『本の虫令嬢』
こんな通り名がつく様になったのは、いつの頃からだろうか?……もう随分前の事で忘れた。
私、マーガレット・ロビーには婚約者が居る。幼い頃に決められた婚約者、彼の名前はフェリックス・ハウエル侯爵令息。彼は私より二つ歳上の十九歳
。いや、もうすぐ二十歳か。まだ新人だが、近衛騎士として王宮で働いている。
私は彼との初めての顔合せの時を思い出していた。あれはもう十年前だ。
『お前がマーガレットか。僕の名はフェリックスだ。僕は侯爵の息子、お前は伯爵の娘だから『フェリックス様』と呼ぶように」
十歳のフェリックス様から高圧的にそう言われた。まだ七つの私はなんだか威張った男の子だな……と思ったが『わかりました。フェリックス様』と素直に返事をした。
そして続けて、
『僕は将来立派な近衛騎士になって、ステファニーを守る。これは約束なんだ。だからお前よりステファニーを優先する事があっても文句を言うな』
挨拶もそこそこに彼の口から飛び出したのはこんな言葉だった。
※中世ヨーロッパ風のお話ですが私の頭の中の異世界のお話です
※史実には則っておりませんのでご了承下さい
※相変わらずのゆるふわ設定です
※こちらの作品は「アルファポリス」「カクヨム」にも掲載中です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-27 12:59:37
101902文字
会話率:49%
俺は社畜だ。ふと気が付くと見知らぬ場所に立っていた。諸々の情報を整理するに、ここはどうやらゲーム世界のようである。『ジョブ設定』や『ミッション』という概念があるあたり、俺がかつてやり込んだ『マジック&ソード・クロニクル』というVRMMOに
基づいたゲーム世界らしい。俺に初期スキルとして与えられた『ジョブ設定』は、相当に便利そうだ。このスキルを使えば可愛い女の子たちを強化することができる。俺だけの最強ハーレムパーティを築くことも夢ではない。え? 『ミッション』の件? 何か『30年後の世界滅亡を回避せよ』とか書いてあるな。まだまだ先のことだし、実感が湧かない。ハーレム作戦のついでに、ほどほどに取り組んでいくよ。……むっ!? あれは……。馬車がゴブリンの群れに追われている。さっそく助けてやることにしよう。美少女が乗っている気配も感じるしな!俺を止めようとしてもムダだぜ?
最強ハーレムを築くまで、俺は止まらねぇからよぉ! ※主人公陣営に死者や離反者は出ません。※主人公の精神的挫折はありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-27 08:10:00
1002121文字
会話率:37%
「あれは……どう考えても自殺だろ」
「それがわかんねえから、俺も10分近くここから離れられねえんだよ」
平日昼休みの屋上。
靴を脱いで手すりに座り、思い詰めた表情で数10m下の国道を見つめる女性。
その姿を、100m離れた別の屋
上から目撃してしまった男達の、どうにもならない葛藤やら、絶望やら、ほんのちょっぴりのワクワク感(?)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-26 21:31:17
3908文字
会話率:50%
母親は側妃、でも僕は第一王子なので、王位継承権は第一位。
ようやく思考と肉体が繋がって、思い通りに体を動かせるようになったんだけど、どうにも僕の環境はよろしくない。
どうやら父親の国王陛下は、最愛の王妃様との間に出来た第二王子を自分の後継者
にしたいようで、第一王子とその母である側妃を放置。放置というか無視。
なんかこれってどこかの小説で見たようなテンプレじゃないか?
国王陛下から邪険に扱われる側妃を母親に持つ王子様が、自分は愛されてないとかなんとか拗ねまくって、あれは嫌だこれは嫌だ我儘放題に成長した挙句、学園の卒業式で、国王陛下が王命で決めた、家柄も容姿も性格も完璧な婚約者の令嬢に婚約破棄を突き付けて、ご立派な人格者な弟王子に婚約者を横取りされて、ざまぁされる王子様。
冗談ではない。
そんなやべーフラグは折るにに限る。
自分の将来のほうが大事。
まずは王子様をやめようかと思う。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-26 20:00:00
631005文字
会話率:44%
「嘘だ…こんな…」
灰色の石壁に覆われた薄暗く肌寒い部屋の中、僕の目の前に置かれた巨大な水晶珠に映し出されるのは、人の住む街が破壊しつくされた「地球」
炎から逃げ惑う群集。襲い掛かる異形の怪物。応戦する各国の軍隊。
怪物に降り注ぐ弾幕
はにわか雨のごとくぱらぱらと弾き返され、怪物たちの怒りを増すばかり。
そして、既存の兵器では傷ひとつ付けられぬ怪物に向けられたのは諸刃の剣。
怪物が占拠した街に落とされた光の玉がすべてを焼き尽くすところで映像が途切れる。
「預言書」が見せた数年後の未来。僕は自分の産まれた世界を犠牲にして異世界(ここ)を救ったという。
僕は叫んだ。
「こんな結末は望んでいない!」
光を発しなくなった水晶球のそばに佇んでいた小さな人影が動く。
「落ち着け小僧!あれはわしが最初からヒントをすべて教え、必要な物を渡したら何故かああなってしまったという「もしもの世界」の話じゃ」
真っ黒なゴスロリ服に身を包んだ少女がそう答えた…。右目を光らせて。
「だから、ヒントは与えないことにしたのじゃ。小僧、すまぬ…」
ドスンと鈍い音と同時に頭に強い衝撃を感じ、僕の意識は遠のいていく。
「記憶を消させてもらうぞ」
---
週末の昼下がり、ファストフード店からの帰りに運転していた車ごと異世界へと呼び出された僕。
目の前に広がるのは灰色の石畳、そして見たことも無い巨大な西洋風の城。人影の無い王宮の中庭でハンバーガーを食べようと包みを開いていたとき、突然目の前に現れた女の子。
彼女は自分を「糧」として食べてほしいと言い出した。
そして自分の命と引き換えにこの世界を救ってと懇願する。
謎の「預言書」が絶対的な力を持つ王国で、魔導具もろくに使えないおよそ勇者らしからぬ主人公がいろんな女の子に振り回されながら、最悪の結果にならない道をノーヒントで探しつつ、異世界を満喫します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-26 19:00:00
4674776文字
会話率:35%
金糸のような髪に琥珀の瞳。
私の人生に影響した出来事は数多いけれど、彼との出会いは最悪だったと胸を張って言える。
そう。あれはまだ私がいたいけな少女だった頃――去った戦争で母国を失った私は、七年弱という長いサバイバル生活を経て家族ともど
も悪徳宗教にまんまと騙された挙句、なんの因果か人売りに攫われて競売にかけられる一歩手前まで追い詰められていたのだった――! (1章回想)
奴隷!? 好きでなりたい訳ないでしょうが! 何が何でもこの会場をぶっつぶ……いえ、抜け出して自由になってやる! ……って、意気込んだ矢先に私を窮地に追い込んだのが、例の彼だったっていう訳なのよ。
え? そんな事どうでもいいとして、どうして母国を滅ぼした国に素知らぬ顔で住み着いているのかって?
……どうしてでしょうねぇ? (にやり)
強欲なる勇者の書。
紫目の少女と強欲な針鼠が辿った後悔と希望の記録。
これは、勇者がいなくなった世界のお話だ。
素直じゃない少年少女が真っ直ぐ前を向く為の旅路だ。
失くした記憶と、過去の贖罪と、未来の因縁と。全てをない交ぜにしてページは進む。
そして、私を知っている彼の事を――私は、知らない。
1章:彼と私の最悪な馴れ初め
2章:浮島での就職活動
3章:浮島生活と白魔術士
4章:(いま、書いてるよ。)
※1 4章の公開について、詳しくは活動報告にて。評価・感想・誤字報告なども歓迎していますので、よければ「ぽちっ★」とお願いします。
※2 「カクヨム」「ノベルアップ+」でも投稿中。
※3 1章と2章の話数調整を行いましたが、内容に大きな変更はありません(2020.9.17.)。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-26 07:10:00
1568305文字
会話率:39%
最近のZ世代は(私もですが)、「テレビは見ないし倍速で見る」そうですね。け、けしからん!!!絶妙な間とか空気感が全然わからないじゃないですか!あれは決して「無駄」なんかじゃありません!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
最終更新:2025-01-25 07:00:00
2119文字
会話率:0%
ここ数日、とある夢に悩まされている芽衣。
月明かりの下、声も出せないまま誰かに咬まれ、吸血される夢。
起きたあとも息遣いと痛み、恐怖が鮮明に思い出される、そんな夢。
あれは本当に夢なのか。
でも、吸血鬼なんて、フィクションの存在が実在する
わけない。
そう考えようとしたのに──
「お前、それただの夢じゃないだろ」
「吸血鬼は存在する」と断言する転校生の翔、親友の紗季と共に吸血鬼の正体を探り始めることに。
果たして、吸血鬼の正体とその目的に迫ることは出来るのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-24 20:14:10
129429文字
会話率:28%
毎夜繰り返し亡くなった妻が訪ねて来る。夫は除霊師を呼んだ。しかし視た彼が言ったのは既に成仏している、だった。ではやって来るあれは何なのか。
すれ違う夫婦の結末を見届ける短編ホラー。
最終更新:2025-01-23 05:00:00
1936文字
会話率:63%
現世と過去生が交わる第一部。
遠い過去を呼び起こす第二部。
帰還か転落か、来世が繰り広げる第三部。
そして、その先に──信じること、裏切ること、許しあうことで迎える真の結末。
これは、堕ちた女神と、禁忌を犯した神の末路を描く長編小説。
時は、現世より始まる。
世界に君臨する城の姫と、その姫を護衛する一流剣士。
婚約者の帰城を待つ姫。
研究所の君主と、ひょんなことから宿屋の居候になった男。
おとぎの国かのような城の嫡男と、美形と名高い双子の弟──それぞれは己の正体を知らず、各々の困難と懸命に立ち向かう。昔々に背負った因果を抱えながら。
あれは、『愛と美の神』と悪魔の子が出会って起こった悲劇。
大神は神々と精霊体に命を下す。──発動されたのは、『女神』”回収プログラム”。
自ら堕ちた神は、悪魔の子により地獄の果てへ着々と向かう。
大神の命を受けた神々と精霊体は、人となり。輪廻転生の輪に組み込まれ、苦しい魂の修業が始まる。使命を遂行し、三回転生後に天界へ帰還せよ。
人となった神々と精霊体は、一度その生を終える。それらの経緯は『伝説』と『絵本童話』となり、二度目の生を送る時代に残った。
大神の命を受けた神々と精霊体、自ら堕ちた神、そして悪魔の子は人々に紛れ同じ時代に生きている。
点と点が繋がり、線となり。渦となって動き出す。
運命に逆らうのか、受け入れるのか。自ら堕ちた神は、地獄へと落ちてしまうのか。
女神が誰かと知ったとき、幸せは一度崩れ。そして、女神の『最後』の決断を知ったとき、『幸せ』とはなにかとさまようことだろう。
最後に女神は微笑む。
『永い永い願いを叶えることができた』と。
なにが幸せで、なにを祈り、なにを望むのか。真の『幸せ』を探し求めて、『その先に』。
大切な人を、大切なものを守りたい──。
あなたの、大切な『もの』は何ですか。
★=イラスト有。他小説サイトでも連載中。
友情、愛情、愛憎、家族などを通して神々の行く末を描く中世ファンタジーの皮を被ったヒューマンドラマです。
未成年の性、近親相姦を含むストーリーですが、推奨はしておりません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-22 01:00:07
994506文字
会話率:28%
幼馴染の軽薄ショコラティエ×腐男子大学生 BLとチョコレートに目がない大学生・宏樹は行きつけのショコラトリーの経営者である、年上幼馴染・太齋に突然好きだと言われる。
しかし後日あれは忘れてと言われ、さらには大学の友人に店で告白されて
?!
すれ違いが起きるも、太齋への恋心に気付き正式に付き合うことになった2人の苦しくも極上に甘いラブストーリー─────♡ 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-20 04:33:55
6760文字
会話率:25%
生まれながらにお米を愛した悪役令嬢、ジェーン・エルロンド。彼女は農業に才能を発揮し、国を豊かにし、お米の聖女と呼ばれるまでなった。しかし、その功績が裏目に出て、というよりも調子に乗ってお米のことばかりかまけたことで民衆から裏切り者として糾弾
され、処刑されそうになる。絶体絶命のピンチに、前世の自分が現れ、時間を巻き戻す。
目覚めた彼女は処刑の日の一年前にいた。あれは夢だったのかと思ったが、これまではスラスラ読めていた学術書がまるで頭に入らない。彼女を聖女たらしめていた知識と才能がごっそり消えていた。代わりに前世のムキムキマッチョな男が幻としてジェーンにだけ見えるようになった。前世の自分は、高度な文明を持つ世界でヒーローとして活躍していたが、ジェーンの魂に共鳴し、彼女の才能を育んできた存在だった。しかし、時間の流れの中で、その力は失われつつあった。ジェーンは、前世の力を再び手に入れ、お米の研究を再開したいと願う。前世の彼は、ジェーンに「ヒーロー」の仕事を引き継いでほしいと提案する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-20 01:39:50
18010文字
会話率:23%
あれは、確か中学2年生の春のことだったかな私は、無駄にカッコつける病(中二病)を患ってしまった。
いやぁ本当にあれは、黒歴史だったな。急に『ウラは、知性を使い永久不滅の存在となる花の神アロルフラート』って全校集会の時に校長先生の話を振り切
ってからの校長先生を蹴飛ばしてそんなこと言いだす。まぁ今は中学三年生にもなり中二病の症状はあまり出ないと思ったら大間違いで興奮や怒ると中二病なる災厄の体になりいろんな事件に巻き込まれ(自分が言ったりして)るが個性?が豊かな仲間と一緒に解決する物語である(多分)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-18 21:53:02
176962文字
会話率:41%
今でも憶えている――
同じ日ばかり繰り返す世界で、彼女が如何に面白おかしく、如何にでたらめで、如何に魅力的なのかを。
その記憶を、物語を、神話を。
この俺、助手役兼語り手が全部主観と偏愛のもとで語り記そう、彼女を殺すその日までのことを
。
そう身構えなくてもいい、別に重い話しじゃない、なんら軽い話しだ。
ぶっちゃけ惚気話だ。
いっそうラブコメと思って気楽に読んでみるのもいいぞ。
さて、どこから語ろうか…そうだな、あれは――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-18 19:00:00
12896文字
会話率:31%
RPGでフィールドに落ちている宝箱…あれは誰が置いているのか…? 何故勇者は民家に無断で入れるのか…? 何故勇者は魔王討伐に向かう最中、遠回りさせられるのか…!?
誰もが気にしなかったRPGの裏側をあえて無理矢理理由付けて納得させる系小説
、それが【異世界から転生した勇者より宝箱配置人の方が過酷だった件】なのである!!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-16 07:00:00
647102文字
会話率:52%
※これはあらすじではありません。
では何ですか?
さあ、何でしょう。
トントントン……。
病院の個室のドアが突如叩かれる。
「はい」
「失礼します。療養中に申し訳ありません。少しお話をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
返事をし
て間もなく病室に入ってきた2人組の男性。
不慣れな敬語を使うのは初老を過ぎた50前後とみられる男性だ。
「あ、すみません。怪しい者ではありません」
対応しようと立ち上がった母に対し、横にいた若い男性が何かを母に見せている。
「刑事……さん?」
どうやら警察手帳を見せていたようだ。
「突然すみませんね。○○さん……あなたが山道に倒れていた件と××さんが失踪している件についてお話をお聞きできますか?」
「はい……。何をお話すればよろしいのでしょうか?」
「率直にお聞きしますが、あなたが傷だらけで倒れていた件について。誰か……人や動物に襲われた事件ですか?それとも滑落などの事故ですか?」
「襲われた……。動物……?刑事さんはファンタジー作品に登場するようなモンスターは存在すると思いますか?」
質問を質問で返す青年。
その後も警察が質問をするものの中々要領を得る事が出来ない。
「では、質問を変えましょう。今、××さんは何処に居るかご存じですか?」
業を煮やした警察が質問内容を変更する。
「××……。あれは何処なんでしょう……」
青年の頬を一筋の涙が伝う。
「××さんはまだご存命ですか?」
「……はい。生きています。でも2度と会えないでしょう」
「大怪我をして動けないとかですか?」
「いえ、とても元気ですよ」
1つ目の質問に続き、話の要領を得ない回答を繰り返している。
「お母さん、スマホ取って。バッグに入ってるから」
青年は側にいた母に指示を出しバッグからスマホを取り出してもらう。
渡されたスマホを操作し、2人の警察に保存していた写真を見せる。
1つ1つ当時の状況を思い出すように説明をしながらの作業。
「これで全てです。すみません、疲れているので休ませていただいてもよろしいですか」
スマホ内の写真を全て説明し終わり、青年が話を締める。
「長時間失礼しました。また後日改めてお話お聞かせください。ご協力感謝いたします」
青年の────
続きは有料会員様限定配信(冗談です)
すみません。もう少し先があったのですが、あらすじの文字数制限……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-15 20:00:00
157099文字
会話率:46%
拝啓
ご無沙汰しております。
先日、そちらの近所を歩いていたら、とてもきれいな果実を見かけました。赤味をおびた黄色の果実で、ふるいお家の垣根の庭が、なんだか華やぐようでした。
その時の僕は、そのきれいな果実に、目をうばわれるだけう
ばわれていて、それに気づいたのは、そこを通り過ぎたあと、そのあと行った図書館でのことでした。分かりますよね? 神社の向かいの、あの図書館です。
心には下ゆく水のわきかへり 言はで思ふぞ言ふにまされる
さて。この歌は、『古今和歌六帖』という歌集にのっている歌だそうで、『枕草子』で清少納言が――と、こんなことは書かなくても、先生ならご存知のことかとは想いますけれど、あの図書館の司書のかた曰く、この歌を読み解くには、『古今集』のこちらの歌も知っておく必要があるということでした。
山吹の花色衣ぬしや誰 問へど答へずくちなしにして
つまり、最初の歌の「言はで思ふぞ」と、こちらの歌の「くちなし (口無し)」とはかかっていて――これも僕は初めて知ったのですが――どうやら、僕らの知っている「山吹色」は「くちなし色」とも言われるそうで、それでつまり、ここの「山吹の花色衣」という句も、最後の「くちなし」とかけられているのだそうです――が、ちゃんと説明出来ているかな? 分かりにくかったら、ごめんなさい。
と、それはさておき。ここで話は最初に戻るのですが、先日僕が見かけた、ふるいお家の垣根の庭で見かけた、あのキレイな果実、あれは、あの夏の日の朝、あなたに教えてもらった、あの、しろい花の木になる実のようなのです。
あんな白い花の木に、あんな黄色の果実がなって、とてもきれいな黄色の布を染めることになるのだそうで――もう、秋なんですね。
それでは最後に。くちなしついでに、図書館の司書さんから紹介された本にはいっていた歌を、もうひとつ。
くちなしの 実の朱くなり きみ恋し
どうか、お体に気を付けて。
敬具折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-12 18:10:00
371985文字
会話率:37%
9歳の皇女アルティリアは兄皇子共にフェルマーレ国を訪れていた。親善のための夜会で見たものは、大の大人の女性が下位の令嬢から髪飾りをねだっている。
けれど……
「わたくしの年齢の2倍もある方が小さな子供のように“おねだり”なんてなさるので
しょうか?」
ならば、あれは
「物乞い?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-11 00:19:46
6618文字
会話率:49%
あれは……雀だな。
明け方、目覚ましが鳴る前に目を覚ました男は、曇りガラス越しに浮かぶシルエットを見てそう思った。
それは男があくびをしている間に、音もなく姿を消した。男は特に気にすることなく、再び眠りについた。
あれは……鳩だ
な。
翌日の明け方、また目覚ましよりも早く目を覚ました男は、窓の向こうに見える影を見てそう思った。丸みを帯びたその輪郭がベランダをちょこちょこ歩き回り、またふっと消えた。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-01-09 11:00:00
790文字
会話率:0%
うぷぷぷ、突然ですが、実は私、アーティストなんです。
ええ、きっとあなたも街で私の作品を目にしたことがあると思いますよ。まあ、芸術のセンスがない方には理解されないかもしれませんが、うぷぷ。
ほらほら、少し歩いたらもう見えてきましたよ。
あそこにベンチがあるじゃないですか。あれは座るためのベンチじゃないんです。座れないベンチ。なんとも斬新なコンセプトでしょう? まあ、もちろん座れないこともないんですが、よっこいしょっと。ははは、ほら、平らじゃなくて波打つようにボコボコしているでしょ? このベンチはねえ、人間の皮膚を表現しているんです。アームカットの跡ってボコボコと盛り上がっているんですよ。それを表現したんですねえ。しかも金属性なので硬くて、お尻には優しくなくて、ん? この話はもういいですか? では、他の場所を探してみましょう。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-11-14 11:00:00
2769文字
会話率:0%
その惑星の地表の一部は、脈動するかのように絶えず揺れ動いていた。
「船長、あれはまるで……」
「ああ、まるでというより、完全にお祭りだな。ちょうどいい時に来たかもしれない。着陸しよう」
上空から見下ろしていたその小型の宇宙船は、集
団から少し離れた場所へゆっくりと着陸した。
地上からも宇宙船が見えていただろうと思い、船長と乗組員は船から降りて、その場で少し待った。しかし、誰もやって来なかった。
「どうやら、お祭りに夢中で私たちに気づいてないみたいですね」
「ははは、連中の真上から降りてやればよかったかな」
「ふふ、驚かせちゃいますよ。攻撃してきたかもしれません」
「いや、『神様がきた!』って崇められたかもしれない。惜しいことをしたな」
「まあ、確かに。そうなれば、交渉も楽だったでしょうね」
彼らの目的は、この星と友好関係を築くことだ。ただし、この場合の『友好』とは、地球側が優位に立つ関係のことを意味する。現在、地球は知的生命体が存在する惑星に彼らのような使者を送り、その資源や技術を獲得しようとしているのだ。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-10-29 11:00:00
2497文字
会話率:80%
考える事が好き。誰かと語り合って何かを割り出すよりも、一人で何かを延々と考える方が向いている。
だからソロゲーも好き。でもあれは制約が多いからね。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何で好きなのって聞かれれば、一番の理由はこれですかね。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-04 19:01:36
831文字
会話率:25%
あの場所とは折り合いが悪い。
あるもの全てが思考をぐちゃぐちゃに掻き回す。
だから早く帰りたい。
「君、コート貸してくれる?」
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
実家帰りたいよ〜
!!
内心泣き喚く成人です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-09 14:43:01
800文字
会話率:45%
天才とは蝶を追い掛けていつの間にか頂上に登っている少年である。
とは本当によく言ったもので、これが出来る方はもう絶対敵わない。
だって努力を努力と思わないから。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
もー敵わないってぇ〜。
と思いながら配信を拝見します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-20 19:44:50
760文字
会話率:0%