誠二郎に縛り上げられた庄助だが、安五郎は、誠二郎と示し合わせたようではない。安五郎は、誠二郎に探りを入れるような口ぶりだ。
庄助は、二人の会話の中に、誠二郎の素性を知る。誠二郎は拝田の神隠しに加わっていた。その子供らが消えたと誠二郎は言い、
何としても子供らを取り戻したいと言う。
あんたとの相方仕事は終わった、そんな話は昭暝に聞けと、安五郎は言う。何度出向いても昭暝には会えない。だから、あんたに頼みに来たのだという誠二郎に、着いてこいと安五郎は言って、庄助の脇に積まれた座布団に火を放った。
もうだめだと諦めかけた庄助に、玉助が助けに来る。庄助は、玉助のまだら技によって、朝熊山に辿り着く。
不意な攻撃によって、玉助が倒れ、庄助は必死に安五郎の攻撃を避ける。だが、安五郎は手練れだ。間一髪のところを、何者かが襟首を掴んで引っ張り上げた。死んだはずの素間が生きていた事実に、庄助は涙を流す。
死んだと思った玉助から、昭暝は誠二郎を殺るつもりだと知る。素間の調べに拠れば、昭暝は伊賀者であり、伊賀の後継者不足に、神隠しを企んだのだ。誠二郎の相方のふりをして、神隠しの童をそのまま横取りするつもりだ。
こんどは、木隠れの術で身を隠した素間と庄助は、安五郎と、誠二郎のやりとりを盗み聞く。誠二郎は、国元の若君のため、拝田の童に代理水垢離をする予定で、童らを集めたのであった。もちろん、水垢離が済めば村に返すつもりだ。そして、昭暝は朝熊山に探し物があり、それは素間と関わり深いものだと知る。
童の居所は知っている、取引をしようと誠二郎に持ちかける安五郎に、誠二郎は断ると言い放つ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-28 16:21:15
15709文字
会話率:38%
素間を失った庄助は、気力を失ったまま興行に出る。
火事で死んだはずの庄助が、生きていたと間の山は大騒ぎとなる。庄助の無事を喜んだ松右衛門から、大杉の主が、庄助の葬儀を出すと、騒いだ事件を知らされる。前代未聞の大騒ぎを訝った松右衛門は、庄助の
父親は、幸福家の四男ではないかと告げる。
小屋を失った庄助は、太兵の使っていた小屋へと足を向ける。村の巫女、美月の手で浄化された小屋で、素間、太兵を偲び、美月を想う。
御座へ戻るようにと、庄助を迎えに来たおこうは、太兵が使っていた小屋の一帯に残る、鬼子母神、お花の怪談で庄助を怯えさせる。怖がる庄助だが、あれはただの噂話だと、自らに言い聞かせる。
眠れない庄助は、筵を捲って小屋に入ってきた影に悲鳴を上げる。影は庄助の悲鳴に驚いて出て行くが、天井からぶら下がった髪に、庄助は肝を潰す。
美月との関係は許さないと、騒ぎ立てながら、母は庄助に迫る。
男の精を吸い尽くす鬼子母神お花と、庄助の精を求める母は、庄助には、どっちもどっちの化け物にみえる。
呼び出しのかかった母に従って、庄助は、村の集会場に出かける。呼び出しは、村の大事に、主たる村人を集め、主様のご意向を覗う集会だ。
各々に色の混ざり合った衣に身を包み、面を被った集会に、初めて参加する庄助は目を見張る。庄助は、玉家の中に美月の姿を探すが、美月はいない。気落ちする庄助をよそに、母は玉家のおこんと、言い合いを始める。剣呑な雰囲気の中、村長は、美月が神隠しにあった、明日から、間の山は物忌みに入ると告げる。
太兵、素間に続き、美月までをも失っては、生きていけんと、庄助は村を出る。とにかくにもまず、件の仲間を当ろうと、浦口大夫の邸を見張る。ところが、浦口大夫は極悪人で、素性がばれて夜逃げをした後だった。庄助にそれを告げた印地打ち誠二郎は、共に浦口邸に忍び込もうと誘う。
誠二郎は信用ならんと思う庄助だが、忍び込んだ邸で血の跡を前に、おそらくは殺された、浦口邸の手代、駒次郎に手を合わせる誠二郎の姿に、気を許し始める。誠二郎は、駒次郎の女から頼まれて、駒次郎の無実を証明する品を探しに来たのだという。
自分は悪党ではないと、庄助に訴える誠二郎の話に、耳を傾ける庄助は、近寄る気配に気を取られた隙に、誠二郎に刃物を突きつけられる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-28 10:00:00
29473文字
会話率:31%
お互いの素性のみならず、自らの過去さえその記憶から失われた三人、剣士の馬飼野剣士、魔法使いの筑前屋庄左衛門そして軽業師の小川ゆかりは、導きの神の言葉に従い未知なる世界への旅を続けることになるのだが……。
最終更新:2021-05-28 08:00:00
75892文字
会話率:73%
魔法も科学も異能も権能も技術も全てを内包した異世界の都市、中心から離れた所に便利屋という店がある。
主業務、何でも屋。裏業務、殺し屋。
そんな店に一人の少年が働いている。住居不明に素性不明、オマケに記憶喪失で出自不明の異能力持ち。餓死
寸前の所を便利屋の主に拾われた彼は、本日も主の少女へ尽くす為、日々依頼をこなしていた。
しかし、ある日彼が遂行した依頼を皮切りに、都市全体を引っ括めた事件に巻き込まれてしまう――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-27 00:58:03
270288文字
会話率:38%
聖女アリアによってぽっちゃり魔王は討伐された。
と思われたが、そのぽっちゃり魔王は死んだフリをしていただけだった。
しかし魔王城からの帰り道、異世界からやってきたと思われる女子高生のせいで死んだフリがバレてしまい、なんでもしますと命乞いをし
た結果、魔王という素性を隠して一緒に世のため人のため善き行いをするはめになってしまう。
だが実のところ、ぽっちゃり魔王はなにをやってもダメダメな、ダメダメ魔王だった。
ところがなぜか事あるごとにラッキーなことが起き、素性を隠すためにオークの仮面をつけた魔王は、図らずも『オークヒーロー』と呼ばれることとなるのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-26 04:54:35
8347文字
会話率:90%
彼女が目を閉じて開けた瞬間、彼女と目の色と同じくその人達の運命も変わる。
どうしようもない悩みを抱えた人がいる。どんなにもがいても走り回っても落ち込んでも糸口さえも見つからない。
そんな時その人はレモンに導かれ彼女に出会う。
少し街か
ら離れた静かな場所に、小さくて古い白い家がぽつんと建つ。
その小さな白い家の小さな庭には通りからも見える大きなレモンの木がある。
そのレモンの木には一年中、季節を関係なくたくさんの実がなっていた。
そこには小柄で大きなメガネをかけた、白いワンピースとサンダルがよく似合うゆみこが住んでいた。
人懐こっくて好奇心旺盛で黄色い自転車が愛車な彼女。
それ以外にゆみこの素性はよくわかない。
彼女とレモンの木は人々を不思議な世界へと連れて行き、悩みに一筋の光を照らす。
「レモネードはいかがですか?」
もし、あなたがレモネードを勧められたら次はあなたが不思議な世界を体験する番なのかもしれない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-19 19:11:02
30222文字
会話率:50%
主人公イリ・ジウムは、世間でも比較的有名な賞金稼ぎ。
ただし、イリの素性を知る者は限りなくゼロに近い。
それと言うのも、イリには性別の概念がない。
その為、ある者は端麗風靡な女性と表現する者がいれば、屈強な肉体を持つ青年と表現する
者もいる始末。
どちらが真実なのかは一切不明だった。
そんなイリが賞金稼ぎとして新しい標的を定めた相手は、大規模な奴隷商人の元締めであった。
激闘の末に元締めを捕縛し、その日も賞金を手したイリであったのだが……捕まっていた奴隷に何故かニイガの姫君であるルミ様がいた事が、イリにとって運のツキになろうとは、この時は気づかなかった。
ここから始まるファンタジー。
三位一体小説の三番目ですが、三作目ではないので、ここから読めます。
他にも二つあるので、良かったらどうぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-17 20:00:00
2342076文字
会話率:21%
恋人からの暴力に傷つく私が、ある晩偶然に出会ったのは、名前も教えてくれない年下の男の子だった。
彼の秘密と恋人の執着に怯えながらも、惹かれていく心は……止められない。
あなたは誰ですか。
どうして私の前に現われるの。
私のこと、
本当はどう思っていますか……?
厳しい状況の中、不安に怯える心は次第に彼でいっぱいになって……
【あらすじ】
恋人の過度な束縛から、ようやくのことで逃げ出した夜――真実は夜の街で不思議な少年と出会う。
誘われるままでかけた真昼の海で、今の自分はどれだけ苦しい状況なのかを再認識する。
毎日ふらりと真実の前に現れる少年は、素性はおろか名前さえ教えてくれない。
『海』と名付けた彼と過ごすうち、真実は失っていたものを一つずつとり戻していく。
大学生活、将来の夢、家族との絆、友人たち――。
ただ一緒にいることが楽しくて、幸せで、この日々が続くことだけが望みなのに、周囲には常に不穏な影がつきまとう。
「明日また」という小さな約束だけで、他には何も確証がない海との関係も、時折とても調子が悪そうな彼の様子も、真実を不安にさせる。
大きな秘密を抱えているらしい海の事情に、気づかないふりをして、それでも無視できなくて――。
葛藤を越えた先で手に入れた答えに、真実が得るもの、失うものとは――。
※『それでもキミに恋をした』の真実視点です。
個別にお楽しみいただけますが、あわせて読んでいただけば、それぞれの心情がより理解できるかと……
よろしくお願いいたします。
※ この作品はカクヨム、アルファポリス、エブリスタ等他サイトにも重複掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-14 21:00:00
224287文字
会話率:22%
王立シェーナ魔法学校に入学することになった、辺境の地の令嬢、フューネ・ニューウェースト。
自分は人気があって顔の良い兄達とは違ってブス。
そう信じている彼女はその見目を見せないように伊達眼鏡、カツラを付けることに。
しかし、実際は傾国の美女
と言われてもおかしくないほどの美貌の持ち主だった。
うっかり変装を解いている際に会ってしまったシェーナ王国王太子ナバル・シェーナと隣国レイナハルン皇国皇太子ザーク・レイナハルンはフューネに一目惚れし、手に入れたいと思う。
フューネは兄達の言いつけ『知らない人に名前は教えない』を守っているため、素性が分からない。
恋愛にうつつを抜かすよりも戦闘スキルをあげることの方が好きで、将来の夢は騎士になって国を守ること。
女が騎士になるなど、という風潮の世の中で何とかして騎士になろうとあがくフューネに降りかかる、先祖フェルリーナと超大国オルテーガの因縁。
フューネは騎士になれるのか……そして、恋は実るのか……?
※矛盾点等ありましたらお気軽にコメントお願い致します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-11 21:35:57
54049文字
会話率:39%
普通の会社で働く主人公の玲美と同じ部署で働く真也の恋愛。真也の素性は誰も知らず、謎に包まれた男である。この2人はなぜ恋愛に発展したのか、玲美は真也のどこまでを知ることができるのか。
最終更新:2021-04-25 11:35:51
831文字
会話率:20%
雪女の末裔である秀一には、コントロールができないことがあった。
それは、凍るように冷たい唇の温度を調節できない。
「秀一くん、私のことどう思ってる?」
秀一には、咲希という中学の頃から付き合っている彼女がいる。
だが、最近二人の仲
が悪くなっていた。
唇が触れることにより、雪女の末裔であることを知られたらと、秀一から拒絶してきたのだ。
「正直に言ったらどうだ。俺は雪女の一族だって」
親友で、口裂け女の末裔でもある亮輔に促されるが、秀一は決断できない。
雪女の一族の掟は厳しく、もし人間に自身の素性がバレた場合、知ってしまった人間を殺すか、あるいは一族に無理やり入れるしかない。
そんなある日、雪女の一族である麻美が、咲希の前に現れた。
麻美は、大好きな秀一に振り向いてもらうため、存在を疎ましく感じていた咲希に、雪女の末裔について話してしまう。
麻美の策略で、素性が知られてしまった秀一は、決断をすることになる……。
©Fortuna 2021
※エブリスタのコンテスト(妄コン「冷たいあの人」)用に書き下ろしました。
※この作品は「エブリスタ」「note」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-19 19:56:36
3456文字
会話率:43%
碧乃 灰瓈は隠キャに生きる学生。
高校デビュー!をするわけでもなく、自分は今までと変わらず高校生活を謳歌すると決めていた。
つまりは、普通に生きようとしていたが、あるトラブルが発生してーーー。
『カイリ』は人気のYou to bar(ユー
トゥーバー)である。
彼の顔と声に堕ちた女性は数知れず。
しかし、彼の素性を知るものはいない。
しかし、あるトラブルが発生してーーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-15 16:04:09
925文字
会話率:0%
時は平安。美姫と名高い姫ぎみの元に、素性の知れない男が夜な夜な通うのでした。
最終更新:2021-04-12 00:30:04
3366文字
会話率:37%
100年も大戦が続くこの世界で、争いのない楽園があると言う。そこに行くには1000万ゴールドを支払えばその資格を得られると聞いた。
俺と相棒のミアは軍籍を離れ賞金稼ぎとなり、まだ見ぬ楽園に思いを馳せる。
簡単な事だ。
俺は大戦の生き残り
元特殊部隊大尉で狙撃の名手、相棒は金髪碧眼の……素性は知らないが狙撃の腕と歌は一流だ。
賞金は、対人は一人1万ゴールド。汎用車両10万ゴールド、戦闘車両……
楽園入りを目指す遥かな旅が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-27 10:30:28
70290文字
会話率:35%
馬車に揺られ到着したのは、この国の頂点。
今日からここでメイド見習いとして住み込みで働くことに。
自分の過去も、素性も、全て隠して生きて行く。
それが私の…この国の未来のために。
そう思っていたのに…!
「一生に一度の願いだ、私のために死
んでくれ」
「死んだら次はありませんけどね!?」
目の前の男性が言ってのけたのは、とんでもない言葉だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-16 22:00:00
15652文字
会話率:40%
調香師の春子は洋装の青年、子槻に妻にと迫られる。
春子はまったく心当たりがなかったが、いくつかの困難を乗り越え、子槻の助力で香水の店を出せることに。
子槻の素性や気持ちが分かり距離が近付いてきたところ、春子の事情でふたりは決定的にすれ違
ってしまう。
子槻は「もう二度と君の前には現れない」と残して姿を消してしまうが……。
※話数は多いですが、一話あたりは短めです折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-12 20:00:00
118961文字
会話率:42%
クラスでは縁の欠片もない都《みやこ》と勇利《ゆうり》は、共通の趣味からTmitter《ツミッター》で知り合う。互いに素性を知らないままだったものの、何か似たものを感じた二人は段々と惹かれあっていく。
最終更新:2021-03-11 00:56:21
2023文字
会話率:63%
素性不明の自由奔放なシキさんと、人を見ると何かしらの背景を考えてしまう僕。
そんな二人は朧月夜に小さな公園で出会う。
四季が過ぎ、そこに残るものとは。
四話のほぼ短編みたいな小説です。
感想頂けたら嬉しいです。
最終更新:2021-03-08 21:20:41
3827文字
会話率:24%
――――――――ずいえき。これは、ニコニコ生放送における配信者の1人の名である。ニコ生の未来を担う彼について、あまり存じない方が多いことだろう。しかし、彼について調べていくと、いくつもの不可解な点があることが分かる。それは、過去や家族のこと
をあまり話したがらないことだ。4年間、配信を続けていて、まだ何も彼の素性について明かされいていないのだ・・・・・。もしかしたら、彼は壮絶で、我々の想像を絶するような過去が背景にあるのかもしれない。
――――――――この物語は史実に基づいた完全2次創作です。実在の人物や団体などとは関係ありませんが、ナマポは本当です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-03 00:00:00
2491文字
会話率:33%
主人公の如月は、休日になると死に場所を探し、さまよっていた。
そんな中、ある有名な観光スポットを訪れた時、一人の女性、小野寺から声をかけられる。
「なんで、あなたは死にたいの?」
如月は、急な声掛けと、自分の目的を知っていることに驚き、小野
寺から遠ざかる。
しかし、行く先々で、小野寺は如月の目の前に姿を現し、如月の真意を聞こうとする。
そんな中、如月も彼女の素性が気になり、詮索し始めるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-28 16:47:24
2643文字
会話率:68%
「_______________見ていろ。お前の仇は私が討つ」
それはとある少女の死から始まる。
かつて人間を脅かした魔族の王である魔王はとある勇者に討伐、封印された。
不老不死であった魔王は死ぬこともままならず、封印の神殿で退屈な日
々を過ごしていた。
だが、封印されて500年が経ったある日、そんな退屈な日常に終止符が打たれる。
魔王を封印した勇者の子孫である少女が友人になろうと会いに来たのだ。
魔王は渋々承諾するもそれから数年、少女と共に退屈とは程遠い日々を過ごした。
だが、そんな充実した日々は少女の死によって、数年で終わりを告げる。
原因不明の死。
少女暗殺の依頼。
依頼主である勇者の親族。
そして魔王復活を謳う魔族の軍。
魔王は少女の身体を乗っ取り、彼女を殺した犯人への復讐を誓う。
これは憎と情に塗れた魔王の物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-28 00:06:50
400574文字
会話率:51%