町や村を巡り歩き、地脈の様々なレベルを扱う技術者がいた。名を高橋直哉。彼は地脈ネットワークのインフラもバックエンドもフロントエンドも、お手のものだった。
地脈とは、各地の魔族たちが家畜人類達の生命などからなる魔素を集めて魔王一族へ送り届
け、魔王一族が魔族向けに整えた魔素を魔族一人一人が受け取る絆のネットワーク。家畜人間たちから生命などの魔素を吸い取って地脈に収めることが祭礼であり、それを司るのが祭司であった。
彼はすこしでも条件の良いところを求めて転職をしさまよい続ける独立の技術者だった。
彼は、秘密があった。
一つは、振り切ったはずの女たちに追いかけまわされていることだった。しかもそれは魔族の女であった林梓晴と、アリサだった。だが、男尊女卑である祭礼の際に、仕事柄、女性を大切にする祭司であるために、惚れる魔族の女たちが増えた。
二つ目は、魔族の支配の下に虐げられている家畜外人類を秘密裏に見出し救い出すことだった。そのような人類は、ついには地脈に接続されて魔素を吸収されてしまう犠牲者だった。
三つ目は、愚かさを身に着けているため、表面的にはわからないのだが、潜在意識の最深部に隠された、なおかつ条件付けされた目標があった。それは魔王を倒すことだった。
そして、彼が真の敵であることを魔王ラーメックも、彼らを陰で操る大魔ルシファーも認識していなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-19 13:00:00
104572文字
会話率:60%
少子高齢化が進み、無数の市町村が無人化した至近未来の日本で、社会人数年目の女性・朝倉智(あさくら とも)は、とある田舎の集落に存在する神社の例祭を見物に出かけていた。朝倉の傍らには、中学時代からの友人である古見合奈(こみ あいな)の姿があ
った。
朝倉はのんびりと祭りを見学するが、実はこの集落はとうの昔に無人化した集落であり、祭を実行する者たち――神輿を背負う者も舞を踊る者も見物人の大半も、誰も彼もが生身の人間ではなかった。極度に少子化が進み過疎化した国で、その労働力の穴埋めを任されたヒューマノイド、『サブ』と通称される人間そっくりのロボットが、祭事という文化を「動態保存」していたのだった。
だが、保存されているのは祭だけではない――朝倉は眼前の祭礼と、そして傍らの友人を通して、ある事実へと至るのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 20:12:30
9717文字
会話率:17%
惑星セリネアの小さな村。
少年ユンは、毎朝まだ誰も起きぬうちに、古い石の塔に向かい、一枚の紙を朗読する。それは「継の紙」と呼ばれ、意味もわからぬまま何世代にもわたり伝えられてきた不思議な詩文「エル・ナフ」が書き写されたもの。声に出して語り継
ぐこと──それがユンに課せられた大切な務めだった。
だが、ある朝。
空を裂くように走る白い光が、ユンの静かな日常に入り込む。友人のサエル、ミノリとともに、小山のふもとで見つけた石とも金属とも知れぬ破片。それは、この世界には存在しないはずの何かの欠片だった。そこに刻まれた言葉とも呪文ともとれる記号から、少年たちは知ることになる。「語ること」の背後に広がる、もっと大きな何かの気配を。
一方、軌道上ではセリネア文明の監視ステーションが、ユンの朗唱を捉えていた。音声を分析し、記録し、遠く離れた地点へ送信する──それは、誰にも知られぬまま行われる、もう一つの観察の物語。
祭礼の日。
ユンは祖父の手を借りず、初めて「エル・ナフ」の全文を一人で読むことになる。不安と誇りと、ほんの少しの憧れを胸に抱えて。見守るのは、家族と村の人々、そして──ひとりの少女。
少年の声は塔に響き、空へと抜け、誰かの耳へ届く。
それが何を意味するのかも知らずに。
語ることは、ただの儀式か。
それとも、遠い誰かへの呼びかけなのか──
静かに始まり、やがて宇宙をも巻き込む、継承と記憶の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 10:05:36
10767文字
会話率:17%
夏の祭礼の終盤、私は婚約者である王子のエーリスに婚約破棄を言い渡されて、私が"精霊の愛し子"であることも「嘘だ」と断じられた。
何も言えないまま、私は国に送り返されることになり、馬車に乗ろうとした時だった。
「見つけた、
カリサ」
どこかで見たことがあるような気がする男性に、私は攫われたのだった。
***全四話。毎日投稿予定。四話だけ視点が変わります。一話当たりの文字数は多めです。短編で投稿する予定が、思ったより長くなってしまったため、分けています。設定は深く考えていませんので、サラッとお読み頂けると嬉しいです。
アルファポリス様にも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-02 12:00:00
17098文字
会話率:48%
祭り/祭礼/祭典/祭儀/祭祀
最終更新:2024-04-09 18:05:12
200文字
会話率:0%
よくわからないが、昔からこのやり方だ。
最終更新:2023-03-27 00:00:00
234文字
会話率:0%
霊力が皆無でオバケが大嫌いなのに、運悪く怪異に巻き込まれてしまう神殿警護官のサキ。
秋の後天祭という大規模な祭礼の準備でただでさえ忙しいというのに、王都を跳梁する夜盗の探索まで押し付けられた上に、岬に建立された神将像が向きを変える、空中を亡
霊が浮遊するというサキが大嫌いな怪異まで発生する。
それに加えて、シェフィールド家の所領からサキの無茶苦茶な行状に厳しい父母が屋敷に戻ってきて、サキは母親のマオに叱られっぱなし。
さらに厄介ごとは続くもので、春の先天祭の慈善競売会で高値で落札した¨傾国の水盤¨のせいで、大富豪のゼメキスがおかしくなったという。
サキはその全てを解決しろというあちこちからの理不尽な命令に王都を駆けずり回る羽目になる。
サキは、やる気のない相棒の方術士のリュードの尻を叩いて探索に乗り出す。そして、サキとリュードの命を狙う謎の敵まで出現し、その全ての事件が王都の霊的防御を破壊する陰謀と繋がっている事を知る。
サキとリュードが、姿を見せない敵との対決に乗り出す。
サキとリュードの冒険、第三弾。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-25 19:00:00
160637文字
会話率:34%
「疱瘡小屋」と呼ばれた小屋の跡があった。疱瘡、つまり天然痘にかかった病人を隔離した小屋だった。ここに坪井タネ・清子・清一母子が流れ着く。母親のタネは近くの鉱山の賄い婦をしていて、廃鉱により失職した。母子は多くの村人に助けられ、疱瘡小屋の跡地
に住処を定める。タネは農繁期に手伝いに出たり、祭日などに物乞いして歩くことにより、二人の子を養っていた。やがて、二人の子供は就学し、麻也などの友達を得て、交流を深めながら成長していく。
清子が中二の夏、タネは近くの村の祭礼に行き、昔、一時期、同棲した小野寺と再会する。ある組に追われる小野寺は山伏となっていた。
小野寺は、若いころ左翼の活動家だった。指名手配になって逃亡生活に入る直前に清子が妊娠したと知り、小野寺はタネと仲間との関係を疑う。
翌年、春の祭礼にやってきた小野寺は清子に暴行し、妊娠させる。大阪に就職した清子は六月末、睡眠薬自殺する。祭礼前日の清子の様子、身元保証人となっていて、清子の遺骨を持ち帰った麻也の兄の話などから、清一は清子の自殺の原因は小野寺と確信し、復讐を実行したのだった。
中学を卒業した清一は大阪のメーカーに就職し、やがて独立、地元で有数の会社に発展させる。後に、三足村で気ままに暮らしていた母を呼び寄せたことを、麻也は兄から聞く。タネは後半生を幸福に過ごし、二〇二〇年没。翌年の盆に清一は、過疎化でわずか三軒だけとなった三足村に向かった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-12 17:07:22
16116文字
会話率:26%
儀式や祭礼から離れたところで見る〈詩詠み〉は不思議なほどただの人間だ。言葉を司り、詩を編んで自在に世界を変容させるはずの彼女は、ふとあたりを見渡すと喫茶店でコーヒーを飲んでいたり、図書館で本を借りていたり、公園を無心に散歩していたりする。
最終更新:2021-01-08 12:09:49
1124文字
会話率:44%
美しく豊かな小国アルセリアは炎龍の庇護の下、繁栄を極めていた。年に一度の祭礼の最中、魔物に襲撃され、抵抗虚しく、成す術なく蹂躙される。滅び行く王国を見つめながらイデアは誓う。王国を滅ぼした者に復讐を――
国を滅ぼされ全てを奪われた男の復讐劇
が今始まる。剣と魔法が織りなす異世界ダークファンタジー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-10 11:51:25
56960文字
会話率:54%
田舎で夏休みを過ごしていたある日、近くの夏祭りに同い年の従妹と出かけた夜、考えたこともないことを伝えられ、戸惑う私の心象風景を描いた。
最終更新:2017-07-31 22:00:00
2402文字
会話率:0%
平成12年5月の満月の夜。主人公山下丈雄は5人の女性が人魚に変身する場面に遭遇する。
12年前、彼は父の失踪という衝撃的な事件に会い、母の生まれ故郷の成生(なるお)部落を訪問している。ここで成生妙子の出産に立ち会う事になる。生まれた女児が
自分の妻になり、彼女こそが人魚姫になるという。
山下が5歳の時母も人魚に化身して人魚の国へ行ったという。父も同じように母の跡を追ったのだと知る。
5人の女性が人魚に化身した翌日の夜、山下は精進潔斎の神事に参加する。
これは太古の昔から連綿と続く人魚の秘儀、シギの祭礼、ノンモ(人魚の神)の復活の神事である。
この神事は成生神社の地下深くに隠されたノンモの箱舟(宇宙船)の中で行われる。
ノンモの絵姿からノンモが浮かび上がり、山下はシギの秘儀を受ける。それによりノンモの霊に憑依されて、山下の意識は変革され肉体は強化される。
この秘儀の後、山下は翌年の5月の満月の夜に自分も人魚の国へ行く事を悟る。
人魚はノンモ族と呼ばれ太古、シリウス星から地球にやってきた。そして未開の地球人を導いてきた人間の神々であると知る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-07-25 08:06:28
31723文字
会話率:10%
とある神社の祭礼を舞台に、昭和のはじめと終わりに起こった少女たちの金魚すくいの話。
※pixivとの重複投稿
※飯野琴子名義によるコバルト短編新人賞投稿作品。同賞「もう一歩の作品」
最終更新:2013-08-09 18:35:35
9724文字
会話率:24%
ソロモン王が72の悪魔を封印した壺を人間が開けてしまい、別世界にソロモン王から逃げた悪魔達。
だが、別世界には"気力"と言う力を人々が使えていて、侵略しようとした悪魔達に"人々の死、大地の破壊"など
多くの犠牲を出して一応勝利した。
数百年後、力をためた悪魔達は全軍を使い再侵略しようとしていた。
あらすじ変えました。
あらすじに何を書けば良いかわからないんで、間違ってるかもしれませんが、見捨てず読んでみて下さい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-09-22 00:00:00
1583文字
会話率:35%
魔法と武器が有るのが当たり前の世界<アスペクト>
主人公
サイト・クオーラを中心に広がる
笑い有り?
涙有り?
恋愛有り?
戦闘有り?
の学園小説です
最終更新:2010-08-27 09:29:27
1063文字
会話率:77%