異能の一族の娘、イーリス。その力は当主である兄と比べ余りにちっぽけだった。追われるように里を出奔したイーリスは、素姓を隠し、しがない調剤師として細々と暮らすことに。
そんなある日、薬の素材を探しに入った森の中で、ぶかぶかのシャツを纏っただけ
の奇妙な出で立ちの子供に出会う。
放っておくこともできず街に連れて帰るが、その子供は人間嫌いで故郷から出てこないはずのエルフ、それも黒魔法ジャンキーのダークエルフだった。
慣れない子供の相手に悪戦苦闘し、軽い気持ちで「黒魔法を使う時は許可を取る」「街の中では手を繋ぐ」などの約束を交わすのだが……
「いやいや、待って。ダークエルフは約束を決して破らないって、そんな話、知らないから!?」
これは図太い貧乏調剤師と小さな……はずのダークエルフの、ある意味目まぐるしい日々の記録である。
【アルファポリス様、カクヨム様にも掲載しています】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-30 20:48:00
292617文字
会話率:31%
「ガッデム!」
都内某高級ホテル。
一泊十数万円はくだらないホテルの講堂内にて、野太い男の声がこだまする。集まった百余名は互いに顔を見合わせ、これから何が起こるのかを一様に案じていた。そしてそんな中、ひとりの角刈りの、サングラスをかけた
ガタイの良い男がステージ袖から壇上へと上がった。男は壇上から講堂全域を見渡すと、マイクを手に取り、言った。
「──はじめまして。私は当ホテル支配人の蝶〇と申します。皆様に集まって頂いたのは他でもありません。この中にひとり、当ホテル料理長が開発したレシピを盗んだ輩がいるとの報告を受け、急遽、その者を逃がさない為、こうしてホテル内にいた皆様に集まって頂きました」
ざわざわざわ。〇野がそう告げるや否や、講堂内に人の声が溢れた。
「オラ! エー!」
蝶〇が一喝すると、ざわついていた講堂内が一瞬で静まり返った。
「まず、その事について私から深くお詫び申し上げます」
〇野は壇上に手をつくと、その場にいた全員に深々と頭を下げた。
「……ただ、皆様に時間を取らせる程の事でもありません。こちらのほうで犯人の目星はついています。犯人の名は──鈴木桜」
蝶〇がその名を告げると、ステージ最前列にいたスーツ姿の女性が肩をビクッとさせた。そう、彼女こそが鈴木桜。その人であった。〇野はステージ上から豪快に下へ降りると、最前列一人一人の顔をじっくりと見、鈴木の前で足を止めた。
「おいおまえ、名前は?」
「キューティ……ブロッサムです」
「外国人か」
「純日本人です」
「純日本人なのにその名前なのか」
「よく友達にも揶揄われていました」
「そうか。大変だったな」
鈴木はそう言われ、ホッと胸をなでおろした。これで蝶〇は何処かへ行く。そう思ったのだろう。しかし、〇野は頑なに鈴木の前を動かなかった。
「おまえ免許証見せてみろ」
「え?」
「持ってるんだろ?」
「いやです」
「何故だ」
「言いたくありません」
「いいから命令だ。早く見せろ」
「いやだああ!」
鈴木は必死に暴れて抵抗してみせたが、呆気なく免許証を取られてしまった。
「おまえ、鈴木桜じゃないか」
「違います!」
「ここにそうあるだろ」
「それは私の父です!」
「嘘つけ!」
「ホントです!」
「もういい、ステージに上がれ」
「え?」
「制裁だ」
こうして主人公の鈴木桜はビンタされ死んでしまった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-24 21:01:09
204197文字
会話率:62%
男子高校生はみんな僕のようになんとなく生きているのだろうか?
図太い友達を羨ましいと思う反面、見下している自分もいる。
僕の裏の顔を知ったら周りのみんなはどう思うだろう・・。
最終更新:2021-01-07 23:19:05
15994文字
会話率:45%
男性向けのラブコメのヒロインは絶世の美女であることが多い。
これはある意味必然とも言える。
誰もが羨むような美女を彼女にしたいというのは男子共通の願いだろうから。
もちろん僕だって美女が嫌いな訳じゃない。
――が、僕が何より萌えるのは、『
少女漫画の主人公風の女の子』だ!!
決して美人とは言えないけれど、親しみやすく一緒にいて安心する女の子。
そんな良い意味で素朴な女の子にこそ、僕は激しく萌えるのだ。
――そしてそんな僕の今の推しが、隣の席の|楠木《くすのき》さん。
――楠木さんは二つ結びにした黒髪に、ちょっとだけ太い眉毛。
スタイルもお世辞にも良いとは言えず、どちらかと言うと幼児体型に近い。
そして運動全般が苦手で、勉強もあまり得意ではないという、ハッキリ言って取り立てた長所が何もない女の子だ。
――だがそれがいい!!
その『普通さ』にこそ、僕は国宝級の価値を感じる!
まさしく楠木さんこそが、僕が求める理想の『少女漫画の主人公風の女の子』なのだ――。
……でも少女漫画の主人公である楠木さんの相手役としては、僕みたいなモブ男は相応しくない。
――楠木さんに相応しいのは高身長のイケメンでサッカー部のエースという、少女漫画に出てくるヒーロー役みたいな新庄君だ。
新庄君はいつも楠木さんにアプローチをかけているし、きっと二人は両想いなのだろう……。
――が、何故か楠木さんと新庄君の映画デートに、僕も参加することになり……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-18 21:09:29
4407文字
会話率:39%
「スシノ=カズハ=ヤーリイーカ、第四王子イクラスとの婚約を解消し、第三王子エビダスと婚約関係を結ぶことを、ここに宣言する」
父王さまの、野太い声が大広間に響きます。
ようやく、この晴れやかなる日を迎えることができた、喜び。そっと胸を押さえて
、そしてもう一度息をつきました。
「はい、承知いたしました」
✳︎✳︎✳︎
わたくしスシノ カズハは、現在第三王子エビダスさまの婚約者。ここへくるまで紆余曲折ありましたが、とうとうこの地位まで登りつめました。けれど、わたくしには野望があります。そのためには揺るがない財力が必要なのでございます。最終的に狙うは、カッパースシ国を統治する王の妃の座!
✳︎✳︎✳︎
お読みいただければ、幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-26 12:12:04
28917文字
会話率:29%
一人の少年がダンジョンを攻略していた。
そして、その狭間のダンジョンと呼ばれる最奥地で彼は隠し部屋への扉を開いてしまう。
隠された部屋。このロマンに勝てるはずもなく、彼は誘われるままに隠し部屋の中へ……そして彼は部屋の中にある、とても豪華な
扉を開いてしまう。
扉を潜ると其処は山の中。だが、そこから見える風景は異常だった。
見た事のない巨大た建物に太い糸の様なモノが張られている(送電塔)。さらに遠くを見ると沢山の巨大な建築物(ビル群)が。
一体此処は何処なんだ! と疑問に思いながらも、何処か懐かしい感じすらする。
さて、この少年。実はこの巨大建築物が有る世界の出身だったりする。
実は幼い頃に、俗に言う神隠しにあった被害者だ。その結果、彼は右も左もわからぬ世界に飛ばされた……とは言え、記憶も有るかどうかの幼少と言える年齢の頃。普通に考えたら生きている方が奇跡だったりする。
ただそれは、彼の幸運がなせる業。上手い事生き延びる事が出来、なんとダンジョン攻略で元の世界に戻る事が出来たのだから、彼の運は本物だろう。
しかし、彼にこの世界で生きたと言う記憶は……無い。生死が隣り合わせの世界で懸命に生きて来たのだから、それも仕方のない話。
だが、こうして元の世界に戻る事が出来た彼。しかし、この世界に魔法やダンジョンなんてない! そう、全ての常識が違う!
そしてこれは少年自身と、そんな彼と再会できた家族や仲の良かった隣人の女の子が繰り広げる、少年の異世界で学んだこの世界に合わない常識との闘い? と、それに伴う問題とその解決により絆を深めて行くドタバタとした日常と、ラブコメに、ちょっとだけファンタジーな話。
1章~4章まで終了。これで、渡と紬もようやっと軌道に乗りましたって感じでしょうか。
5章はある意味、本編終了後からの日常スタートと言った感じ?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-09 18:00:00
165393文字
会話率:40%
とある昼下がりの、とある薔薇の綺麗なお屋敷で、3人の夫人達によるお茶会は開かれていた。
「旦那様は、とても大きくて、その、……太いんです」
*ピュアな心でお読みください。
*下ネタではない。と作者は信じていますが気分を害しましたら、申
し訳ありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-04 00:32:42
2283文字
会話率:32%
気づいたら異世界の森の中に転移していたアラサー会社員チヨリ。何かチートがあるかと期待したものの、装備はパジャマ、お金なし、自動翻訳機能なしでいきなり詰む。冷静かつ図太い性格(本人談)を存分に生かし、開き直って今日も楽しく歌をうたう。
*ほ
のぼの異世界生活、後にちょっと冒険。チートあり。血生臭い争いは起こりませんが、ケガや出血の描写は多少出てきます。ちびっ子や恋愛要素もあり。
*9/28:全編完結しました!応援ありがとうございました!
(本作は『アルファポリス』『カクヨム』にも投稿しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-28 00:06:52
209032文字
会話率:34%
むかしむかし。
実ったみかんの身が、一文字にえぐられる事件があった。
深く太い傷跡に対し、しぶきが飛んだ様子すら見せない奇妙な傷口。
その容疑者としてあがったのは、若作りのご隠居だった。
そば屋の青年の話だと、ご隠居の犯行は少し奇妙なも
ので……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-18 23:00:00
3941文字
会話率:2%
その太い枝は、田んぼの中に無造作に捨てられていた。
子供の腕ほどの太さのそれは、鉄棒のにぎり跡のように、一部が変な色に変わっている。
学校の先生に訊くと、「火吸い鳥」の仕業だという。
やらねばならぬことができた、と先生は電話でもろもろの相
手に電話をしたのち、枝を見つけた生徒を車に乗せる。たどり着いた場所で待っているものとは……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-14 15:50:17
3968文字
会話率:5%
ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃ!!ぬちゃぬちゃぬちゃぬにちゃぬちゃぬぬちゃ!!
・・・ねち
「ら、らめぇええええええ」
魔王城の中を野太い声が響き渡る。
痙攣をしてる魔王の前で、得意な顔で腕を組みふんぞりかえって立っているのが、
身長
140センチ弱!
体重ひ・み・つ!照
バストこ・ろ・す!怒
な、この私!
日いづる国日本から転生してきた
弥山 紅葉(みせん もみじ)その人なのだ!
<i445572|30980>折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-30 16:52:46
43853文字
会話率:50%
看板短編企画参加作品。
「今日も頑張らなくちゃね、お兄ちゃんが元に戻るようにね」
私は台所から出る。ここはおとぎの国。そして外に出る。振り向けば誰も来ない廃れてしまった、私の大切なの家。エメラルドの木漏れ日がきらきら、側に立つレバノ
ン杉にはウネウネと太い蔦が絡まり、甘い香りの薄紫色の房が、幾つも下がっているの。
「天地満ちる精霊達。あちらとこちらを繋ぎなさい」
呪文を唱える。幹に浮かび上がる入り口。異世界に繋がる扉をギイィと開けた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-08 21:21:14
2999文字
会話率:33%
夕立が来た。太い雨が降る、貴方は、傘が無い、私は持ってるの………
最終更新:2019-06-15 11:29:58
468文字
会話率:0%
当時17歳だったクラスメイト3人が異世界に召喚されて10年の月日が経過した。その間に魔王を討伐したり日本に帰れないと言われたり様々な事もあったが、10年も経てば異世界を楽しんでやろうという気持ちになるくらいには図太い神経になっていた。そんな
彼らが『異世界に召喚されて10年経つし、暇だから何か新しい事をやろう』というしょうもない理由で百物語をすることになったのだが、この後とんでもない事になってしまったのであった。※ホラー要素はほとんどありません折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-25 00:00:00
5771文字
会話率:58%
ゲームでテクスチャ抜けでハマり自殺することも出来ない自分の無力を感じた。
ハマった場所は太い枝。
前にも後ろにも進めないと悟った時に思ったんだ。
「あー、枝豆はいつもこんな絶望を味わってんだな」って。
最終更新:2020-07-13 23:46:21
621文字
会話率:32%
――死は必然とされる。
夜になると部屋の隅を黒い影が走る。
指ほどの大きさをしたつややかな黒い体。
長い触角を頻繁に動かして周囲を警戒する。
太い脚で素早く移動した。
排水溝やエアコンのダクトなどから侵入する。
玄関や窓の隙間で
も人間の生活圏に入り込む。
そして外敵の気配を察知して飛翔する。
私は虫が嫌い。
――――――――――――――――――――
ハーメルン他にて重複掲載。
https://shimonomori.art.blog/2020/07/12/mushi/
※本作は横書き基準です。
1行23文字程度で改行しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-12 00:00:00
4955文字
会話率:0%
小説の大改造をしました。内容は変えてません。
ご迷惑おかけして申し訳ありませんm(_ _)m
ある日目が覚めたらコウモリになってや女子高生がヒトの頭脳と魔物の身体能力、チートスキルを武器に無双。どんどんレベルあげて、進化して、強くなって
いきます。コウモリから始まって、ヴァンパイア二なったりドラゴンになったり、ヒトに化けたり魔王になったり。さらには邪神に!?
細かいことは気にしない太い神経の女子高生が異世界で自由気ままに好きなように暮らすお話です。
超初心者の作品なので読みずらいとは思いますが、暖かい目で見てください(^^)
分かりにくい、読みにくいのを読んでくださってありがとうございます(*^^*)
更新日はバラバラの予定です。今のところ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-07 20:52:20
60225文字
会話率:23%
普通の高校生、黒巣三汰は『サンタ』である。
サンタの役目はクリスマス前夜のクリスマスイブに子供たちにプレゼントを配ること。
サンタの仕事を終えた三汰は急な激痛に襲われる。それはプレゼントを届けるために使った力の代償である。ひどい
吐き気に頭痛。太い釘を打たれたような鈍痛が身体に走る。
耐えきれなくなった三汰はエルフのアシスタントに、痛みをなくす力をかけてもらう。
その力の代償とは、昔の記憶を失うことと、寿命の大きな低下だった。
幼なじみとの大切な思い出がどんどん失われていく。人格も少しずつ蝕まれていく。
その異変に少しずつ気づきだす、一途な幼なじみの女の子、いちご。
その大事なことをすべて伝えようとしないアシスタントエルフのサリア。
隠していたわけじゃないが、少しずつ三汰に心が惹かれていき、言い出せなくなる。
三汰がサンタになった理由とは。
サンタという存在に隠された本当の真実とは。
三汰の過去にあったサンタとの思い出とは。
とちょっと奇妙でちょっとエッチなサンタラブコメをお楽しみください。
第3話ぐらいまで読んでいただけたらおもしろいと思いますのでよろしくお願いします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-13 19:56:03
17280文字
会話率:39%
百の神様が人と交じって生活する、とある異世界。
ここに、引きこもりのマイナー神、イナリ様がおられました。
見た目3歳児。頭頂におっきい狐耳。お尻に長くて太い狐シッポ持ちです。
おやおや? 傾いたお社のまで、村人が集まっております。
何かお願
い事があるのでしょうか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-01 00:00:00
4415文字
会話率:28%
むかしむかし、なろ山のふもとの小さな村に、らのべえという若者が住んでいた。
ある日、らのべえが山に仕掛けた罠のようすを見にゆくと、
小柄で美しい娘が、罠に片足を挟まれてぐったりしているではないか。
娘の両耳は毛むくじゃらでぴんと立ち、着物の
尻からはふさふさして太い尻尾の先がのぞいている。
ははあ、さては狐めが助かろうと思って人に化けたな?らのべえはすぐ気づいたが、
「猟師さん、猟師さん、後生ですから助けてください。助けてくれたらお嫁になります」と娘が言う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-17 00:00:00
2991文字
会話率:28%
ヴィレンツェ王国の「火」の魔導士シェリルは、隣国のカターリア王国を攻略するため、戦場に送り込まれる。
この世界の魔導士は国の管理下に置かれており、拘束され、自由のない生活を余儀なくされる、戦争のための「道具」であった。
知られている15人の
魔導士の内、10人を擁するヴィレンツェ王国は、まさにその魔導による武力を背景に周辺諸国を次々に占拠し、強大な統一王国を築きつつあった。
シェリルは、その10人の魔導士の中でも最強の力を持ち、一度の攻撃で500人を死に至らしめるほどの「爆炎魔導(エクスプロージョン)」の使い手。今度も、その魔導を戦争で利用される、はずであった。
が、そこに現れたのは、太い胴体と手足を持ち、爆炎魔導すら弾き返す化け物。「人型重機」と呼ばれるそれを操る人物によって連れていかれた先は、空飛ぶ船だった。そこでシェリルは初めて、「人」としての生き方を歩むことになる……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-25 15:41:59
130773文字
会話率:56%
九 瑠一(いちじく るい)30歳独身。
伊達メガネをかけて気弱さを演出する苦労人だが、基本良い人。良い人というか、天邪鬼なお節介焼き。頼まれるとしたくないくせに、自分からする事には不平も不満もない。
家族構成は父、母、妹の核家族だったが、
ちょうど自分が同行しなかった家族旅行先で自動車事故に遭い帰らぬ人に。その時に何もできなかった自分を責め、猛勉強の果てに東大医学部へギリギリ合格するも、成績は下の下。親の生命保険の受取でまとまったお金は得たものの、塾に通うほどの余裕はなく、留年せずに奇跡的に卒業する。医師免許試験は見事一発合格し、大学の医局で新米ドクターの研修を始める。研修の最中にどす黒い人間関係で心を病み、気に入らない教授を殴り、医者の道を断念する。医療に関する知識と技術は新人でも群を抜いていたとか。
並行して、ストレスを発散させるために合氣道の道場へ入門するも真面目さが高じて合気道六段の腕前を持つ。そんな彼が、職場のストレスで人間不信になったのも仕方のないことだろう。唯一、合氣道場の師範には心を開いていたのだが、暴行事件を機に都会を離れ、新潟の町工場へ逃げこむように再就職してナイフや包丁を作ることになる。まだ情緒不安定だが、年配者の多い良い職場で心のリハビリを行って徐々に回復傾向にある。
ひょんなことから、連休を利用して社員旅行に東京へ来た際横断歩道を渡っている最中に大型トラックにはねられ死亡。女神様の手違いで生霊《レイス》になる。
アンデッドであるのに特異な存在であることに気付かず、得た力がチート級であるにも気付かず、只々自分が生霊《レイス》であることを隠して、事なかれを貫こうとするルイ。
そんなルイの前に、様々な出会いと事件が転がり込んでくる。
生霊《レイス》であることを隠し通せるのか?
静かな暮らしを手に入れることが出来るのか?
勇者が持て囃され、魔王が跋扈する世界でルイが見たものは!?
物語はここから始まる。
陽の光が入り込めぬほど鬱蒼とした闇をその内に抱える森。太い幹から伸びる枝の先さえ闇に呑まれて見ることができない。ただ、かなりの空間が広がっているのだろうと言う黒い森だ。
梟の声だろうか。寂しげな声が闇の中を彷徨っている。
と、その闇の中に、ぼんやりとした光を放つ半透明の青年が突然現れたーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-01 22:57:13
1698523文字
会話率:50%