霧に閉ざされた谷〈ミルワ〉は、外界の時の流れから隔絶された場所。そこで生まれ育った少女エシェリは、まだ若くして「霧の声を聴く耳」を持つと噂される、語り部の卵だった。
ある日、禁を破って谷に「よそ者」が迷い込む。名をカイルという男は、言葉も
通じず、異国の装いに身を包んでいた。谷の掟では、よそ者は霧に呑まれ、やがて消えるはずだった。
だがエシェリは、彼の心の叫びを「霧」を通して感じ取る。言葉を超えて心を結ぶ――それが、谷に息づく霧の力だった。
掟に抗い、カイルを救ったことで、エシェリ自身も試される立場となる。谷の神〈霧神〉に見守られながら、「試しの七日」が始まる。火、水、子どもたちの笑顔、そして記憶の泉……エシェリとカイルは少しずつ互いの心に触れていく。
やがて明らかになるカイルの過去と、谷の持つ古の掟の真実。エシェリは語り部として、そして一人の少女として、選択を迫られる。
――語ることで、忘れずに生きる。心の奥に灯る、物語という火を絶やさぬために。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-14 14:09:09
7560文字
会話率:38%
妖が嫌いな木枯柚子(こがらしゆず)に、妖との契約結婚の話が舞い込んだ。化狸である古里無奈(こさとむな)という男は、廃家寸前の木枯家に莫大な富と商売繁盛が約束する代わりに一年間、娘の柚子を嫁にくれというのだ。柚子は妖嫌いのあまり妖の接触を拒
否する異能を持つほどだが、家のためと心を決めて契約結婚を受け入れることになった。
人間であることを村長に認めさせるため「嫁」が必要なのだと言う彼。人前ではお飾りの妻になり家の中では「異能」を使えば指一本触れることはできないので、良い条件だろうという提案をなんとか飲み込んだ柚子は、お飾りの妻を演じながら人間大好きな化狸たちと共に不思議な生活を送ることになる。
いまだに妖が生き残る明治末期を舞台に、妖嫌いな令嬢と人間になりたい妖たちのすれ違い恋愛物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 00:10:00
67296文字
会話率:53%
吉澤という男は、隣人宛の郵便物を“面倒だから”と放置した。
それ以来、自分のポストには何も届かなくなり、代わりに見知らぬ手紙が部屋に現れ始める。
──誰にも書かれていないはずの、けれど自分に向けられたような言葉たち。
ある日、失くしたはず
の封筒の代わりに届いたのは、
「あなたが、ちゃんと届くと信じなかっただけです」というひと言。
それは、投函されなかった手紙がくれた、ささやかな“気づき”だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-05 23:29:20
800文字
会話率:11%
一人森の中を歩いているミドリという男は、ある目的の為にこの森に来ていたが、突然後ろから耳の長い少女に話しかけられ、何か流れでついて来られることに、二人は会話を続けていると少女から確信をつかれたような発言をされ───
最終更新:2025-05-31 01:30:55
4818文字
会話率:64%
※【結末を含むあらすじ】は活動報告をご覧ください。
人生を悲観するソラは失意の中、不意に異世界へ召喚された。突然の事態に立ち尽くす彼女はその場に居合わせた少女ジーノに助けられ、村の教会で保護を受ける。
この世界では人々を救う聖人の再
臨が求められており、魔女は破滅を呼ぶ者として忌み嫌われている。
異世界からの来訪者は魔法院に報告されることになっており、ソラはジーノと彼女の兄エースに連れられて氷の都ペンカーデルの院を訪れる。だが、魔法院の最高権力者である元老はソラを「魔女」と断定し、死を宣告した。ソラは魔法院を脱出し、兄妹を伴い西方へ逃亡する。
人類の仇敵と語られる魔女とはいかなる存在なのか?
魔法院に異を唱えるためにも、ソラにはその知識が必要だった。ところが、当てにしていた学者フランは何者かによって殺害されていた。その犯人というのが「宿借り」と呼ばれる殺人鬼、ナナシとジョン・ドゥである。しかもナナシという男は、どうにもこの世界の人間ではない。
やがてソラの執念とナナシの正義は対立し、二人の戦いに世界の命運が託される。
どう生きて、どう死にたいのか。
ソラは自身の最期を前に理想を見つける。
――私は、惜しまれて死にたい。
* * * * *
本作は「異世界神の黒き花嫁」のタイトルを変更し、構成や設定を見直して全編を再執筆したものです。端々の軽いノリを取り除いて理不尽の鍋に突っ込みシリアスにドがつくまで煮詰めました。
新たに魔物要素を追加しましたが、大筋と結末は元タイトルと変わりません。
誤字脱字の報告歓迎です。
申し訳ありませんが表記揺れは見逃してください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-30 21:01:15
488736文字
会話率:54%
"達茲尼・エノクス" という男は、どんな相手の能力設定でも無視できる存在。
このような存在は異世界に行き、より強力な敵を求めるためだけです。
最終更新:2024-11-16 20:20:52
142017文字
会話率:34%
サブカル系オカルトWebメディア アトラの記者 恵留は、ヴァンパイア・ライフスタイルというコミュニティに潜入する。
そもそもヴァンパイア・ライフスタイルは、ヴァンパイアに憧れた人々が、享楽的、精神的な満足を得るためのコミュニティである。
そ
こでは夜な夜な血を飲んだりしているという噂だ。
噂の真相を確かめるため、恵留はコミュニティのオフ会に参加する。
けれど、蓋を開けてみれば、楽しい和気藹々とした会で、元々ヴァンパイアやアニメ好きな恵留も普通に楽しんで取材をすすめていた。
ところが、最後に取材したルドという男は、輸血パックに入った液体を飲みながら、自分がヴァンパイアだという。
ただ、見た目からして、恵留がイメージするヴァンパイアとは全然違っていて、いわゆるなりきり系だろうと思ったのだが・・・。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-05 19:59:49
21957文字
会話率:25%
大昔、戦争で失われた『黄金のレシピ』があった。
『黄金のレシピ』を手に入れたお菓子工場は、大成功し地元の経済は、この工場によってもたらされた貢献により大いに潤ったと、噂されていた。
しかし、『黄金のレシピ』は、人間に対して不幸をもたらすも
のと信じる者たちがいた。
そして、『黄金のレシピ』に反感を抱く者たちの中には、工場に脅迫状を送りつけた。
脅迫状を重く見た工場主は、問題の解決を探偵会社に依頼した。
しかし、『黄金のレシピ』が悪かったのか世界は壊滅する。
しかし、輝元という男は、世界を蘇らせる。
輝元は、誤植の欠陥『黄金のレシピ』に代わり本物の『黄金のレシピ』を人間にもたらし、世界は元の通りに蘇る。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-01 06:50:00
25985文字
会話率:24%
堺からやってきたという男は、細い目をさらに細めて、うさん臭い笑顔を浮かべていた。
勝家は上座から、自分に献上するために台に置かれた刀を見る。
それは栄華を極めた平氏の時代が終わり、源氏が台頭してくる頃に作られた二尺五寸程の大脇差で、備中の国
青江の刀匠、貞次という者が鍛えた、身幅広く大切先の豪壮な姿の刀である。
にっかり青江と呼ばれる刀剣と柴田勝家の出会いは、何をもたらすのか――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-24 22:26:21
13584文字
会話率:35%
冴島太郎という男は、どこまでも自己評価が低い。
だから――
「好きです! 付き合ってください!」
「これは罠だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
美少女様からの告白は信じない。
だってだって、冴島太郎なのだから。
最終更新:2023-12-30 17:24:31
6388文字
会話率:42%
白峰修一(しらみねしゅういち)という男は、昔から厄介事とみれば進んで首を突っ込んでいくようなお人好しである。
そんな修一が、別の世界に行っても同じように事件に首を突っ込んだり、仲間たちとともに戦ったりするお話。
※ 完結しました。応援あ
りがとうございました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-11 09:00:00
1013010文字
会話率:40%
世界に七つあるダンジョンを管理する組織、ギルド。
その一つである『明星の狼』に属するザハという男は、あるときダンジョン内で全裸の少女を発見した。よくある相談事を受けたことをきっかけに、ザハは少女を中心とした騒乱に巻き込まれていく。
それは
三年前、彼がまだ駆け出しの冒険者であったころ。
大切な人物の死によって、彼の歩む人生は大きく変化するのだった。
この作品は「異世界に転生したら最強になって無双できるんじゃないんですか!?」の外典にあたる作品です。
本編は別に更新していますので、そちらを拝読ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-08 21:00:00
96114文字
会話率:40%
トラックに轢かれそうになっていた子供を助け、命を落とした俺…林 勇作は、気づけば不思議な神殿のような場所にいた。
そこには俺以外に55人がいて、皆同時刻に命を落としたのだという。
そんな俺たちをこの場に集めた張本人、自身を「神」だと名乗る
ギディシオンという男は、一冊の本を持ちながらこう言い放った。
「我は見てみたいのだーーですげぇむ、というものを」
ギディシオンによって1人ひとつのスキルを与えられた俺たちは、ギディシオンの統べる世界に転移し、デスゲームをすることに。
ダンジョンに潜ってレベルやスキルを強化するも良し、武器を買い集めて装備を強くするも良し。
ただ、生き残りたくば他の転移者を殺せーと。
しかし、完全ランダム性で与えられるスキルには、レア度いうものがあるらしい。
……あれ?俺のスキル、最弱じゃない!?
こんな最弱スキルで勝ち残るなんて、どう考えても無理ゲーすぎる!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-14 20:58:38
10680文字
会話率:39%
「口裂け女はあなたの友」梗概
地方の出版社に勤める副島(そえじま)昌巳(まさみ)は、地味な男だった。それでも仕事熱心で、面白そうだとの思いから、都市伝説について調べてみることとなる。最初は一人で調べるつもりだったが、同僚の高嶋(たか
しま)陽一(よういち)の薦めあって、後輩の菅谷(すがや)涼子(りょうこ)と一緒に行動することになった。
菅谷は真面目な娘だったが、高嶋という男は、仕事に対して、やる気があるのかないのか、何を考えているのか、よく分からなかった。
都市伝説について調べてはみたものの、集まる話は、あまり新鮮味のない話ばかりだった。菅谷の提案もあり、もっと怖い話を集めてみることにした。
そんなとき、唐突に高嶋が、口裂け女の話題を持ち出した。世代的には良く知らない菅谷は興味を持った。副島は、最初口裂け女のことを聞いたとき、何故だがとても嫌な気分になった。しかし、それも最初だけで、やがて菅谷と同じように興味を感じた。
口裂け女のことが頭から離れないまま、副島達は取材を続けていた。そんなとき、近所で殺人事件が連続して起きた。被害者は、いずれも鎌で切り裂かれるという、残酷なものだった。しかも、その被害者達は、どうも副島達が関わった人らしいということが分かった。
嫌な予感の中、やがて副島の周りに口裂け女らしき影が忍び寄る。それは、動揺した気持ちの見せる幻なのか?
菅谷は、地元の過去を調べているうちに、ある事件に行き当たった。それは、精神的に尋常ではなくなった女が、愛人とその家族を鎌で惨殺するという、惨い事件だった。その女がもしや、と思ったが、既に死んでいた。
そして、ついに副島自身が何者かに襲われた。幸い軽傷で済んだが、顔を見ることができなかった。ただ、髪の長い、ベージュのコートを着た女だということは分かった。また、現場近くに、凶器の鎌が落ちていた。
深夜、病院で寝ている副島のところに、被害者の友達だという女性が現れた。彼女は、犯人を見ているという。犯人は、女を装っているが、実は男で、被害者と格闘したときに、右手に怪我をしたはずだと言うのだ。実は、高嶋が右手に怪我をしていた。高嶋が犯人だとすれば、納得できることがいくつかあった。信じられないことではあるが。
果たして、本当に高嶋が犯人なのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-09 04:26:36
46042文字
会話率:59%
木ノ原ユウリは不遇の死を迎え、特別に神様として転生させてもらう事になった。
神様に生まれ変わり、天国のような世界での生活が約束されたかと思った瞬間、男性の神から女神に性転換させられ、異世界に放りこまれるはめに。
異世界に飛ばされたユウリは
、勇者、佐藤タカオと共に魔王を倒さなければならないのだが、この佐藤タカオという男は、中二病で、ポンコツだった。
果たしてユウリとタカオは魔王を倒せるのだろうか?
※挿絵があります
※イラストはseima(セイマ)氏に描いていただきました。
※カクヨムの方でも同じ内容で掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-01 20:31:29
273217文字
会話率:54%
私を好きだという男は、私の周りの人間から仲良くなり私を好きにさせる気だ!
最終更新:2022-08-07 03:00:00
1755文字
会話率:79%
芸術家とした名高かった事故死した兄を持つ理成(りせい)は、兄の後輩の男のもとで暮らしている。五つ年上の一葉(いちよう)という男は、ただの小娘である理成を芸術品のように熱愛し、女神のように扱う。歪な関係性を続けながらも醒めた心持ちでいる理成は
、ずっと、彼の幻想を壊したいと思っている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-30 00:02:36
17942文字
会話率:26%
本山菫は女優を夢見る14歳の少女、オーディションの前日、珠蓮という不思議な少年年と出会う。そしてもう一人、掬真という男は、なぜか菫を付け狙う。
菫自身にも異変が起きていた。記憶の欠落。自分に何かが起きているようだが、わからない不安の恐怖
に苛まれるまま、事件に巻き込まれていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-03 21:00:00
22555文字
会話率:42%
――ヤンキーの王様『蝉原(せみはら)』にカツアゲされていた時のこと。主人公『閃(せん)』の頭の中に『謎の声』が響いた。
「閃(せん)、お前に最強のチートをやるから、未来の地球で、好きに暴れろ」
閃がもらったのは、今、まさに、閃をボコボ
コにしているヤンキー蝉原(せみはら)を『奴隷(どれい)にできる力』だった。
気付いた時には、『ハイファンタジー化した未来の地球』にタイムスリップしていた閃。
未来の地球は、『100体以上の魔王が戦争しまくっている戦国時代』だったが、一緒にタイムスリップした蝉原(せみはら)は、どの魔王も瞬殺(しゅんさつ)できる『無敵の力』と『最強の軍勢(ぐんぜい)』というチートを与えられていた。
『無敵の大魔王である蝉原』と、その配下である美男美女の最強軍勢。
その全てが、閃のモノ。
『閃に絶対服従(ぜったいふくじゅう)という縛(しば)り』以外完璧な蝉原は、
「どうにかして、閃を殺して自由にならないと」
と考える。
「まあ、閃みたいな無能のクソ陰キャだったら、いくらでも丸め込めるだろう」
そうタカをくくっていた蝉原だったが、
閃という男は、蝉原の想像をはるかにこえる男だった。
タイムスリップする前の閃は、
『友達ゼロの陰キャな社会不適合者(しゃかいふてきごうしゃ)』という、
とんでもない過小評価をされていたが、
『ファンタジー要素をもった未来世界』における閃は、
『蝉原を奴隷にできる能力』だけではなく、
『無限に覚醒(かくせい)し続ける』という、
『蝉原のソレとは次元の違うチート』を持つ『理想の英雄』だった。
「蝉原、これから俺は『戦争のない理想の世界』を目指すから、その手伝いをしろ。そんな『救世主みたいなマネ』は、極悪人のお前にとって最大の屈辱(くつじょく)だろう? 俺は、お前を許さない。『善人であり続ける』という罰を受けて、死ぬまで罪をつぐない続けろ」
蝉原に対して『考えうる限り最大の復讐(ふくしゅう)』をした閃。
閃は『陰湿(いんしつ)な復讐』を果たしただけ。
事実、『根っからの悪人』である蝉原は、その状況に絶望し苦しむことになる。
だが、閃は、敵味方問わず、全員から、
「この上なく尊(とうと)い、高潔(こうけつ)な御方(おかた)」
と、あがめられるようになっていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-11 11:03:48
122340文字
会話率:24%
むかしむかし。
ある村に住む豊太郎という男は、常日頃、長い息を吐くことがあった。
赤子のころから「おぎゃあ、おぎゃあ、ふううう……おぎゃあ、おぎゃあ、ふううう……」という様子だ。
それ以外、彼が生活に支障をきたす様子は見られなかったのだ
が……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-09 22:00:00
2908文字
会話率:0%