夏至から七夕までの間、その地域の神社では大小を問わず、祭りが催される。
そこでは賽銭を入れることが、強く勧められるのだとか。
その年。錠前職人の徒弟が、つい出来心で賽銭を盗みにかかった。
彼が手にした金の顛末は……。
最終更新:2018-06-30 17:23:08
3409文字
会話率:10%
腕の良い錠前職人だった権蔵《ごんぞう》は、土蔵破りに身を落としていた。
彼には、かつて夫婦を誓いあった幼なじみのお香《おこう》がいたが、十五の春に家庭の事情で花街に身を売られてしまった。
いくら腕の良い職人とはいえ、花街で遊興にふ
ける余裕はない。
忘れられない想いをくすぶらせつつ、月日は流れ――人の噂に、彼女は太夫《たゆう》となって身請けされ、商家の後家に収まったと聞いた。
各地を転々とさすらいながら、土蔵破りを繰り返して生きてきた権蔵。
江戸に戻ってきた彼に、カラクリ錠造りの依頼が舞い込んだ――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-24 01:00:00
66319文字
会話率:38%