「気に入らないところなんてないよ。嫌いなところもないし、悪いところも何一つとしてない。
でも好きなところもないんだ。君は平々凡々、何一つ秀でるところがなくてつまらないんだ」
とロッド子爵家の息子フィンペシアに結婚話を白紙にされたモニ
カ=カークスビル伯爵令嬢。
彼女は平然とそれを受け入れた後で、この経緯を両親に一緒に説明して欲しいと、傍に立っていた若者に声をかけた。
「わかった」
地を這うような不機嫌な声を出し振り向いた若者の顔を見て、フィンペシアはサァーッと青褪めた。
その若者はオーランド侯爵家の次男のキール。王都学院の一つ下の後輩で、学院長でさえ一目置くハイスペックなクールビューティな男たった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-31 19:00:00
17445文字
会話率:25%
前世でライトノベル作家だったアレン・ジ・ホード。その想像力とチートスキルに混ざり、異世界の常識を破壊する(無自覚)
そして一人の銀髪の獣人との出会いで世界の真実へ…
最終更新:2021-05-30 17:30:06
11151文字
会話率:63%
プロローグ・魔人創世記
神は初めに天と地と、海を創られた。そして太陽と月を創られると、昼と夜が現れた。
やがて、海には魚、地上には木や草、そして動物たちが現れた。
最後に神は粘土で自分に似せて男を創られた。神が息を吹き込むと、それ
は自ら立って歩きだした。
男の助け手として神はもう一人、女を創られた。
美しい花園で二人は幸せに暮らし、神はそれを見てよしとされた。
だが、ある時、邪悪な生き物が現れ、人間にこう言った。
「神はこの世界を創り、人間に命を与え、この楽園を楽しめと言われた。しかし、楽しむだけで良いのか?隠された真実を知りたくはないか?自ら何かを生み出す力が欲しくはないか?
もしそれらが欲しければ、あの「知識の樹」に生る「知恵の実」を食べればよい。覚醒し、神のように全てを生み出す力が得られるだろう」
その言葉にそそのかされ、その樹に実る果実、まだ熟してもいない、その青い実を食べた女と男。
やがて二人は天地創造の秘密を知ることとなった。
しかし、それは神との契約を破る行為だった。
神は怒り、すぐさま人間に罰を下された。そそのかした生き物も手足、翼をもがれ、地を這うだけの生き物となった。
花園を追われた人間は、全ての記憶を失い、地上を彷徨い、死という逃れられない運命をも背負わされた。
それがため、返って人間は増え続けた。
やがて、社会が出来、文明が築かれた。
それが人類の始まりの出来事である。
そんな出来事の、一部始終を見ていたものがあった。それは生き物ですらない、ただの土塊。神が人間を造るために用意した粘土の残りであった。
人間になりそびれたその土塊は、誰に顧みられる事もなく、知恵の樹の根元で、落ちて腐った知識の実を養分に、しだいに蠢き、独りでに肉となり、骨ができた。やがてそれは、人間によく似た生き物となり、自ら立って歩きだした。
それが、魔人と呼ばれる生き物の始まりの出来事である。
魔人はこっそりと人間社会に紛れ込み、交配を重ね、命を繋いでいった。そこに生まれくる者たちは皆、その血と悲しい運命を背負い、生きて行くのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-05 18:00:00
111244文字
会話率:39%
「……これは、傑作だ」
ラヴェンダーの投げ込んだ煙幕はほとんどその役を果たさなくなり、その残りが薄く絨毯の上を這うだけになった頃、男がぽつりと呟いた。
「まさかこんなところで再会するとは……思ったよりずいぶん早かったものだな」
ク
ツクツと喉を鳴らす男に、ラヴェンダーは喉を震わせた。
落ち着きがあり、自信に満ちた声。暗く、影が差しているが、その分妖艶さも帯びている眼差し。
ナイフのように鋭利な空気を纏いながらどこまでも蠱惑的な男の顔が目の前にあった。
ひねり上げられた右腕と共に引き寄せられた彼女の細い腰は大きくのけぞり、それに覆い被さるように彼女の眼差しを覗き込んで来る男は、どこまでも優雅だった。端から見れば、二人はまるでダンスを踊っているようにも見えただろう。
けれどその実、男は圧倒的な力で彼女を押さえ込んでおり、泰然とした笑みを吐きながらの低い囁きは半ば恫喝だった。
「お前は、誰だ?」
「……答える義務はないわね」
震えそうになる自身を叱咤し、大きく胸を上下させてから返したその言葉。
それが、二人の”再会”だった——
アメリカのスラムの孤児院で育ったらラヴェンダーは、ヨーロッパの名家に引き取られながらも、その生活になじめずにいた。
性に合わない上品で退屈なお嬢様生活に飽き飽きしていた彼女に持ちかけられたのは、第二次世界大戦中に失われてしまったシューヴァンシュタイン家の美術品収集のための怪盗家業。
ブレインにしてリーダーのシューヴァンシュタイン家後継者のエリーゼと、その分家筋でハッキング担当のフェリスとともに、狙った獲物は決して逃さず、神出鬼没に盗み出す彼女は、予告状に描かれた黒猫のイラストに関連づけて、怪盗”黒猫(シュヴァルツ=カッツェ)”と呼ばれていた。
その怪盗黒猫が初めて対決した、”同業者”は、彼女が盗み出そうとしていた美術品だけでなく、もう一つ、大切なモノも奪っていって——
暇をもてあましたお嬢様の華麗な”怪盗黒猫”としての生活が幕を開ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-04 16:00:00
219669文字
会話率:38%
きみにしかできないことなど、ない。
最終更新:2021-01-23 00:00:00
6573文字
会話率:37%
私の身体を這うのだ。
時折現れる小さな甲虫。80歳の医者の見解はこうであった。
最終更新:2021-01-16 20:30:56
1677文字
会話率:65%
12歳になる少女マリィ。幼少の頃から好意を抱いていた王子との婚約で幸せを掴んだはずだった。絶望が襲い、倒れ伏した王子に寄り添う少女の前に現れたのは、黒い翼を持った一途な悪魔だった。
—————
眠りについたまま
死んで行く君
終
わらぬ夜の中
ひとりの私
命を救うため
花の雫探してる
私の耳元に
悪魔が囁くのよ
「いつまでも そんなこと
してたって 無駄だよ
そんなもの この城に
在りはしない
目が覚める その日まで
朝だって 隠れた
僕のこの 手を取って
二人きり 踊りましょう」
頬を伝わる涙
時計の針は進む
背中から差し出された
その手は優しそうで
世界を這うように
あちらこちらを探した
私の耳元に
悪魔は囁いたの
「ホントはね その身体
冷えきって 心配さ
このスープ 少しでも
飲んでおくれ
ひとりきり つらいのは
僕だって 同じだ
僕のこの 腕の中
二人して 眠りましょう」
止まらない涙
時計は進み続ける
どんな言葉でも
振り返りたくはないの
君の手を握る
まるでそれは懺悔のよう
──私の心は
変わらず君のその側に──
遠くで鐘の音が
鳴った気がした
こちらはカクヨムとの同時掲載作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-02 10:26:00
104205文字
会話率:23%
「仕事が回らないのは私じゃなくてそっちのせいでしょうがばぁーーーか!!」
魔力が無いという理由から出世させて貰えず、雑用係として日々魔工師ギルドで下働きをしていたファミアは、ある日ギルド長からクビを宣告されてしまう。
あることないこと
自分のせいにされてキレたファミアは、最後の最後に言いたいことを好きなだけ言ってスッキリと職場を後にする。
ちょっと言い過ぎたいせいか放たれた追手を適当にやり過ごし、コツコツと溜めた資金を元手に目指すは田舎で自由気ままなスローライフ!
ひょんなことから獣人の子供達を助けたのを切っ掛けに、彼らの村で暮らすことになるのだが……。
「こ、これは酷い」
家はボロボロ、道具もボロボロ、ついでに働き手であるはずの男達もみんなボロボロ。
奴隷狩りに追われ這う這うの体で逃げだして来た獣人達の村は見事に存続の危機に立たされていた。
密かに育んでいた動物好きの血を騒がせたファミアは、雑用係として培った知識と技術をフル活用し、彼らの村を再建していく。
「いや家一軒一人で建てるのは雑用とは言わなくない!?」
「こんな便利な道具初めて見た!」
「薬まで作って貰っちまって……ありがとう!!」
獣人達に感謝されながら、彼らに囲まれもふもふを堪能する平穏な日々を満喫するファミア。
一方そんな彼女がいなくなったことで仕事が回らなくなった魔工師ギルドでは、そんなことになっているとは考えもしないギルド長の手で王子肝いりという一世一代の大仕事を持ち込まれるのだった……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-22 00:00:00
32298文字
会話率:46%
「すべてを極めたい。そっちのほうが楽しいだろう」
ある日、40人の生徒は異世界へと召喚される。様々な国が覇権を求めて争う世界へと。優れた能力を得た多くの生徒が召喚した者の願いに応え、国の勇者として戦う道を選ぶなか、上地森羅は彼らと別の道を
行く。戦を知り、世界を知り、己を極めるために。
文字を書き、組み合わせて武具を成し、神話と伝承をその身に宿し、英雄ではない人の道を、地を行く者の至る場所は。
地を這う者らに誉れあれ。
*世界観的にはよくあるファンタジーものに近いです。ダンジョンもあります。が、主人公がそれらに関わることはそれほどありません。どちらかと言うと戦争のほうが多いです。また、様々な種族が登場しますが、ありがちな「人間族」「魔人族」「獣人族」といった表現は(妙に人間が中心になった、私達のいる世界の常識でその世界を語っている気がするので)しません。
三人称です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-18 16:40:12
77683文字
会話率:55%
第一話
荒くれ者を纏め上げ、帝国を暗躍する男。
通称、蛇。
蛇は大切な花のために地を這う。
そして、小さな花に救われた。
モブ巌、巌(いわお)の様なモブの短編連作です。
最終更新:2020-09-27 20:31:28
9853文字
会話率:51%
自らの置かれている状況や環境の有り難さを忘れ、
互いが互いを羨ましく思い、互いに死ぬこととなった。
最終更新:2020-09-12 11:31:40
582文字
会話率:8%
小島聡子には好きな男子がいた。その恋を成就するために、ある時耳にした「恋愛の神様」の住む古びたアパートへと赴く。這う這うの体で辿り着いた八階で、神様と自称する男に、男が読んだ風俗嬢と間違えられる。追い返される間際、自称・神様の男から、話だけ
は聞いてやると時と場所をしていしたメモを聡子は渡された。
数日後、聡子と男はカレー屋で対面する。自称・神様こと、文多傳蔵(フミタ デンゾウ)は代筆業を生業にしている男。最近は対象の特徴から思考を割り出し、恋愛を成就させる恋文代筆も請け負っている。どうにも胡散臭さの抜けない説明に警戒している聡子に対し、傳蔵は目の前で別れたカップルを恋文で復縁させる。その一部始終を見た聡子は、傳蔵に恋文代行を依頼することに決めた。
更に別の日、友人・由梨の協力もあり、代筆された恋文を男子生徒に渡す時がやってきた。
なかなか切り出せない聡子。
その時、突風が彼女を煽り、恋文は飛ばされる。便箋が落ちたのは聡子の後輩・藍那の足元。
拾った藍那は中身を見てしまった。
目の色が変わる藍那。釈明をするのに必死な聡子。目の前の出来事に呆然とする男子生徒。
奇妙なタイミングで、すべてが台無しになった聡子は、それらをすべて放り出し、遠くへ駆け出すのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-23 00:00:00
19650文字
会話率:40%
1800年代,大国ヴルガ・マスクヴァ帝国は東方の大地より襲来した魔王軍ウル・タルタルスとの戦争状態にあった.敵は竜人のような異形のモノ達で,奴らは地を這う竜に跨って驚異的な速度で侵攻し,支配地域を広げつつあった.一方,帝国側は学校で養成さ
れた魔法使いと勇者を戦線に投入し抵抗していた.
エレーナ・ペトロヴナと名乗る少女の姿をした勇者は,10歳の時に勇者としての素質を持っていたことから招集され,勇者養成学校に入学し,5年後に修了した.そして,鍛え抜かれた剣と杖を手にして,駿馬に跨り,マスケット銃を手にした多数の兵士を連れて戦争に赴く…………はずだった.
周りの勇者が次々と前線に配属されていく中,彼女は何故か部隊に配属されることが無かった.そのため,彼女は上官に尋ねた.
「どうして,私に勇者としての役割を果たさせて頂けないのですか?」
彼女は大体このような意味の事を言った.そして返ってきた言葉は
「ロマノフ少尉に付けるような兵士など無いからだ.戦争に参加したいなら自分で傭兵でも用意するんだな」
である.
その言葉を聞いた彼女は直ぐに書類で申請を行い,一年の猶予を得て,仲間を募るために隣国ルミニア・ピリカン連合公国の首都ブラフスクを訪れる.そこで彼女は出会う.数十年付き添い続けることになる,少女の見た目をした魔女アンナ・二コラエヴナと……そして,彼女は様々な経験をして,変わっていった.
※カクヨムにも同じ物を連載します折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-05 12:00:00
61963文字
会話率:100%
――この世界では次々に『神』が殺されているのです。
『神』が死ぬと蘇るのは【大厄災】。
名を【地を這う巨人】【星を呑む蛇】【魔王】【降伏する幸福】。
放置すれば世界が滅ぶ。
殺神事件を止めるため、異世界に招かれたのは名探偵。
仲間になる
のは放浪の銀髪赤眼美少女もとい破壊神。
神殺しの動機は何か、犯人は誰か。
異世界「探偵」「能力バトル」。
(目指せ、世界最強の探偵!)
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第一章 20話程度(10万字以内)予定
大まかには完成しているので
序盤はなるべく毎日投稿予定。
全体で三章程度を予定しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-29 21:27:58
33816文字
会話率:32%
「螢、下さいな。螢下さいな」
私はその姫なる神に言った。
螢は姫君の脇を潜(くぐ)って、今、袖裏から這い出しながら、ゆっくりとその前(まえ)襟(えり)を這う時、蒼い光をひたひたと放ち、濡れまとった衣(きぬ)を通して、真白い乳房(ちぶさ)を
透かして見せた。……
一匹の螢を追いかけ、思わず迷い込んだ蓑(みの)谷(だに)の深い森。
そこで出合ったのは、母が話していたあの不思議な姫君に違いなかった。
この「蓑谷」は「龍潭譚」に先駆けて書かれた泉鏡花の幻想的な小品である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-24 20:23:08
2991文字
会話率:15%
いま歩いている場所
それは自分自身にはわからない
最終更新:2020-03-03 18:29:56
207文字
会話率:0%
時は西暦2025年。
長束町に住む高校生の少年 東望(アズマ ノゾム)は、馴染まない高校生活と複雑な家庭の情況の板挟みになり、自分がどこに向かっているのかわからない日々が続いていた。
大切な妹たちと、両親。それを取り巻く様々な事柄。
どこ
か達観した考え方を持つ彼は、常に迷い続けていた。それさえも気づかずに、家族の暖かさを捨てることもできずに。
ある日、何気なく学校の屋上へ忍び込み、昼ご飯を食べようとした時、彼女が現れた。
彼女の名は、“近衛凛夏(コノエ リンカ)”。
生徒会に所属する、ちょっと変わった少女。
彼女と知り合うことによって、彼の取り巻く世界は大きく変貌していく。
“具晶”と呼ばれる超能力を使い、世界の闇を這う“霊魔”を消滅させることを責務とする“八百万(ヤオヨロズ)”。
陰で暗躍する、謎の霊魔集団“黄泉之庭(ヨミノニワ)”。
太古よりそれらに対抗してきた“四神御家(シジンオンケ)”。
そして、“高天原(タカマノハラ)”に眠る、神とは?
少年と少女がヒトの導き手になる時――
崩れた暁の誓約が、一万年の時を経て集う。
これは星の物語の第五章。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-26 00:29:51
79721文字
会話率:48%
僕らの顔の上を這うように影を落としていくヘッドライトを恋しいと思う日が来るなんて考えもしなかった。なんでもない日々を蝕む病。
最終更新:2020-02-18 11:52:08
7624文字
会話率:41%
地上を這う様に進む船、キャッスルシップ。領主の威厳と各地から魔石を運び、世界の魔力に携わる重要な運び屋。その重要な城船を整備する錬金術師ミカエル・シン。
せっかくもらった「魔力てんこ盛り」のチートも属性が無ければ錬金術師になるしか
ない。女性ばかりが属性のある城船は女尊男卑でトイレの数も給料も差が有りすぎる。
そんな世界でも、僕は小さな夢に向かって生きていく。
アルファポリス様と同時投稿になっています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-16 00:00:00
202760文字
会話率:54%
多くの森をそれぞれのカミが支配していた時代。カミの森の巫女として一生を森に捧げるはずだった沙耶は、幼き日の出来事を夢に見る。根の這う地、木漏れ日、梅の花。そしてあの白い手──。
同じ頃、西に立った大王の支配がムラの平和を脅かそうとしていた。
ムラの首長の嫡男、沙耶の兄・与一は総力を挙げて大王の軍勢から森とムラを守ろうと立ち上がる。
この作品の改訂前のものを「https://s.maho.jp/book/4b4a77f02825a542/6344615022/」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-29 00:00:00
201509文字
会話率:34%