名を持たぬ運命たちの記録。
これは「主人公」のいない物語。
だが、そこには数多の「英雄」たちがいる。
彼らは歴史に名を刻まれることもなく、神託にその名を残すこともない。
ただ、無数の魂の中で――もがき、戦い、燃え尽き、堕ち、そして目覚める
。
それは、かつてのあなたであり、私であり、運命の揺らぎに取り残された誰かの声でもある。
第五の太陽紀、始動。
異世界より流れ来る魂たちは、世界樹 ユグヴェシル(Yggvethil) を超えて、
この光と闇が交錯する世界へと召喚された。
彼らは神に選ばれた者ではなく、運命に祝福された存在でもない。
ただ、失われた記憶と雑多な願いを携えた「訪問者(ビジター)」である。
この大陸において――
西には、神託と教会を中心とする国家連合「西方諸国」、秩序と信仰の名のもとに裁きを下す。
東には、霧の奥に黄金の光をたたえる神秘の古国 セリス赫修(Serichreesos)。
中央には、自由と理想を掲げる城邦連邦 アナトリ(Anatoli)――希望と衝突が交わる地。
だが、これは世界の全てではない。
地図の果て、名も知らぬ地に、未だ語られぬ文明が潜み、
眠れる遺跡、知られざる神々、夢の中の都市、空に浮かぶ都、深海の王国……
それらすべてが、名もなき者たちの足跡と筆を待ち望んでいる。
語られるのは――
捨てられた子、罪を背負った魔導士、敗北した英雄、目覚めゆく少女、流浪する王子……
それぞれが交差し合う運命の中で編み上げるのは、
神話でもなく、王家の年代記でもない――「名もなき者」たちの物語集成。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 23:43:14
10808文字
会話率:17%
昭和21年(1946年) 春、終戦間もない東京赤坂の旧宮家邸をGHQダグラスマッカーサー元帥の密使が訪れていた。訪問の目的は。
南北朝時代から始まる壮大な歴史サスペンスが幕を開ける。
最終更新:2025-06-19 18:35:34
35338文字
会話率:24%
『最後の狙撃手』
――かつて“伝説”と呼ばれた男は、今、静かな療養病院で余生を送っていた。
長年の孤独と認知症に蝕まれ、過去は霧の彼方へと消えつつある。
唯一の家族は孫娘の美月。彼女だけが、今の彼を支えていた。
そんなある日、彼のもとに
一人の訪問者が現れる。
重苦しい空気と共に持ち込まれたのは、断ち切ったはずの過去への”依頼”だった。
二度と手を染めぬはずだった「仕事」――だがその依頼は、彼の心の奥底に眠っていた贖罪の炎を呼び覚ます。
動かない身体、蝕まれる記憶、そして命を削る覚悟。
老いた“狙撃手”は、誰にも知られぬ方法で最後の標的に挑む。
その背後には、かつての仲間たちの影、愛する家族への想い、そして長年封じてきた因縁が静かに絡み合っていく。
これは「老い」と「贖罪」と「家族」の物語。
沈黙の中で撃たれる、人生最後の一発――
その一撃にすべてを込めて、男は照準を定める。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-14 21:11:28
6343文字
会話率:25%
独居老人を訪問し、安否を確認する民生委員。彼のお仕事が今日も始まる。
最終更新:2025-06-14 12:00:00
955文字
会話率:58%
霧深き都市、レンブラ。そこは、光と影が極端に分かれた、敗戦国家アルドリア共和国の首都。輝かしい光の街「クレストリア」と、忘れられた者たちが沈む闇の街「ダスクウォード」。
ダスクウォードの片隅で、ジャズの流れるバー『Stray Cat』を営む
寡黙な男、ノクト。しかし、彼にはもう一つの顔があった。法で裁けぬ悪を狩り、決して光の当たることのない闇へと葬り去る非情な“掃除屋”。かつて大陸を揺るがした「灰の戦争」で心に深い傷を負った彼は、過去を捨て、ただ静かに夜の街で息を潜めていた。
そんな彼の日常は、一人の少女の訪問によって終わりを告げる。
「兄を探してください」
ジャーナリストの兄が失踪したと語る少女、リナ。最初は冷たく突き放すノクトだったが、事件の背後にダスクウォードで急速に勢力を伸ばす暴力組織「鉄槌党」の影と、彼が最も憎むべき悪の匂いを嗅ぎ取り、やがて重い腰を上げる。
失踪した兄が遺した一枚のメモ。それは、単なる人探しの依頼を、国家転覆を目論む巨大な陰謀へと変貌させる。東の超大国「ウロボロス連合」と、亡国「ゾル帝国」の残党が手を組み、共和国の記念式典を狙った大規模テロを計画していたのだ。
陰謀の核心に近づいた矢先、ノクトの目の前でリナが敵の手に落ち、誘拐されてしまう。これまで孤独な「仕事」として悪を裁いてきた彼の心に、守れなかったことへの自責の念と、烈火の如き個人的な怒りが初めて灯った。
国家を揺るがすテロ計画と、囚われた一人の少女。
巨大な陰謀の渦の中心で、ノクトの戦いは、共和国を救うための戦いと、リナを取り戻すための私闘という、二つの貌を持つことになる。
霧深きレンブラの夜を舞台に、孤独なダークヒーローの、硝煙と哀しみに満ちた闘いが、今、始まる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-12 23:30:33
13340文字
会話率:23%
高校2年生になったヒロシは、3年生の先輩たちが去った文芸部をどのように導くべきか、新入生を誰を受け入れるべきか悩んでいたところ、その基準に対する見解の違いのため、同学年の文芸部員であるモモカと対立することになる。
そして下した決定は、それ
ぞれ選んだ新入生2人に、誰がより良い小説を書けるのか競争させること!
そして、もっと人気のある小説を書いた学生を文芸部に受け入れること!
果たして勝者は誰になるだろうか? そして文芸部の運命は?
この文芸部は必ず私の理想に合う所になってくれ!
私の夢がある場所だから! 私の目標だから!
この文芸部が青春ラブコメの現場になるよう放っておけない!
どんな手を使ってでも私の言う通りだということを証明してみせる!
評価とレビューをお願いします!
星やコメントで痕跡を残してくだされば、私も訪問します。
よかったらぜひお願いします!
読んでいただいて本当にありがたいのですが、痕跡が残っていなくて訪問できないのがとても残念です。
この文芸部は必ず私の理想に合う所になってくれ!
私の夢がある場所だから! 私の目標だから!
この文芸部が青春ラブコメの現場になるよう放っておけない!
どんな手を使ってでも私の言う通りだということを証明してみせる!
評価とレビューをお願いします!
星やコメントで痕跡を残してくだされば、私も訪問します。
よかったらぜひお願いします!
読んでいただいて本当にありがたいのですが、痕跡が残っていなくて訪問できないのがとても残念です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-11 14:39:46
118447文字
会話率:47%
セルマ・エクダルの様子がおかしくなったのは1ヶ月前の17歳の誕生日だった。セルマの家を訪問したビリエルが「誕生日おめでとう、素敵な1年を過ごせるように祈っているよ愛しの婚約者様」と花束を渡して頬にキスをした途端、目を見開き、顔を真っ赤にさ
せると悲鳴を上げて自分の部屋へと逃げ込んだセルマ。その後の妙な行動の理由は「もう一人別な世界から来た人物がいるから」だという。『ログボ』とか『またのご利用を』とか言うセルマから何とか話を聞き出すビリエルに、セルマはなんと結婚できないと言い出す。ビリエルはこの危機を脱することができるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-10 12:10:00
4371文字
会話率:63%
小学4年生のラジオは、亡き母の形見のペンダントを胸に、地球から月への一人旅に出る。月面基地で叔母のマヤを訪ねる途中、不思議な光を放つ石の反応や、天才少女ミヅキとの出会いを経て、月の研究施設「ムーン・ラボ」を訪問する。ミヅキからその石が太古の
月の文明に関係する可能性があると聞かされ、ラジオの冒険は思いがけない方向へと広がっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-07 11:12:55
19600文字
会話率:48%
エルセリア王国の伯爵令嬢オリヴィアは、幼い頃から外交官を夢見ていた。だが、訪問先のレグナス王国で待ち受けていたのは、執着心の強いウィンターガルド公爵令息のローランドだった。
彼はオリヴィアを花嫁にするべく、あらゆる手段で彼女の心を縛り付けよ
うとする。
「君を手に入れるためなら、何だってする――」
迫りくる執着の愛と、自らの夢との狭間で揺れるオリヴィア。
果たして彼女は、望んだ未来を掴み取ることができるのか?
ヤンデレ公爵令息と囚われの伯爵令嬢が織りなす、執着と甘さが交錯するラブストーリー。
※本作は全10話で、すでに全話執筆済みです。5月15日より毎日投稿していきます。最後まで安心してお楽しみください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-06 21:02:32
74785文字
会話率:37%
スーツに高級時計、外車にお姉ちゃんとの飲み会。
絵に描いたような、
「カッコ良い社会人」――新卒の頃に憧れた煌びやかな世界。
ブラック?労働基準法?パワハラ?
関係ない。
夢を掴むためなら俺は何だってやる。
入社初日から昼夜を問わないチ
ラシ配り、アポが取れるまで、受話器はガムテープで手に固定。
駅前で「家買いませんか!?」と叫ぶ広告塔になり、訪問営業では怒鳴られ門前払い。
不動産"営業"が何かもわからないまま、恥をかなぐり捨てて走り回った。
そして――たった"1案件"が、全てを変えた。
気づけば月間売上トップ。
自分では何をしたのかも分からないまま、ボーナス240万円。
その金は、高級時計やオーダースーツ等の高級品、飲み代へと消えていく。
「使った分、稼げばイイんだよ!」
カネは使わないと入って来ない、そう教わった。
次第に知恵がつき、客=カネ、如何に効率よく金を引っ張れるかが肝と学んだ。
宅建業法?そんなの知らねぇ。
自分さえ良けりゃ何でも良かった。
不動産屋は稼いでナンボ。
授かり婚をした妻とは口論ばかり、子供にも愛情が湧かず、家庭はギリギリでも、可愛い愛人が居ればどうでも良い。
それでも社会は動き続ける。
金利上昇、融資審査は厳格化。
買い顧客はこれまで通りの物件だと手が届かなくなり、売却依頼に群がる不動産屋たち。
買取再販在庫は捌けず、
かつての“イケイケ社長”は、
SNSの更新すら止まり――
ある日、海に浮かぶ遺体として発見された。
そして会社は倒産。
営業マンだった俺は、無職になった。
あの時、憧れていた“キラキラ”は、もう欠片も残っていない。
社会の現実に呑み込まれた再就職先を探す男の携帯に一本の着信が届く――
これは、不動産業界の光と闇、
“勢いだけの若者”が辿った、ひとつの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-03 23:28:10
9450文字
会話率:35%
秘密工作員神澤ミズキが正体不明の外国人実業家シスタリヤの経営する学習塾に潜入して半年になる。
社員としての仕事にも慣れてきた四月のある午後、学習塾はサキュバス母さんの訪問を受ける。
入塾相談に来たサキュバス母さんは娘が性に潔白すぎて困って
おり、立派なサキュバスになるよう指導してほしいと頼まれる。
この依頼をビジネスチャンスと見たシスタリヤはミズキに指導を担当するよう命じる。
サキュバス指導とは性犯罪に他ならぬ。
教え子の貞操を守り性犯罪者になることを回避しつつ、シスタリヤの身辺調査を続ける工作員のドタバタを描く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-03 23:02:22
49038文字
会話率:51%
東京都N区立T小学校に勤務していた教師・宮崎 ほのか(23歳)が残した、3年2組の家庭訪問記録。
最終更新:2025-06-02 17:16:13
9934文字
会話率:1%
学生の頃から付き合って4年になる由花と和希は、卒業してから2年も経つと、次第に関係に変化を見せていた。
仕事を理由に会えない時間が、二人の距離を広げている。
ある日、由花は和希の部屋へサプライズ訪問をしてーーー
という浮気絶対NG派の由
花の、手放す恋と、飴の紅茶が結ぶ恋のお話です。
スッキリした甘さの時は一個の飴。
疲れた時には二個の飴。
紅茶に飴はオススメです。
7話で完結です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 07:30:00
20508文字
会話率:12%
夫のモラハラをされるままに受けて、自分を無くしている時に知り合った修二。洋子は彼に期待し、依存し、執着してきたが、やっと現実が見え始める。
キーワード:
最終更新:2025-06-01 14:46:29
2239文字
会話率:0%
丁寧に扱われたことで相手に期待し、依存し、執着してしまった洋子は、その状況を脱しようとする。その結果修二の本性を疑い始める。
キーワード:
最終更新:2024-09-28 23:31:28
6981文字
会話率:7%
偶然出会った修二との短い交流中で、洋子はひとり喜んだり悩んだりして過ごしてきた。修二とはもう会わないということを感じたとき、最後に見た彼の姿から洋子は妄想を膨らませる。そしてすべてを腑に落とす。
キーワード:
最終更新:2024-05-26 07:06:30
1121文字
会話率:0%
インターネットの小説投稿サイト、『ロートフルーフ』に自作の小説作品を投稿していた述瑠(のべる)は13年も活動を続けていた。
しかし、小説サイト内の投稿小説ランキングに掲載されず、サイト利用者からの閲覧数も二桁止まり、感想も貰ったこともなかっ
た。
彼は、『地球警備員』としての仕事をこなしながら、空いた時間で小説の投稿を細々と続けていた。
そんな述瑠の元に、一通の宅配物が届く。
彼が届いた小袋を開けると、中にはリストバンドとお守り、そしてメッセージカードが入っていた。
メッセージカードには、リストバンドを身に着けると良いことが起こる、と書かれていた。
述瑠は宅配物に不信さを覚え、ゴミ箱に捨てようとするが、気休め程度に希望を見出し、リストバンドを手首に巻いてみることにする。
その後、『竜と英雄の社交ダンス』という新しい小説を書いていく。
後日、投稿された、『竜と英雄の社交ダンス』には感想が書き込まれていた。
しかし、ランキングに乗ることはなく、リストバンドの効果を実感できなかった述瑠は腕に巻いていたリストバンドを取り外そうとするが、もう少し藁にも縋る思いを抱きながら小説を執筆し続けた。
更に数日後、述瑠が小説サイトのランキングを眺めていると、低い順位に自分の小説のタイトルが乗っているのを発見する。
利用者の閲覧数は増え、高い評価値を貰えた述瑠はリストバンドの恩恵を感じ始めた。
その後日、小説の続きを書いていると、一人の女性が述瑠の家に訪問する。
彼女は、『楽花純恋(らくばなすみれ)』と名乗り、ロートフルールのランキング上位の作者で書籍化もしていた。
純恋は述瑠への好意と尊敬を伝え、彼の部屋に上がらせてほしいと懇願する。
述瑠は拒絶し続けるも、彼女の熱意に負けて家に招く。
純恋と仲良く会話を弾ませると、いつの間にか一夜を過ごす流れになるが、お互いそれを拒むことはしなかった。
翌朝、述瑠が恒例のロートフルールを眺めていると、自分の作品がランキング上位に上がっていることに驚く。
さらに、作品への感想もたくさん届いていて、困惑する。
また、彼に出版編集者から熱意ある書籍化のメールが届いており、述瑠は初めてのことに不安を覚えた。
しかし、起床した純恋がこれからの事を助けるから書籍化することを強く提案すると、述瑠は笑顔で答えるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 14:28:09
10520文字
会話率:50%
下級貴族の家に生まれた少女は、母の死をきっかけに心を閉ざしてしまう。
彼女は月に一度、暦の十六日にしか人前に姿を見せないことから、『十六夜の姫』と呼ばれていた。
そんな少女が十二歳になった頃、毎月十六日になるとある少年が訪問するようになり
ました。
少年の声や優しさに惹かれた少女。
しかし、ある日を境に少年は訪れなくなりました。
もう彼の事は忘れよう。
そう思っていた時、少女のもとにある客人が来て……。
声を失った少女がある少年と心を通わせるお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-31 17:56:05
1857文字
会話率:19%
〈あらすじ〉
手違いで異世界に転移してしまった主人公 大字律は同じく転移したはずの幼馴染の天城咲と離れ離れになってしまった。
探そうにもステータスがまっさらでステータスお問い合わせをすると、新人のミスである事が判明!
ステータスを直す
ことができず、新人が謎のボタンを押したことで元いた世界に戻れた主人公だったが、なぜか触れるもの全てを壊してしまう異常に悩まされる。
再び異世界で元に戻る方法を探さなければいけない最中、突然の訪問者が現れた!
果たして主人公は異世界に戻れるのか? 天城は見つかるのか!
〈更新頻度:基本的に隔週(金曜日)〉
4話①は11月中旬投稿です。
連載記念企画について詳しくは活動報告などに書きます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-30 18:44:36
54753文字
会話率:40%
中嶋芽実、17歳。アイドルグループの公開オーディションに挑んだが、最終選考で脱落した。オーディション自体がバズったことにより、盗撮されたりストーカーされたりと合格していないのに“有名税”を払わされる日々。一緒に脱落した仲間は他事務所からどん
どんスカウトされていくのに、自分には全く来ない。
夢も自由も失った芽実は心を病み引きこもりになってしまう。そんな時、近所の塾で講師を勤める現役大学生、一ノ瀬蓮が中嶋家を訪問してきた。
「最も短期間かつ確実な方法で、芽実さんの現状を打破する方法を提案いたします。」
高卒認定試験を受けて、現役世代と同じ時期に大学入学を目指すことを提案する一ノ瀬。一ノ瀬が芽実の成功を強く願う理由には、ある秘密があった…
絶望どん底の女子高生×ミステリアス天才大学生による人生逆転ストーリー
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・出来事などとは一切関係ありません。
※同じペンネームで同様の作品をエブリスタにも投稿していますが、タイトルや一部展開が異なります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-27 21:50:00
29083文字
会話率:54%
ある日の夕方、精神科医の男はパソコンの画面から顔を上げ、椅子からそっと腰を浮かせた。
音が聞こえたような気がしたのだ。不審に思い、耳を澄ます。おかしい、診療時間はとっくに終わっているし、最後に戸締りも確認したはずだが……。
男がドアに
目を向けた瞬間――ゆっくりと開き始めた。
驚き、体が硬直する。そのまま目を凝らし見つめていると、そこから現れたのは――
「え、鬼……?」
凝り固まった血のように暗く濃い赤の肌。小便を思わせる濁った黄色い目。汚泥のような茶色い腰布をまとい、身の丈四メートルはあろうかという巨体。そしてその頂点には、鋭くそびえ立つ二本の角。まぎれもなく、鬼である。
しかし、もちろんそんな存在を認められるはずがなく、男は絶望した。とうとう、自分がいかれてしまったのだ、と。
鬼は静かに腰を落とし、その巨体をぐっと屈めて男と目線を合わせると、意外にも穏やかな声で言った。
「どうも、突然の訪問失礼します。私、地獄から参りました」
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-27 11:00:00
3154文字
会話率:46%
とある休日、男が部屋で横になり、ふーっと息をついた。その瞬間、インターホンが鳴った。男はしぶしぶ起き上がり、玄関へ向かう。
「どちらさまで……うわっ、なんだあんた!」
「うわっ、ああ、いえ、私は怪しい者ではありませんよ。えっと、とりあ
えず、中に入ってもいいですか?」
「なんだよ、なんなんだよ、強盗か……?」
「いやいやいや、そんなんじゃないですよ。うわあ、とにかく、さささ」
彼は半ば強引に押し切られる形で、その訪問者を部屋に入れてしまった。彼は訝しがりつつ、男に訊ねる。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-10-22 11:00:00
2113文字
会話率:86%
「あ、どうもこんにちはぁ。わたくし、地球という星から来ました――」
一家に一台。とまではいかなくとも、今や一定の水準に達している家庭なら一台は持っている小型宇宙船。夏休みに他のリゾート惑星へ宇宙旅行するだけでなく、地球内でもスイスイとエ
アカーよりも高い位置にある専用空路で然程、混雑を感じることなく走行可能。
と、一般家庭がそうならば企業、それに属する営業マンもまた宇宙船を乗りこなし他の惑星へ営業に行くのは当然のこと。
「地球から来ました。オーラムテック社のマキノという者です。いやー、ポクル星人の皆様にお会いできて、大変光栄でございます!」
未開の地の開拓というのは営業活動の定石。訪問先の惑星へ事前に小型無人機を飛ばし、彼らの会話つまり言語を収集、分析し翻訳機を介しスムーズな営業活動に入るのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-26 11:00:00
1668文字
会話率:48%
大学生のハルキは、目を覚ますと 異世界にいた。
元の世界に戻る手がかりを探すために、彼は冒険者アヤと共にこの世界の知識の集積地「識府」を目指すことになる。
「あら、珍しい訪問者ね」
知的な女性 エルナ・ルーヴェル との出会いが、
彼の世界を大きく変える。 100年前に突如と現れた魔獣、そして王や貴族のみが信仰される世界
この世界の歴史に刻まれた「真実」が、今静かに揺らぎ始める——。
ハルキは、自分の世界へ戻るために、真実を導き出すことができるのか——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-26 21:00:00
10980文字
会話率:36%