俺、飯山界人(24)はブラック企業の出版社で働く毎日を送っていた。
ある日、痴漢されてるJKを助けようとして、えん罪をふっかけられる。誤解は解けたがそのせいで会社を理不尽にクビになった。
都会での暮らしに辟易した俺は、田舎の実家へと戻る
。両親は他界しており、祖母だけしか居ないのだ。
俺は祖母の家の土蔵で不思議な鏡を見つける。異世界へのゲートで、俺は別の世界と現実とを行き来できる力を得た。
実は祖母がすごい魔女だったことが判明、家にあった武器やアイテムを使って俺は超レベルアップ、ドラゴンもワンパンできるようになる。
現実では田舎で働かずに過ごし、暇になったら異世界で無双し金を稼ぐ、そんなスローライフを俺は楽しんでいるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-05 08:20:38
315854文字
会話率:44%
1966(昭和41)年、高度経済成長の真っ只中であった。
江戸時代のころから地主であり、豪農の名で知られた西大路家がしだいに没落し、かわりにお隣の高野家が急激に富裕へとのし上がった。
それだけならまだしも、生け垣のすぐ向こうに立派な土蔵を建
てたのだ。
蔵とは、ひと昔で言えば、富を表すステータスシンボルである。いささか時代遅れではあるが、西大路家に与えたインパクトは絶大であった。
とくに西大路 郁子にとっては、はらわたが煮えくり返るほどの屈辱を味わう。
きっと高野家は、人外の力を借りて富を築いたにちがいない。考えられるのは、狐持ちか犬神持ちの憑き物でも使役しているのではないか。
狂気に捉われた郁子は、村の縫製工場に火をつけ、村人を陽動。その隙に、高野家の土蔵に潜入するのだった。
そこで見たものは予想外の仕掛けであった。
思いもよらぬカラクリに、郁子は頭を抱え、半狂乱になる――。
※本作には現代の社会通念および人権問題に鑑みても、差別的、不適切な表現や語句が含まれております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-29 23:50:00
10042文字
会話率:9%
国問屋大黒屋の主の部屋に夜盗が入る。異変に気づいた長女の雪は離れの寝所で目を覚す。隣で眠っていたはずの次女の多美がいない。長女の雪はこっそり親の寝所がある奥座敷を隣の座敷から目撃して夜盗の話を聞いていたが、父親が土蔵の鍵を奪われて両親が夜
盗に斬殺されるのを見て失神するが夜盗の左胸に昇り龍の彫り物があるのを見ていた。
翌朝、惨劇を知った大番頭は主夫婦が病死したと奉公人を口止めし、盗まれた品々を確認し、火付盗夜盗改方に悟られぬように北町奉行に内密に連絡した。火付盗夜盗改方が動くと奉公人が冤罪に問われるからだ。
北町奉行は内密に与力の藤堂八郎に事件解決を指示した。藤堂八郎は主夫婦を病死として処理し事情聴取する。雪は夜盗の体型を語り、外で見張っていた夜盗の一人は女で、主夫婦を斬殺したのは大番頭と番頭に似た体型だったと言うが、何かが気になり、夜盗の昇り龍の彫り物については話さなかった。
これだけでは、手掛りにならないと思う藤堂八郎は、土蔵から盗まれた品を誰が知っていたか問うが、取り引きを担当していた大番頭も番頭も、済まれた品はの商いは内密で誰にも話していないと言う。藤堂八郎は長女の雪の話から、夜盗は明らかに大黒屋の取り引き品に精通していたと判断し夜盗は大黒屋と関わりある者だと判断した。
主夫婦は病死として葬儀がなされ、大黒屋の主夫婦は菩提寺の円満寺の墓地に埋葬された。その様子を下女の布佐が見ていた。
御上からの指示で、布佐は円満寺での年期奉公が開けると、安針町の鍼師の燐家を借りて金貸しをはじめた。布佐は沢庵と目刺しと小松菜の菜(さい)で飯を食い、ひっそりと暮しながら金貸しを続けた。布佐の金貸しは多額を貸付けぬが利息が安く評判だった。
その布佐が利息を上げた。だからといって布佐の暮らしが変ってはいない。相変らず沢庵と目刺しと小松菜の菜(さい)で飯を食う。
布佐が若い男と会っているのを、金を借りた大工の又八が目撃して有らぬ噂を広めた。そのため、安針町の金貸しお婆の布佐は悪どい貸付けをして若い男に貢いでいると噂になった。
布佐が夏の夕刻、若い男と会っていた。世間は布佐が若い男に金子を貢いでいると思った布佐が金子を溜めこんでいるとみた夜盗が布佐の家に押し込むが金目の物は無い。いろいろ問いただすうちに、夜盗は震えあがって家から飛び出した・・・。
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最終更新:2024-06-09 08:00:00
36044文字
会話率:37%
皐月初旬。日本橋の加賀屋菊之助は妻八重を亡くして一ヶ月が経った。失意のどん底の菊之助に、大番頭は才女の上女中を斡旋すると評判の口入れ屋山王屋を説明した。菊之助は山王屋で、亡くなった八重に瓜二つの上女中の多惠と出会い、多惠を加賀屋の上女中に
する。多惠は全てが、亡くなった妻の八重に似ていた。水無月下旬。菊之助は多惠と契りを交し、二人は葉月初旬に祝言を挙げることになった。
文月二十一日、深夜、加賀屋に夜盗が入り土蔵から五千両が奪われた。
翌二十二日。与力藤堂八郎率いる町方による加賀屋の御用改めの結果、加賀屋の内情を知る者と加賀屋の土蔵の錠前を開けれる者が夜盗の一味にいるとわかった。
唐十郎たち特使探索方は、与三郎が多惠を加賀屋へ潜入させて内情を探り、加賀屋を襲ったと推察し、与三郎たちを捕縛する策を練る。
与力藤堂八郎は、加賀屋の亡くなった八重と共に暮した時期があった。人別帳を調べると八重と多惠は双子の姉妹で、八年前に八重の一家が江戸に出てきた折、妹の多惠は江戸に馴染めずに母と共に仙台へ戻っていた。
唐十郎たちは、夜盗をするために多惠が八重にすり替ったと推察し、与三郎たちを罠に嵌めるため、特使探索方の与五郎を加賀屋に潜入させて多惠を探り、囮の指物問屋、藤正屋の開店を準備する。
二十四日。指物問屋藤正屋の主に扮した特使探索方の藤兵衛が山王屋へ行き上女中を斡旋するよう依頼し、二十五日早朝、両替屋から藤正屋に二千両が運ばれた。唐十郎は、この様子を与三郎一味の阿久津が探っていたのを見届け、奉公人たちに扮した特使探索方と町方に厳戒態勢をとらせる。両替屋から二千両が藤正屋に届けられたと知った加賀屋の多惠から「今宵にも与三郎らが藤正屋を襲う」との文が届く。
その日深夜、与三郎たちが藤正屋の土蔵を襲ったが特使探索方と町方の策に嵌まり土蔵内に監禁され捕縛された。多惠は藤堂八郎のかつて側室の八重だった。与三郎に妹多惠と父を斬殺された恨みを晴すため、八重は与三郎らの捕縛に協力していた。
その後の吟味で奉行所は与三郎らを死罪に処した。八重は三女の佐恵と共に、亡き妹多惠と父の恨みを晴すため、多惠に扮して与三郎一味を町方に捕縛させ、盗まれた金子発見に協力した事を考慮し、奉行所は佐恵に多惠として加賀屋菊之助に嫁ぐ事を、八重は藤堂八右衛門の養女となって藤堂八郎に嫁ぐ事を命じた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-05 09:50:09
71918文字
会話率:36%
突然土蔵に閉じ込められた男。閉じ込めたのは、仕えていた主の娘。嫁入り前の娘は夜な夜な男の元に通い、手を握ってただ「思い出せ」と囁く。訳も分からず男は暗がりの中で娘の声を聴き続ける。
この作品はカクヨムにも掲載しています。
https://
kakuyomu.jp/works/16818093075547166166折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-25 19:30:11
1885文字
会話率:54%
北関東の片田舎に住む、ごく普通の中学生、東景は自宅の土蔵で全裸の少女に襲われて意識を失う。
翌日、記憶が曖昧なまま目を覚ますと、親戚のおばさんが「お手伝いさん」として一人の少女を連れてきた。
自分より少し年上で背が高い、ゾッとするほどに美し
い黒髪の美少女。名前は東瀬織。
妖艶にして大胆不敵な瀬織に圧倒され、生活を支配されていく景。
しかし同時に家族として受け入れていく。
やがて景は、瀬織が人ならざる宿業を負う邪悪な存在と知る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-19 19:07:45
1206108文字
会話率:31%
電車から降り、和佐駅という場所に着く
そこは聖徳太子の家になっていた
古い調度品が並ぶ土蔵の中、木棚を聖徳太子が壁から一段一段と取り除いていった。
その壁穴を通ると、狭い部屋があった。
そこは作り物のように整頓され、塗り固められた部屋だっ
た。
聖徳太子が壁によじ登るようにして、窓の外を眺めた。
聖徳太子はそれを僕らに見せたかったのだろう。
連れは三人いた。
一人は隣の部屋に残してきた。
もう一人のほうは聖徳太子と並び、窓の外をのぞいた。
そのまま、長い間固まっていた。
高い視点にあるので僕は見えなかった。
部屋の掃除整頓を任されているのであろう若い男性がいた。
彼は和装を着ていた。
こんばんは、と声をかけると、こんにちは、と返してきた。
こんにちはと返した。
聖徳太子がずれてくれたので、僕はその窓を覗くため壁によじ登った。
竹の塀をよじ登り、その向こうに見えたのは、過去の英雄の、最期の姿だった。
竹の塀の頂点は、ちくちくとしてとても触れない。
それは当時の心中を忘れないための配慮なのかもしれなかった。
けしてこの光景を、暖欒として眺めるなと。
額に赤の角を生やし、白の戦着を纏った戦神の将。
かの英雄は、胸を巨大な棘で串刺しにされ、息絶えていた。
奥には巨大すぎる妖の巨体の片鱗が見えていた。
かつて多くの村人が、その光景を竹塀から眺めたのであろう。
痛みも忘
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最終更新:2023-07-28 12:04:48
976文字
会話率:0%
高校1年生の椎音鞍馬(しいねくらま)は、同じクラスの人気者かつ幼なじみである佐咲瞬(ささきしゅん)と、その取り巻きにパシリとして扱われ、自分の存在に不安と不満を抱えていた。
そんな悶々としていたクラマは、自宅の土蔵に鎖で厳重に保管され
ていた分厚い本を発見する。
「ネクラノミコン」と題名のついた本の封印を解いたクラマ。
本の正体は稀代の黒魔術書であり、それ自体が意思を持つ存在であった。
クラマは、現状を変えるため黒魔法の封印解除を行う契約を本と結び、ササキとクラスメイト達へ復讐を誓う。
イギリスからの帰国子女の峰岸アカリや養護教諭の柚子ミカンたちとドタバタを繰り広げながら、黒魔法をめぐる騒動は、やがて学園中を揺るがす大きな事件へと発展していくのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-29 09:07:10
99550文字
会話率:52%
四ヶ月ぶりに生まれ故郷を訪れたオチャコが、遠距離恋愛中の明智光男くん、そして大親友のトシヨンと一緒に、大正時代の探偵、明智大五郎が残したという、ちょっぴりミステリアスな挑戦に挑む、胸ドキの謎解き物語。
最終更新:2022-05-12 21:22:41
12264文字
会話率:64%
領主の娘の世話役として招かれた主人公は屋敷の土蔵で暮らす彼女に一目惚れ。おっかなびっくりお世話しつつ、雇い主からの命令に従って、彼女の行動を監視・報告していたけれど…
太陽は学園都市で恋をする
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本編よりもちょっとだけ前の話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-10 21:25:06
5145文字
会話率:9%
おばあちゃんの新盆で、叔父叔母いとこたちが勢揃いした夏の日の記憶。僕はまだ小学生で、酔っ払いの大人たちと離れて、いとこたちと遊んでいた。
鬼ごっこにも飽きた僕らは、かくれんぼを始める。僕が隠れる場所を探していると、普段は閉め切った土蔵の扉が
開いている。
僕は好奇心で中へ入った……
夏のホラー2021、参加作品。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-14 17:00:00
6971文字
会話率:28%
華族である生駒家にメイドとして仕える白庭登美江は、屋敷の土蔵で古い幻灯機を発見した。
生駒家長女の英里奈を誘って開いた幻灯会の席で、彼女達は思いがけない物を目撃する。
※ 本作品は、家紋武範様主催の「夢幻企画」参加作品です。
最終更新:2021-01-16 17:06:11
6196文字
会話率:27%
然(さ)る旧家の生まれである美田九朗(みたくろう)は、土蔵に収蔵されていた古書などの虫干しを祖父より命じられた。そして九朗は、半ば隠された古びた葛籠(つづら)の中から、羊皮紙で作られた曰(いわ)くありげな魔導書(グリモワール)を発見する。
魔導書には、人類よりも高位次元の知的生命体であるサンタクロースについて記述され、バイトで働いているという麗しき【お嬢サンタ】たちの捕獲方法が記載されていたのだ。
九朗は、待ちに待ったクリスマスイブの夜、子供たちにプレゼントを配る【お嬢サンタ】のスネグーラチカを捕獲して彼女にしようと画策する。
果たして結末や如何(いか)に!?
プロローグ、本編五話及びエピローグ(12月29日完結)を予約投稿済みです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-29 00:00:00
16667文字
会話率:19%
室賀(むろが)剛志(つよし)、24歳。
夏。亡くなった己の祖父を引き取るために、鄙びた村へと彼は帰る。
そこで彼は運命の出会いをする。
班目(まだらめ)育枝(いくえ)、同い年の美しい女性だ。
引かれ合うようにお互いを意識する剛志と育枝。
そ
うして、2人は祖父が住職をつとめていた寺の土蔵を整理する。
そこで……見つけてしまうのだ。
呪われし、一幅の掛け軸を。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-17 23:12:24
28485文字
会話率:30%
射鳴家の若い宮司の言影(ときかげ)は、叔母に言われて百話会に出席する事に。
言影のところは本が担当だ。仕方がないので、言影は蔵に本を探しに行く。
土蔵の地下にある書庫に入ると、そこには西洋のモノが私を待っていた。
注 この話は、ア
クションは有りません。で、短編です。今、読み返すと、何だか激しいアクションが欲しくなりますが、そんな話では有りません。ごめんなさい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-08 10:40:13
14121文字
会話率:20%
実家の土蔵に隠されていた、地下の魔法陣。そこに踏み入った青年は、異世界のダンジョン内部へと導かれる。
一方通行ではない、自由に行き来できる異世界との繋がりを持った時、一人の人間の欲望は、冒険、金、女と次第に膨れ上がっていく。
正義には
程遠く、悪には成り切らない。そもそも善悪は関係ない、ただ自身の好きな様に生きると決めた主人公の、真っ当で無い人生が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-27 22:04:51
21849文字
会話率:24%
不審火で焼失した祖母の古い屋敷跡を訪れた琉夏。残されていたのは砂岩の塀と焼け焦げた古い土蔵。庭石までが焼けただれた庭に、なぜか1本だけ瑞々しく伸びる桐の木が…。不思議な既視感とともに封印された記憶が呼び覚まされる。
最終更新:2018-05-22 00:00:00
17855文字
会話率:25%
先祖から受け継いだ土蔵に封印されていたのは、数えることがバカらしい程の美術品の贋作と一本の日本刀。そしてそれに取り憑いている亡霊だった!ーー「銘は鏡紋幻月。幻月とお呼びくださいませ、ご主人様?」
妖怪の町と現代の街を舞台に、俺と幻月があらゆ
る存在に憑依する、美術品の怪異に挑む!
ーーけどその前に。
「さあ、ご主人様ぁ?このくらいでへばっていてはいけませんよ?安心してください修行ですからね、死にはしません。死ぬほど酷い目には遭うかもしれませんが…ね。」
ーーオバケと幻月怖い。ダレカタスケ…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-02 00:58:27
2770文字
会話率:7%
「あの夏が来るまで、僕は愚かで、臆病で、傲慢だった。
だから僕は、大切な友人を失ったんだーー」
幼い頃から、ソレが見える寮制の高校生、八重野瑞透(やえのみずき)16歳。
20歳まで生きられぬと言われながら、瑞透はずっとソレと対峙してき
た。
ソレーー凝った闇の塊のようなナニカ。
瑞透の生活の隙間にいつのまにか忍び込み、瑞透の命を脅かしてきたナニカ。
ソレから逃れたくて、瑞透は休みになるたび実家にある北関東の田舎に帰る。
唯一、田舎にある本家の土蔵だけが瑞透の安息の地だからだ。
そして、そこには瑞透を守ってくれる"人ならざるもの"もいる。
でもその年は、いつもつるんでいる友人たちを連れて帰省した。
林間学校の手伝いをしながら、友人たちと過ごす実家での夏休み。
お山の神社で出会った、一人の女性。
そして起きる。
いつもと違う夏だった。
いつもと違う、感情が、芽生えた。
ーー僕はいつ、死んでもいいと思っていたのに。
『狐の声がきこえる』の舞台で紡がれる続編?いやスピンオフ?いや新作です。
今度は、男子高校生が主人公のアオハル(?)的現代ファンタジーです。
※この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-31 00:41:22
59936文字
会話率:31%
北関東の山間で、米をつくり暮らしをたててきた集落。
そこに住み、皐月を幼い頃から可愛がってくれた祖母が亡くなった。
親族として葬儀の手伝いをする皐月は、豪農として大きな屋敷を構える本家で、
幼い頃に見かけた「狐の嫁入り」を思い出す。
雨が
降る田のあぜ道を、篠笛の音とともにゆく狐の面をした彼ら。
それとともに苦い記憶が蘇る皐月の前に、一人の男性が現れた。
白彦ーー。
きよくん、と呼び、本家に来た時だけ遊びまわった従兄弟であり、幼い頃の友達だ。
人目を惹かずにはおれない美しい男性に成長した彼に、皐月は気後れしながらも少しずつ打ち解けていく。
そんな時に、ふと現れた、狐面で顔を隠した、小さな男の子。
謎めいた言葉を残しながら、その子は裏庭の古い土蔵へと誘うーーー。
皐月を襲う新たな怪異。
山の神様が住まうという集落のシンボルでもあるお山。
ひたひたと皐月の日常に忍び寄る、悪意。
少しずつ思い出す、過去の記憶。
そして、祖母の命への眼差しとひたむきな白彦の想い。
皐月は、いやおうなく人間と人間ならざる者、生と死との狭間に立たされていく。
その狭間で、彼女はどんな選択をしていくのか。
※この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-11 15:00:00
166678文字
会話率:40%
私が担当する入院患者にアヤという女性がいる。彼女の心の内にある「幼児、母親、少女」の記憶を調べるうち、三名の共通点が「土蔵」であることがわかる。私は真相を知るべく土蔵へと向かうが、そこで考えられないものを見る。
最終更新:2017-09-20 05:34:54
2502文字
会話率:3%
腕の良い錠前職人だった権蔵《ごんぞう》は、土蔵破りに身を落としていた。
彼には、かつて夫婦を誓いあった幼なじみのお香《おこう》がいたが、十五の春に家庭の事情で花街に身を売られてしまった。
いくら腕の良い職人とはいえ、花街で遊興にふ
ける余裕はない。
忘れられない想いをくすぶらせつつ、月日は流れ――人の噂に、彼女は太夫《たゆう》となって身請けされ、商家の後家に収まったと聞いた。
各地を転々とさすらいながら、土蔵破りを繰り返して生きてきた権蔵。
江戸に戻ってきた彼に、カラクリ錠造りの依頼が舞い込んだ――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-24 01:00:00
66319文字
会話率:38%