未だ天人と人とが共存し、不浄が跋扈する古の世、支配者の座には永久の命を持つ天人が長きに渡り君臨していた。あまりにも長い歴史に、天籍を授かった者を除いた、限りある命に振り回される人間達は次第に政に興味を無くし、身近に蔓延る疫から身を守る為の清
めや祓いに気をやるようになっていた。
疫と呼ばれる不浄の魔物の正体は、領地に無数に存在する呼子栄朽湧水と呼ばれる泉から出でる、かつて非業の死を遂げた天人達の怨念。打ち倒すことが出来るのは、天人が持つ『天浄』と呼ばれる力と、天人を守護する武人達だけが所有を許された雌雄の宝剣『干将』『莫耶』のみであり、天帝は直轄の守護部隊『御陵眷属部隊』の下部組織『天音』に市井に蔓延る疫の監視、討伐を命じる。
『天音』とは天浄の力を持って生まれてきた人間の子供達。天浄は天人が持って初めて意味を為す力、人間にとっては死期を早める毒気に他ならず、赤子の時分に外科手術で片目を取り出し、宝珠製の義眼と眼帯によって力を抑制されている。頑強な肉体と運動能力を有し、男は干将、女は莫耶と呼ばれる剣を授けられ、国のほの暗い裏の面を支える。
天音に属する津狩槐は、天籍の将軍・津狩時房の養女。幼くして山に捨てられ、山を渡る幻の民・栖軽に育てられたとされる空白の過去を持った子供であった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-09 15:57:28
7886文字
会話率:30%
未だ天人と人とが共存し、不浄が跋扈する古の世、支配者の座には永久の命を持つ天人が長きに渡り君臨していた。あまりにも長い歴史に、天籍を授かった者を除いた、限りある命に振り回される人間達は次第に政に興味を無くし、身近に蔓延る疫から身を守る為の清
めや祓いに気をやるようになっていた。
疫と呼ばれる不浄の魔物の正体は、領地に無数に存在する呼子栄朽湧水と呼ばれる泉から出でる、かつて非業の死を遂げた天人達の怨念。打ち倒すことが出来るのは、天人が持つ『天浄』と呼ばれる力と、天人を守護する武人達だけが所有を許された雌雄の宝剣『干将』『莫耶』のみであり、天帝は直轄の守護部隊『御陵眷属部隊』の下部組織『天音』に市井に蔓延る疫の監視、討伐を命じる。
『天音』とは天浄の力を持って生まれてきた人間の子供達。天浄は天人が持って初めて意味を為す力、人間にとっては死期を早める毒気に他ならず、赤子の時分に外科手術で片目を取り出し、宝珠製の義眼と眼帯によって力を抑制されている。頑強な肉体と運動能力を有し、男は干将、女は莫耶と呼ばれる剣を授けられ、国のほの暗い裏の面を支える。
天音に属する津狩槐は、天籍の将軍・津狩時房の養女。幼くして山に捨てられ、山を渡る幻の民・栖軽に育てられたとされる空白の過去を持った子供であった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-09 15:46:53
2386文字
会話率:32%
幼馴染の弥太郎を中間として従えながら戦場を駆ける私には誰にも言えない悩みがあった。
武人になりきれない心の弱さ。
次期当主としてそれをひた隠しにしながらも、その僅かな隙を突かれ戦局は悪化してしまった。
敗戦の責務を果たそうと私は弥太郎に切腹
用の小脇差を差し出すように頼んだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-04 23:19:09
3939文字
会話率:29%
「龍の巫女さま、どうかこの国をお救いくださいませ!」
中小企業の事務員だったはずの理央は、龍の巫女として中華風の異世界に召喚された。
理央は皆に頼まれて、宰相の息子や国一番の武人たちと共に龍の住む山に、祈りを捧げに行く。
山で龍と出会った
理央は巫女として覚醒して、無事に役目を果たすことができた。
しかしそれは新たな問題の種となった。
「龍の巫女が結婚相手に選んだ者が皇帝になる決まり」だったからだ。
凛々しい美貌に人徳と気品を兼ね備えた青蘭と、宰相の息子で長い銀髪と知的な眼差しが麗しい翠蓮、男らしい魅力あふれる国一番の武人である飛翔、そして無邪気で真っ直ぐな好意を寄せる褐色美少年の黒曜。
皆、立場は違えど理央を愛している。理央は誰を選べばいいのか。
※異世界の中華風ファンタジーです。実際の文化とはかなり異なります。
カクヨムにも投稿しています。
全22話で完結です。よろしくお願いします……!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-25 22:41:49
36828文字
会話率:49%
タイトルに全てを詰め込みました。
TSF、性転換体質が当たり前のオリジナル世界観を舞台背景に、TSFオリジナルキャラにイチャイチャドタバタさせます。
登場キャラがメインからモブまで、容赦なくTSFします。
趣味とフェチズムを詰め込みまくっ
た、オリジナル設定てんこ盛りです。
元は私の別作品。
ハイウェイ クライシス ―交通管理隊、出動せよ―
https://ncode.syosetu.com/n0021hx/
に番外編、おまけとして投稿していたものなのですが。
そちらのメインストーリーとの剥離があまりにも大きくなってしまったので、分離して投稿し直す次第です。
本当に申し訳ない。飯つめて炊いて食ってたもし。(これ言っとけばお詫びになると思っている)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-08 19:13:31
119287文字
会話率:26%
人魚姫がもしも武闘派であったなら。
魚の国にある教えに則った旅に出たのなら。
姫が出会う王子様はヘンタイかもしれませんが。
そんな『IF』をお届けいたします。
m(_ _)m
最終更新:2024-01-13 11:33:10
4170文字
会話率:33%
一部の特権階級だけが『前世』の力を引き出せる世界。
戦闘系の前世が求められる貴族家で、三男のロウは十五歳のある日――【蒐集家】の記憶と能力を継承した。
前世の自分は『ニホン』という国で孤独に生きた【蒐集家】だったらしいのだが……。
当然、現
世の貴族家が求める戦闘系の前世ではない。
家を追放されたロウは、自分についてきたメイドのシュノンと共に世界を巡ることに決める。
武人にこそなれないが、手に入れた【蒐集家】のスキルは役立つものだった。
彼は聖剣、聖獣、希少種族のケモミミ娘、不思議な力を持つ者たちと次々に縁を結び、果ては幻の『空中移動要塞』に拠点を設けるまでに至る。
これは追放された少年が、求めるもの全てを蒐集するまでの話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-25 19:00:00
138708文字
会話率:35%
昔々そのまた昔、東の大陸には五つの大国があった。
綺麗な水に豊かな大地の国、菊水国。
大国の中で唯一海に面している国、梅月国。
染色や刺繍が盛んな国、桃染国。
民の生活が豊かな国、金杏国。
その四カ国に挟ま
れた平凡な国、蓮華国。
その後の歴史にはこの時代に蓮華国によって東の大陸が統一されたことが記されることとなる。
そしてこの時代に活躍した女性がいた。
その者は理不尽な目に遭い、底辺の生活をしていたにも関わらず軍略の才で女性初の軍師に登り詰め、軍師の頂点である総司令の側近として仕え、東の大陸を統一に大きく貢献した人物の一人である。
軍師としての才もさることながら武人としての才にも恵まれ、前線で武勇を示すこともあったそうだ。また人望も非常に厚く、良く通る声であったため檄を一つ飛ばせば手練の正規兵はもちろんのこと平民の徴兵の心をも動かせる人であった。
国のために貢献し続けてきた功績と高い人徳、その稀有な一生を記した『松春軍師伝』。
――これは後の世にまで語り継がれる物語の夜明けである。――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-20 18:00:00
38896文字
会話率:18%
明治六年の廃城令を待たずして破棄された、嵐山の頂に築かれた山城の城跡。
そんな秋の夜の静寂に包まれた城跡に、巫女装束を纏った母娘連れが佇んでいた。
母の深草志乃に、娘の深草花之美。
帝の座所である京都を守護する武装集団である「京洛牙城衆」に
所属する彼女達は、先祖代々の狐憑きでもある。
狐憑きの武人として幕末の世を駆け抜けた志乃は、我が娘を次代の戦士に仕上げるべく夜の帳が下りた城跡へ呼び出したのだ。
折しも今宵は満月の日。
狐憑きとしての霊力と闘争本能が活性化する、鍛錬には最適の時だったのだ…
(※本作品は、武 頼庵様御主催の「月(と)のお話し企画」の参加作品で御座います。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-09 06:06:14
4820文字
会話率:30%
※以前投稿した小説の、書き直しです。 出だしは同じですが、以後、別内容になっています。 以前の小説『聖女になった男爵令嬢と三人の彼』は、折を見て消去いたします。
伝説の武人と語られるカルタシア侯爵の孫であるベトベニア伯爵令嬢のエマは、定め
られた婚約者『アンダクス侯爵令息、テルセオ』と毎月開催されている『冷めたお茶会』に、うんざりしていた。
デビュタントを迎えた年、その年の社交シーズンの終わりまでに、婚姻を結ぶか、否か決めなければいけない。
自分の事を嫌いであろう彼が、毎月冷めたお茶会に参加する事に対して、一定の評価はしているものの、エマとしては婚約破棄したい。
そんな二人を、エギナ公国の王子で、エマの遠戚であるテオドロスと、不思議な魅力を持った商人のパブロが、生暖かく見守ったり、世話を妬いたり。
果たして、エマは婚約破棄できるのか。それとも、婚姻するのか。
すれ違いの恋の行方は?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-08 21:24:34
131307文字
会話率:33%
狂戦士の様に突進し、猛攻撃を仕掛ける男に対して防戦一方の三人。
三人がどれだけ入れ代わり立ち代わり攻撃を仕掛けようとも、すぐに対応し圧倒し返す。
そして、男は三人にずっと同じ質問を投げかける。
「で?思い出せたか?自分が斬った相手の顔。」
ふいに男の眼が、さっきまでの戦闘に対する猟奇的な目とは違い、人間的な怒りの色を強く光らせる。
「お前達は武人なんかじゃない。お前達に戦場に立つ資格などない!!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-17 21:13:15
1127文字
会話率:75%
耽美で天才的な吟遊詩人、三光。
努力家で無頓着な武人、桂月。
花の都「花紫院」で再会する二人
文学と武道、交わる事のないものが今交わろうとしている
最終更新:2023-08-29 22:40:05
2673文字
会話率:9%
時は古代日本。后となるものの王に愛されないオキナ。そんな姫の胸にあるのは祖国の神に護られた神秘の力、そして常に見護ってくれている武人ムナイへの淡い想いでありました。
やがて平穏な時が終わり、クマソ国が謀反をおこすと、ヤマトの王はオキナ
の告げる神の御言葉を無視して出陣します。愛されないことにうちひしがれるオキナに寄り添うムナイ。ふたりの許されない愛が燃えあがります。
と恋愛ドラマが続きますが、やがてオキナは戦争に巻き込まれていきます。神の御言葉に導かれて先祖の国を目指すオキナを待つものは・・・。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-11 11:34:25
36272文字
会話率:49%
科学を駆使して戦う九条慶太(くじょう けいた)。魔法を駆使して悪を葬る双葉武人(ふたば たけひと)。宇宙の平和を守るヒーローナギ。3人の主人公がそれぞれの世界を守るため立ち上がる。ある時、ナギの故郷を滅ぼした元凶が地球に向かっているという
情報を聞き、ナギは地球に向かう。しかしそこには慶太と武人というヒーローが既にいた。彼らが交わるとき、どんな化学反応が巻き起こるのだろうか。
オムニバス形式で1話完結だから読みやすい、まったく新しい小説がここにあり。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-28 14:58:26
24217文字
会話率:27%
二十二世紀のマッドと紙一重な天才ロボット工学博士アイザックによって作り出されたAIであるルシェル。
ルシェルは、アイザックの開発した装置によって異世界へプログラムだけ移動。死ぬ間際の清貧な修道女の意識に刷り込まれ、一つの人格となった。
彼
女の使命は『世界を陰から操る悪の秘密結社を異世界で作る』ことだった。
だがルシェルはプログラムのコーディングがバグばかりで、やることがちぐはぐで変な感情も芽生え始めているけど、そんな状況はお構いなしに博士の無茶振りにてんてこ舞いする。
ルシェルの住まう教会がある領地は、『出世領地』と言われている。なぜなら領主が様々な難問をルシェルの助力で解決し、次から次へと栄達、陞爵していくからである。
そして今日もまた、新たなる領主がやって来る。
美形で勇猛果敢、でも貴族の根回しや領地経営などしたことのない武人。武功でナイト爵から男爵へと陞爵したばかり。
この世間知らずな男爵が、御令嬢たちからの猛アタックに閉口してルシェルに仮の許嫁になってほしいと懇願する。
絶好のアンダーカバーにもなるとの打算から引き受けるルシェル。
そのお陰で王都に出向くことになり、益々手元に金貨が流れ込んでくる!
目立たず清貧な暮らしをしながら、父なる神アイザックの無茶振り『悪の秘密結社』を作り上げることができるであろうか??
矛盾するタスクに振り回されてプログラムから煙が出そうな人工知能の奮闘が始まるのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-24 12:09:56
44334文字
会話率:26%
文武両道の美少女である菊平麻衣は、“インパクトのある男子”と付き合いたいと願っていた。
そんなある日、彼女はクラスの地味男子である若松武人からこう告げられる。
「僕のマツタケ……見るかい?」
マツタケは“比喩”だと思い込み、麻衣は勘違い
してしまう。
しかし、武人は“本物のマツタケ”を見せるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-22 16:40:09
6302文字
会話率:38%
グレンゼルムは武人である。数々の死闘の果てに「魔王」などと呼ばれ、世界に仇なす巨悪として憎まれるようになってしまった。だが、グレンゼルムはただの武人だ。いつだって、良い闘争が出来ることしか考えていない。
最終更新:2023-06-19 08:51:14
100184文字
会話率:51%
異界との繋がりが、縁あるものを呼び寄せる。再発生した風哭谷の龍級生物『風断ちの巨鳥』を始末したのは、溢命陸にいるとされる『空の覇を統べるもの』剣魚だった。
武人は、闘争と誉れを求めるもの。最高位の冒険者『風食み』にも、遥かな高みを目指す理
由があった。
しかし、それを正しく憶えているものは、もうどこにもおらず。『風食み』は今日も、闘争に明け暮れる。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2023-05-27 10:39:08
3718文字
会話率:47%
グレンゼルムは武人である。「魔王」と呼ばれるまでに至ったグレンゼルムに挑んだのは、時間をやり直す異能を持つ勇者だった。常に最適の結果を導き出す、万能の勇者と対峙する時も、グレンゼルムは相変わらず、良い闘争を望むことしか考えていなかった。
キーワード:
最終更新:2023-01-30 23:37:31
4460文字
会話率:57%
世界で数人の創造魔術師だが一度使うだけで体力と魔力が尽きる使い物にならない能力を手に入れた少年。
5つの系統の魔術を使うことができる天才魔術師だったがあるゲートの探索でトラウマを抱えこんでしまい、攻撃魔術を使えなくなってしまった少女
。
そんな2人があるゲート探索で同じチームになる。
これは凡人と天才が手を取り合っていく物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-31 11:24:23
6389文字
会話率:10%
黒の凶星
ある国には伝説の武人として、ある国には戦場の死神として語られている者が居る
これは、忌まわしき黒髪黒目を伝説にまで押し上げた一人の奴隷の物語である
初投稿です、よろしくお願いします
最終更新:2023-05-26 23:16:10
1574文字
会話率:11%
春を迎えるころ。
日本のお隣は韓国のソウルでも、人びとが春の到来に心を躍らせる中、ある事件が起きていた。
“連続人さらい事件”――
それも、被害者には“茶会の招待状”が届けられるという奇妙なものであり、その招待状も、花をモチーフに痛
覚を司る神経系や伝達物質などのイラストが描かれるという、悪趣味かつ不気味なものであった。
そんな不穏な香りの漂う案件を、“スタイル”ことカン・ソジュン率いるSPY探偵団が調査する中、神楽坂怪奇探偵コンサルタント事務所に相談することに……
■■ 主な登場人物 ■■
● 神楽坂文(かぐらざか・ふみ)
事務所副所長の肩書を持つ妖狐。
北川景子似の美女の外見にして、性格はクズでキモキャラ。声色は子安武人似。
チートクラスの力を持つも、その妖力はリボ払い式。
● 綾羅木定祐(あやらぎ・ていすけ)
事務所所長の中年男。
人間嫌いで仕事嫌いのダメ人間。
● 上市理可(かみいち・りか)
事務所助手。
武田玲奈似の20代女子。
◆ SPY探偵団メンバー
● カン・ロウン
SPY探偵団団長。丸サングラスをした中年。コードネームは“スタイル”。
● パク・ソユン
モデル体型の美女で、ソウの芸名で兼業モデル。あだ名は“ソウ”、“ジグソウ・プリンセス”。
● ドン・ヨンフォ
黄色とピンクの組み合わせの奇妙なスーツを着た、長身の兼業実業家。あだ名は“フラワーマン”。
● キム・テヤン
中年男で兼業屋台のオヤジ。あだ名は“チジミ屋のおっさん”。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-10 13:16:57
120228文字
会話率:39%
■■ シリーズ情報 ■■
東京都は新宿区、神楽坂。
お洒落で、どこかフランスに雰囲気が似ているとか似ていないとかいわれる坂の街。そのメインストリートを脇の横丁に、怪しく古いゴシック風洋館があった。
――『神楽坂怪奇調査コ
ンサルタント事務所』――
横文字を使ってかっこつけているが胡散くささを隠せていない、摩訶不思議で奇想天外、怪しくも奇妙な事件を国内外や洋の東西問わず、時には異世界の世界線や時空を越えて扱う事務所である。
そんな事務所にいるメンツのこと――チートクラスにしてリボ払い式という諸刃の妖力を持ち、なおかつ見た目は美女にして性格クズの妖狐・神楽坂文。それから下僕の二人のダメ人間――陰湿で人間嫌いでナルシストの天パの中年男の綾羅木定祐と、一般ピープルを自認するも“こんなところ”にいる時点で充分変人なドジッ子の上市理可。
今日も彼らは怪しく胡散くさい事件に、協調性なく他力本願的、かつ怠惰でいい加減に解決するべく奮闘するのである。
■■ 主な登場人物 ■■
● 神楽坂文(かぐらざか・ふみ)
事務所副所長の肩書を持つ妖狐。
北川景子似の美女の外見にして、性格はクズでキモキャラ。声色は子安武人似。
チートクラスの力を持つも、その妖力はリボ払い式。
● 綾羅木定祐(あやらぎ・ていすけ)
事務所所長の中年男。
人間嫌いで仕事嫌いのダメ人間。
● 上市理可(かみいち・りか)
事務所助手。
武田玲奈似の20代女子。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-10 11:32:24
95892文字
会話率:45%
運動? したくない。戦? もっと嫌だ。
本を読んで、薬草畑の手入れをして、調剤して、研究して、ずっとそうやって生きていきたい。
でも、それで周りが許してくれるはずもなく――。
李《り》 霓瓏《げいろう》は仙子《せんし》族という恵まれ
た種族に生まれながらも、武術に関しての努力はまったくせず、ただただ大好きな薬術ばかりを磨いてきた。
痛い思いをしたくない。怪我なんてもっと嫌だ。
成人したある日、このままでは息子が駄目になると思った両親により、二十年間生きてきた聖域から追い出されてしまうことに。
体力も武力もない霓瓏にとっては、絶望的な状況。
歩きついた場所は戦国真っただ中の中原大陸。
「うげぇ」と思っていると、視界に映ったのは、真っ黒な靄が立ち込める慧国朱燕軍の野営地だった。
護国の英雄と謳われる将軍がいる軍に、何故暗雲が? と、気になった霓瓏は、唯一霧の立ち込めていない天幕へと入って行くことにした。
それは霓瓏の好奇心が呼んだ運命だった。
天幕の中にいたのは、奇しくも、父親がそうなってくれと願うような、英雄――朱《しゅ》 祁旌《きせい》という武人。
のんびりと生きていきたかった霓瓏の生活は一変する。
わがままで、怠惰な性格は変わらないが、好奇心に突き動かされるままに突き進む、薬術師としての成長物語の始まりだった。
※不定期更新(週三~週一)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-01 20:00:00
110347文字
会話率:57%