いわゆる剣と魔法の世界。
饑饉から発生した魔王の軍勢との戦争を、農民出身の大地の勇者が終わらせ、世界を救った。
実はその勇者。転生の度に世界を救ってきたせいで、多くの転生ポイントを稼いできたが、今まで一切ポイントをチート能力に振り分けてこな
かったせいで、死後、保有するポイントが1000億を超えていた。
転生管理者のフィオの聞き取りにより、どうやら勇者は他人のチカラや知恵を異世界に持ち込む事に後ろめたさを感じているからポイントを使う気になれないらしい。
このまま勇者がポイントを無駄に貯め込んでいく事を危険視したフィオは、だったら勇者自身が鍛えたり開発したりして得たスキルなら、別に引き継いでもいいんじゃね、と、勇者に無断でそれらのスキルを付与し、多少なりとも転生ポイントを消費させて、次の世界に送り込んでしまう。
次の世界は、多くの星間国家が存在する、いわゆるスペースオペラの世界。
前世の記憶がないため、多くのスキルを特異体質だと勘違いしている元勇者は、辺境の惑星領主の三男として、充実した生活を満喫していた。そして10歳にして一族の悲願である、宇宙大学に進学するため、受験の旅に出発する。
だが、この世界に転生したのは、勇者だけではなかった。
彼を慕うかつての妻達はもちろん、復讐を誓った元魔王軍の中にも、転生ポイントを使って追ってきた者達がいたのだ。
これは、剣と魔法の世界からやってきた連中が、剣はともかく魔法なんてない(知られてない)科学万能世界で引き起こす騒動の物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-09 13:36:43
416650文字
会話率:28%
後ろめたさと、肩身の狭さを抱えて生きる。
小心者には、それに見合った生きかたがあるぜ。
最終更新:2022-09-16 07:00:00
275文字
会話率:0%
日常の罠は悪意や悪気より後ろめたさから発生しているのかもしれない。
最終更新:2022-09-05 12:25:00
437文字
会話率:5%
「本当に君を愛していると思ったのか?愛なんて初めから無い。君に望むことは一つ。僕らの前から消えてくれ。」
エルナが崖から落ちる瞬間、頭に浮かんだのは冷たい黒曜石の瞳。
結婚式の翌朝、ベッドの上で裏切りの言葉とともに彼女を捨てたラフター=ス
カイロッド公爵。
帝国でも随一の魔力を有し、社交界でも女性の憧れの的である黒目、黒髪の美貌の貴公子。
エルナは貴族の落とし胤であったが、母親はそれを隠し平民として暮らしていた。
ラフターには、本当の兄弟のように育ったレイニード公爵家のアレクサンダーと、王女のシャーロットという従兄妹がいた。
始まりはラフターに、アレクの妻である妊娠中のシャーロットから、夫の浮気に関する相談だった。
エルナをアレクの愛人と勘違いした彼は計画的にエルナを自分の物にした後、彼女を切り捨て、アレクから遠ざけるため領地の奥地へとお目付役にショーロットと共に送る。
道中魔狼に襲われた一行は交戦するも、エルナが崖から転落する悲劇となった。
一年後、発見された時、エルナは記憶を無くした状態だった――――
愛していても自分の行いからくる後ろめたさにどうしていいか分からない公爵と、またしても愛する人を失うことに怯えるエルナ。
誤解と、思い込み、すれ違いが更に二人の想いが複雑に絡み合う、不器用な二人の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-25 17:05:35
106769文字
会話率:35%
久しぶりのエッセイという事で、最初はサラッと短編にするつもりでした。
しかし、途中から伝えたい事が多くなり、全てを伝えるべきだと考えを改めました。
書籍化やランキングが第一目標ではない、「書きたいものを書く」というスタンスの作者に向けた
、心のもやもや解消の手助けエッセイですが、出来れば作者、読者を問わず多くの人に読んで欲しい作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-04 01:45:07
11681文字
会話率:3%
突如として世界各地で発生した都市町村の襲撃・住民の惨殺事件。
人々はそれを天罰と呼んだ。
戦争を繰り返す愚かな人類を神々が見限り、滅ぼそうとしているのだと。
圧倒的なその力に対抗できるのは、神の血と能力を受け継ぐ人間『血統種』のみ。
天罰に抗う為に組織された『対天罰軍』で平凡な人間の『通常種隊員』として勤めるマリアは、ある日『対天罰軍最強』と名高い『血統種隊員』クオンから精鋭血統種達が集う『対天罰部隊』への異動を命じられる。
それにより、世界と二人の運命は大きく変わり始める…。
天罰に隠された秘密とは?
クオンに惹かれるマリアと、人知れず苦悩を抱えるクオンの向かう未来は?
全ての登場人物が、天罰が下されてもおかしく無い後ろめたさを抱えながら、希望を見出して行く物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-01 21:29:57
304285文字
会話率:44%
6才になる子爵家令嬢のソフィーは、病気になった双子の弟ゾフィーの代わりに、シェルベルン王子の友人を作るためのお茶会に出席する。お菓子を食べているだけでいいと言われ、部屋の片隅でお城のお菓子を堪能していたら、いつの間にかゾフィーとして王子のお
友達になっていた。それから10年間、今日も王子は男装しているソフィーにべったりとくっついて本を読む。ソフィーはもう男の子のふりをするのは限界になっていて、本物のゾフィーと入れ替わりを考え始めるのだが、、、本当に入れ替わることはできるの!?
嘘をついていることに後ろめたさを感じながら、王子と離れがたくなっているソフィーと、ソフィー以外はどうでもいい王子の、なんだかんだイチャイチャしている物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-02 16:00:57
25263文字
会話率:51%
来年度で三十路を迎える小夜子(彼氏なし・作る気さらさらなし・だけど後ろめたさはある)が綴る日記。
※リアルタイム、世相を反映した日記的物語です
最終更新:2021-07-17 23:00:00
113187文字
会話率:7%
イゾルデ・ハーツイーズの悲劇のはじまりは、魅了の魔力を持って生まれた事だった。
稀代の悪女のように噂され、婚約者からも『もう君を信じることに疲れたんだ』と言われ、婚約を破棄されてしまう。
もちろん社交界での評判はさらに悪化し、おまけに元
婚約者は妹に婚約を申し込んでくる始末。
「一度も魔力なんて使ったことないのに……私が何をしたっていうのよ!」
こうなったら、いっそ本物の悪女になってやる!
自暴自棄となったイゾルデは、ついに魅了の魔力を使ってしまう。───王太子相手に。
「これ、バレたら確実に処刑ルートだよね!?」
処刑の危機と後ろめたさに怯えるイゾルデだったが、お人好しな王太子はどこまでも優しく接してくる。
「やめて!そんなに優しくされると罪悪感で胸が潰れる!」
これは、嘘にまみれた恋から始まる物語。
(※本編はシリアスです)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-05 16:16:41
10760文字
会話率:35%
ある地方に、勇者伝説の英傑が建立(こんりゅう)したという大聖堂があった。
英傑の末裔(まつえい)に養女として引き取られたアリスは、子供の頃から大聖堂の司教となり、聖女と呼ばれるほどに成長した。
18歳となったある日、恒例の『奉納祭
』が始まる。
彼女は大司教から預かった『王冠』をかぶって、ちょっとした独り遊びをした。
それが原因だったのか、翌日、彼女は子供の姿になってしまう。
解呪で元に戻ったアリスは、安堵(あんど)しながらも『あること』を思いついた。
子供の姿で町に出れば、奉納祭の孤独な思い出を楽しい思い出にできるかもしれない……
彼女は後ろめたさを感じつつ、失った思い出を取り戻そうと、夜な夜な王冠をかぶる。
一方、とある事後処理で派遣された二人組がいた。
彼らは祭りを楽しむつもりでいたが、誰かに追われ、隠れていたという『子供』を保護する。
王冠の呪いがもたらす『おそるべき事件』に、迷える聖女が翻弄(ほんろう)される成長物語。
※本作には以下の描写があります。ご注意ください。
・後半に「気持ちの悪い描写」
・「暴力的な描写」
※本作は以下の小説投稿サイトにも満載しております。
・アルファポリ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-12 14:10:33
118757文字
会話率:52%
マリッサが、ずっと好きだった幼馴染みのウェインに振られた後、彼女の側についていてくれたのは、同じく幼馴染みだったウェインの兄で、ウェインとよく似た容貌をしたクリスだった。
優しいクリスの気持ちに応えようとするものの、ウェインが忘れられないマ
リッサは、クリスにウェインを重ねて彼を利用しているような自分に後ろめたさを感じていた。
そんな時、マリッサはクリスから、彼が病に侵されていることを知らされる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-05 10:26:51
9494文字
会話率:34%
「一度交わった線は、すぐに離れてしまう。」
嘘をつくことに後ろめたさを覚える少女、ソフィアと、鈴を鳴らす嘘つき騎士の線が交わる物語。
身分差恋愛。婚約破棄あり。ご都合主義あり。
最終更新:2021-05-16 00:42:55
13574文字
会話率:23%
"ハル"はある日、昔別れた幼馴染、"アキ"と再会する。はしゃぐアキとは裏腹に、ハルはアキに後ろめたさを感じていた。
最終更新:2021-03-26 17:00:49
4957文字
会話率:35%
とある貴族の長女として生を受けたシエルは、生まれた時から他とは違っていた。生後まもなく二本の足で歩き、自分より大きな岩を軽々持ち上げる。そんな彼女を気味悪がった両親は、遠く離れた別荘で彼女を隔離した。
幼くして生きる道を選択しなくてはならな
くなったシエルは、騎士になる道を選んだ。
時が経ち、十六歳になったシエルは、王国最高の騎士に成長していた。
王国からの信頼も厚く、剣技を競い合う仲間もいる。
恵まれた環境にいると感じながら、普通でない自分に後ろめたさも感じていて……
私も、普通の女の子みたいに生きられたら。
そう思っていた彼女を、悲劇が襲う。
優しさで偽っていた王子の本心。
国王からの死刑宣告。
そんな彼女に手を差し伸べたのは――
連載するかもしれない短編です。
連載する場合は、こちらで告知いたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-12 12:00:00
8542文字
会話率:43%
星《ねがい》が繋ぐ現在《いま》と未来。
ジュリウスに告白した海貴也は、彼の体調面を心配してカフェの手伝いを始めた。自分の過去を明かしたジュリウスも、表情や接し方が少し変わり、恭雪の強引なコミュニケーションもなくなった。三人で話す
こともしばしばあり、海貴也とジュリウスを取り巻く環境は少しずつ変わってきていた。
ある日。海貴也は上司の坂口に、友人との食事に誘われる。しかしそこで会ったのは、去年別れた元カレの亨だった。居た堪れない同席を何とかしのいだ海貴也だったが、亨に償いたいと言われ、また連絡を取り合うことになってしまう。
亨とまた繋がってしまったことでジュリウスに後ろめたさを感じ始める海貴也は、初めて見る亨の一面に戸惑いながらも、甦ってくる心の記憶に翻弄され始める。
そんな中、二人の異変に気付いた恭雪にもある変化が表れ、ジュリウスもまた、異変の波にのまれてしまう。
海貴也、ジュリウス、恭雪、亨。四人の交錯する想いは、何処へ行き着くのか─────。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-19 13:07:11
171229文字
会話率:50%
「またレベルを上げてしまった・・・」
夜な夜な訪れる賢者の時を過ごす少年の名前はユリアン。
人一倍敏感で可憐な少女のような外見の少年は、夜な夜な刹那の快楽と倦怠感、ちょっとの後ろめたさと共に、独りレベルを上げ続ける。
知らず知らずに規格
外のレベルと圧倒的なスキルを手に入れ続ける、そんな彼を取り巻くゆるいお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-18 21:24:34
45845文字
会話率:54%
おかみから密になるな密にするなのお触れが出てから、はや二月を越す。やっと、少しずつ間口を広げてもいいと云ってきてるが、しばらくは手綱は噛まされたままらしい。だから、何をするにしても、ひとりでする作法の隅々においても、そのことがまとわりつい
て密かごとの後ろめたさは拭いきれない。そんなあれやこれやが斑に喰っついてくるのが嫌で、昼下がりがやってくると自転車にまたがり海へいく習慣がついてきた。
海岸道路を横切り、防砂の壁を抜いたトンネルを抜けて海にたどり着く。年子だろうか。二人とも水にあたれば冷たかろうに、それでも、来る波に足を漬けることに、飽きない、厭わない。はじめの仔が浸かってキャッキャの声を上げれば、次の仔も同んなじ真似をする。親である人は「帰るよ、帰るよ」を連呼しているが、あまり本気で言ってるようには思われない。
砂を落としてサンダルを履く。いつも固いか平らなものばかり踏みしめていた足の裏は、本来のかたちを崩さずに済むものに馴染んだため、靴を知るまえの赤子の足のふくよかな柔らかさに戻っている。それに気づいたら、波風に洗われあんなにも健気に待っていたサンダルなのに、それさえ急に疎ましく、異物にさえ見えてくる。とても己れの身に付くものの気がしない。そうまで断絶したのなら、しょうがない。いったんは履いたサンダルを脱いで、裸足で自転車にまたがった。
すぐ向かいの喫茶店の入いる。依然に一度は来たことのある店だと、ドアを開けてからそう気づいた。悪い癖で、注文してからメニューをしっかり読み込む。厚い表紙で囲まれた定番メニューの頁をめくると、あわてて、「ごめんなさい、カフェオレやめていちじく湯、ココに書いてあるとおり、お好みの甘さは最大でお願いします」と、店主を呼び戻す。呼び戻された店主は「いいんですか、本当に甘いですよ。いいんですね、それでも」と、企みのある顔でいうもんだから、「大丈夫、砂糖が溶け切る限界まで甘くても、大丈夫」と努めて落ち着いて安心するよう二度伝えた。
壁にかけられたモニターからは、CSでも受信してるのだろうか、午間っから超常現象もののバラエティが流れている。モニターの字幕は、「おとがい、って骨をしってますか。顎の先端にある骨なんですけど、これがヒトしか持っていないんです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-02 14:55:09
5909文字
会話率:5%
どこか後ろめたさがある。
誰かに注意されて止められていることをする好奇心。
それとも何かから目を逸らしてしまう罪悪感。
雅紀もそうである。
学校の教室の後ろにあるロッカー。
そこに一人の女子生徒が閉じ込められていた。
それ
を見て見ぬフリをしていたが、恋人の葵のちょっとした行動により、スマホで連絡を取ることになる。
そこで彼女が胸に秘めていた思いを少しずつ知ることになる。
それは雅紀にとってよかったことなのかは……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-11 22:31:53
61370文字
会話率:33%
作品を投稿するのに間が開きすぎる。数ヶ月、下手をすれば1年以上何も投稿しない。そんなことに後ろめたさを感じ、つなぎのつもりで書き始めたエッセイ。
気がつくとすでに20作以上エッセイを投稿していた。
ここまで書くと、ふと鏡を見たくなる。
「お前はどんなエッセイが書きたいんだ?」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-26 07:59:12
2133文字
会話率:10%
私は酒が飲めないので、飲み会とかが苦手である。
今は下戸に対する理解は増えたが、飲み会が酒を飲める人達の集まりであることに代わりはない。酒を勧められて「飲めないんです」と断るのに後ろめたさを感じる。
そこで私は、もともと酒を勧められなくする
よう、周囲に甘党認知計画を実行した。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-12 08:13:44
2999文字
会話率:13%
高見沢春子三十九歳。会社員として働きながら、俳壇でも活躍中だ。二足の草鞋を履きこなし、傍目には何不足なく見える彼女にも悩みがある。 同世代の俳人は次々と結社の主宰となり、弟子の指導で俳句に恩返ししているが、マイペースで忍耐力のない春子は、
俳句を作ることは好きでも、結社で弟子を教えるなどということには全く興味を持てない。そういう自分はエゴイスティックなのかと後ろめたさを感じていた。 そんな折、カルチャーセンターから俳句教室講師の依頼があった。カルチャーで教えるだけならば結社を運営するより遙かに気楽だ。新しい才能を育てられるかも知れないと即座に引き受けたが、やる気のない生徒達にキレた春子は、生徒の句の記された清記用紙を破り捨ててしまった。教室は崩壊し、春子はクビになったが、春子の厳しい指導に惚れ込んだ五人の生徒に頼まれて個人的に教えることになった 当初、才能なく春子をうんざりさせた五人だったが、禅寺での花見吟行句会で心の悲しみを詠んだ秀句が見られるようになり、変貌していく。春子も、五人がつらさや切なさを乗り越えて生きるための杖として俳句にすがり純粋な気持で向かい合っていることを知り、辛抱強く教えようと決心した。
一方、春子は見合いに失敗し、会社の仕事にも生きがいを感じられなかった。四十歳を前に、芭蕉の「つひに無能無芸にして只此一筋に繋る」のように俳句に賭けるしかないと、思いを強めるのだった。
やがて五人の勧めで春子は「デネブ」という結社を立ち上げ、主宰となった。弟子も増え順調に発展していく「デネブ」だったが、最も熱心に結社を勧め、身を粉にして働いていた木村編集長が失踪し、「デネブ」を退会してしまう。
時ほぼ同じく、春子の未発表大作『桜八景』がAMIという若い美女によって勝手に『夜桜お七』と改題され、有力総合誌『俳句群像』新人賞を射止めた。春子は『俳句群像』の永山編集長に盗作だと抗議したが、AMIを広告塔としたい編集長に、未発表の『桜八景』をどうしてAMIが盗作できるのかと反論され、証拠のないことを理由に相手にされない。
だが、春子には思い当たるふしがあった。編集長を説得し、桜の名所の霊園でAMIと一対一で会うことになった。満開の桜に牡丹雪が降り、やがては月が昇るのでは、と思われる三月の夜。が、待ち合わせ場所に現われたのはAMIではなく思いがけない人物だった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-25 00:00:00
19114文字
会話率:31%
高見沢春子三十九歳。会社員として働きながら、俳壇でも活躍中だ。二足の草鞋を履きこなし、傍目には何不足なく見える彼女にも悩みがある。同世代の俳人は次々と結社の主宰となり、弟子の指導で俳句に恩返ししているが、マイペースで忍耐力のない春子は、俳
句を作ることは好きでも、結社で弟子を教えるなどということには全く興味を持てない。そういう自分はエゴイスティックなのかと後ろめたさを感じていた。そんな折、カルチャーセンターから俳句教室講師の依頼があった。カルチャーで教えるだけならば結社を運営するより遙かに気楽だ。新しい才能を育てられるかも知れないと即座に引き受けたが、やる気のない生徒達にキレた春子は、生徒の句の記された清記用紙を破り捨ててしまった。教室は崩壊し、春子はクビになったが、春子の厳しい指導に惚れ込んだ五人の生徒に頼まれて個人的に教えることになった。
当初、才能なく春子をうんざりさせた五人だったが、禅寺での花見吟行句会で心の悲しみを詠んだ秀句が見られるようになり、変貌していく。春子も、五人がつらさや切なさを乗り越えて生きるための杖として俳句にすがり純粋な気持で向かい合っていることを知り、辛抱強く教えようと決心した。
一方、春子は見合いに失敗し、会社の仕事にも生きがいを感じられなかった。四十歳を前に、芭蕉の「つひに無能無芸にして只此一筋に繋る」のように俳句に賭けるしかないと、思いを強めるのだった。
やがて五人の勧めで春子は「デネブ」という結社を立ち上げ、主宰となった。弟子も増え順調に発展していく「デネブ」だったが、最も熱心に結社を勧め、身を粉にして働いていた木村編集長が失踪し、「デネブ」を退会してしまう。
時ほぼ同じく、春子の未発表大作『桜八景』がAMIという若い美女によって勝手に『夜桜お七』と改題され、有力総合誌『俳句群像』新人賞を射止めた。春子は『俳句群像』の永山編集長に盗作だと抗議したが、AMIを広告塔としたい編集長に、未発表の『桜八景』をどうしてAMIが盗作できるのかと反論され、証拠のないことを理由に相手にされない。
だが、春子には思い当たるふしがあった。編集長を説得し、桜の名所の霊園でAMIと一対一で会うことになった。満開の桜に牡丹雪が降り、やがては月が昇るのでは、と思われる三月の夜。が、待ち合わせ場所に現われたのはAMIではなく思いがけない人物だった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-25 00:00:00
43400文字
会話率:31%
高見沢春子三十九歳。会社員として働きながら、俳壇でも活躍中だ。二足の草鞋を履きこなし、傍目には何不足なく見える彼女にも悩みがある。同世代の俳人は次々と結社の主宰となり、弟子の指導で俳句に恩返ししているが、マイペースで忍耐力のない春子は、俳
句を作ることは好きでも、結社で弟子を教えるなどということには全く興味を持てない。そういう自分はエゴイスティックなのかと後ろめたさを感じていた。そんな折、カルチャーセンターから俳句教室講師の依頼があった。カルチャーで教えるだけならば結社を運営するより遙かに気楽だ。新しい才能を育てられるかも知れないと即座に引き受けたが、やる気のない生徒達にキレた春子は、生徒の句の記された清記用紙を破り捨ててしまった。教室は崩壊し、春子はクビになったが、春子の厳しい指導に惚れ込んだ五人の生徒に頼まれて個人的に教えることになった。
当初、才能なく春子をうんざりさせた五人だったが、禅寺での花見吟行句会で心の悲しみを詠んだ秀句が見られるようになり、変貌していく。春子も、五人がつらさや切なさを乗り越えて生きるための杖として俳句にすがり純粋な気持で向かい合っていることを知り、辛抱強く教えようと決心した。
一方、春子は見合いに失敗し、会社の仕事にも生きがいを感じられなかった。四十歳を前に、芭蕉の「つひに無能無芸にして只此一筋に繋る」のように俳句に賭けるしかないと、思いを強めるのだった。
やがて五人の勧めで春子は「デネブ」という結社を立ち上げ、主宰となった。弟子も増え順調に発展していく「デネブ」だったが、最も熱心に結社を勧め、身を粉にして働いていた木村編集長が失踪し、「デネブ」を退会してしまう。
時ほぼ同じく春子の未発表大作『桜八景』がAMIという若い美女によって勝手に『夜桜お七』と改題され、有力総合誌『俳句群像』新人賞を射止めた。春子は『俳句群像』の永山編集長に盗作だと抗議したが、AMIを広告塔としたい編集長に、未発表の『桜八景』をどうしてAMIが盗作できるのかと反論され、証拠のないことを理由に相手にされない。
だが、春子には思い当たるふしがあった。編集長を説得し、桜の名所の霊園でAMIと一対一で会うことになった。満開の桜に牡丹雪が降り、やがては月が昇るのでは、と思われる三月の夜。が、待ち合わせ場所に現われたのはAMIではなく思いがけない人物だった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-25 00:00:00
44526文字
会話率:37%