成功という名の氷壁。溶かしたのは、東京を知らない君の体温だった。
冷たい成功と、虚ろな孤独。全てを手に入れたはずの男が、唯一知らなかった「温度」とは——。 30歳にしてIT会社を経営し、華やかな成功を手に入れた結城。タワーマンションからの夜
景を見下ろし、女性に不自由しない日々を送る彼だったが、その内面には深い孤独と、過去の経験から生まれた冷たい心の壁があった。誰かを深く愛することから距離を置き、東京という都市と同じように、自らの心の温度を凍らせていた。 そんな彼の前に現れたのは、上京してきたばかりの純粋な22歳、小春。東京のリアルを知らず、無防備なほど真っ直ぐな彼女の「体温」は、結城の理屈や経験則を超えて、彼の冷え切った内奥に触れていく。最初は対照的な存在として面白がっていたはずが、共に時間を過ごすうちに、結城の心にはこれまで感じたことのない苛立ちや独占欲、そして抗えない「欲」が芽生え始める。小春もまた、彼の纏う冷たさと「毒気」の奥にある人間的な魅力に気づき、その感情は複雑なものとなっていく。 互いの心の動き、感情の粒度を細やかに描き出しながら進む物語は、やがて二人の関係性を脅かす最大の困難へと向かう。ビジネスの危機、過去の清算、そして周囲からの圧力――全てを失うかもしれない状況で、結城は小春への偽りのない「欲」、つまり誰よりも大切で、手放したくないという本質的な愛情と向き合うことになる。 これは、氷のような東京という街で、体温を失くした男が、一人の女性と出会い、自らの温度を取り戻していく物語。困難を乗り越えた先に、二人の温度で温められた東京で彼らが見つけるものとは。 大人のための、艶とリアリティに満ちた恋愛小説。なぜこの相手に惹かれてやまないのか、その答えが読者の心に深く響き、温かい余韻を残す。
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最終更新:2025-05-10 20:44:24
110440文字
会話率:16%
切ない、悲しい、淡い、百合の短編小説集です!百合語りあいましょう✨
最終更新:2025-05-07 18:02:53
1079文字
会話率:37%
映画「君たちはどう生きるか」を観た。この作品からほぼ確実に言えること、その「ほぼ確実に言えること」からの推論で言えること、自分なりの解釈、についてまとめてみた。
キーワード:
最終更新:2025-05-06 23:27:21
1683文字
会話率:0%
俺は、推しが所属するアイドルグループのライブに行った。ライブの最後の推しの言葉は心に響いた。
最終更新:2024-12-02 19:10:11
427文字
会話率:20%
先生と生徒の会話をデフォルメしたコメディ。
最終更新:2024-12-01 15:11:38
650文字
会話率:81%
山賊に教われ、命を失いつつある男と老猫のお話です。
彼の来世への願いは叶うのか。短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
最終更新:2025-05-02 09:50:44
1629文字
会話率:21%
星が落ちた夜、世界は音を失った。
誰にも知られぬ遥か彼方の空。
万象が凍りつくその場所に、ひとつの影が佇んでいた。
その身は朽ちかけ、魂は崩れ、記憶は深い霧の中に沈んでいる。
彼は名を思い出せない。
何を守り、何を失ったのかも、すでに定かで
はなかった。
ただ、胸の奥にひとつだけ、確かな痛みが残っていた。
それは誰かを守ろうとした最後の瞬間に、彼が選んだ“終わり”の記憶。
「……あれが、正しかったのか……?」
呟きとともに、空間がひび割れる。
世界を巡る大いなる輪――その歯車が、わずかに回った。
次の瞬間、彼の身体は無数の光の粒となって砕け、やがて地上へと降り注いでいく。
そのうちの一滴が、まだ名前すら持たぬ新たな命へと辿り着いた。
そしてその子が、すべてを忘れたまま目を覚ます頃――
遠い山の中、古の石碑が微かに振動し、封じられた紋様が淡く光を放った。
刻まれていたのは、たった四つの古文字。
「第九世、始まる」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-01 01:08:24
1728文字
会話率:19%
村の勇者誕生のその日一人少年が大粒の涙を流した。
最終更新:2025-04-26 17:27:28
202文字
会話率:12%
世の中にはわからないことがたくさんある。
この情報にあふれた世界で正しい情報を選択することも難しい。
仏教では、悟りの果てに解脱しニルヴァーナ(涅槃)を目指す。
キリスト教では、信仰心があるものは天国へ行き、悪行をしたものは地獄へ行く。
こ
の地球という3次元時空間とは何なのか。
量子力学での2重スリット実験での素粒子の動きは何を意味するのか…
「色即是空」
色是即ち空である、空即ち色である。
点と点が繋がり始める。
橘司は、統合失調症を発症し仕事を退職していた。統合失調症を発症し、警察に捕まりその後、精神病院に入院し様々な人と出会った。橘は、毎日考察していた。はたから見れば妄想と片づける人もいるだろう。しかし、橘が病気により経験したことは、とてもじゃないが、人知を超えた力が働いたような気がしてならなかった。
この世界には何か目に見えない力が働いている…
橘の考察をこの小説では紹介する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-26 12:32:44
8928文字
会話率:33%
見た目は少年、中身はジジイ。不老の英雄アイム・ユニティは千年前、大地を砕こうと宇宙より飛来した「赤い星」を逆に砕き、自分達の星を救った。ところが災厄の欠片は微細な粒子「怪塵」と化し、大量に取り込んだ獣を狂わせ、時には「怪物」を形作り人々に
害を及ぼすようになった。
千年後、どうしても完全に滅することのできない「怪塵」との戦いを続けていたアイムは、人類の天敵であるはずのそれを自在に操る少女が現れたという噂を聞く。にわかには信じられなかったが、件の人物の足取りを追った彼は本当にその「怪塵使い」を発見した。
しかし、その少女はとんでもない臆病者。世間知らずで頭脳は幼児。鈍くさく、挙句に自分を嫌っている陽母教会に育てられた修道女。
彼女の能力に怪塵との戦いを終わらせる希望を見たアイム。果たして彼は、このポンコツシスターを無事「英雄」に育て上げることができるだろうか?
見た目はボーイ・ミーツ・ガール。中身はジジイ・ミーツ・ベイビー。何もかも正反対の二人による、星の大掃除が今、開始された。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-22 22:17:15
518546文字
会話率:47%
彗星が地球に衝突する。その事実を知った人類は無数の地下都市を造り、災厄の襲来に備えた。しかし運命の日、突如として軌道を変えた彗星“ドロシー”は月の裏側に落下。この幸運によって滅亡の危機から逃れられたと、誰もがそう思った。しかし、それはさら
なる災厄の始まりに過ぎなかった。
月面に生じた亀裂から噴出する謎の物質。地球の引力に引き寄せられ惑星全体を覆ったその銀色に輝く微粒子は、天変地異を引き起こし、実在しないはずの怪物達を生み出す。
想像力が人を殺す。そんな地獄と化した世界で、それでも生き延びようとする人々。そんな彼等の前に一人の超常的な能力を持つ少年が現れ、英雄となった。
それから二五〇年後、月からもたらされた物質“魔素”が引き起こす“記憶災害”について調査していた一五歳の天才少女・星海 朱璃は、炎に包まれた筑波山の頂で奇妙な光景を目撃する。そこだけ円形に切り取られ、延焼を免れた空間。その中心で眠る一人の少年。
彼の顔は、二〇〇年以上前に失踪した救世の英雄“伊東 旭”に瓜二つだった。
◆関連作品◆
最悪の魔女スズランシリーズ
https://ncode.syosetu.com/s0586g/折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-17 21:36:32
546960文字
会話率:43%
母子家庭で育った大学生、黒崎陽斗。生活費を稼ぐため、彼は高額な報酬につられ、シンクロニカ社が開発する最新鋭VRMMORPG「シンクロ・ワールド」のβテスターに応募する。シンクロニカは、大型粒子加速器を用いた実験で、VR空間を極限まで現実に近
づける技術を研究していた。
陽斗は、脳波インターフェース型VRデバイス「ニューロ・コネクト」を装着し、期待に胸を膨らませて「シンクロ・ワールド」へとダイブする。しかし、全システム接続の瞬間、事態は暗転する。加速器が想定外の挙動を示し、制御不能な高エネルギー状態が発生。その結果、時空に歪みが生じ、世界各地に「ゲート」と呼ばれる不気味な渦が出現するようになった。
ゲートの先には「ダンジョン」と呼ばれる異空間が広がり、放置すれば、そこからこの世界には存在しないはずのモンスターが現れ、人々を襲う。世界は混乱に陥るが、同時に、「覚醒者」と呼ばれる特殊能力者たちが現れ始める。彼らは、様々な特殊能力を駆使し、モンスターと戦い、ゲートを封鎖するための活動を行っていた。
陽斗もまた、覚醒者の一人。しかし、ハンター試験の結果は、最弱のF級。周囲から嘲笑され、失意の底に沈む陽斗。だが、彼は諦めなかった。ある日、「シンクロ・ワールド」でのレベルアップが、現実世界にも反映されることに気付いた陽斗は、再びゲームの世界へと戻ることを決意する。
「シンクロ・ワールド」内で「影使い」というユニークスキルを駆使し、陽斗は困難を乗り越え、急速に成長。レベルアップは現実の肉体をも強化し、彼はF級ハンターから、一躍、最強の存在へと成り上がっていく。
しかし、強大な力を手に入れた陽斗は、次第にその力に溺れ、欲望に支配されていく。富と名声、そして、さらなる力を求める陽斗。彼は、本当に大切なものを見失ってしまうのだろうか? そして、世界を蝕む「ゲート」と「ダンジョン」の謎を解き明かし、世界を救うことができるのだろうか――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-22 19:50:07
60011文字
会話率:35%
大好きだった彼女に浮気された俺がもう一度恋をする物語
最終更新:2025-04-22 10:35:42
74393文字
会話率:65%
とある《種》から《才能》や《異能》が発現するようになった。それから数百年の時が経ち、そういった能力は当たり前の存在になった。
これはそんな世界のある能力至上学校で能力を使い頂点を目指す物語……ではなくそんな変な争いにいつの間にか巻き込まれ
た俺の物語だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-21 13:14:34
2517文字
会話率:62%
春愁の一雫、一粒一粒が立っていて、、
キーワード:
最終更新:2025-04-19 11:01:21
435文字
会話率:0%
雨粒ドロップが舞っている
(カポエイラ風に、、
ブラジルの歌って踊る武術らしいです。)
キーワード:
最終更新:2024-07-13 08:25:28
200文字
会話率:0%
きみのしあわせを祈ってる
いつまでも
キーワード:
最終更新:2024-04-22 23:36:48
217文字
会話率:0%
時空を超え、物理学の巨星たちが集結!世紀の知性が激突する、前代未聞の対談番組が幕を開ける!
相対性理論の巨人アインシュタイン、量子論の父ボーア、「シュレーディンガーの猫」のシュレーディンガー、そして不確定性原理のハイゼンベルク。20世紀の
物理学を築き上げた天才たちが、現代に蘇り、科学史上最大の謎「量子力学」を巡って火花を散らす!
最初の扉は、あの奇妙な「シュレーディンガーの猫」。箱の中の猫は、観測されるまで生きている状態と死んでいる状態が重なり合っている…?シュレーディンガー自身が、その思考実験に込めたコペンハーゲン解釈への痛烈な皮肉を語る!対するボーアとハイゼンベルクは、観測の重要性を説き、重ね合わせ状態の正当性を主張。しかし、「そんな馬鹿なことがあるか!」とアインシュタインが吼える!「物理法則は客観的な実在を記述すべきだ!月は私が見ていなくてもそこにある!」――観測とは?実在とは?量子の世界の入り口で、天才たちの信念が早くも激しくぶつかり合う!
続く扉の先は、さらに深遠な「不確定性の世界」。ハイゼンベルクが突きつけた、位置と運動量を同時に正確には知ることができないという「不確定性原理」。それは、世界の根源的な不確かさを示すのか?ボーアが「相補性」の観点から擁護する中、アインシュタインの怒りが爆発する!「神はサイコロを振らない!」――物理学の根幹であるはずの決定論が、確率の霧に覆われることへの魂の叫び!シュレーディンガーもまた、確率解釈への嫌悪感を露わにする。宇宙の法則は、厳密な因果律か、それとも気まぐれな偶然か?実在を巡る対立は、神をも巻き込む究極の論争へと発展する!
そして最後の扉は、アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と唾棄した「量子もつれ」。どれだけ離れていても、二つの粒子が瞬時に影響し合うかのような奇妙な現象。アインシュタインは、これを局所実在論に反する量子力学の「不完全さ」の証拠として突きつける!だが、ボーアは揺るがない。「それは情報伝達ではない。二つの粒子は、一つの量子系として繋がっているのだ」と、非局所的な相関の存在を説く。局所性か、非局所性か?実在は観測に依存するのか?数十年にわたるアインシュタインとボーアの歴史的論争が、時空を超えてクライマックスを迎える!
果たして、量子の扉の向こうに広がる真実とは?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-18 18:07:57
20449文字
会話率:71%
医療船ダイアグノス号の総合診断部に、惑星ノヴァ-7からのSOSが届く。患者たちは青く光り、星座を呟きながら意識を失う「青い発光症」に侵されている。アメク・タカオ(26歳、部長)とチームは、原因不明のナゾに挑む。青い霧のジャングルで、ルミナス
・フングスとエーテル粒子の共鳴結晶が脳を乱すと判明。リナの過去の改ざんが絡み、チームは科学でナゾを解く。反粒子パルスで患者を救い、星図を完成させる。母の記憶、仲間の絆、患者の笑顔が星空に輝く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-15 16:27:02
1383文字
会話率:0%
生まれの差、育ちの差。比べたくはないけれど…
最終更新:2025-04-14 23:00:00
2170文字
会話率:5%
対策は日進月歩。
くれぐれも乗り遅れないようにしたいもの…
最終更新:2024-12-11 20:00:00
2945文字
会話率:0%
落石注意。
それは落ちてくる石ばかりでなく、すでに落ちている石すらも注意の対象です。
私たちも目の前に立ちはだかるものには、注意しなければならないかも……。
最終更新:2021-12-06 22:00:00
3008文字
会話率:0%
2100年、人類は意識を素粒子化し、意識旅行をする技術を手に入れた。主人公・湊もまた、その魅力に取り憑かれた一人。しかし、繰り返される意識旅行は、現実への渇望を募らせ、かつて愛した女性との再会が、彼の凍てついた感情を揺り動かす。
愛した人に
もう一度出会えたとして、それでも失われたら、あなたは何を選ぶ?
SF×喪失の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-14 18:15:22
14967文字
会話率:23%
この都市に降るのは、水ではない。
感情、思考、命令、嘘――無数の情報が粒子となって降り注ぐ、銀色の雨。
それは“レインコード”と呼ばれ、人々の暮らしと心すら監視・管理する手段として機能している。
けれど、この情報の雨が「見える」のは、世界
でただ一人。
少女・NAOには、雨の中に混ざる“声”が見える。
誰にも気づかれないまま消えていく、救いを求める想いを。
記録されない人々の命と尊厳を守るため、
NAOは今日も、電子の雨の中を歩き続ける――
ディストピアに降る情報の雨と、ひとりの少女の静かな願いを描くサイバーパンク×ヒューマンドラマ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-14 11:15:43
1502文字
会話率:13%
これは、世界を壊す異能の力、《ギルソード》を身体に宿した少年少女の戦いの物語__
狡猾な少年、ユウキ=アラストルは、世にも怪奇な《異能力科学兵器》を、その身体に植え付けられていた__
兵器その名は《ギルソード》__
400年前、戦争にまみれた世界を一度破滅に導いた究極の兵器である。
普段は《ナノマシン》と呼ばれる粒子の形態で浮遊し、一度それが発動し、実体化した際、見た目は剣や銃といった既存の武器と変わらないが、決定的に違う点がある。
1つ、その破壊力は既存のどの兵器よりも決定的に段違いであること。
2つ、それは『使用時』にしか人の目では見えない《ナノマシン》という特殊粒子で形成される、魔術のような兵器であること。
3つ、それは人体の『身体』を保管庫にして宿り続け、一生身体から離れないこと__
戦争による世界崩壊から400年__
少年ユウキ=アラストルと、その親友少女リリーナ=フェルメールは、共に軍事国家〈新都市マリューレイズ〉の精鋭として選ばれた学園生徒であり、ある時、祖国からの命令を受けて海外のある地に降り立った。
ユウキはマフィアの地、シチリア諸島へ__
リリーナは中東地方の紛争地へ__
《ギルソード》が招いた悲しき過去の傷を背負いながらもその力がもたらすであろう、真の平和と理想の世界があることを信じて、少年少女は戦うことを決意する__
兵器《ギルソード》を悪用し、歪んだ野望のために利用する巨大国際武装組織、〈革新の激戦地(ヴェオグラード)〉。
奴等の卑劣な野望と暗躍を阻止するために、2人は壮絶な戦いに身を投じてゆく__折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-13 12:42:57
606306文字
会話率:27%
エミリアは教師を目指す大学生。
ある日友達に誘われた登山サークルで先輩のマーティンから結婚して欲しいと頼まれる。
獣人の男性には番(獣人の子を妊娠できる女性)を見分ける能力があり、エミリアは獣人であるマーティンの番に選ばれたのだ。
マーティンはキメラと戦う従軍前にエミリアとの結婚を望んだ。
しかし……
キメラの細かい描写はないのですが、超大型のライオンが口から粒子砲撃ってくるとか、爆撃機みたいなでかさの鳥が空から刃物みたいな羽をまき散らしたり……そういうレベルです。しかも生体兵器なので繁殖して増えます。
武装は現在のテクノロジーよりも高度なものがありますが、資源を集めるのも命がけなので数はありません。
人の死の描写があるので、苦手な方はご注意下さい。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-10 15:21:37
6986文字
会話率:32%
天使から見ても不可思議な存在の主人公が異世界に招かれ、一体彼は今世で何をし、何を齎し、何を壊すのだろうか?
謎の主人公が織りなす異世界での生活は普通じゃない。
ただそれは主人公以外から見た話。
最終更新:2025-04-08 10:02:43
1959文字
会話率:59%
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛の予定です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品はアルファポリスでも公開します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-07 21:00:00
40554文字
会話率:29%