気づいたら、僕は「私」になっていた。
新しい姿、新しい名前、そして――秘密。
出会ったのは、まっすぐで人懐っこい笑顔を持つ少女・白石ひなた。
けれど彼女にも、誰にも言えない想いがあって――
【女性になったことを隠す僕】と、【ある秘密を抱えた
少女】。
ふたりの出会いから始まるこの恋は、いったいどこへ向かうのか。
「これは、心と心が重なるまでの物語。」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 21:00:00
5106文字
会話率:38%
目覚めたとき、俺の記憶は消えていた。
自分の名前は「高木謙太郎」。それだけは、医者や周囲の人間から聞かされて理解していた。でも、それ以外の過去は何もわからない。俺は何をしていたのか、どこに住んでいたのか、誰を愛していたのか――すべてが霧の中
だった。
そんな俺の前に「まい」という女性が現れた。
彼女は俺の「恋人」だと言った。戸惑いながらも、彼女は俺を支え、笑顔を見せてくれる。記憶がない俺にとって、まいは唯一の拠り所だった。彼女といると、どこか懐かしく、温かい気持ちになる。俺は少しずつ、彼女の存在を受け入れていった。
しかし、俺は知らなかった。
彼女の言葉の裏に、たった一つの「嘘」が隠されていることを。
その嘘は、俺の失われた記憶と深く結びつき、決して明かしてはならない「真実」を覆い隠していた――。
この物語は、記憶をなくした男と、愛する人を失った女が織りなす、切なくも温かい愛の軌跡である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 20:54:39
544177文字
会話率:34%
かつて神と魔が争った「人魔大戦」――
終戦から幾星霜、人類は神から授かる“ギフト”で、魔族は“魔法”で、それぞれの道を歩み始めていた。
そんな時代、田舎の農村で生きる少年・カイルは、成人の儀で“相手の名前と戦闘力が見える”という地味すぎる
ギフトを授かる。
しょんぼり帰路につく彼だったが、偶然出くわした魔族に魔物と誤認され、なんと魔王城へ連行されてしまう――!
命の危機を感じて城からこっそり脱出を試みたその瞬間、現れたのは本物の魔王。
だが魔王は、王としての責務も国の未来もすべて放棄し、禁呪でカイルと人格を入れ替え、城から逃亡!
目覚めたカイルは、魔王の姿で床に倒れていた――HP真っ赤の瀕死状態で!
これは、
唯一自分を信じてくれたメイド長の笑顔を守るため、
“王”の何たるかを知らぬ少年が、魔王として国と人々を救おうと立ち上がる――
ちょっとズレた“耕す系・魔王改革譚”である!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 20:00:00
37366文字
会話率:32%
【 第1章 】
*真白結衣(ましろ ゆい)**は、美しさと才能を兼ね備えた高校生アイドル。
だがその華やかな表舞台の裏には、「100種類以上のアレルギー」と「極度の潔癖症」という、誰にも言えない体質的な秘密を抱えていた。
肌に触れただけ
で発作を起こす。
匂い、花粉、金属、食品、化学繊維——生活のあらゆるものが命の危機となりうる。
それでも彼女は、完璧な笑顔を保ち続ける。
孤独の中で、ただ黙って耐えながら。
そんな結衣の前に、ある日**転校生・逢坂緋人(あいさか ひと)**が現れる。
実は彼は、かつて子役として一世を風靡し、現在は人気急上昇中の5人組アイドルグループの一員。
そしてもう一つの顔——それは、「結衣の夫」だった。
そう、二人は誰にも知られず、極秘裏に結婚していたのだ。
学校でも、芸能界でも、恋人どころか友人すら装うふたり。
触れることすらままならない、秘密だらけの結婚生活。
アレルギー、芸能活動、世間の目、すれ違う時間……
それでも二人は、お互いだけが“本当の自分”を知っている。
「何もいらない。あなたさえいてくれれば——」
高校から大学へ。少女と少年が、運命と闘いながら愛を育てていく、
ピュアで切なく、そして強く生きるラブストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 19:00:00
8984文字
会話率:31%
ずっと好きだった幼馴染への告白が呆気なく玉砕した鷹辻 千紘は、傷心し落ち込んでいた。
そんな時、実家の花屋の店番をしていると、見た事ない程のイケメン早霧 蓮と出会う。
しかし、傷心から千紘は、蓮に対して良くない態度をとってしまう。
しかし、
そんな千紘は蓮は優しく慰め、笑顔を見せる。
そんなこんなで打ち解けた二人だったが、翌日千紘は驚きの光景を目の当たりにする。
蓮はスカートを履いて立っていた。
蓮は女子高の王子と呼ばれるイケメン女子だったのだ。
男だと思っていたら女子だった。
千紘と蓮が送る日常系王道ラブコメディ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 18:36:06
68846文字
会話率:41%
現代の日本――突如として各地に出現したダンジョンは、国家の枠組みをも変える新たな秩序の中心となった。
攻略者と呼ばれる者たちが国家資格を持ってダンジョンを制圧し、未知の資源と技術が日常に浸透し始めた世界で、大学生・陽向は、特別な能力を持
たない“ただの人間”だった。
そんな彼がダンジョン探索に挑む理由は、二つ。
――最前線で活躍する“妹”・雪の背中に少しでも近づくため。
――そして『妹のヒモ』という汚名を返上するため。
大学のダンジョンサークルを脱退した後も、ソロで攻略を続けていた陽向。
しかしある日、予測不能の異常事態が発生し、陽向の中に眠っていた「力」が目覚める。
それは彼自身さえも知らなかった、自分だけの能力だった。
正体不明の魔道具、裏で暗躍する組織、そして新たな出会い。
妹の笑顔を守るため、仲間を救うため、そして「もう誰にも負けない」ため、陽向は自らの手で運命を切り開いていく――!
※本作品は以前投稿していた、『妹のヒモ』だけど文句ある?〜ダンジョンが現れた世界で『妹のヒモ』と呼ばれた男が覚醒して成り上がる〜、に内容の変更と加筆修正を加えて、再投稿しているものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 18:03:39
80332文字
会話率:20%
両手を人間に掴まれている。恐怖で目の前のお母さんに助けてと視線を送る。
穏やかに一生懸命に笑顔を作っているお母さんの後にはにちゃりと笑う人間がいた。
その次の瞬間―—
グサッ
母は人間の攻撃によってまっすぐ地面に倒れた。最後の瞬
間までその笑顔を絶やさずに…………
私の中で何かが崩れる感じがした。
《条件を達成しました。エルフ、個体名:アマリスに称号『?!#%』をギフト。それに連なりスキルの入手を開始します。成功しました。エルフ、個体名:アマリスにスキル『不具合(エラー)』をギフトします》
頭に響くそれの存在を考える暇もなく私は手を放された瞬間倒れ伏せた。そして気を失ってしまった。
「『シャットダウン』―—」
刹那、お母さんを殺して笑っている人間が黒く包まれる。
目を覚ました時には周りには人間はいなかった。不自然にある肉塊を除いて…………折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 17:00:00
26642文字
会話率:38%
公爵家の婚約者には「運命の恋をした」と言われて、あっさり婚約破棄。
さらに家からも追放され、伯爵令嬢リーナは故郷と未来を同時に失った。
けれど、不思議と涙は出なかった。
心の奥に、もうひとつの記憶があったから。
それは前世、日本の惣菜店
で働いていた頃の記憶。
小料理屋を開く夢。
今世のわたしには、素材の本質を見抜く『鑑定』がある。
料理人としての情熱と、その魔法を手に、もう一度人生をあたためなおしていこう。
まずいと避けられていた魔物肉も、唐揚げにすれば驚きの美味しさに。
騎士団も、街の人々も、その味に笑顔を見せてくれる。
今日もアードベルの食卓に、笑顔をお届けします♪折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 14:54:39
89228文字
会話率:52%
幼き頃に国を滅ぼされ、敵国で将軍の娘として生きることを強いられた元王女、凛音。
彼女は密かに復讐者としてその刃を研ぎ、忍び寄る陰謀に立ち向かう覚悟を決めている。頼るのは、己の手に秘めた暗器のみ。
その華やかな宮廷で彼女を見守るのは、幼き頃
から彼女の笑顔を知る第二王子。
しかし、その穏やかな視線の奥には、彼女への秘めた想いが潜んでいる──。
今宵、元王女さまは殺し屋への道を歩み始める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 13:50:00
463092文字
会話率:34%
ここは雨の止まない地区トリスト。
ここの雨は特殊で魔力をかき乱し、霧散させる。
この雨の影響でこの地区は魔法による発展が無くなり、他地区に比べ貧しい生活を強いられてきた。
そんな地区で二人の少女は今日もマイクを前に笑い合う。
「
さて、今夜も始まりました。『たきなとリオンのエモ!ラジオ』お相手は私、天城リオンと、」
「やっほー!柚木たきなだよー」
「この番組では、この地獄みたいな地区トリストで生きる私たちが身近で起こったことや皆さんから送られてきたメッセージの中で『これはエモい!』と思ったものを電波に乗せてリスナーの皆さんにお送りするラジオ番組となっています。」
地獄の地区トリスト地区を盛り上げるためのラジオに楽しいわちゃちゃな学園生活……のはずだったんですけどねぇ……
自分の周りで起きたトラブルに地区の治安維持、挙句の果てには隣国トラブルまで!?
周りの笑顔を守るために、頑張って戦いますね。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 13:00:00
18690文字
会話率:47%
「これって、あの『アホ姫』じゃない!?」 私が転生したのは、乙女ゲームで攻略対象との恋路を邪魔する、ネタキャラの男爵令嬢エスト。 やり直しから始まる新たな人生。 だけど、ここって本当にあの世界なの? ってくらい違う事だらけ。 悪役令嬢だと思
ってたローゼ公女とすっかり意気投合。 彼女は「世の中、レベルさえ上げておけば、大抵何とかなりますよ」と言う。 私たちは喜びも苦難も一緒に乗り越え、友情を深めていく。 私は前世でやりたかった事をこの世界で始めるけど、それが思わぬ反響で。 --周囲を振り向かせ始めたエストが、様々なアイデアをひらめかせ、笑顔を呼び込んでいく。 ほのぼの異世界ファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 12:32:58
52127文字
会話率:25%
モトキス王国の王太子妃としての未来を約束された少女、リリエ・エーディット・クラヴァード。
彼女の婚約は王国の安定のために決められたものであり、自身の意思が反映されることはなかった。
顔も知らぬ王太子との結婚、王妃教育に明け暮れる日々。
そ
んな中、彼女の住むヴァルタリア領では鉱山の収益減少や不可解な金の流れが問題視されていた。
しかし、それは単なる財政問題ではなく、やがて彼女を巻き込む王宮の陰謀へと繋がっていく。
ある日、王太子から派遣されたという護衛騎士が彼女の前に現れる。
彼は常に人懐こい笑顔を浮かべ、誰にでも気さくに接する少年だった。
端麗な容姿と柔和な態度で、城内の者たちに自然と受け入れられていく。
リリエは彼を信頼するようになり、次第に領内の不正を共に探るようになる。
だが、それは単なる金銭の問題ではなかった。
彼女自身の存在が、ある者たちにとって"王国を揺るがす鍵"であると知ったとき、運命の歯車は大きく回り始める。
策略と陰謀が渦巻く王宮の闇の中で、リリエは**王妃としての未来か、それとも……**と、決断を迫られることになる。
***同名義でアルファポリス様(最速)、エブリスタ様で先行配信しています!***折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 12:00:00
39224文字
会話率:43%
人前で、笑顔を貼り付け十三年。
少しでも失敗を犯したら鞭で打たれ、最近は平手もおまけのようについている。
今はそんな鞭打ちのお時間。何回されても慣れないこの鞭打ちも、表面上美しい笑顔で耐えてみせる。
(何回やっても、慣れないわね……)
ルーリア・コキリ・セロライハラ。侯爵家の次女であるがメイドのような暮らしをしている。否、メイドより酷い暮らしをしている。
ワンピースに近い薄茶の埃まみれのドレス。埃を被った髪。その髪は血のように赤黒く、それが理由で家族に虐げられていると言っても良い。髪と同様、目も赤黒くて、まさに血塗れなのだ。瞳がルビーのようなんて、そんな綺麗なものではない。ルビーと呼ばれるものは透き通っていて、生き生きとした赤色の瞳のことを言うのだ。
ルーリアの瞳はそんな色ではない。
赤にはドス黒い黒色も混ざっていて、今にも死にそうな目をしている。髪も同じだ。埃を被って少しばかり見えないは見えないが、よく見れば直ぐに分かるということで。
そんなルーリアが鞭打ちの時間が過ぎて窓拭きをしている最中、母であるギュアカーラの聞いたことのないほどのご機嫌な声を聞き、ルーリアは怪訝そうに窓から門前を見る。すると、ギュアカーラの隣でメティーチェイアが上品なカーテシーを披露しているではないか。
その前には男性がいる。誰かしら。そう思ったのは少しの間。姉と母の自室があるこの廊下には、来ないのではないだろうか。
そう思い窓拭きを再開し鼻歌を歌っていた時、話し声が聞こえて横を振り返ると、あの三人がこちらへ来ているではないか。
ルーリアはバケツとタオルを置いて曲がり角まで逃げた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 07:35:41
65131文字
会話率:43%
天野風花はちょっと変わった幼馴染だ。
雨の日は、怒りっぽく。
曇りの日は、冷たくて。
そして……晴れの日は。
笑顔を絶やさない優しい女の子になる。
最終更新:2025-06-09 00:15:46
5830文字
会話率:27%
「不幸でいることは大変勿体ないことです! 人生は素晴らしく、世界は輝きで満ち溢れているというのに!」
百を超える会社から不採用を言い渡され絶望していた男――斎藤頼一の前に現れたのは、日本人離れした端正な顔立ちに、胡散臭い笑顔を張り付けた『詐
欺師』だった。その場の雰囲気に流され『詐欺師』のもとで働くことになったが、売りつける物は『何でも願いの叶う壺』、『未来が見える水晶』、『幸福になるお香』、『勝手に動く市松人形』……いや売れるわけがねえ! しかもたまに購入に来る客は、どいつもこいつも訳ありで……。
これは饒舌奇才変人詐欺が巻き起こす、奇妙で不謹慎な人助け(?)の物語。
第一話:『お金の咲く木の苗』の販売折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 22:30:05
82366文字
会話率:41%
誰もが願いを掲げる。誰もが夢を見る。
けれど、大抵の人はあきらめる。或いは挑み、散っていく。
本当の意味で願いを叶えるのは一握りなのだろう。
頑張ったところで報われることはない。必死になっても変わらない。
それでも挑むのは、諦めきれない馬鹿
か、現実を知らない間抜けだけ。
とある少女は願った。また、仲良くなりたいと。
とある青年は願った。また、会いたい、と。
とある悪魔は願った。世界を滅ぼしたとしても、また笑顔を見たい、と。
とあるは願った。誰を害したとしても、謝りたい、と。
——etc
誰もが諦めることを選ばなかった。
叶うはずがないと知りながら、いつか願うが叶う日も来ると嘯いて。
祈った数だけ裏切られて。
そして。
願いが交差する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 19:30:00
35507文字
会話率:11%
公爵令嬢セルビアは、第二王子ジルヴァーノとすれ違いの日々を送る。聖女シルの登場により、ジルヴァーノは笑顔を取り戻しつつあるが、セルビアはそんな2人を遠くから見つめるだけ。自らの抱える気持ちに揺れる彼女を、隣国の王子レオンが温かく見守る。
※
ざまぁはありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 18:18:52
10909文字
会話率:38%
傷付いた仲間が横たわっていた。
先刻まで笑顔を見せて、今まで共に戦ってきた戦友だ。
背中に致命傷を受け、もう言葉を発することもない。
流れ出た血液が、懐かしい思い出と共に溢れ出る。
こんなはずではなかった。
いくら魔物が結集したと
ころで、
この城がここまで攻め入られるなんて、
誰が予想しただろうか。
己の剣の柄を握りしめる。
剣先を敵に向ける。
あれだけ研鑽を積んだ日々を裏切るように、
手の震えが止まらない。
恐怖にすくみ、足も重い。
眼前には、巨躯の魔物。
牛頭で鋭い双角をもつ。
両手には鍔のない刀を一振りずつ。
戦友の背中を心臓ごと貫いた刀を抜き、付いた血を払う。
光の無い双眸を、こちらに向ける。
ゆっくりと歩き出したその動作に
脈動する心臓が、凍てついた。
震える剣を振る間もなく、凶刃は体を引き裂いた。
凍てついたはずの血は、思ったよりも、暖かかった。
止めどない吹雪がふきあれるこの地より、遥か遠い場所。
とある教会で一人の捨て子が拾われた。
夜空の色をその目に宿し、
後に、目に映る全てを救ったとされる子ども。
混乱を収め、万世を平和に均した
彼の者たちと、同じ力。
この物語は、その少年が歩んだ軌跡。
魔王をめぐり、星を救う
少年たちの冒険譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 17:10:00
499194文字
会話率:19%
王都にそびえる白亜の講堂。七色の光が天井のステンドグラスから差し込み、生徒たちのローブをやさしく照らしていた。
王立魔法学院、卒業式。
「アンジェ=オルレアン嬢!」
壇上から響く怒鳴り声。赤髪の男、カストル=アングレーム。彼はアンジェの“婚
約者”であったはずの存在。
「俺は、おまえとの婚約を――ここで破棄する!」
講堂がざわめく。
「な、何を言って……?」
「理由は明白だ!」
カストルが腕を振り上げ、指さした先にいたのは、桃色の巻き髪に黄色い瞳の少女。アミアン=ミュルーズ。
彼女はぶりっこ調の笑顔を浮かべ、胸元を押し上げるようにして立っていた。
「アミアン嬢をいじめていたって話だ!」
「そんな……わたくし、していません!」
「アタイのこと“乳だけのぶりっこ”って呼んでたン♡ 証拠もあるン。手紙もあるし、窓に彫られた文字も♡」
「そ、そんな馬鹿な……っ!」
足元がふらつく。視線が周囲を彷徨う――けれど、誰も、誰一人として彼女を見ようとしない。
「……誰も、助けてくれないのですね」
その瞬間、校長が口を開いた。
「アンジェ=オルレアン嬢。複数の証言と証拠に基づき、重大な素行不良があったと判断する。よって、今後の爵位継承および家格に関して、王宮に報告がなされる」
「……っ!」
誰かの悪意で仕組まれた罠。なのに、その罠に誰も気づかない。いや――気づいていても、見て見ぬふりをしているのかもしれない。
足が、がくりと崩れそうになった。
「わたくしは……何もしていませんのに……」
声にならない叫び。
「……退場なさい、オルレアン嬢」
護衛の魔法騎士が近づいてくる。アンジェは、最後の力を振り絞って立ち上がった。
「わたくしは――絶対に、負けませんわ」
涙をこらえながら、真っ直ぐ前を向いた。
わたくしは、信じています。いつか、真実は明かされると。
たとえ、今この瞬間、誰一人信じてくれなくても。
講堂を去る背中に、誰も声をかけなかった。
――これは、断罪のはじまり。けれど、物語はまだ、終わっていない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 05:30:00
75155文字
会話率:29%
大陸一の美女と称される公爵令嬢リリスは、17歳。銀色の長髪と紫の瞳を持ち、完璧な令嬢として誰もが憧れる存在だ。しかし、彼女は人とは違う「感情の欠如」という深い悩みを抱えていた。いつも笑顔を作り、周囲の期待に応える一方で、本当の自分の感情がわ
からず、心の中には鍵がかかったような空虚があった。
そんなリリスに突然、19歳の皇太子レオナールとの婚約話が持ち上がる。金色の短髪に青い瞳を持つ彼は、超絶イケメンで社交的。明るい笑顔の裏に、誰にも見せない暗い過去を秘めていた。初対面の時、彼はリリスの「感情の欠如」に気づき、興味を持つ。
皇太子は積極的にリリスに近づくが、彼女は自分の心を守ろうと距離を置き、彼の接近を拒否する。そんな中、二人は夜会の舞踏会で再び出会う。リリスは距離を置こうと強く決意していたが、控えめに接する皇太子の姿に胸がざわつく。彼の誘いに応じて踊るうちに、リリスは初めて自分の心が揺れていることに気づき始めるが…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-07 23:55:49
2513文字
会話率:22%