海に面したK市の沖合にある小島。
元々は漁業が盛んだったころに補助の港として作られた小さな港があるだけの直径2キロにも満たない島だ。
そして、三十年前、ある人物がその島を買った。
それが自分の祖父で、彼は木彫りの彫刻家だった。
もっとも、こ
っちの世間で有名ではなかったし、作品はこっち側にはほとんど出回らなかった。
だが、パトロンがいたのだろう。
かなりの大金を持っており、この島を買った後、港を強化して三階建ての建物を建てた。
勿論、アトリエとして……。
だが、半年前、祖父が亡くなり遺言によってその島を譲られた。
風変わりな造形師である自分に。
そして、知る事となる。
祖父の秘密を。
そして、僕は始めることにした。
造形専門店『三島工房』を……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-03 20:37:23
15401文字
会話率:10%
記録に残らない歴史。忘れ去られた歴史。誰も知らない歴史。それはもう知り得ない。誰の記憶にも残っていない。それらは何もかもが土となってしまった。神のみぞ知る、そんな歴史。その歴史は表面的な「歴史」と同じだけの濃度を持ち、同じだけの浪漫があり、
同じように輝きを放っている。どの出来事も、どの人物も忘れ去られる。未来永劫、私が彼の顔を見ることはない。だが、彼にもあったはずなのだ。熱意が、想いが、感情が。名も知れぬ彼も、まるで羽が生えたように浮足立ち、飛び跳ねるほどに喜んだはずなのだ。火山の岩さえ煮えたぎる火口のようにふつふつと、こめかみに血管を浮かべながら怒ったはずなのだ。心がぐしゃぐしゃに裂かれてしまうように感じ、膝をついて顔中に涙を流しながら哀しんだはずなのだ。自分でも気が付かないうちに笑みがこぼれるような幸せを楽しんだはずなのだ。それは時間という長い巻物の中では目にも見えぬようなほんの僅かな、たった一瞬のことだったのかも知れない。だが確かに、光った。その熱意、その情動。その輝きに私は美しさを見出している。その輝きにこそ人間の、歴史の、宇宙のすばらしさがある。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-16 21:00:00
25806文字
会話率:1%
とある山寺に伝わる話。
最終更新:2023-02-05 18:00:00
5587文字
会話率:3%
男爵家の令嬢レイチェルは地味で美しくない見た目をいつも他の令嬢達から馬鹿にされていました。
ある日レイチェルは憧れの王子様が結婚相手を探しているとの話を聞き、お城のパーティーに参加します。しかし、そのパーティーで恐ろしい出来事が起きてしまい
ます。
パーティーの翌日、いつものように男爵家で目を覚ましたレイチェルは、鏡を見てとても驚きました。
なぜなら、馬鹿にされ続けていたレイチェルの顔が、この世のものとは思えないほど美しい容姿へと変わっていたからです。
レイチェルは自分に一体何が起きたのかを知るために、昨夜悲劇の起きたお城へと馬車を走らせるのでした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-31 21:17:45
9874文字
会話率:27%
偉業を成し遂げた勇者を称え、像を作ることになったのだが……
最終更新:2023-08-24 20:17:06
2988文字
会話率:55%
魔力によって訪れた終末世界。美術品の主題と密接に結びついた魔力の残滓は、人々を傀儡魔(くぐつま)に仕立て、異常行動に駆り立てていた。
この魔力を回収するのが、魔力回収機構に所属する「回収人」である。
回収人には、魔力を持って生まれた稀人(ま
れびと)しかなることができない。イザヤも、回収人となるべく幼時より機構内で養育されてきた稀人の一人だった。
回収人になるためのとある儀式を終えた彼は、相棒エレミヤとともに、生まれて初めて外の世界に旅立つことになる。
旅人を狙う首斬り魔、密室内で消えた娘、何日も眠り続ける男たち、十年以上男児が生まれていない村――自身の信念を魔石に託して戦うイザヤは、傀儡魔の攻撃をかいくぐり、無事に魔力を回収することができるのか。
【アトリビュート】
絵画や彫刻において、歴史上・神話上の人物や主題を表すために添えられる付属品。持物(じもつ)。
<参考文献>
『聖書 新共同訳』(日本聖書協会、1988)
ジェイムズ・ホール『西洋美術解読事典』(河出書房新社、1988)
アープレーイユス『黄金の驢馬』(呉茂一・国原吉之助訳、岩波書店、2013)
※この作品はカクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-06 12:07:25
155286文字
会話率:52%
オタクじゃない、むしろゲームとか漫画とかアニメとか、そういうジャンルのものはあまり好きじゃないかも……そんな俺が10年ぶりくらいにゲーム機を起動しようとしたけど、なんか様子がおかしい。これってもしかして……『異世界転生』とかいうやつ……?
平凡な家庭出身のはずなのに、突如現れた魔法の鳥は父親の知り合いだし、出会った人々に神の遣いに間違われるし、性別不詳の謎の天使にモテるし、そんなのどうでもいいから家に帰りたい!
いや、まだここが現実と決まったわけじゃない。そう思いたい俺を否定するように、美少女「ソフィ」は、この世界を「魔術の絶滅しなかった地球」だと言った。
なぜか日本語が通じて、現地人の髪と目はカラフルで、なぜか恐竜がいて、クラゲみたいな生物が「犬」として飼われてて、なぜか人間が魔法を使える……ここは一体なんだ?
平凡な日常への未練を引きずりまくる男子大学生の、新天地での生活が今、幕を開ける……。
※主人公にあまりオタクの知識がないため誤認していますが、異世界転生ではなく異世界転移にあたります。
【メインキャラクター一部紹介】
薄野 湊人(ススキノ ミナト)
18歳の大学一年生。父はイラストレーター、母は研究員、姉は大学三年生。オタクな父と姉に辟易して、自身はオタク文化からはすこし距離を置いている。成績は上の下、運動神経は中の中、顔は柴犬似?オタクの知識はあまりないが、家族がオタクなので単語の聞き馴染みは多少ある。
ソフィ
15歳。ミナトと同じく世界の外から来た少女。年齢に対して上振れなのか下振れなのか判別不可能な言動と行動をかましてきたりするが、悪意はない、根はいい子である。この世界の人より明らかに格上の魔術を使うことができ、身体能力はイカれており肉体は桁外れに頑丈である。その天元突破したルックスの完成度含めて絶対に人間じゃないが、その正体やいかに。
エリス
自称、(57÷3×7)歳。長生きしていそうだが中身はお利口な幼い子供である。広げると端から端まで3mある白い翼で空を飛ぶことができ、見た目は名画や彫刻にある天使やキューピッドとよく似ている。「本当の天使になるために天使の泉へ行かなければならない」と言い天使の泉を目指しているが、天使と同じ見た目をしているのに泉へ行く必要はあるのかは謎。両性具有。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-16 14:59:43
35671文字
会話率:23%
とある古びた工房。そこにやって来た一人の男が戸を開け
中を覗き込むようにして言った。
「あのー、ごめんくだ、あ、お師匠さん」
「……あんたに『お師匠さん』だなんて言われる筋合いねえよ」
頭に白いタオルを巻き、白いひげを蓄えた男
はそう言うと
ぷいと視線を外し、作業に戻った。
工房のど真ん中。畳の上で胡坐をかき
手に持った彫刻刀で竹を削っているようであった。
しかし、それが何のどんな作業かは訊いたところで教えてはくれないだろう。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-14 10:00:00
1789文字
会話率:60%
彫刻師の私は宇宙人の王国を名乗る招待状を受け取る。訪れた王国では奇妙な人々が穏やかに暮らしていた。その島で私は私にしかできない仕事を依頼される。
この世界に馴染めない私たちに向けて書きました。noteで連載していたものです。https:/
/note.com/hitanagi/m/mac812bbf6bbd折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-13 17:22:53
19854文字
会話率:40%
木彫りの彫刻が2体、付喪神となって会話をする話です。
最終更新:2023-05-23 09:19:36
1674文字
会話率:41%
「私」とタロさんは金木犀の木が咲く田舎の一軒家に住んでいる。東京に住む一人娘からの連絡はタロさんが怖れる(?)「あのこと」だった。彫刻家を目指して挫折したタロさんとその妻の私、それから一人娘の栞さんの何となく幸せな物語です。よろしければどう
ぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-30 19:24:47
9699文字
会話率:41%
1887年、パリ。彫刻家ロダンのもとで修行する日本人、小倉右一郎は大変なトラブルに巻き込まれる。「地獄の門」の門前で繰り広げられるロダン、その妻、愛人…スキャンダラスな愛憎劇とそれに翻弄される右一郎。彼は無事に日本に帰ってこられるのか。
最終更新:2023-02-03 18:01:56
4395文字
会話率:44%
大好きなあなたはすごいひとだから、あたしは不安になる。
最終更新:2023-04-22 07:00:00
778文字
会話率:0%
昨今、「考える力」がもてはやされていますが、これからの時代は「考えない力」が大事になるのではないでしょうか?作者は考えすぎで精神を病んだ時期があります。今では薬を飲まなくて良い体質になりましたが、やっぱり考えすぎるのは良くないと思います。繰
り返し考える反芻思考は鬱を発症しやすくなるそうです。実をいうと、絵、彫刻、作曲、そして文学も実は「考える力」は必要ありません。考えれば考えるほど書けなくなるのが絵であり、彫刻であり、作曲であり、文学なのです。作者は、学校で作曲学を専攻しておりましたが、考えないことの大切さをそこで学びました。一つの事柄を自分からカッターナイフでわざわざ分解し、歪な分析するのはやめてみませんか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-24 23:04:24
9390文字
会話率:28%
傭兵部隊に育てられ内戦終結後に奴隷に身分を落とした主人公は、やや偏屈な彫刻家に買われる。
二人は徐々に親交を深めていくが、国家間の争いに巻き込まれ離れ離れとなってしまう。
作者の水凪です。
今までの自分の小説に比べて暗くて重いお話と成って
いますので、シリアスタグを採用しました。
読み終えていただいた方の心に、名作映画を見終わったような読了感を名作映画の一万分の一でも感じていただければ幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-17 17:29:13
32717文字
会話率:43%
舞台は「彫刻発展」
主人公は独創的な思想の持主。それを理解できるのは先生だけだった。
彫刻家として。人として。作品として。
主人公は試練の時を迎えた。
10話完結型の作品です。すぐ読み終える事が出来ます。
もう一周読んだら。違
う世界が見えてきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-17 16:27:59
10754文字
会話率:32%
レティシア・バーテンベルクは、人前では笑顔を決して見せない無愛想な女。どんな事があろうと表情を崩さず、また彫像のような美しい顔立ちから、レティシアは、氷の彫刻のような女だと学園で囁かれていた。
しかし彼女は、王太子から婚約破棄を言い渡し
てもらう為、無愛想な女を演じているだけであった。
「私は平穏な学園生活を送りたいのに……学園の人気者な王太子の婚約者だなんて学園中の令嬢たちに目の敵にされてしまうわ……!無愛想にしていれば殿下も私との婚約を破棄してくれるはず!!」
こうして無愛想な令嬢として振る舞う事を決めたレティシアだったが、むしろ王太子はそんな彼女にグイグイ迫ってきて……!?
全七話完結です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-27 22:16:58
28784文字
会話率:41%
ここは寒い
氷の彫刻の中に閉じ込められたと
錯覚するほどに
キーワード:
最終更新:2023-01-05 07:00:00
501文字
会話率:0%
―すっかり葉を落とした木々のなかにたたずむ、白い彫刻をぽつぽつと見た。女性の横顔であった。
濃霧のなかたどりついた山中の美術館にて、私は深い青の世界に足を踏み入れた。
最終更新:2023-01-02 12:04:41
714文字
会話率:0%
「オレと付き合って欲しい」
「えっ」
「だからオレと付き合ってくれ」
「はあ……」
「とにかく、オレと付き合え」
「ほえっ」
「あのなあ、おまえ、何度も言わせんなよ」
「えーと、その、あっと、意味が……」
「わかんないのかよ」
「いや、そう
じゃなくて。本気……」
「だったら、どうなんだよ」
「わかった。了承します」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-22 06:50:24
21551文字
会話率:41%
掌篇集です。これまで単発で掲載したものを纏めました。以後、掌篇は、こちらに掲載します。
最終更新:2015-11-15 16:04:44
74060文字
会話率:24%
酒は飲んでも飲まれるな。
元婚約者の結婚式で記憶を失うまでお酒を飲んだローゼルは、酔った勢いである青年と婚約を結んでしまう。それは、気難しい性格で皆から嫌われている貴族令息だった。
ショックを受け、何とか婚約をなかったことにできないかと
考えるローゼル。だが、次第に彼の知られざる一面に心を動かされていって……?
これは、正反対の二人が距離を縮め、幸せになるまでの話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-28 12:29:46
8399文字
会話率:46%
人類のほとんどは、すでに地球を離れて別の星で生活をしている。地球の表面は荒廃しており、環境回復のための保護区に指定されている。環境回復を担う研究機関や政府の役人たちは、地表面と軌道エレベーターでつながっている、人工の月「エデン」に暮らす。
人類にとってすでに「性別」は意味をなさないものとなっており、人体はサイボーグ化して、永遠の時を生きることを可能にしている。新しい生命の誕生を望む時には、理想通りの子供になるように遺伝子を設計し、人工子宮で誕生させることで、無駄のない人口管理を行っている。
一方、永遠に生きることを嫌って、地表面に住むことを選択している人たちもいる。彼らは、政府から特別に許可をもらい、地表面に作られた巨大なドームで覆われた都市に暮らしている。その街の一つに暮らす主人公ミライは、ハートカービングを仕事にする親方アンジェロの営む工房で住み込みの弟子として生活している。ハートカービングとは、木を素材として心臓型に削り出し、その表面に繊細な彫刻を施して仕上げていく作品だ。アンジェロは、依頼主からの依頼を受け、その人の人生を、心臓の表面に彫刻していく。依頼主の多くは、エデンに暮らす人々からのものである。
ミライの周りには、アンジェロと仲の良いレインという人物がいる。レインは街を守る防衛隊の一員で、常にミライを見守っている。アンジェロとレインも、かつてエデンに暮らしていた「不死なるもの」だ。ミライの出生の秘密にも、エデンが深く関わっている。
ミライは、アンジェロの後継者として認められているが、完成した作品を依頼主に引き渡す場面には、未だ立ち会わせてもらったことはない。来月15歳になるのにあわせて、師匠のアンジェロは、ミライを、その引き渡しの儀式の場に立ち合わせる決心をするが……。
(この作品は、2019年発行の同人誌「SFファンジン」に掲載された小説の転載です。)折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2022-09-07 00:00:00
19183文字
会話率:52%