怪異ではなく、日常的な話。
法王庁へ戻ろうとした神殿騎士コークリットはその手前にある自分の故郷の村へと立ち寄る。
(トスカーナの田舎をイメージ)
修道院の運営や子供たちの悩み、自分の過去に様々な想いが交錯する。
俺とシス
は修道院の屋根の上で身を寄せあいながら、弦月が輝く夜空を見るとはなしに眺めた。
「綺麗……」
「ああ……」
俺の腕のなかで、シスは小さく小さく囁く。
夏の夜空には、山のように大きな雲の塊が浮かんでいる。雲の城だろうか……月を守るように、高く高くそびえている。月の光に照らされた雲は、月の青い光を放ち神々しくさえある。ああでも月の光が届かない下層はあまりにも暗く黒く冥闇で……
「コックリ……子供の頃も、こうして屋根で夜空を見ていたの?」
「あー、見てたな……」
「うふふ」
「おかしい?」
「ううん、全然」
「シス……向こうの丘の方……見える?」
「ええ、コックリほどじゃないけれど、夜目がきくから……」
霊力で五感を強化した俺は夜目がきき、暗闇に包まれたはずの起伏の大地の先の方まで不自由なく見渡せる。少し先の草原には夜行性の獣がいて、黒い大小様々な影が草原を駆けている。あれは猪の親子の影かな? 森から出て来て草原を駆けている。
雲の切れ間から、弦月の光が丘に落ちて……とても美しい……
淡い光が草原を駆ける獣を淡く照らしていて……
自然が作り出す造形、光が生み出す陰影の美しさは……人には作り出せない……ただただ、自然は美しい……
シスが美しいのは……そういうことなのかもしれない……
彼女は自然物に宿る心が肉体を得たような、妖精なのだから……
「コックリ……」
「んー?」
「私……マーク君に……嫌われてるのかな?」
今後使用する世界設定などをストーリーに
織り交ぜて投稿する予定です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-06-13 19:00:00
82829文字
会話率:53%
急速な産業の発展による栄光と、戦争の傷跡が残るヘリア王国。
父との平穏な生活を失ったコンスタンス・ド=ルーン(通称コニ)は、ようやく落ち着いた先の修道院をも去り、ある女学校へと連れて来られた。薔薇が咲き乱れる古い修道院を改築した〈至高天
宮女学園〉(通称エンピリアン)は、生徒と教官の区別の無い学校だった。生徒たちは皆色鮮やかな衣に身を包むにも拘らず、殺伐とした雰囲気を醸し出している。磊落なディア、几帳面なメアリ、人懐こいハーム、包容力のあるエリ、人を寄せ付けないヴェス、そして全てにおいて不可思議なビーチェは、全員が異なる分野の専門家で、軍事と諜報を共通のテーマとしていた。ディアの姉が治めるその学園は、国の公安警察の一機関で、繁栄の裏にある〈魔女の力〉を専門としていた――
骨太なディストピア・ファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-22 01:19:58
29647文字
会話率:47%
いつも通りの朝。カーテンから溢れる朝日を浴びて目を覚ましたあたしは、いつも通りの朝食(修道院で分けてもらった黒パンを、作り置きしているスープに浸してゆっくり食べるのが最近のあたしの楽しみの一つだ。)を平らげて、代わり映えのしない、流行遅れで
継ぎ接ぎだらけのワンピースドレスを着て、三つ編みを手早く編み上げ、いつも通りの時間に出かけようとしたその直後に、あたしの『いつも通り』は終わった。
・・・理由は解らないけれど、身なりの良い男たちがあたしに向かって頭を下げていたから。
『貧民層《スラム》』で育って15年。そんなあたしが実は貴族の娘だったとか、一体何の冗談なんだ!?
*作品の表現に不快に感じるものや暴力表現等ございますので、お読みになる際はご注意ください。
メイン連載の合間でぽつぽつと、息抜き程度のゆるーい感じで書いていきますので、生暖かい目で見てやってください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-20 18:41:43
22437文字
会話率:65%
ある事件によって、疵物だという誤解が広まってしまった子爵家の娘プリシラ。婚約者からも婚約破棄を言い渡され、世間の目から身を隠すように修道院で暮らしていたが、継母の策略により命をも狙われることに。
彼女の危機を救ったのは賞金稼ぎの男ジャレドで
あった……高貴な身分に生まれながらも戦の混乱から貧民街で育った青年と、気の弱いお嬢様のお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-19 07:00:00
86510文字
会話率:49%
甘やかされて育った、侯爵家の末っ子四男坊のアルフレッド。いつまでも遊び回る彼に、遂に両親は、一年以内に身の振りを決めなければ修道院か騎士団に送還すると宣告する。顔はいいアルフレッドは、己の魅力を利用して、夜会にやってきた未婚の伯爵家女領主に
取り入って婿入りし、なんとか貴族としての地位を確立しようと目論む。しかし現れた女領主のアリアナは、何故か仮面を被った不気味で風変りな女性だった………。
常に仮面を被り続けるアリアナと、そんな彼女に浅ましい考えで近付いて恋に落とすつもりが、いつのまにか恋に落ちてしまう末っ子君のお話です。(中編予定)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-01-09 10:00:00
39306文字
会話率:37%
ある惑星の、ある大陸の、ある王国の。
寂れた修道院で勤める司祭自身と世界に降りかかった危機と救済の回想。
最終更新:2015-12-10 14:44:02
6899文字
会話率:30%
戸田桔梗は中学からの友人である私といっしょに、あやめ学院――通称、黒百合修道院――に入学させられる。古武術師範な父親より幼い頃から武術を習い覚え、そのお転婆ぶりを嘆かれたせいだ。退屈な入学式で、おとなし気で清楚な少女――内海真魚が目にとま
り、惹かれた桔梗は友達になろうと決める。それが、まだ登場せぬ彼女、“黒百合”のマドンナ、もしくは“ルージュをひいた魔女”と呼ばれる存在とかかわる、きっかけになろうとは知るよしもない──。
/少女にはおよそ正反対の親友がいるらしい。彼女、紫邑魔貴は、マドンナとか魔女と呼ばれている、素行不良の優等生だが、いっこうに登校する気配がない。悪意を含むとらえどころない噂だけがささやかれる。
/そんな中、桔梗は旧校舎に迷い込み、幽霊塔と呼ばれている処で、彼女と出会い奇妙な部屋を見付け、そこへ出向いていっしょに話すようになる。真魚のことで嫉妬や敵愾心を向けてはあっさりいなされながら、生徒会長の陰謀による女子バスケ部の取りつぶしにかかわったりする。
※こころもちオカルト風味だけど雰囲気だけ。基本的には百合すれすれの友情物で、ガール・ミーツ・ガールズです。
http://ameblo.jp/yumemiruhiruko/ より転載。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-12-03 21:00:00
35233文字
会話率:37%
俺は蘇った。悪役令嬢として。
彼女は嫉妬し、王子の恋人を殺そうとし、失敗し、死に、そして俺が蘇った。
その罪によって俺は修道院へと送られた。
人生がいきなり詰んで、何もしないつまらない人生が待ち受けているのかと思いきや、違った。
修道院は
魔法と女の園だった。
この世界には魔法がある。神の奇跡だと信じられる魔法。表向き修道院とは魔法を探求する機関だ。
令嬢の送られる修道院にいるのは当然女ばかり、しかもほとんどが貴族だからか、美人が多い。
前世は男だった悪役令嬢が、魔法を学び、再び成り上がる物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-10-31 00:00:00
9013文字
会話率:17%
聖地として名高い王都ヴェランリードの教会は今やすっかり落ちぶれていた。王位を継ぐはずだった王子は変死し、城下町はスラム街化。裕福であった教会でさえも、貴族の寄付でなんとか成り立っているという始末だった。◆ヴェランリードの元王子専属家庭教師エ
ステルは、修道院の問題児ノアに手を焼いていた。しかしノアの両親は、王宮のエリート僧ヴァンスの最愛の父を殺害。ヴァンスの恨みを買ったノアは、「更生」と称して死んだことにされていた王子を修道院で育てることを頼まれる。◆歪んだ教会事情に嘆き、祈り、走り回る17歳の男女と、死んでしまったことにされた「元王子」のはなし。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-07 21:59:09
16350文字
会話率:47%
ジルヴェスト伯爵家の愛娘アルテイアは、婚約者からの2度の裏切りと1度の不幸の末、結婚を諦めた。修道院の尼僧として慎ましやかな生活を望む彼女だったが、ある日突然、社交界でも好色家と名高いルドルフ・オーエンドルフから求婚されてしまう。彼女のささ
やかな夢は叶うのか。年増の行き遅れ娘と軟派な青年のドタバタラブコメディ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-07-18 00:00:00
64729文字
会話率:34%
私とキャサリンは双子だけれど別々の場所で育った。修道院に預けられたのは私だけ。だけどそれを恨んだことなんてなかった。ただの一度も。
最終更新:2015-07-06 21:24:19
16024文字
会話率:17%
※しばらく更新はない予定です。
マティスカバネル学園への入学を控えたレナーク王国公爵令嬢シャーロット・ジュベルはある日1人の平民の少女とぶつかった。
そして、この世界が前世でプレイしていた乙女ゲーム『あなたを支えたい ~レナーク王国 愛と
政争の記録~』の世界だと気づいた。
『あなたを支えたい』ではシャーロットは主人公を虐める悪役令嬢で、学園の卒業と同時に修道院送りになってしまう。
しかし、シャーロットは普通の女性ではなかった。15年以上公爵令嬢として、上級貴族として生きてきたのだ。
ジュベル公爵令嬢シャーロット、ゲームの記憶を最大限利用して国の乗っ取りを目指します。
※2015/3/28 複数の方から完結表記は良くないと指摘があったので連載中になっていますがしばらく更新の予定はありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-03-25 05:16:04
5982文字
会話率:36%
※本編、番外編が完結しました。
『この子は、父親を滅ぼすだろう』
3人の皇妃を殺し、残虐皇帝と言われているハインツェル帝国の皇帝ヴォルフガングに、4人目の皇妃が嫁いだ。彼女の名はニコレット。ヴォルフガングが初めて聞く名前であったが、彼女
はロワリエ王国の第2王女であった。しかし、父親殺しの予言を受けた王女のため、王である自分の父親に修道院に閉じ込められていたという。
少し浮世離れしているが、明るいニコレットに残虐と言われたヴォルフガングも癒されていく。
残虐と言われる皇帝と、父親殺しの予言を受けた王女が巡り合った。果たして、その予言は現実となるのだろうか?
※同タイトルの短編小説を連載化したものです。
※短編バージョンと少し設定が異なるところもあります。ご了承ください。
※タグは念のためです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-02-14 12:00:00
129056文字
会話率:47%
3人の皇妃を殺し、残虐皇帝と言われているハインツェル帝国の皇帝ヴォルフガングに、4人目の皇妃が嫁いだ。彼女はロワリエ王国の第2王女ニコレットと言った。聞き覚えのない名前に戸惑うヴォルフガングに、彼女は自分は修道院育ちだと告げた。彼女は親殺し
の予言を受けた王女だったため、王である自分の父親に修道院に閉じ込められていたのだ。
少し浮世離れしているが、明るいニコレットに残虐と言われたヴォルフガングも癒されていく。
残虐と言われる皇帝と、父親殺しの予言を受けた王女。果たして、その予言は現実となるのだろうか?
※タグは念のためです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-20 08:00:00
11017文字
会話率:47%
『彷徨うリヴォルヴァ』
――探偵椋露路朱寧のもとに行方不明の兄を探して欲しいとの依頼が舞い込んだ。事件は連続殺人に発展する。(初登場)
『アンティークの瞳』
――アンティークドール展覧会への招待を受けた三人は、そこで事件に巻き込まれる。密
室の謎を解く。(密室)
『犬屋敷の秘密』
――怪盗を追って小林秋彦刑事は上司とともに離島へ向かう。次々に発生する不可思議な出来事。人面犬の正体とは。(冒険)
『消えない足跡』
――白く染まった東京。雪に覆われた小さな修道院で起きた足跡なき殺人事件。「この事件を解く鍵は、消えない足跡にある」椋露路の言葉が意味するものとは。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-27 21:27:39
87182文字
会話率:45%
シスター・マルテは十七年の人生の大半を修道院で過ごす模範的な修道女だった。来る日も来る日も、主に祈りを捧げ続ける。それが彼女にとっての喜びであり、幸せであった。――あの人に会うまでは。
※新田 葉月様主催【君に捧ぐ愛の檻企画】の参加作です。
※The copyright of this novel is in Isuzu Riku. Please do not reprint without permission.
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-20 00:00:00
7257文字
会話率:24%
教会の告解室で道ならぬ想いを打ち明ける貧しく美しい娘。
彼女の恋の顛末は……。
近世のヨーロッパ(具体的には16世紀のアントウェルペン)が舞台のラブストーリーです。
*他サイトに別名義で投稿した作品を加筆修正したものです。
*他サイトと
の重複投稿になります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-06-28 04:34:30
3141文字
会話率:25%
莫大な財産を受け継いだソニア・ド・クレアは長く修道院にいる。 それは親も兄弟も亡くした彼女を「何か」から守るかのように。
十七歳になったソニアはパトリス王から「結婚相手を決めた」と告げられ、それが初恋の王子だと聞き間違いをした。
迎えに来た
者は、髭がびっしり生えたおっさん騎士であった。
「髭、気持ち悪い!」生理的悪寒に耐えながらもソニアは彼を好きになろうと頑張る。
次から次へと襲いかかる不吉な出来事に、疑問を感じつつそれを回避してくれる髭騎士のおっさんにいつかソニアは…。
「でも、髭、駄目だわ…」
何故、髭が駄目なのか? 次から次へと起る怪奇現象は何なのか?
お付き合い下されば幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-03-24 21:23:44
123673文字
会話率:37%
【天啓】に見初められた少年ユウと少女ソラナの物語
剣術大会の祭りで活気づくある街の宿屋で働く少年ユウのもとに、世界で有名な修道院から修道女のソラナが転がりこんでくる。
人類に福音をもたらす【天啓の門】を開くために必要な三つの神器。
【
天啓の剣】【天啓のサークレット(輪冠)】【天啓の指輪】
ユウが住む街はずれにある洞窟の岩に刺さる天啓の剣をユウだけが引き抜くことができた。
天啓の神器を身につけれれる者を人は勇者と呼ぶ。
勇者たちは、各々の宿命と想いをもって、天啓の門のもとに集まっていく。
あたらしい千年紀がはじまる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-12-08 21:30:45
170114文字
会話率:42%
王の娘として生まれながら、母親の一族を背負うべく、王女と公表されていなかったアリーチェ。彼女は五歳から修道院で暮らしている。ある日、久しぶりに会いに来た母に、数人分の毒を頼まれた。それを渡した翌日、胸騒ぎを覚え、隠し通路を使って城へと出向い
たアリーチェは、出口で他国の軍人と遭遇する。彼に案内されるまま、母親たちの遺体と対面し、気を失ったアリーチェを、軍人は自国へと連れ帰り──。
2013年度コバルトノベル大賞一次落ちの作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-30 22:52:22
30184文字
会話率:37%
十八歳の修道女リアは、のどかな島の修道院で慎ましく暮らしている。
しかしある日、レース編みの技術を買われて本土の王都へ呼び寄せられることになり、迎えの軍人ダリオがやってきた。国境警備隊の隊長だという彼は、軍人に見えないほど上品で優しく、整っ
た風貌で、世慣れないリアをどぎまぎさせてばかり。旅をする間に二人の距離は段々と近づくが、そこでリアの隠していた秘密が明らかになり――(2013年コバルトノベル大賞二次選考通過作品です)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-29 20:13:45
34653文字
会話率:48%