるのは月に一度、病に臥せる母を見舞うわずかな時間だけだった。しかし、その短い時間に朝霧から漂う墨と白檀の香が月白の心を強く揺さぶり、彼の視線が薄衣越しに自分を捉えるたび、彼女の胸は抑えきれない熱を帯びる。叶わぬ恋だと知りながらも、月白は禁忌の想いを綴った和歌を密かに詠み、文箱に仕舞い込む。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-27 19:02:11
6144文字
会話率:8%
都の西、学問の中心たる白虎府。秋の深まる宵、右京大夫の聡明な姫、紫月は、類い稀なる書の才を認められていた。その筆跡は歌に込められた感情を鮮やかに描き出すが、彼女の心には、父の友にして既婚の陰陽師、千早への秘めたる想いが深く根を下ろしていた。
二人の出会いは、千早が解読を依頼した古き陰陽道の秘術が記された写本を巡るものだった。夜を徹して写本に向かい、墨の香りの満ちる部屋で言葉を交わすうち、理知的で彼女の才を尊重する千早に、紫月は心を奪われていく。ある夜、写本を返す際に触れ合った指先が、禁忌の情を鮮烈に紫月の心に刻みつける。その夜、彼女は叶わぬ恋の切なさを綴った和歌を密かに書き記し、文箱の奥へと仕舞い込んだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-25 08:39:19
5300文字
会話率:16%
東京の大学で電子工学部に通いながら再受験のために勉強していたジェームズ・ナナモは念願の医学部に合格できたが、在学生受験証明書を提出せずに受験したことを穢れとして悔いていた。もしそのことで合格が取り消されたらナナモに課せられたもう一つの定め
である王家の継承者になるための学びもできなくなる。しかし、ナナモは医科大学の学生寮の中で目覚め、寮母に入学式に行くように促された。ナナモは入学を許されたのだと喜んだが、それも束の間、在学生受験証明書の件は何一つ解決していなかったことを知らされる。
ナナモは王家の継承者の学び舎であるカタスクニでの講義のことが気になってはいたが、寮生は何らかの武道を行わなければならないと言われ、仕方なく剣道部を選んだ。竹刀を買い求めるために訪れた場所でナナモは神の託宣を伝えるコトシロの代弁者であり自らの意志を持つカタリベに会い、カタスクニのリモート授業を受けるように言われる。
忙しいが様々なことがナナモに課せられながら学生生活が過ぎて行く中、夏休みに入り全国医学部剣道大会に出場するために京都に来たナナモは、初めての公式戦に緊張し、戦わずして意識を失った。と同時にオンリョウの異世界に誘われる。
ナナモの穢れへの憂いがオンリョウを導いていると考えたカタスクニの面々は、異世界での使命を与えた。そこは平安の京の都だったが、ある巻物をある屋敷の主(あるじ)の元に届けるという簡単な役目だった。平安の貴族の装束に身を包んだナナモは、牛車に乗せられると苦も無く巻物を届けたが、その巻物に書かれているはずだった物語がすべて消えていることを知らされた。ナナモ自身が持ってきたから巻物も穢れてしまったのかもしれない。物語を復活させるため、そして、その物語に振り回わされている姫を助けるために、禊ぎを受け、穢れを祓い、清き水を得ることが必要だと知ったナナモは、格子状に築かれた都の通りを、そして都から離れた聖地を牛車に導かれながら移動し、度重なる難題を解決しながら、その得られた清き水で文字を綴り、最後には物語を蘇らせた。ナナモは物語の秘めたる意味を知るとともに、王家の継承者として、穢れに立ち向かう覚悟を改めて誓う。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-07 17:00:00
441447文字
会話率:40%
江戸風味。
妖怪と仲良しの若旦那についていく小間物屋の丁稚の少年桜吉のちょっと不思議な日常の話。
たまに更新。都度完結とします。
妖怪はちらっと登場しますがあまり恐怖系にはなりません。
最終更新:2023-10-25 00:00:00
46728文字
会話率:52%
わたしの主は一言で言えば王子様な、とても変わった人である。
最終更新:2021-07-15 12:00:00
4955文字
会話率:26%
甘いものが嫌いでバレンタインが嫌いな一矢はある日同僚の女性から質問を受ける。
最終更新:2021-02-14 12:00:00
2025文字
会話率:52%
偶然入った骨董店で手にした文箱と、その後の話。
最終更新:2023-01-01 08:00:00
3203文字
会話率:27%
2022年 秋の歴史参加作品
女は一人、物思いに耽っていた
やがて文箱から手紙を取り出す
そして、静かな振り返る
思い出すのは今は亡き夫のことだった
* これは史実を元にしたフィクションです
最終更新:2022-10-16 23:21:31
7740文字
会話率:19%
部屋の片付けをして 出てきた古い文箱に収まっていた
懐かしい写真や手紙
人生の中間点を過ぎて振り返ってみた
自分なりの生き方を 検証して自己肯定していきたい
最終更新:2020-09-26 17:07:51
613文字
会話率:0%
真白未来は、ごく普通の会社員。彼氏歴なしの年数と年齢が同じ。雑貨が好きで、好きすぎて、仕事となり、日々仕事の為に会社人生の大半を費やしてきた。サラサラの黒髪とちょっと吊り上がり気味の大きな目が意思の強さを表しているどこにでもいる女の子。違う
ことといえば。代々伝わる螺鈿の文箱。どこかの昔ばなしに出てくる箱のよう。。。浦島太郎の末裔が繰り出すラブコメディ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-25 09:57:11
881文字
会話率:36%
ある村では梅文箱(うめふみばこ)という物を使って、男女の恋愛が行われていた。
最終更新:2020-04-01 19:49:43
1135文字
会話率:0%
診断メーカーで出たお題を中心に書いたものを纏めます。
基本、Twitterに挙げたものになるかと思います。
オールジャンル。
最終更新:2019-01-29 22:36:26
6488文字
会話率:6%
一千年の歴史を持つ神社で保管し続けられている『開かずの文箱』とは?『呪いの般若面』の謎とはなにか!?
最終更新:2018-07-31 20:44:49
3379文字
会話率:25%
短歌、詩、その他雑文。
思いついたら不定期に放出。
最終更新:2017-10-15 15:02:18
2165文字
会話率:0%
恐ろしい神様を閉じ込めたという文箱を落としてしまった。
最終更新:2017-06-04 01:27:56
3835文字
会話率:25%
花街で十年、娘の時を過ごし、琵琶の名手と呼ばれた元:華姫が居た。
これは、今は亡き家族への昔語りーー。
*・゜゜・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゜・*
【和モノ春花企画】参加用に、短編初挑戦。
気づけば【
春の花】として山桜、水仙(雪中花)、クロッカスが咲きました*折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-05 20:36:39
5069文字
会話率:18%
莉迂国の妃妾の一人、釉 懍砡。彼女は国や民に存在を忘れ去られた妃。
そんな彼女のもとにある日持ち込まれた立派な漆塗りの文箱。
その文箱の文を読んだ日から、彼女の止まっていた長い時間が動き出す。
最終更新:2016-02-04 00:00:00
29579文字
会話率:15%