お盆の初日、大学の友人との飲み会の帰り道、律子は終電ギリギリの電車に乗り込んだ。酔っ払った頭で各停電車に揺られていると、普段は気にも留めない小さな駅の『野三谷駅』が、『飲み屋駅』に変わっていた。「なにこれウケる」と思わずホームに降りた律子は
、駅の端が赤ちょうちんが並ぶ飲み屋街になっていることに気づく。ふらふらと吸い寄せられるように屋台が並ぶ方へ足を進めると、そこにいたのは律子が小さい頃に亡くなったおじいちゃんだった。おじいちゃんはお盆の初日だというのに、なんでこんなところで酔っ払ってるんだ。自身も酔っ払いのテンションで、律子はおじいちゃんを家まで引っ張っていった。
生前は酔うと手がつけられなくなっていたおじいちゃんは、いまだに律子の家に大きな爪痕を残している。夫婦とは。家族とは。完璧ではない、愛の形とは。お盆の期間限定のちょっとした非日常。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-18 23:50:00
25800文字
会話率:35%
都内のとある駅前に、どこにでもありそうな古ぼけた雑居ビルがあった。
その地下一階は、閉店している店も多い、寂れた飲み屋街である。そのさらに奥へ進むと、ダンボールや清掃用具などが無造作に置かれた袋小路に突き当たる。
その袋小路の左手の
壁に、夜の間だけ、さらに地下へ続く階段が現れる。
それが、どういうトリックなのかはわからない。
とにかく、昼間は薄汚れた白い壁があるだけの場所が、夜の間だけその壁が消えて、階段が現れるのだった。
もちろん、そのビルには、本来地下二階など存在しない。
しかし、確かに階段は存在し、薄暗いその階段を下りると、弱弱しく光る腰ぐらいの四角い看板が現れる。
その看板には【異世界案内所】と書かれていた。
上の方に、手書きで「ミザリアの」と書き加えられている。怪しい緑色の煙も漂っているが、不思議と嫌な香りではない。
その看板のさらに先に進むには、天井から吊られた黒に近い紫色の布をくぐらなくてはいけない。その布は光沢があり、分厚い高級な緞帳のような布だ。
その布をくぐると、漂っている煙の元であるキセルを咥えた、女性の姿が現れる。
先ほどくぐった布と同じ色のとんがり帽子を被り、マントを羽織ったその姿は、まさに絵に描いたような魔女の姿だった。右手に持っている細長いキセルも、杖のように見える。
肩の辺りには、薄っすらと光る妖精のような生き物が音も立てずに飛んでいる。
「あら、いらっしゃい。初めての方かしら? 私はここで、異世界への永住希望者を探している者よ。この場所に辿り着いたという事は、貴方にはその資格があるという事ね」
金色に輝く長い髪をかき分け、薄い緑色の煙を吐き出しながら、その魔女は言う。
「さて、まずは貴方のお名前を聞かせてもらえるかしら?」
魔女は客人の目を見て言う。怖いような悲しいような、冷たい微笑みを浮かべて……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 03:00:00
16842文字
会話率:48%
都内のとある駅前に、どこにでもありそうな古ぼけた雑居ビルがあった。その地下一階は、閉店している店も多い、寂れた飲み屋街である。そのさらに奥へ進むと、ダンボールや清掃用具などが無造作に置かれた袋小路に突き当たる。
その袋小路の左手の壁に
、夜の間だけ、さらに地下へ続く階段が現れる。それが、どういうトリックなのかはわからない。
とにかく、昼間は薄汚れた白い壁があるだけの場所が、夜の間だけその壁が消えて、階段が現れるのだった。
もちろん、そのビルには、本来地下二階など存在しない。
しかし、確かに階段は存在し、薄暗いその階段を下りると、弱弱しく光る腰ぐらいの四角い看板が現れる。
その看板には【異世界案内所】と書かれていた。
上の方に、手書きで「ミザリアの」と書き加えられている。怪しい緑色の煙も漂っているが、不思議と嫌な香りではない。
その看板のさらに先に進むには、天井から吊られた黒に近い紫色の布をくぐらなくてはいけない。その布は光沢があり、分厚い高級な緞帳のような布だ。
その布をくぐると、漂っている煙の元であるキセルを咥えた、女性の姿が現れる。先ほどくぐった布と同じ色のとんがり帽子を被り、マントを羽織ったその姿は、まさに絵に描いたような魔女の姿だった。右手に持っている細長いキセルも、杖のように見える。
肩の辺りには、薄っすらと光る妖精のような生き物が音も立てずに飛んでいる。
「あら、いらっしゃい。初めての方かしら? 私はここで、異世界への永住希望者を探している者よ。この場所に辿り着いたという事は、貴方にはその資格があるという事ね」
金色に輝く長い髪をかき分け、薄い緑色の煙を吐き出しながら、その魔女は言う。
「さて、まずは貴方のお名前を聞かせてもらえるかしら?」
魔女は客人の目を見て言う。
怖いような悲しいような、冷たい微笑みを浮かべて……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-25 01:08:44
13182文字
会話率:47%
「赤提灯だ。」
広告代理店営業2年目・月見 美郷は、
仕事帰りにあやしい飲み屋街・
テッペン横丁を見つける。
そこは「あやしいひと達」と呼ばれる
かつての「妖怪達」御用達の飲み屋街だった。
テッペン横丁の居酒屋「大江山」と
その店主
・酒田 冬至に出会い、
月見はよく冷えたお酒と
美味しい居酒屋飯に癒される中で
自分自身のことを見つめ直していく。
●この作品は、ノベルアップ+、ノベマ!、Berry's Cafe、野いちご、pixivでも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-23 23:30:41
29827文字
会話率:30%
商店街の路地を一つ曲がると見渡せる飲み屋街。カウンター席のみの飲み屋。高志とさくらの違和感。二人の視線の先に見える者とは。
最終更新:2023-05-08 21:00:00
936文字
会話率:41%
飲み屋街を管轄する警察署内で起きる酒に関する事件をまとめた短編小説
キーワード:
最終更新:2023-01-06 13:00:45
4405文字
会話率:71%
レジーは冒険者ギルドに勤務する職員。冒険者は粗暴な者が多く、暴言や暴力など日常茶飯事だ。特に、冒険者にランク降格の知らせをすれば、大抵暴力がとんでくる。レジーは素行が悪く降格した冒険者のドスキンに殴られた。大事をとって医者に行って早退した。
ドスキンは酒を飲みに飲み屋街にくりだした。だが、そのドスキンは思わぬ結末を迎えてしまうことになる。
この小説はカクヨムとノベルアップ+にも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-27 16:47:04
30736文字
会話率:37%
「運命なんて、嘘っぱちだ」
高校時代、両思いだったはずの幼馴染は別の男と何処かに消えた。それから俺はすっかり恋愛から足を洗い、日々を勉強と仕事に費やしてきた。充実はしているが、何かが足りないような気がする日々。ある冬の日、俺は飲み屋街の
一角で偶然、女子高校生が酔っ払いに絡まれているのを見つける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-27 01:02:08
14449文字
会話率:46%
コロナは社会を変えている。
なかでも飲み屋街はその波をモロにかぶっている。
Uターンした生まれ故郷も例外ではなかった。
(この作品は「カクヨム」にも掲載しています)
最終更新:2022-08-08 12:41:08
854文字
会話率:23%
空腹に耐えかねた会社員の後藤は、よく訪れている飲み屋街に、知らない店があるのを発見する。
不思議がって中に入ってみたが、奇妙奇天烈なメニューを提供される。
空腹というのもあり、後藤は渋々その店で食事をすることにした。
最終更新:2022-06-11 03:40:13
1276文字
会話率:49%
堺県立大学に通う女子大生・蒲生希望は、ゼミ友である台湾人留学生の王美竜から晩酌に誘われる。
金欠気味の蒲生が誘いに乗ったのは、「私にかかれば実質150円で晩酌出来る」と豪語する美竜の自信に満ちた一言だった。
実質150円の晩酌。
この無理難
題を実現するのは、酒好きな美人留学生の持つ知識とテクニックだった…
※ 本作品は、家紋武範様主催の「知略企画」参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-22 11:25:05
4913文字
会話率:29%
夜の町。店頭でお客さんを手招きして呼び込むバイトをしていた僕は、修羅場に巻きこまれて、苦痛とともに意識が暗転。
さあ、ここからはお約束の異世界転生。華々しく生まれ変わったかと思えば、冒険者と戦闘中。
地面からにょっきりと生えている、どろどろ
した右手の形状をした魔物。
それが僕。
転生先でも、手招きで仲間を呼び込みするみたいです。
解せぬ。
そうこうしてたら、店を経営している髭もじゃのおじさん、元英雄のゼクトルーゼンさんに餌付けされて、そこでもやっぱりお客を呼びこむ仕事を振られることになりました。
人間の町で暮らしていくうちに、失っていた過去を取り戻してく主人公の物語。
全13話。12/11より、2~3話ずつ毎日更新。
**********
簡単に言うと
飲み屋街で客引きしてた男が異世界転生したら、マド○ンドになって仲間を呼んでいた
です。出オチです。
投稿先:エブリスタ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-14 20:03:17
50147文字
会話率:32%
ほぼ毎週のようにお酒を求めて飲み屋街”分町”に繰り出していた社会人、カズヤは往き付けのバーでお酒を嗜んでいた。会社や上司への愚痴に元彼女への愚痴。時間もお酒も進み、最高潮に達した頃、ひとりの綺麗な女性が入店する。一目ぼれしたカズヤは、お酒
の酔いと失恋から勢い余ってナンパしてしまう……。
お酒に任せて行動するのは良くないと思いつつ、分町の夜へ歩き出す。
そんな始まり方をする夜の冒険活劇もあっていいよね。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-15 22:54:41
4263文字
会話率:31%
ラーメンの上に油揚げを乗せた、狐ラーメンを提供する店がある。猥雑とした飲み屋街にひっそりと建つその店は、知る人ぞ知る名店だ。私は、グルメな後輩に連れられて狐ラーメンを食したが、美味しさに驚嘆する。翌日、この店の秘密を知ることになるのだが……
最終更新:2020-08-30 17:05:21
2193文字
会話率:62%
俺の利用する駅周辺の飲み屋街は、必ず23:00には閉店する。
終電は23:30頃。
24:00を過ぎたら、誰も居なくなる。
店の明かりが消えて、ポツリポツリとある街灯の明かりだけになる。
今日は珍しく、たくさん飲んだので、ゆっくり歩いて帰
る俺。
あと少しで踏み切りというところで、無情にも、遮断きが降りてしまう。
俺の住むアパート、この踏み切り越えなきゃならないんだけど……。
夏のホラー2020参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-27 23:00:00
1494文字
会話率:5%
きらびやかな飲み屋街から外れた、とある小さな居酒屋。
客のおっさんと店主の女性の何気無い一幕。
最終更新:2020-06-22 17:26:24
1109文字
会話率:73%
男は飲み屋街の一角に『人生レンタル店』と、なにかしら怪しげな店があることに気がついた。その店に入ると……。
最終更新:2020-06-17 06:08:46
2492文字
会話率:39%
飲み屋街の一画。その晩いつものように、オレはその四つ角のひと隅に立っていた。すると、酔っぱらった刑事に声をかけられる。オマエはぼったくりバーのホストだろう、被害に遭った客がいるんだ、そこへ案内しろと……。
最終更新:2017-01-08 06:17:51
3237文字
会話率:50%
飲み屋街を見てふと思ったことです。
皆さんには「無邪気さ」がまだ残っていますか?
最終更新:2020-01-20 00:00:00
496文字
会話率:34%
『スクランブル選挙』
佐久間(さくま)オミトは、高校二年の夏休みに家業である祓い屋を継ぐための修業を始めることになった。しかしなぜか最近、闇市に関連した未練を持つ霊が多くなり、オミトの父は霊の相談内容が理解できずに苦心していた。この日に
相談に表れた浮遊霊・神田(かんだ)千佳子(ちかこ)も闇市に関係した未練を持っていた。神田によると、昔この街で開かれた戦後初の選挙に落選したことが心残りで成仏できないのだという。彼女を成仏させるために調査を行うことにしたオミトは、闇市の痕跡が残る飲み屋街で一人の少女が倒れているのを発見する。その少女には神田千佳子と同じく、右腕に「AAF」と象られた傷跡が刻まれていた。少女は赤川リルと名乗った。リルは女子高生でありながら闇市や戦後史に詳しく、オミトはリルに協力を要請する。
『大を兼ねぬ小』
闇市街のラジオ焼き屋に来たオミトとリルは、そこの女将から闇市街で流れる噂話を聞かされる。最近闇市街ではなぜか路上に小銭が置かれ、しかも金額が増減するのだという。次の日、西野という女性が事務所に訪れる。西野さんは、旦那が突然夢遊病を発祥し、夜のうちに行方不明になってしまったと話す。写真に映る旦那さんは、昨日オミトが闇市街で見た、路上に小銭を置く怪しげな男と同一人物だった。 『だれかリルを知らないか』
事務所にリルの母が現れ、自宅がポルターガイストの被害に遭っているという相談を受ける。オミトは闇市街のリルの小屋でもポルターガイストに遭遇し、それがリルの亡き父の仕業だと判明する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-09 21:00:00
65176文字
会話率:51%
北のアポカリプスから南のディストピアへ、、、。ろくでなし達の私利私欲が交錯する、、、。
25歳ゆるふわ毒舌系な酒癖悪いOLが、いきなり「シティの支配者」に!?
はわわ!どうしよう!!
会社のコピー機につまづいたら(思い切り蹴りを入れたら)
、何だかよくわかんいけど、コピー機さんの機嫌が悪くなっちゃった!
紙がとまらないよぉー!(5000枚もグリーンピース発注の伝票を出力してしまった、、、クソっ)
社長「クビです」
やさぐれた気持ちで飲み屋街を徘徊して頂いてアタシ、、、。
キャーナル、キャナル高収入!!
キャナルでお仕事いっせんまんっ!!
ド派手なバスから、やたらとキャッチーでノーテンキな歌声。しかし、待てよ。
1000万円、、、?だと、、、?
アタシは、支配者になるべく、「キャナル市」へ向かったの。
日本一カワイイ、パンケーキ系支配者になるんだ!Instagramももう一個、アカウント作らなきゃ!
こうして、ディストピアで繰り広げられるアタシの夢カワイイ、ハードボイルドなオシャレライフが始まります(^-^)
☆内容はめちゃくちゃ下らないです。
本当に暇つぶしに読んで頂けると幸いです。ちなみに、地名や人物名等、地球の日本に酷似していますが一切関係ありません。
どっか違う星のゆめかわいいパラレル・ワールドです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-09 05:26:44
226文字
会話率:15%
様々な人が行き交い
多種多様の店が並ぶ街の路地裏
俺らは街灯に集まる虫のようにウロウロとするのだ
最終更新:2018-11-29 21:29:26
454文字
会話率:0%