死体に刺さり血に濡れた剣を取るのは躊躇われた少年は、残骸の中から鈍く光るナイフを見付け、手に取った。
赤い液体の中に横たわる両親と、争った末に倒された敵国の略奪者が視界の端に映る。
己がそうなるかも知れない怯えから来る震えで、構えたナイフの
切っ先も定まらない。
少年の家の前で靴音が止まる。
音の持ち主が略奪者に壊され半開きになった扉を蹴り開け入って来た途端、少年は駆け出しナイフを振り下ろした。
腹を目掛けた筈が、逸れて太股に突き刺さる。
侵入者は刺さるナイフを気に止めず、ナイフを震える手で握り締めたまま固まっている少年を抱き寄せた。
「……ッ。」
驚きに身じろいだ少年を離さず、
「すまない。私がもっと早く戦いを終結させられていれば、敵を国に侵攻させる事も無く、君に両親を失わせずに済んだ。本当に…すまない。」
後悔の念で掠れた声で謝罪を述べたのは、この国の、
「…女王、様。」
少年が涙で歪む視線を上げた先には、泥や血に塗れようとも美しい顔に悲しみを湛え、眉根を寄せながら唇を噛み締め、潤んだ蜜色の瞳から雫を零すまいと気丈に振る舞う女王の姿。
涙の代わりか、太股に刺さるナイフを伝い、血が流れ落ちた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-25 00:34:21
5535文字
会話率:53%
寒さに震える男の話です。
最終更新:2014-12-18 23:49:54
1785文字
会話率:13%
多根崎美咲は根暗で孤独な人間ある。一人で家に引きこもり、親とすらろくに会話をせず、本ばかり読んで暮らしている。大学に入って四年間引きこもるぞー! と決意を前向きに入ったものの、ひょんなことから読書会に誘われてしまう。絶対孤独志向、ただし本好
きの人間は、読書欲と孤独欲のせめぎあいにどう対応し、泣き、感動し、転げまわり、震えるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-07 19:02:35
49826文字
会話率:42%
口先しか能のない営業マン、うつ病にかかった学生、恋人に捨てられたフリーター、世界最強の兵士を目指す高校生、拳の砕けたボクサー、戦史家気取りの引きこもりetc。
そんな出会うはずのない彼らが出会った場所は、上下緑の戦闘服を常に折り目正しく
着こなす紳士組織。その中で同じ釜の飯を食い、つらい訓練に耐え、一人が泣き言を言えば全員が泣き言を言う弱小分隊に成長した頃、彼らの教育過程が全て終了した。腕立てをやれせれば10回で震えるひ弱と、腹筋をやらせたらやめろと言われるまでやめない脳筋まで幅広い新兵が誕生した。そんな彼らが配属された先は、首都防衛や島嶼部防衛といった一般的な任務とは一線を画す、異世界防衛軍だった。それまでのつらい訓練から開放されると思いきや、次の瞬間目にした光景は異世界での争いの最前線。しかもそこでの重要な立ち位置を占める部隊にそれぞれ配属されてしまい、これからどうやって生き延びればいいのか各々頭を悩ませる。それでも彼らはこの紳士組織で学んだ「火事場の馬鹿力」という言葉と、鬼教官から学んだ戦闘訓練の内容を信じて今日もまた生き残るために戦場をひた走る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-11-30 21:25:47
2242文字
会話率:14%
雨の日は少しばかり憂鬱だ
どうにも体が融けだして、流されそうになってしまう
剥き出しになった心は冷たい雨に弱々しく震えることしか出来なくて
誰か僕の心に傘をさしてはくれないだろうか?
最終更新:2014-09-05 01:24:15
3157文字
会話率:6%
――どこからか、苦悶にうち震える少女の声が響いている。
薄暗い地下道……地面には今もなお広がり続ける血だまり。そこには例えようもないほど無残に殺された死体が横たわっていた。そんな常軌を逸した恐るべき場所に少女がひとり。
恐れ慄く彼女の前に
醜悪な異形が佇む。ソレは自らを妖精と名乗り、世界を救うためと言って少女を魔法少女になるよう脅迫するのだった。そして命の危機に瀕した彼女は……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-08-19 11:15:38
8788文字
会話率:29%
深夜の車中、ハンドルを握るK(仮名)は、なんとはなしに話し出した。
「そういやさ。この前、こんな風に、夜走ってたら、変な女、見かけちゃってよ」
それを聞いた助手席のY(仮名)がアゴで前方を指し示す。
「もしかして、あんな感じの女か?」
そこ
には、街路灯に向かって立っている一人の女の後ろ姿。
もう夏の盛りだというのに、暑苦しい白いコートを着ていた。
「……あいつだよ」
Kの震える声をたしなめようとして、Yは凍りついた。
視線の先にある、次の街路灯の下に、同じ女が立っていたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-08-05 21:00:00
7025文字
会話率:31%
大嫌いな父が残した手帳。震える文字でメモが添えられていた。
――身勝手なお願いだが、父さんの大事な人に、俺の想いを伝えてほしい――
そして、手帳には一枚の古ぼけた白黒写真と、稚拙な地図、そして暗号化された数字の羅列が続いていた……。
※重複投稿:のべぷろ!、星空文庫、pixiv
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-12 00:48:35
80443文字
会話率:57%
小さい頃から不思議な夢を見ていた女子高生──神童葵。だが、その夢は彼女の運命を、大きく左右する特別な夢だった。
そんなある日、背に黒き翼の生えた二人の男に葵は異世界へと連れ去られてしまう。
何も分からず恐怖に震える葵。しかし、そこへある人物
が現れる。
葵を助けたその人は、彼女の夢に出てきた男性だった──
白と黒、天界と魔界を繋ぐ彼女の物語が始まる…。
※念の為、R15と残酷描写のタグを付けさせて頂きました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-09 23:40:25
105298文字
会話率:37%
「書き出し・締め・一文・お題などにご使用下さい。」より出たお題「①涙が降ってきた」で書きたいとこだけ書いた。もっと胸が千切れるくらいの切なさとか描写出来る力が欲しい。でもシリアスなプロット組めない……。
キーワード:
最終更新:2014-07-09 23:16:05
222文字
会話率:0%
「創作作品用のお題ったー」で出たお題「幼児体型のオトナ 君は来てくれない 震えるのは寒さのせいだ」、三つでも全部でも良いとの事。気付けば「震えるのは寒さのせいだ」を使って何故か微ツンデレなヘタレ男を書いていた。書いてる最中バカップルの|惚
気(のろけ)を聞いてる気分になったが、糖度は無い。表現力欲しい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-03-17 00:45:06
200文字
会話率:25%
「この書き出し/締めいかがですか その壱」で出たお題【 冷やし猫始めました 】で書いた犬猫話。雪の積もった屋根の上、寒さで震える猫。彼の言い分はどうやら【 冷やし猫始めました 】って事らしい。とうとう犬猫話でまでツンデレ書いちまった……。
俺は風邪じゃない何かまでこじらせてるっぽい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-12-17 00:10:27
200文字
会話率:13%
私の兄には、放浪癖があります。
その為に騎士団も辞めて、フリーの猟師を自称する兄が帰ってきました。
「……おかえり、兄さん」
「ただいま、リズ。今日はオオカミ鍋だ!!」
…………兄さん、これ私にはオオカミに見えないのだけれど。
そんな
少女を巡る日常譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-06-18 15:48:14
9742文字
会話率:13%
悪意っていうのは、自分の享楽のために、他人を踏みにじるような意思のことだ。
それは例えば、無邪気に笑って蟻を殺す子供とか。
あるいは、震える妹を押さえつけて眼球を穿り返したアイツとか。
——————
この世のすべての学問を集めた、ウェル
ディア大陸・カルノトーツ国の領地に存在する学問の最高峰、ディルセリア魔法学園。
その学園で罪悪感を抱えて生きる少年、ロイ・レアード。
歪な人間関係の中で苦悩する彼が出会うのは、一人の少女の死と謎だった。
ファンタジー×ミステリー 第一作目です。
(4部分まで改稿済み)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-05-05 01:00:00
167812文字
会話率:46%
「来て」
夜11時過ぎに、いきなり電話がかかってきた。しかも一言だけ。
だが、それはしょっちゅうの事で、最早その一言だけで「ああ、また呑んでいるのか」と察していた。
「呑んでいないと手が震える」等、アルコール中毒と思わしき発言を
度々している上、酔っ払ったら何をしでかすかわからない憐。
そんな憐を心配している美樹は、その日も憐の家へ行く事にしたのだった。
アル中な憐と、ツンデレな美樹のお話。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2014-04-07 21:09:30
3840文字
会話率:25%
幼馴染みの女の子と男の子のお話。
キーワード:
最終更新:2014-04-04 21:51:47
441文字
会話率:27%
「ねぇ、ミカちゃん。マネキンになってもらえない?」
突然姉が言い出した願い。それは、ショーウィンドウの中でマネキンの代わりになる事だった。
普通を愛する私、一ノ瀬ミカは、そんな普通とはかけ離れたバイトをする事に!
しかも、姉の店とは
、ロリータファッションのお店で――。
※※普通好き主人公を中心に、お嬢様や執事、生徒会長や鬼畜なオカマさんなんかが入り乱れての痛快どたばたコメディー!
※※【本編完結済み】現在、番外編や特別編などを掲載中。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-02-22 00:00:00
602956文字
会話率:40%
――あなたが、わたしの。
マスターです、と震える声で彼は言った。その背後に広がる壮絶な風景すら味方につけて、美しい彼はそう言ったのだ。わたしはあなたのモノです、と。そのおかしな告白を、わたしはただ現実逃避のために受け入れてしまった。それがど
んな意味を持つかも知らずに。
荒廃した世界を舞台に、少女と<出来損ない>の少し歪な恋物語。
※少しホラーでグロテスクな描写が多い可能性大。苦手な方お気を付けください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-02-09 10:10:58
2122文字
会話率:25%
「こわいよ助手さん。私、いつかひとりになっちゃうの?」
……ほら、やっぱり。
「私は、ロボットだから。ロボットは、歳をとらないから」
無理やり作った笑顔が、あまりにも痛々しくて。かける言葉も見つからず、どうしていいのか分からない僕は、ただ
無言で微かに震える細い肩を引き寄せる。
彼女はこんなに。
……こんなに、温かいのに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-01-04 20:13:18
2267文字
会話率:55%
「わたしはおにいちゃんがいてくれるだけでうれしいよ」
病弱な“妹”小春とそれを支える“兄”大輔。
「俺はただ、お前が寂しいんじゃないかって、思ったから……」
閉じた部屋に他人が入る時、何が起こるのか。
最終更新:2013-12-28 20:15:08
2077文字
会話率:51%
彼女はゆきだった。自身を溶かしてしまいそうなほど温かい心を持ったゆき。
抱きしめたら、溶けてしまわないだろうか?
奇妙な音と現れた男女、頼み事はその女の子を“育てる”事だった。
何もかもが違う二人の、ともに成長するラブストーリー。
最終更新:2013-12-17 00:12:59
6803文字
会話率:20%
「今日も死神急行ゆめざる号にご乗車いただき、ありがとうございま~す♪」
彼女の悪夢に現れた謎の列車『ゆめざる』号。駅に停車する度に様々な形で息絶える乗客は、現実世界でも次々に命を落とし続けていた。そして、とうとう恐怖と絶望に震える彼女の番に
なり……。
【補足】別サイトにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-12-05 15:00:00
3737文字
会話率:21%
『虹を架ける人』続編。優しくて意地悪。色っぽい恋人に溺愛される日々――「神様は、どこにいるの……?」――甘やかなくちづけに、切なくも愛おしい想いが募っていく。奏ちゃんのライバルも現れて一波乱? 生命について描いた心震える純愛物語。(※モバス
ペにも同作品を公開しています。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-11 22:10:08
95545文字
会話率:38%
優しくて意地悪。色っぽい幼なじみと過ごす、甘美な夏休み。「おれは限界なんだけど」――優しい囁きに、涙ぐんでしまう――大切に育まれていく恋、心震える純愛物語。(※モバスペにも同作品を公開しています。)
2014年5月、たくさんの方の力添えに
より単行本として出版することが叶いました。全国書店とインターネットで発売中です。
書籍のほうは校正を重ねているので、投稿サイト(ここも含めて)に置いているものよりクオリティーに〝若干〟の差があります。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-09 00:59:06
79079文字
会話率:40%