私は、王太子の婚約者だった。
すべてはあの日、断罪の広場で終わったはずだった。
──「侯爵令嬢クラリス・ヴェルンシュタイン、貴女は王妃毒殺未遂の罪により婚約破棄、爵位剥奪、処刑を命ずる」
しかし目覚めると、私は断罪の“二日前”に戻ってい
た。
死ぬ直前に読み返した、事件の記録──
それがなぜか私の脳裏に、奇妙なまでの精度で焼き付いていた。
この記憶を武器に、私は“あの日”をやり直す。
恋愛? そんなものに興味はない。
私の目的はただひとつ。
──冤罪を晴らす。そして、真犯人を暴く。
記録、証言、行動ログ。
乙女ゲームの世界に隠された矛盾と虚構を、論理で一つずつ暴いていく。
恋愛よりスリル。甘さより伏線。
これは、一人の“悪役令嬢”が、己の手で運命を書き換える推理譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-29 11:58:10
61015文字
会話率:39%
金があれば何でもできる、予想外な出来事にも対応できる。そう思っていた二十八年の青年、鏡谷知里〈かがみやちさと〉。
車に轢かれたと微かな記憶はあるが、次に目を覚ました時には見覚えのない場所に居た。
冒険者のような服を着た男と魔法使い風
の女。岩壁の広場の奥には、大型トラックの倍は大きいドラゴンが、俺達三人を見下ろしていた。
なんで、なんで俺がこんなことに巻き込まれないといけないんだよ。俺はただ、静かに家で通帳を眺めながら生活していたかっただけなのに。命を懸けた戦闘なんて絶対にやりたくなかったのに、世界を救いたいとかもないのに。
俺をこの世界に呼んだ奴をぶっ飛ばすため、右の中指に嵌められている指輪に込められている魔力と、大量の魔法を利用して生きていこう。
そう思っていたのもつかの間、チート能力をゲットし、無双してきた俺の前に現れたのはチート級以上に強いこの世界を束ねる者達。
「この世界を束ねている組織があるみたいだが、腐ってんな。そいつらをどうにかしねぇと俺の平穏は訪れないみたいだし。金を稼ぎつつ、俺は出来る限り楽をし、この世界をまとめる奴をぶっ飛ばす」
※カクヨムでも更新中
※挿絵:あニキさん折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 18:17:30
1149801文字
会話率:39%
スラム街に住む少年ロイは、世話役から『神授の儀』に参加してくるように命じられる。
言われるまま儀式が執り行われている広場に赴いたロイは、そこで親切なギャルと出会う。
しかし、ギャルは混沌神に仕える神官だった。
よくわからにうちに混沌神から恩
寵を授かることになり、その上、使徒にされてしまう。
授かったのは《因子操作》という未知の恩寵。その力は、使徒としての働き次第で強化できるという。
快適な生活のために恩寵は強化したい。が、邪教徒として迫害はされたくない。
バランスを求められる使徒生活が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 12:10:00
293862文字
会話率:52%
高校3年生男子の結城翔(ゆうきしょう)は、テストが終わり家に帰るとベッドにダイブしてすぐに眠った。一夜漬けのテスト勉強で徹夜した疲れが出た為だった。だが目を覚ますとなんと灼熱の砂漠の中にいる自分に気づいた。そこから戦闘民族に拉致され奴隷の身
に落とされるが、部族の広場にある謎の箱アークを目にした時から運命が変わる。といった話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 05:45:59
10227文字
会話率:24%
ルナは孤児院育ちのごくごく普通の女の子。
孤児院を卒業した後、老夫婦のメイドになり生活をしていた。
老夫婦の死を看取った後、貴族のスミスに気に入れられ、愛人として引き取られることになる。ルナは豪華な食事や綺麗なドレスを着せられ、愛される生
活を手に入れ、誰からも羨まれるような生活をしていた。しかし、ルナはスミスに従うしかない立場であり、スミスの家にほぼ監禁されている生活に飽き飽きしていた。
ある日、悪役令嬢のスチュード・サテライトが広場で公開処刑されることになった。ルナは気が進まなかったが、スミスに連れてこられ広場の公開処刑を見に行く。
「こんな人生…あんまりよ!!やり直したい!!」
サテライトがそう叫んだ瞬間
十年前の世界に戻った。
悪役令嬢、サテライトのおかげで何故か十年前に戻ることができたルナ。二回目の人生は人に支配されることがない自由な人生を送ることにしたかったのに…
何故かこの国の王子様グリード・アーマーに気に入られてしまった!
このままアーマーに支配される人生になってしまうの!?
豪華な食事も綺麗なドレスもいらないから私に自由を下さい!アーマー様!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 02:16:39
305046文字
会話率:91%
人間の少女・リリィは、この街の貴族出身でありながら、辺境伯家の落ちぶれた分家に生まれた。
巨大な狼の耳と灰色の髪、鋭い金の眼を持つ青年——レオ。彼はルーベンスの魔石組合に新たに雇われた技師。
下町の広場で、彼が子供に優しく語りかけてい
る姿を見ても、心のどこかで冷めた目を向けていた。
——どうせ、うわべだけ。民度の低い種族が教育を真似しても、すぐ尻尾を出す。
だが、その偏見は、彼との数度の出会いで崩れていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 16:00:59
8991文字
会話率:34%
アルピア・スピリットレース。
それは歴王国アルピアの領内を一周する、過酷にして歴史のある国を挙げての一大イベント。
ルールは単純。自身が騎乗する”騎乗獣”と共に王国領内を一周し、最初に王都の広場へと戻って来た者が優勝。
戦争が無くなった平
和な時代において、優勝者は”英雄”と称えられる権威あるレースである。
そんな大レースにヒポグリフの飼育を生業とする少年、エールは参加することとなる。
エールの目的は一つ。自身の育てたヒポグリフの『クック』に騎乗してレースで上位入賞という結果を残し、自分とクックを一人前だと認めてもらうこと。
そうしなければ、気性が穏やかで争いを好まない『ヒポグリフらしくない』クックが食肉用として王都に出荷されてしまうから!
エールとクックは、果たしてレースを完走できるのか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-25 12:10:00
62593文字
会話率:27%
・・・・・・リーン・・・・・・
週末の人で賑わう広場に、1人の少女がいた。
鳶色の長い髪ーー耳元に下がる、〈青い耳飾り〉が、幻想的に揺れた……。
その涼やかな音は、他の人々には聞こえていない。ーー少女にだけ届いた、〈呼び鈴の音〉ーー。
少
女は広場を出ていくと、閑散とした路地裏へ向かった。
大きく息を吸い……鼓動を落ち着け……そして、口を開くーー
ーー『マーク……〈リダ•ベンデ〉』
ジェラが合言葉を唱え、《ループ》した世界は、先ほどまでいた世界とは、まるでちがった。
巨大な〈銀細工の城〉がそびえ立つ、大帝国ーーその名は、〈リグターン〉ーー。
ジェラは着地した〈山〉の上から、集合場所である、〈赤いレンガの倉庫〉へ向かう。
その途中ーー激しく心惹かれる、〈ある匂い〉に出会い、ジェラは導かれるように、山奥深く、隠された〈秘密の洞窟〉へ、たどり着くーー。
一本の、壮麗な〈しだれ柳〉に守られた、〈洞窟〉の奥にはーー瑠璃色に輝く秘密がーーあらゆる人物たちの、〈運命〉を大きく変えていく、美しくも哀しい〈花〉が、咲き誇っていた。
闇夜に〈倉庫〉へたどり着いたジェラを待ち受けていたのは、衝撃的な数々だった。
自分と同じ服装をし、色とりどりと長い髪をした、みな同じ年頃の、若者たちーー。10人の若者たちには、同じ共通点があったのだ。
だだ広い〈倉庫〉のなか、ひとり豪華な椅子に腰かけた、ミゲという名の男が、集められた若者たちに、語り聞かせるーー
帝国秘密組織〈キューア〉ーー与えられた、〈特殊能力〉ーー〈鉛の屍〉をめぐる、おぞましい〈連続怪奇殺人〉ーー
その夜ーージェラはミゲに連れられて、〈倉庫〉横の森にある、一つの建物へ、向かう。
見張りの兵士に、施錠がされーー異様な雰囲気の建物のなかに、ジェラが見たものーーそれは、忌まわしい檻につながれた、白銀に輝く、〈神獣•ムー〉のすがただった。
同じころーー〈リグターン〉から北にいった、〈ガンダ国〉では、国の存亡を揺るがす、深刻な事態が起きていた。
北の地に古くからいる先住民ーー〈月の民〉と呼ばれた、〈シシン族〉の聖域から、彼らが大切に守り崇めてきた〈神〉が奪われ、仲間が酷く殺された。
〈月の民〉首長ドドアは、襲った未曾有の試練に、大きな決断を下す。
三年に一度の、〈乱満月〉の夜へーーいくつもの〈運命〉が、一つの奔流となって、流れていく……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 23:10:04
119728文字
会話率:27%
百数十年前、多くの旧都市が崩壊していく中、大陸の北で最後まで機能していたオタワという都市の住民が環境悪化と災害から北へ逃れ、海を渡り最北の島に辿り着いた。人々はその島の北極海に面するノードの地に都市を再建するため科学技術を結集し懸命な努力
を続けた。
専門家達は、まず何より文明に必要な電力を得るため、滝を利用した水力発電所を造り、空調と酸素発生機を作動させ、その傍の洞窟内を酸素と冷気で満たす事に成功した。人々は久しぶりに熱気と酸素不足の不自由な生活を逃れ、健康で文化的な生活を手に入れる事が出来た。さらにその電力を利用して山の麓に各種工場、住宅用ドーム、農場ドームが建てられ、人々の生活を豊かにしていった。
そして専門家達はより多くの人々の期待に応えようと、更なる電力を確保するためドラ山の麓に安全性に配慮した高性能の原子力発電所を作った。有力な大国が滅亡した最終戦争以来、約二百年間途絶えていた豊かな原発電力が甦り、その豊富な電力を利用して次々と巨大ドームが建設された。幅数百メートル、高さ数十メートルに及ぶ広々したドームの中にはオフィスビル・高層住宅が建ち並び、ショッピングセンター、公園、広場を結ぶ道路を電気自動車が行きかう、二十一世紀の人類最盛期ニューヨーク等の大都市で見られたような生活が再現された。昔の映像でしか雪を見た事のない人達のためにドーム内に人工雪を降らせ、スキー場やスケートリンクを作った。インターネットが再構築され人工知能による電気設備・工場生産の管理がされ、各種工作ロボットにより人々の生活はさらに快適さを加えていった。この夢のような街の生活を人々は享受していた。人々はそこを「サイバー都市」、自分たちを「サイバー人」と称した。北極海沿岸に居住していた生き残りの人類が続々とサイバー都市に流入し、都市人口は十数万人の規模に達した。
しかしその豊かな生活は、原発建設から八十年後突然失われることになった。絶対安全と言われていた原発が、ある夜何らかの原因で暴走・爆発し原子炉爆発が起こった。その原因は、部品の老朽化、あるいは人工知能の異常、あるいは外部からの侵入者によるテロだったと言われている。
電源が切れ暗闇に残された人々が翌朝見たのは、破壊された原子炉から立ち昇る白煙だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 17:00:58
36503文字
会話率:24%
高校生・佐野悠真は、何かに打ち込むことができない空虚感を抱えながら日々を過ごしていた。そんな彼の日常に光が差したのは、新宿駅東口の広場で絵を描く少女、花野美咲の姿だった。薄ピンクのベレー帽をかぶり、一心不乱に筆を動かす彼女の「目標に向かう熱
」に心を奪われた悠真は、彼女を密かに見守るようになる。
ある日、風に飛ばされた美咲のスケッチブックを悠真が拾ったことから、二人の交流が始まる。悠真は、美咲の「ひまわりのような笑顔」の裏に隠された影と、彼女が抱える「無理」に気づいていく。美咲からの突然の申し出で、悠真は彼女の絵の被写体となることに。この特別な時間を通して、二人の間には言葉を超えた深い絆が育まれる。
美咲の絵は美術展で入賞し、その才能は高く評価される。しかし、成功は彼女に新たなプレッシャーを与え、美咲は絵が描けないほど追い込まれてしまう。「完璧でなければ」という過去のトラウマから部屋に閉じこもってしまった美咲を救うため、悠真は傍観者でいることをやめ、彼女の自宅を訪ねる。
絶望の淵にいた美咲に、悠真は「今の俺を描いてほしい」と懇願する。評価ではない、悠真の純粋な願いと信頼に触れ、美咲は再び筆を握る。悠真は、美咲の親友や担任の先生と協力し、文化祭での絵の展示会を企画。アートディレクターとして奔走する中で、悠真自身もまた、漠然とした焦燥感から解放され、「アートディレクター」という新たな目標を見出す。
文化祭での成功を経て、美咲は心からの笑顔を取り戻し、再び広場で絵を描き始める。悠真もアートディレジメントを学び、美咲を支え、新たな才能を見出すことに情熱を注いでいる。互いを支え合い、困難を乗り越えた二人は、それぞれの夢に向かって歩み出すのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 16:47:39
9986文字
会話率:31%
夜の帳が落ちたロンドンの旧市街。レンガ造りの広場に立つ巨大な時計塔が、霧の中にぼんやりと浮かんでいた。
しかし――翌朝、目覚めた街の人々が目にしたのは、まさかの光景だった。
時計塔が、まるごと消えていたのだ。
市民は騒然、警察も頭を抱
える中、広場の中心には一枚のカードが残されていた。
♠ “Ladies and Gentlemen, welcome to my stage.” – Brillian Shatt ♠折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-19 20:29:26
5979文字
会話率:23%
王都エンヴィレアの中央広場には、今日も多くの人が集まっていた。
年に一度の神託式――それは、女神様がこの世界の者たちに「職業」を授ける、運命の祭典。
「次の者、前へ!」
「はっ!」
列に並ぶ若者たちの緊張感と、広場を取り囲む市民たちの期
待が入り混じる中、神殿の壇上に立つのはこの世界を統べる女神・アステリナ。
ただし――
「ふにゅ……えーっと、次は……『にんじん栽培士』? あれ? 『忍者』だったかしら?」
この女神、視力が絶望的に悪い。
はたしてまともな職業を選んでもらえるのか!
物語は未知!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 12:00:00
4432文字
会話率:55%
2025年、東欧バルカン半島で、セルビア、ルーマニアと国境を接する小さな領土の主権国家が存在する。
[南イリュシア共和国]である。
その国はオーストリア帝国の諸邦からユーゴスラビアの自治領、そして旧ソ連圏の独立衛星国家としての歴史を辿り、一
人の独裁者による統治によって、民主革命が起こり、1991年にはユーゴスラビア紛争でセルビア軍と交戦するなど、波乱な近現代史を辿った国の内の一つである南イリュシアは、今ではバルカンの至宝と言われる程まで発展した先進国家である。
しかし、人民共和国時代の遺物が各地に点在し、町並みも、昔とまるで変わっていない。
その中に、首都のイリュクスの中央に国民広場(旧チャパエフ広場)と名付けられた大きな広場がある。
この広場で響いた一発の銃声により、南イリュシア革命が勃発し、二人の独裁者夫妻とその娘が断頭台に上がることになった事件が起きたのである。
2025年12月25日、この日、この国の大統領が辞任を発表してから1ヶ月を切った日の事、一通の古い手紙を大統領が見つけた。
その宛名にはあの36年前に倒れた独裁者から娘に宛てた手紙だった。
大統領は昔の若かりしき頃の記憶を甦らせ、回想していくのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-06 17:57:03
1948文字
会話率:29%
黒金崎高校2年生有栖坂葵は
学校帰りいつも通り近道を通って帰っていた、
だが途中雨が降り霧が立ち込めてきてしまう
傘を持っていない葵は急いで帰ろうとするが
一向に出口に着かず疲れが見えてきた
その時広場の様な場所に出る
そこには古い建物が建
っていた
建物で雨宿りをさせてもらおうと中に入る
そこで天使の輪、羽と悪魔の尻尾、ツノが生えているツギハギな姿をした不思議な少女に出会う折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-04 14:30:19
1655文字
会話率:35%
魔法学院最後の一幕
ネーデラ王国魔法学院の広場には、卒業生たちの笑顔が溢れていた。その中央で、ひとつだけ異様な空気が漂っていた。
「これ以上、婚約関係を続けるつもりはない。悪いが、今日で終わりだ」
その言葉に、会場の空気が凍りついた。
「なに言ってるの?」
ロッテ伯爵令嬢。理知的な眼鏡越しに目を見開いていた。彼女の横に立つのは、かつての婚約者ハーグ。式典の途中、突然の婚約破棄宣言だった。
「俺様、もうアインと付き合ってる。あいつの方が魅力的さ」
そう言って彼が肩を抱いたのは、ピンクの髪を軽やかに揺らした少女。アイン。男爵家の令嬢。にやりと笑って言う。
「だってぇ、ロッテってお堅いん。男の人、楽しませなきゃ♡」
「一年後に、結婚って」
「気が変わったんだよ。俺様のせいにすんな」
「やめて」
振り返り、駆け出した。銀髪が宙に舞い、ドレスの裾が風を切る。群衆の視線を引き裂くように、ロッテは会場から飛び出して。
誰かに思い切りぶつかった。
「あっ、だ、大丈夫ですか?」
低く、どこか気の弱そうな声。ぶつかった相手は、金髪に分厚い眼鏡をかけたマルセルだった。物静かで目立たない、けれど学院でも知る人ぞ知る天才魔術師。実は隣国の伯爵家の三男だ。
「ご、ごめんなさい。いま、わたしっ」
「足をひねったみたいですね。すぐに医務室に」
「ダメ、式場に戻るなんていやなの」
「わかった。外に出ましょう。ボクが支えますから」
学院の門を抜けると、夕暮れが街を金色に染めていた。ロッテの歩幅に合わせて、マルセルはゆっくりと歩いた。街角に立つ、木造の看板。その文字がマルセルの視界に飛び込んだ。
魔酒とハーブの宿酒場
マルセルが小さく喉を鳴らした。無意識に、口元がゆるむ。彼の頬がわずかに赤くなる。
「飲みたいの?」
ロッテがふと、尋ねた。マルセルは慌てて視線を逸らした。
「い、いえっ、そんなことは!た、ただ、ちょっと看板が……気になっただけで!」
「ふふ。いいよ、わたし、おごってあげる」
「えっ?」
「わたしも今日はボロボロになって飲みたい気分なの。だから、付き合ってよ。先に酔いつぶれたら許さないから」
「は、はい!」
チリン、と澄んだ鈴の音が鳴った。夕暮れと、木の香りと、ほんのりと漂うハーブ酒の香りが、彼らを迎え入れた。
不思議な二人の、忘れられない夜が始まろうとしていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 07:40:00
84538文字
会話率:44%
あらすじ
村の広場に刺さっていた「光の剣」を抜いたことで、突然“勇者”となった平凡な村人の俺。だが周囲はあまり驚かず、日常の延長のように事態は進んでいく。そこに現れたのは、王国第一王女・リアノ=ルヴィア。彼女は剣の抜き手を“予言の勇者”と
信じ、なんと俺に即・結婚を提案してきた。
王都での訓練と生活に戸惑いつつも、次第にリアノとの距離を縮めていく俺。ある日、街中で出会った謎の占い師から「王国滅亡の予言」を聞かされ、二人は真相を確かめるため旅に出る。だが旅路の初日から異変は始まっていた――封印区域に現れたモンスター。剣を握り、初めて誰かを守るために戦った俺は、リアノの信頼を少しだけ手にしたのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 22:44:42
298809文字
会話率:23%
インチキ聖女とインチキ勇者、伝説になる
その日、王都の広場ではインチキ聖女とインチキ勇者が糾弾されていた。二人のしていることは証拠もなく、証明もできず、次期国王とその婚約者、果ては群衆からも責められた二人はあっさりこう言った。
「じゃ
、辞めます」
「うん。もう辞めます」
そして二人は伝説になった…。
神様は小さき者に救いの手を伸べる尊き方?
聖女は願えば不浄を消し去る心の美しい女性?
勇者は特別な力を与えられた心優しき男性?
そんな綺麗事一切無し!
そしてこれが聖女と勇者の定義ならば、まごう事なきインチキな二人。
色んな意味で世の常識(?)を覆す、聖女と勇者の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 07:26:39
6715文字
会話率:64%
「へっへっへ。嬢ちゃん、これ、どうだい?」
全ては、駅前の広場で怪しいおじさんから手渡された、一本の金色に光るカセットから始まった。
わたし、くろすけが迷い込んだのは『君が世』――お金と力が全てで、天高いビルに君臨する支配者に誰もが怯える
、ゲームのような世界。
けれど、わたしの旅は、ただビルのてっぺんを目指すだけでは終わらなかった。
世界を救う鍵を握る、囚われのAI「ネオン」との出会い。
裏社会を生きる、もう一人の頼れる相棒「ナイ」との共闘。
尻尾の爆発で何度も窮地を救ってくれた、最高のパートナー「よもぎちゃん」。
わたし達の冒険は、地上の支配者との戦いを越え、世界の裏側に隠された、上層部が支配する「地下世界」へ。龍が棲み、狂気の街が点在する「魔界」を駆け抜け、人の心が作り出す「夢の世界」の絶望とも対峙した。
これは、名前も、記憶も、居場所すらも奪われる、理不尽な世界で。
たった一つの「助けたい」という想いを胸に、たくさんの仲間と出会い、いくつもの裏切りと悲しみを乗り越えて、絶望を希望に変えていく、一人の少女の、壮大な心の冒険の物語。
さあ、行こう。
わたしの、そして「君」が生きる、この世界の物語(君が世)へ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-17 02:56:15
69255文字
会話率:33%
私は流れ星に最後の願いをこめた――
深夜、何の物音もしない深い森の奥。
森の外からでも見えるほど明るく輝く広場に私はいた。
身体中から力が抜け、もう立っていられない。
私は起き上がらない身体を引きずりながら、粗末で小さな墓標に腕を絡め、刻
まれたその名前に口づけをした。
地面に身体を横たえ、夜空を仰ぐ。
満天の星の下、薄らいでいく意識の中で、私はこれまでの日々を思い返す――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-16 17:00:00
1983文字
会話率:7%
「場所は、諸君もご存じかと思うが、所謂『うめきた広場』だ。グランフロント大阪だな。今朝早く、ジョギングをしていた人が、公園内に妙なものを発見した。血まみれのスケートボードだ。
最終更新:2025-06-09 09:39:20
5062文字
会話率:25%
「母の日カーネーションプレゼントを行います。」と、吉本知事がテレビで放送した効果が、早速出た。
爆竹を持った若者が5人、イベント会場の『太陽の塔』前広場に現れたのだ。
最終更新:2024-05-13 08:10:06
5165文字
会話率:21%