【第一部:死告ノ赫イ糸】
――それは最も脆く、最も強い、命を手繰る物語。
山形の地に伝わる口寄せ巫女の一族『オナカマ』。その末裔である青年・漆山紲は、心霊現象や都市伝説を相手取る探偵業を営んでいた。
そんな折、首なし男の幽霊との一件を経て、
呪いに蝕まれた少女・御廟楪を保護する。
呪いの正体は、山形に伝わる冥婚の風習――ムカサリ絵馬。本来死者を弔うための赤い糸が、この世とあの世とで結ばれてしまっていたのだ。
人にとって大切な婚姻を弄ぶ呪いによって、かつて止まってしまった、紲の時間までもが巻き取られていく。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。また、特定の文化・風習・宗教・思想等の支持あるいは批判をするものでもございません。ご留意ください※折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-11 05:38:44
379380文字
会話率:54%
年末に突然山花という人物からメールが届き、それからかれとメールやチャットで交流するようなった。山花はぼくのネット小説『麦川アパート物語』の熱烈な愛読者である。何度も読み返しているようで、細部にまで異常に詳しい。何度かのメールのやり取りの後
、かれはぼくの小説の登場人物である舞の父親だと名乗った。ぼくの小説にモデルはいないので、登場人物に実在する親がいるはずがない。あまりに荒唐無稽である。山花は下心があるかもしれないと警戒したが、自分に危害を加えそうもなのでそのまま交流を続けた。すると他の登場人物の親たちが現れ、リモートで話をすることになった。そして、みんなで娘たちが住んでいる麦川アパートの場所をつきとめようということになった。どうして架空の物語が現実とリンクしていったのか、そこには親たちの子供たちへの切ない思いが隠されていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-17 00:00:00
73785文字
会話率:1%
兄の葬儀で帰郷した美佐枝は、祖母に頼まれて故郷の風習である“ムカサリ絵馬”を描く。この世で独身のまま死んでいった者があの世で伴侶を得られるよう、遺族が夫婦の肖像を描いて寺へ奉納する慣わしなのだが、死者の伴侶となる者の顔は架空の人物でなくては
ならず、間違って生きた者を絵馬に描くとその者も一緒にあの世へ行くという禁忌があった。兄同様独身で暗い都会生活をしていた美佐枝は、地元の同級生だった珠子との再会をきっかけにムカサリ絵馬の禁忌に触れる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-10-03 11:07:30
8559文字
会話率:42%