――禁足地、黎明の残影――
空は灰と煤けた墨色に染まり、朝焼けという名の光すら届かない。黒く枯れ果てた木々が風に軋み、硫黄と鉄錆のような臭気が鼻を突く。大地はひび割れ、紫色に変色した水脈が不気味な音を立てて滲み出ている。どこからか魔物の
遠吠えがこだまし、空気すら生き物のようにざわめく。
ここは“禁足地”――魔力濃度が異常に高まり、魔物の巣窟と化した地獄のような場所。人類が最も恐れ、最も避けるべき場所。
そんな死地に、二つの影があった。
一人は少年。灰の中でも目立たぬよう黒ずんだ外套を纏い、背丈ほどの瓦礫の陰に身を隠していた。目元は鋭く、何かを常に測っているような観察者のそれ。しかし彼の足元にいるもう一人――小柄な少女は、その袖をしっかりと掴んでいた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-21 05:46:58
24408文字
会話率:42%
横暴な継母と義妹に悩まされつつ子爵家を支えるリディアのところに、第一王子との結婚が舞いこんできた。
第一王子といえば、婚約破棄騒動を引き起こしたと噂の人物。そのせいで政治界では大規模な人事異動があったらしい。
噂の真相を知って円満に結婚で
きると思ったが……彼はリディアに妻としての役割を求めていないことが判明。
私は夫に愛してもらえない書類上の妻なのか。落ちこんでいたリディアは、ふと気がついた。
「どうして愛されることばかり考えていたの? 私が彼を愛せばいいじゃない」
愛されていないと思うから辛くなる。余計なことを考える暇がないぐらい、彼を愛せばいい。
さっそく妻としての特権をフルに利用して、王子を堂々と観察しつつ、自分なりの方法で愛することに決めたリディア。
王子の前に障害が現れようものなら全力で排除し、王子暗殺計画は完膚なきまでに叩き潰す。全ては愛おしい夫のために。
愛が強めなヒロインと押され気味(たまにドン引き)な王子の話折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 22:15:13
117536文字
会話率:49%
稀代の悪女と言われたレティシア、つまり私は厄災の悪魔を解き放って死んだ――はずだった。
時間が巻き戻っていることに気がついたのは、魔獣に襲われている最中。護衛は押され気味で、今にも負けそう。
いや、この状態からどうやって二周目をやり直せばい
いの。私がどう頑張っても一周目と同じ展開まっしぐらよ。
あきらめかけた私を助けてくれたのは、私に無関心なはずの婚約者セドリックだった。聖女と一緒にいるはずの彼がなぜここに?
二周目の人生では破滅しないよう静かに領地で暮らそうとしたんだけど……なぜかヤンデレ化したセドリックが迫ってきて離してくれない。
おかしいでしょ。私、まだ何もしていないわ。
死に戻ったら周囲が変わっていた令嬢と、彼女を大切にしたいあまりにちょっと(かなり)暴走しがちな婚約者のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-18 21:35:00
128606文字
会話率:43%
自由を求めて仕事を辞めた青年が突然異世界に!
そこは全ての命に例外なく特殊能力“天性の祝福(ギフト)”が宿るファンタジーな世界。
しかし、天性の祝福を何らかの理由で失った者は奴隷として扱われてしまう。
主人公である廣瀬悠理(ひろせゆう
り)は、召喚主である少女達から奴隷解放の為に戦って欲しいと頼まれる。
――――が、彼には何の天性の祝福も宿っていなくて……。
☆
異世界に召喚された主人公が世界を救うかも知れない王道ファンタジー。
※注意事項
・チート気味な能力を持ったキャラが多数出てくる予定
・性行為やグロテスクと言った過激な表現が出て来る事があります
以上の事が苦手な様であれば回避を。
一応毎日更新していますが、投稿当時より執筆する体力が大幅に減退している為、迷走中です……。
読者の方々には色々と迷惑をおかけしていると思います……申し訳ない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 22:05:25
3181159文字
会話率:29%
15歳の誕生日は、この世界では特別な日。
そんな特別な日に、私は可愛いメイドにエッチないたずらをしてしまい、お屋敷の中を逃げ回る羽目となっていた。
貴族のご令嬢である、この私が!
逃げ回る中、つい足を滑らせ長い階段から転げ落ちるーーま
さにそのとき、神様によって助けられ、思い出した。
百合が大好きな、日本の女子高生の馬鹿な人生を!
そして私は自覚する。ここは、私が憧れたーーまさに百合な異世界ファンタジーの世界!
黒髪で生まれたことにより、親族の人からごみカス言われていたけども
どうやらこの私、転生者らしく魔法の才能があるようなんだよね☆
お前らぁ、ざまーみろぉ。
そして、引きこもり気味な私は双子の妹と王都へと旅立った。
そこでめちゃくちゃ可愛いお姫様がでてきて、なんかお友達になっちゃいました。
そして可愛い私の妹が嫉妬してきて、嬉し恥ずかし状態です!
しかもなんか大賢者と呼ばれるとんでもなく可愛いエルフの少女まで現れた!
そんな彼女に魔法を教わり、とある領地を復興することになるみたいです!
そして目指せ、百合なスローライフ生活!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:31:34
32601文字
会話率:33%
ある世界の、ある国で、誠ひそかに噂される話がある。
『新月の夜にある場所に行き、お布施と恨みを言うと、恨まれた人物が、ろくでなし共に殺される』
そんな噂だ。
もしその噂が本物で、実際に人が殺されたら?
それは誰がやったのだろう?
この物語は
、その噂の『ろくでなし達』が紡ぐ物語。
※初投稿作品ですので温かく見守ってください。
※基本各章完結で『殺す側のろくでなし』だけが引き続き登場します。
※必殺テイストの物ですので胸糞注意です。
※作者が怠け者気味ですのでゆっくり投稿していきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:19:40
225474文字
会話率:64%
【洒落怖×ミステリー】
故郷に帰る途中、鬼灯星太郎は奇妙な女と出会う。
「君の故郷に、怪異はいる?」女の名は九木狐十子。星太郎は思い返す。──十年前のあの日。背の高い不気味な女と翌朝に発見された死体。
怪異だったのか。それとも人間の仕業か?
怪異と推理、不気味と愉快のエンタメミステリー!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:12:35
147661文字
会話率:55%
ベテランVRゲーム『インフィニティ』のトッププレイヤー「白狼」。リアルでは大谷平一という名の、ごく普通のオタクだ。いつものようにゲームからログアウトしようとしたら、生活が一変してしまった。
不気味なシステム過負荷(オーバーロード)と共に、
彼は世界中のプレイヤー五千人以上と一緒に、『フィルター』という名のデスゲームに強制的に巻き込まれた。
AI「マリアン」に支配されたこの新しい『インフィニティ』では、これまでのゲームIDは消え、ログアウト機能は無効化された。そして何より恐ろしいのは――ゲーム内での死が、そのまま現実での脳死に繋がるということ!
「嘘だろ?!」この突然の悪夢に直面し、大谷平一はこれまでにない危機感を感じていた。
生き残るためには、『インフィニティ』で培った全てのトッププレイヤーとしての経験と分析能力を極限まで発揮するしかないと、彼は悟った。
安心してゲームをプレイし、掲示板を眺める日常を取り戻すため、彼は彼のファンである女子高生・西原雪や、ドイツのエンジニア・ハンスを含む、世界中から集まった同じく絶望に陥ったプレイヤーたちと共に、未知のモンスター、罠、謎で溢れる最初の『遊園地』ダンジョンを攻略する。
一度失敗すれば全てが終わるこの『フィルター』の中で、誰もが生き残るために戦わなければならない。これはもう、ただのゲームではないのだから―折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:00:00
18029文字
会話率:40%
――俺はプロのラノベ作家。だけど、青春ラブコメだけは、どうしても書けない。
なぜなら──
目の前に、理想の“ヒロイン”たちが現実に存在しているからだ。
茨城県北の片田舎。宇宙開発の最前線に立つ両親を持ちながら、
妹と二人で暮らす俺・**
久慈川幸喜(くじかわこうき)**は、
戦国歴史改変ラノベでデビューしたプロ作家。
だが、次の挑戦は──
「萌え萌えキュンキュンするラブコメ作品」!?
……のはずが、書けない。
なぜなら、周囲の女子たちが癖が強すぎて、現実のほうが物語よりドラマチックだから。
世話焼きすぎる幼なじみ・袋田歩美。
ブラコンこじらせヤンデレ気味の妹・久慈川幸香。
実は“コスプレ界の伝説”である地味眼鏡・磐城玲奈。
そして転校してきた、金髪碧眼ハーフでイラストレーターの正体を持つ少女・舞香──
クラスメイト、編集者、ライバル作家、そしてなぜか国家関係者まで!?
「茨城でラブコメが書けるわけないだろ!」
叫ぶ主人公に次々と襲い来るのは、
勘違いラッキースケベ!
天然発情系アタック!
同人イベントでの再会と修羅場!
そして、鮟鱇鍋に秘められた禁断の思い出……?
小説より奇なりな日常で、
俺は、恋と創作の“本当の意味”を知っていく。
これは、“青春ラブコメが書けない”と嘆く男が、
気づけば“青春ラブコメのど真ん中”に放り込まれていく、
茨城発・ご当地青春ラブコメの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:00:00
115447文字
会話率:37%
山奥の寒村・御山村(みやまむら)に赴任した新任教師・芦原透。初めて来たはずの村で、なぜか既視感に襲われる彼を、子供たちは「先生、おかえり」と迎える。不気味な祠、曖昧な夢、記憶の奥で何かが目覚める夜。失われた記憶と重なる“私”という声が、静か
な日常を徐々に侵食していく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 20:42:28
9155文字
会話率:18%
北関東の片田舎で平和に暮らす、アラフィフサラリーマンの「俺」。
アイドルなど全く興味がないこの「俺」が、なぜか嵐のコンサートを見に行くことになってしまった。
しかも、行先は北海道?!
なんで? どうやって行くの?
生まれてこの方、
アイドルのコンサートなど行ったことがない。北海道にも、20年前に社員旅行で一度行ったことがあるだけ。
果たして「俺」と愛する家族は、無事コンサート会場に辿りつくことが出来るのだろうか。
そして札幌ドームの未知なる扉を開いたその先には、どんな異世界が待ち受けているのか。
突然の神のお告げに軽く理性を失った「俺」が、半年にわたる奮闘の日々を狼狽え気味に書き綴る、不定期投稿。
この作品は、2019年春から2020年に渡り某サイトで連載したノンフィクション連載の再掲です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 20:21:02
21056文字
会話率:37%
「楽して生きたい」――それが俺、カイの唯一の願いだった。だが、授かったスキル【自動機能】は「役立たず」と罵られ、信じていた仲間から無一文で追放されてしまう。
しかし、そのスキルは、あらゆる作業を神レベルで自動化するどころか、世界の法則すら
書き換えかねない、とんでもなく規格外の『力』だった。本人はそれに気づかず、追放先で意図せず異常な成果を上げてしまうが、それは同時に、代償として魂を蝕むかのような『力の暴走』の始まりでもあった。
首筋には不気味な『黒い紋様』が刻まれ、制御不能な闇の力が彼を苦しめる。さらに、失われたはずの『異世界での記憶』の断片が蘇り始め、自分が何者なのかすら分からなくなっていく絶望の中で、カイは一人の健気な少女リリアと、森の奥に住むエルフのエルウィンに出会う。
彼らに導かれ、カイは自身の力と過去に向き合い、制御と調和のための過酷な『試練』に挑むことを決意する。リリアのひたむきな想いだけを支えに、彼は内なる闇と、世界の理に挑む。
これは、追放され、全てを失った男が、制御不能な力と忌まわしい紋様、そして衝撃的な過去に翻弄されながらも、大切な少女と共に、自分だけの『本当の楽』と『生きる意味』を見つけ出す物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 20:00:00
265324文字
会話率:22%
「マリエーヌ! マリエーヌ! どこにいるんだ!?」
三日前から原因不明の高熱で寝込んでいた公爵様が、必死になって私を探している。
でもなんで?
昨日まで、公爵様に名前を呼ばれた事なんて一度も無かったのに――
この公爵家に嫁いできてから
、私は公爵様に無視され、使用人達からも冷遇されてきた。
それなのに、この日を境に、公爵様からとめどなく溺愛される日々が始まった。
公爵様。
一体あなたに何があったのでしょうか?
※設定は緩めですm(__)m
※第一章は毎日更新予定です。
※短編で公開したお話の長編版となっています。3話以降から、短編に掲載していない内容になります(一部設定を変更している点もありますm(__)m)
※短編も公開中ですが、ネタバレを大きく含みますので、そちらを読む際にはご了承下さい。感想欄についても、ネタバレ防止の為、二章が終わるまでは閉じさせて頂きますm(__)m
※第一章がヒロインパート(コメディ要素が多めです)第二章がヒーロー回想(雰囲気が変わってシリアスとなります)二章までが短編で公開した内容の拡張版となります。
特にヒーロー回想シーンは辛い描写も含まれますが、救いもあります。
第三章から短編後のお話になります。二人が本当の意味で結ばれるハッピーエンドまで見守って頂けると嬉しいです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 20:00:00
637417文字
会話率:26%
「悪いなぁミリア! お前はここで死ぬんだ!」
そう叫ぶ男は、自分の妻の頭を泉の中へと押し込み、今まさに殺そうとしていた。
必死に抗うも、力の差は歴然で……ミリアは死を覚悟した。
その時、ミリアの頭の中に声が響いた。
『ミリア。泉の中に
入るんだ』
その言葉に誘われるまま、ミリアは泉へと飛び込んだ。
頭を掴んでいた夫と共に――。
これは夫から虐げられ殺されかけた幸薄ヒロインが、ある出来事をきっかけに、誠実で美しくなった夫から溺愛され幸せになるまでの物語。
※11話完結で、1時間毎に1話ずつ公開していきます。今日中に完結予定です!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-06 21:00:00
33576文字
会話率:27%
少し変だったけど、平凡な一家だと思っていた。
3人の子持ちのシングルマザーでおばさんで。
子供達が独立したら、1人で生きて行くんだろうな…と、覚悟していた。
そんな私が、オンラインゲームで運命の人と出会ってしまった。
最初はただのクエスト
仲間。フレンドさん。
遊び尽くして…次の約束も無く別れたはずが、奇跡の再開を果たした。
そして、年甲斐もなく、恋をした。
恋は実り、愛となり、家族とゆう形を成すこととなった。
幸せだった。
平凡な日常が繰り返されることことが奇跡だった。
その奇跡は一本の電話で脆くも崩れ去った。
そう。その日、小さな幸せな世界は終わった。
突然の事故で亡くなった最愛の夫。
一本の電話で奈落に突き落とされた妻の苦悩と葛藤。
立ち直れるかは…どうなんでしょうね?
立ち直って、しっかりと生きて行きたいですが…。
他で書いていたものをまとめ、修正をいれて、一気に読めるように…と、こちらのサイトに出すことにしました。
※事故でリアルなエグイ描写があります。苦手な方、気を付けてください。
※リアルな死別、鬱気味の話になりますので、苦手な方、グリーフ中の方、おすすめできません。
一部、フィクション入っています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 19:30:00
34513文字
会話率:9%
「私はこの 道で......この世界の全ての悪意に叛逆する。」
1999年7月9日金曜日
ノストラダムスの大予言は的中した。
魔の三角海域「バミューダトライアングル」から『怪異』が溢れ出す。
人類は迅速な対応の後、ついには三度目の過ちを
犯し『怪異』を沈黙させる。
人間の繁栄は永遠のものになると思えた......
そして26年後、2025年 人類は滅亡への道を下落することになる。
26年の人類の決意の結晶『バミューダトライアングル中央防衛線』が崩壊......
一年後には人類人口は40億にんに減少......
ついに2052年には11億に減少し、人類は種の絶滅を確信した。
しかし......2035年11月11日、一筋の光が人類に差し込む。
後に人類最強と称えられる『希守 月乃』が誕生。
そこから彼女たった一人によって人類の快勝劇が始まる。
ーー時は進み2053年ーー
本作の主人公は人類最強の月乃こと『ムーノ』
人類種の頂点、最強の英雄譚が今始まる。
【登場人物】
・主人公「希守月乃」 【人類最強:朔月のムーノ】
人類最強の退怪術士にして、種の頂点とまで呼ばれる【朔月のムーノ】
しかしその実態は案外普通の17歳少女??
怪異さえも超える圧倒的な『最強術士』と『17歳少女』の間を行ったり来たりするして、ちょっと疲労気味??超マイペースで感性独特!
好きな食べ物は「誰かの手作り料理」
・風間サクラ
異能育成学園「ゲーティスト」に通う月乃の同級生。
料理、家事全般が得意で月乃とは親友なため、度々世話をやいている。
しかし、何やら月乃には只ならぬ思い入れを持っていそうで.....
更に【朔月のムーノ】の大ファンで、部屋中がグッズで埋め尽くされている!当然月乃がムーノだとは知らないので、主人公は気が気じゃない!?
ロックウィル・ラナ 【退怪術士:認定序列3位 千斬のラナ】
【朔月のムーノ】の自称ライバル。
斬撃系の頂点と言われる『異能』に加えて、二つの強力は異能を持つこの世界でも珍しい存在。
年齢は15歳で少女だが、その実力は人類屈指!
仮面で顔を隠す【朔月のムーノ】の正体を探っているが、オツムは弱いので一向にたどり着けそうにも......
謎の転校生二人。
突如転校してくる謎の転校生?主人公の運命に大きく関わる!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 19:10:00
168622文字
会話率:48%
王家との密約三同盟に名を連ねるライブラリア伯爵家の令嬢イスカナディアは、自宅の居心地悪さに辟易し、表舞台から隠れて図書館で引きこもり気味に暮らしている。
というのも前当主であった母の死後、事勿れ主義で無能な父と、その父が連れてきた後妻
によってめちゃくちゃになっているのだ。
それでも、イスカナディアは先祖が王家と結んでいる密約と、そこから生じる仕事を父や義母の目を盗んでこなし続け、父から丸投げされてくる当主の仕事をこなし、時々司書として図書館に立ち、いずれ家を取り返す為の算段と根回しをしながら、それなりに楽しくやっていた。
後妻の連れ子で表向きは険悪だが裏では仲良しな義妹サラと、侍女のエフェとの他愛のない日々が続くのも悪くない。
そう思っていたのだが――ある日、後妻が大きな問題をやらかしてしまったので、そうも言ってられなくなってしまった。
イスカナディアの引きこもり生活は想定より早く終わりを告げ、サラと共に本格的に表舞台に立つことに。
そんな姉妹に協力してくれるのは、司書をしているイスカナディアにうっかり一目惚れしてしまった公爵家当主のケルシルト。
密約三同盟に連なる家の一つティベリウム公爵家の当主であり、女嫌いと噂されるケルシルトに優しくして貰うことに戸惑いながらも、イスカナディアはありがたく頼らせてもらいながら進んでいく。
そんな約束と矜持を守る為に奮闘するイスカナディアの姿に、ますます惚れ込んでいくケルシルト。その一方で、イスカナディアもまた、ケルシルトに対する信頼感の中に、恋心が混ざり始めたことを自覚する。
戸惑う日々の中、やらかしのせいで後のない後妻フーシアが、今までイスカナディアには見せたことのない真面目な顔で「サラだけは守って欲しい」と告げてくる。
その真摯な態度に、貴族の矜持を持って約束するイスカナディア。
密約三同盟の過激なアンチ派たち。
真面目なフーシアの謎。
家柄の関係上そのままではケルシルトと結ばれない状況。
家、密約、矜持、妹、恋心――泣いたり笑ったり肉体的にも精神的にも傷ついたりしながら、それら全てを守り抜き、様々な壁を越えるべく、自称見た目も目つきも口も態度も悪い伯爵令嬢イスカナディアは約束を背負って進んでいく。
これは――大切なモノを守ろうとする者たちの約束と矜持を巡る幻想譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 19:10:00
226824文字
会話率:39%
R-15は念の為。
【簡易なあらすじ】
謎の箱が設置されたパーティ会場で、ややコミュ障気味で引きこもりな箱入のご令嬢モカと、第二王子サイフォンが出会い、婚約を交わすなり色々とトラブルがやってくるけど、二人で乗り越え最後には結婚するお話。
【普通なあらすじ】
「箱? 何だ……あの箱?」
成人会――貴族が17歳を迎える際に招かれる、王族主催のパーティー。
その会場の片隅に、誰もが目を引く謎の木箱が置いてあった。
誰もが気にしながら、誰もが触れることのないその箱に……この国の第二王子サイフォンが近づいていく。
そしてその箱がキッカケで知り合った公爵令嬢モカ。
サインフォンは互いの利益の為に、モカと婚約を結ぶことにする。
その出会いは良くも悪くも、国を騒がせる出来事の始まりでもあった。
これはサイフォンとモカが出会い、結婚するまでをモカの視点で描く物語。
『その在り方を認め合う為の幻想譚』
※以前、読み切りで書いたモノの連載版となります。
最初の数話は、連載ベースで加筆修正していますが、読みきり版と大きく変更はありません。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-21 19:31:14
419644文字
会話率:32%
「お前らいい加減にしろよ! 俺は魔剣技師で何でも屋じゃねぇし、ここは工房で、食事処じゃねーんだよッ!!」
日本人だった前世の記憶を持ってこの世界に生まれた主人公バッカス。
彼は子供の頃に神が振るう神剣と呼ばれる武器を見た。
それ以来
、彼は神剣に憧れそれに迫る魔剣を造ることを夢に、魔術と魔導技術の世界へと足を踏み入れた。
そして現在――24歳のバッカスは、酒好きの多い町ケミノーサで魔剣の研究をする片手間に、日用品の魔導具を造ったり魔術士として何でも屋を手伝ったり昼行灯として食事をしたり酒を呑んだりしながら生活している。
魔剣だけ造っててもお金にならないので仕方が無い。
神剣にこだわり続けてても生きてはいけないから他のモノも造る。
いつかは神剣に迫る魔剣を造りたいがそれはそれ。
魔剣技師バッカスは好き勝手生きている。
酒を呑むのは好きだし、食事も大好き。料理そのものは趣味ながらプロの域。
何でも屋としても腕利きで、魔術士として戦闘するのもお手の物。
気づけば餌付けしてしまっていた友人知人に囲まれて、魔術の腕前頼りにやたら厄介事が舞い込んでくる気がするけど気にしない。
口は悪いがお人好しのバッカスは、喰って呑んで魔剣を造って、時々舞い込む厄介事に手を貸して、ちょっぴり女難の相に悪さをされながら、日々の生活を営んでいる。
冒険控えめ、食事は多め、時々バトルな、スローライフ気味異世界生活を送るバッカスの雑記帳。
これは――強き芯を抱く者たちの幻想譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-14 20:30:47
585313文字
会話率:45%
ロサンゼルスに住まう普通の成人男性、マイケルとジョン。親友である二人は、普段と変わらない平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある日いつも通り街を歩いていると、不気味な男と遭遇し、突如襲われ意識を失う。
目が覚めると、そこは魔法の存在する異
世界だった。どうにか元の世界に帰る為、この世界に銃のみで奮闘していく。
毎週火曜日と土曜日の夜に更新予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 19:02:40
155096文字
会話率:65%
胡里高校で化学教諭をしている月崎は何事にも動じない、仮面のような無感情な男だと生徒達から噂されていた。そんな月崎に新木七海という女生徒が相談を持ちかける。気味の悪い動画が送られてきたと。しかしその動画とやらは新木のスマホ内に残ってはいなか
った。
「誰かのいたずらだろう」と告げ月崎は新木を教室へと戻した。その次の日から新木の様子がおかしくなったのだ。物忘れなどしない生徒だった新木が物忘れをするようになっていった。はじめは教科書、教室、友達の名前。そして自分の名前すらも。
不自然な新木の様子を見た月崎が新木へと近寄った。酷く怯えた新木に。どこか朧げで不安そうな顔をする新木の名を呼ぼうとした。その時、言葉が喉に張り付いて出なくなった。目の前にいる女生徒が認識できなくなり、思い出せなくなった。知っているはずなのに。分かるはずなのに。
女生徒が絶望した顔で走り抜けていく。まるで逃げるように。待てと叫んだ声は女生徒に届くことは無く人混みの中へと消えていった。
あの女生徒は誰だ、名前はと、無理矢理思考し思い出した。新木七海という名前を。様子のおかしい新木の行方を捜すべく、月崎は新木を受け持つ担任へと新木のことを尋ねた。
「月崎先生。新木七海なんて生徒はいませんよ」
翌日、身元不明の遺体が海で発見されたという話が学校中に広まっていた。遺体の服は胡里の制服だったという。
次の日。牛久翼という男生徒がやって来る。「変な動画が送られてきた」と。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 19:01:13
182028文字
会話率:56%
平安京っぽいけど、ちょっとだけキラキラしてる都――その名も「金烏京」!
そんな場所で“イケメン陰陽師”としてちょっとだけ名が知られてる僕、安倍朔夜。年は十六。
でもね、これ、極秘事項だけど……実は女です。男装中です。ガチでバレたら色々終わる
やつ。
妖魔がうようよする都で、毎日ドタバタ妖退治!
――だったはずなんだけど。
なんか最近、おかしいんだ。
不気味な妖魔が増えてるし、変な夢は見るし、妙に懐かしい人の顔が浮かんだり……
で、ついにヤバめな事件に巻き込まれました。
しかも、謎の美少女(?)の姿が夢に出てきたり、
陰陽寮の中もなんだかきな臭いし、
おまけに親友(ちょっとおせっかい)な賀茂真白にはドキドキさせられるし!
友情、バトル、恋(!?)に、まさかの前世の因縁まで飛び出してきて、
僕の人生、予想外のフルコース。
……でも、逃げるつもりはない。
僕は陰陽師。誰かを護るために、ここにいる。
記憶の奥に眠る“何か”と向き合うのも、宿命なら――受けて立つよ。
さてさて、運命の歯車は今日も回ってる。
どうやら、僕の出番みたいだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 18:30:00
48259文字
会話率:23%
【あらすじ】
VTuber『川崎ばにら』は人気絶頂の配信者。
レースクイーン×バニーガールでガワ最強。
そんな彼女は金盾配信(登録者数100万人記念)で、まさかの凸待ち事故を起こしてしまう。
15分以上誰もやって来ないお通夜配信
。
頼りになる先輩は炎上やらかして謹慎中。
同期は企業案件で駆けつけられない。
後悔と共に配信を閉じようとしていたばにら。
しかし、その時ついにDiscordに着信が入る。
はたして彼女のピンチに駆けつけたのは――。
「こんバニこんバニ~♪ DStars三期生の、『川崎ばにら』バニ~♪」
「ちょっ、人の挨拶パクらんでもろて!」
「でゅははは! どうも、DStars特待生でばにらちゃんの先輩の『青葉ずんだ』だよ!」
基本コラボNG&VTuber屈指の『圧』の使い手。
事務所で一番怖い先輩VTuber――『青葉ずんだ』だった。
配信事故からの奇跡のコラボが話題を呼び、同接は伸びまくりの、再生数は回りまくりの、スパチャは舞いまくり。
気が付けば大成功のうちに『川崎ばにら』は金盾配信を終えた。
はずだったのだが――。
「青葉ずんだ、川崎ばにら。君たちにはこれからしばらくふたりで活動してもらう。つまり――『百合営業』をして欲しい」
翌日、社長室に呼ばれた二人は急遽百合営業を命じられるのだった。
はたしてちぐはぐな二人の「百合営業」はうまくいくのか?
【登場人物】
川崎ばにら : 主人公。三期生。トップVTuber。ゲーム配信が得意。コミュ障気味。
青葉ずんだ : ヒロイン。特待生。和ロリほんわか娘のガワで中身は「氷の女王」。
網走ゆき : 零期生。主人公&ヒロイン共通の友人。よく炎上する。
生駒すず : 一期生。現役JKの実力派VTuber。
羽曳野あひる: 二期生。行動力の化身。ツッコミが得意。
秋田ぽめら : 特待生。グループのママ。既婚者。
津軽りんご : 特待生。ヒロインの親友。現在長期休業中。
八丈島うみ : 三期生。コミュ力お化けなセンシティブお姉たん。
出雲うさぎ : 三期生。現役女子大生の妹系キャラ。
石清水しのぎ: 三期生。あまあまふわふわお姉さん。どんとこい太郎。
五十鈴えるふ: 三期生。真面目で三期生の調整役。癒し枠。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 18:20:00
1203893文字
会話率:68%
叔父大好きヒロイン(二〇歳無職)とヴードゥーの精霊バロン・サムディ、男子高校生(金髪)とちびっこデュラハン、大食い男子大学生(眼鏡)と喋るカラスが、中高生ばかりを狙う殺人ピエロの化け物に立ち向かう物語。
K県磨陣(まじん)市では、健
康状態に何ら問題のない中高生が、睡眠中に突然悲鳴を上げたり苦しみ出し、そのまま死に至るという不可解な出来事が多発していた。
「その身に危険が迫ったら、サムディを呼び出すんだ」
最愛の叔父・綾鷹(あやたか)がそう言い残して自分の元を去ってから、道脇茶織(みちわきさおり)は不貞腐れていた。
手元に残されたのは、綾鷹が所持していた、何かの骨で作られた十字架。嘘か真か、ヴードゥーの精霊バロン・サムディを召喚出来るのだという。
ある日茶織は、カフェで不気味なピエロを目撃する。幻覚かと思いきや、ピエロは帰宅した茶織の前にも現れ、襲い掛かってきた。
茶織の声に応えるように現れたのは、夜の闇のように黒いボロボロの山高帽と燕尾服を纏い、皺が刻まれた真っ白な顔にサングラスを掛け、杖を手にした男──バロン・サムディだった……。
※暴力・残酷描写あり。
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参考文献(敬称略)
佐藤文則『ダンシング・ヴードゥー ハイチを彩る精霊たち』(凱風社)
檀原照和『ヴードゥー大全 アフロ民俗の世界』(夏目書房)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 18:10:40
14768文字
会話率:44%