祈りの名を、運命に
この世界には、魔法がある。
それは水を沸かすための小さな火であり、重い荷物を運ぶ風でもある。
誰もが生まれつき魔力を持ち、使いこなす力を授かる──はずだった。
少年の名は、シア。
銀の髪に、赤い瞳。
優しい顔立ちと、
穏やかな声。
どこにでもいる、普通の少年。
ただひとつ、致命的な“異常”を除いては。
彼には──「戦う力」がなかった。
騎士を志し、強くなることを夢見た彼に与えられたのは、火を灯す、皿を洗う、風を通す。
そんな“生活魔法”だけだった。
「向いてないって、わかってる。でも、僕は……」
それでも、諦めきれず、彼は森へ向かった。
誰もいない、静かな場所で。
誰にも知られず、ただひたすらに剣を振るい、魔法を放ち、自らの限界を問い続けた。
そして、魔力が尽き、意識が遠のいたとき──
彼は、見たのだ。
夜の闇より黒く、ステンドグラスのように妖しく輝く蝶を。
それがふわりと彼の胸に降りたとき、彼の中に“何か”が流れ込んだ。
痛みはなかった。
夢のような心地。
まるで、母の腕の中にいるような、温かく、優しい……いや。
──何かがおかしい。
蝶は、何も語らない。
ただ静かに、シアの中で羽を閉じた。
そして物語は、静かに動き出す。
それは少年が「全ての属性を使える」存在に目覚める前。
それは少女が「乗っ取られようとしている」ことも知らない日々。
それは二人が出会い、戦い、そして選ばれるための──
始まりの祈り。
たったひとつの願いが、運命の扉を開けた。
そしてその代償に、世界は静かに、崩れはじめる。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-21 15:49:46
36418文字
会話率:41%
海上に浮かぶ魔術都市ハルーン。
この地に住む魔術師たちには、成人の折、魔力の源となる使い魔と契約を交わす風習がある。
魔術の名門であるヴィスアニ家の令嬢マルツィアも、いよいよ成人の年を迎えた。慣例通り、契約のために寺院を訪れるのだが、なん
と使い魔との契約に失敗し、生まれ育った街を追放されることになってしまう。
本土行きの船の中、心機一転前向きに旅を楽しもうとするマルツィア。
けれど船は突如、巨大な白蛇に襲われ転覆してしまい、気づくとマルツィアは美青年の腕の中にいた。
困惑するマルツィアに、青年は衝撃的なことを告げる。
なんと彼は神であり、遥々東方から、マルツィアと会うためにやってきたのだという。
さらに彼は、マルツィアが転生する度に、地の底、天の果て、海の中まで追いかけてきて、毎度生涯を共に過ごしてきたのだとか。
……え、それってもしかして、ストーカー?
愛の重さと異文化にすれ違う二人の、切なさ2:ギャグ8くらいの輪廻転生ラブコメディ!(多分)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-21 08:20:00
22073文字
会話率:51%
「不老不死になりたい」。
そんな夢物語な目標を、現代で大真面目に目指してきた大学生、仲本辻郎は卒業旅行の中、テロに巻き込まれて死んでしまう。
不老不死のために鍛えた身体も頭脳も、健康的な習慣も、危機的状況の前には無力だったのだ。
しかし死ん
だと思った彼が目覚めたのは、なんと知らない女の腕の中であった。
どうやら異世界に転生することができたらしい。
辻郎はミンクレスとしての新たな人生の中、生前に為し得なかった夢を再び抱き始める。
「今度こそ、不老不死になってみせる」。
そんな夢を目指す過程で、周りの勘違いや些細なミスで、事態は大きく変わってしまって...?
彼の野望が世界を巻き込む、死にたくない系異世界ストーリー!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-21 07:21:09
134076文字
会話率:30%
デュシュエ伯爵家の長女フェリシエンヌは、十八歳の冬至の日に、不治の病によりマリウスの腕の中で命を落とした。
(────ごめんなさい。こんなに悲しませて、ごめんなさい。ああ、やり直せたらいいのに。もしもやり直すことができたなら……)
死に
ゆく彼女の最後の心残りは、マリウスの求婚を断り続けてしまったこと。
ところが死んだはずの彼女は、不思議なことに再び目を覚ました。それは亡くなったはずの日から、ちょうど300日前の朝だった。
彼女は決意する────今度こそ悔いなく生きようと。彼女が死ぬ運命は、きっと変わらない。それでも、死を迎えるまでに幸せな思い出をマリウスに遺すことはできるはずだ。できるだけたくさん、幸せな思い出を遺してあげよう。そのために彼女は全力を尽くそう。そうすればきっと、彼女がこの世を去るときには、悔いよりも思い出のほうを多く遺してあげられる。
そのために彼女は「前回」とは違う選択をしていく。そしてその選択により、少しずつ何かが変わっていき────。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 18:10:00
93405文字
会話率:46%
面倒。
全部全部面倒。
息をするのも食べるのも時として寝るのさえ面倒。
でも、一番面倒なのはこのくだらない矜持だろう。
十何年とあのゲームをやり続け、一度として枯らしたことはなかった。
あぁ、わかっているよ。
これは現実、ゲームとは違う。
面倒極まりない事実だ。
このままこの腕の中に潜り込んで振り返らなければ一番楽なんだ。
それでもこの矜持が、それを許さない。
あぁ、なんてめんどくさい。
「仕方ないから、助けるよ。まぁ、恩返しとでも思っててよ」
何もかもが面倒だと言う生き物シロと何もかもが愛おしいのだと言う世界樹レナーロク。
これは物語。
世界樹の世代交代に失敗した現実で覚悟を決めた誰かの物語。
―――――
練習兼ねた初投稿です。
あちこちころころ変わります。
しょっちゅう思い付きで書き直す可能性が高いです。
世界樹に会うまでが長い。
BLではありませんが書いてる人間が腐ってるので無意識にそれっぽくなる可能性がありますのでご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 12:00:00
65363文字
会話率:32%
舞台となる王国ヴァルディアは大地の女神・ガルテアに愛されることで繁栄した国。
この国では、誰もが七つの節目で祝福を授かる。
祝福の種類は水や火の自然系魔法から身体強化等の特殊系と多岐に渡る。そしてその裏では、祝福から弾かれた者も少数ながら存
在する。彼らは “無能者” と呼ばれる差別の対象だった。
そんな国のお話。
ー
レティシア・リマヴェーラ。
私は由緒正しき家系の生まれでありながら “無能者” だった。
幼少期はそれを憂い卑屈に過ごすも、ある程度成長すれば人生の向き合い方もまぁ分かってくる。
“無能者” と陰で揶揄されながらも腐らずやって来れたのは、想い人の従者や慕ってくれる友人らがいたから。
人生多くは望まない。
いま手元にある幸せ、ただそれだけで良かった。
新国王戴冠の日。祝いの場にて謂れ無き罪で裁かれ、挙句信頼していた数少ない友人の一人に首を斬られてしまう。
そうして私は一歩遅れて駆けつけた愛しい人の腕の中で人生の幕を閉じたはずが、目を覚ませばそこは死の世界ではなく我が家の庭だった。
巻き戻った人生今度こそ幸せになる! と、死を回避するために色々していたら、回帰前よりも早い段階で想い人と出会うことができた。しかし、回帰前と出会い方が違ったからか、はたまた私が回帰前と違う行動をし始めてしまったからか、想い人の様子がなんだかおかしい気がする。
原因が解らない。どうしよう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-18 21:03:49
134335文字
会話率:44%
それがいつのことだったか。
何故こうなったのか。
何一つわからないままだ。
それでも彼女は幸せだ。
だから、今日も彼の腕の中で眠りにつくのだった。
順風満帆な大学生活を送る鈴海沙良。優しい彼氏にも恵まれ、少し勉強面で困れど、至って普通の人
生。
しかし、それは突如崩れてしまう。
全部、「愛」によって。
※
毎週土曜に一話投稿しようと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 06:00:00
2527文字
会話率:10%
心優しい青年レイは今日も一人、家に籠り魔法の研究をしていた。
そんなある日、レイは遂に新たな魔法を完成させた。
嬉々として新魔法を試したレイだったが、直後彼を襲ったのは凄まじい威力の爆発だった。
「失敗だったか。次は…もっと上手く…」
そう
、言い残して彼は絶命した。
次に目を覚ました時、そこは誰かの腕の中だった。
「おめでとうございます!元気な男の子ですよ。」
そんな女性の声が聞こえた。
「シズク。それが貴方の名前よ。」
別の女性の声は少し震えている。でも、どこか暖かい気持ちになる声だ。
「生まれてきてくれてありがとう。私の愛しい子…」
そこまで聞いて、彼の意識はまた深い所に落ちていった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 00:00:00
20628文字
会話率:50%
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を
浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-10 20:12:25
259190文字
会話率:40%
王国の王女 イレーネ・ヴァルディナ は、剣を振るう姫君と呼ばれるほどの実力を持つ。
外交の場で隣国の第一王子 レイヴェル・アークヴィス と出会った彼女は、その完璧な容姿と優雅な振る舞いに、瞬く間に心を奪われる。
彼もまた彼女に惹かれ、甘
い言葉と情熱的な手紙で彼女を包み込み、やがて二人は秘密裏に恋人関係となる。
しかし、その幸福は儚く崩れ去った。
突如として 「敵国と内通し、戦争を企てた」 という罪を着せられたイレーネは、祖国に裏切り者として扱われ、無実を訴える間もなく戦場へと駆り出される。
そして、憎き レイヴェル と再会した瞬間、彼女の世界は完全に崩壊する。
「……何も感じないの?」
「……何をだ?」
傷だらけで膝をついた彼女を、冷え切った瞳で見下ろす男。
かつて甘く愛を囁いた唇が、今は彼女を嘲笑するために存在する。
あの日交わした言葉も、触れ合った指先の温もりも、すべてが嘘だったのか。
――私は、利用されたのか。
戦場で敗れ、捕虜となった彼女は、レイヴェルに囚われる。
処刑されることを覚悟していたが、待っていたのは――
予想外にも、まるで恋人のように甘く扱われる日々だった。
レイヴェルは彼女を 「俺のもの」 だと宣言し、傍に置き続ける。
憎いはずなのに、時折見せる優しさに、イレーネの心は揺れ始める。
「こういうのは好きか?」
戦場では見せなかった穏やかな横顔、そして彼の胸に抱かれたときに感じる微かな安心。
すべてが策略だとわかっていながら、彼の腕の中にいるときだけは心が溶けそうになる。
やがて、彼は告げる。
「城に戻ったら、式を挙げよう。俺の妻になれ」
信じられるはずがない。
彼は、私を陥れた男。
私のすべてを奪い、戦場に追いやり、捕虜として扱った男。
なのに、涙を流す私を 「ごめんな」と抱きしめる腕は、なぜこんなにも温かいの?
――憎しみの檻の中で、彼に囚われた私は。
――このまま、愛に堕ちてしまうのだろうか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-23 01:28:16
18157文字
会話率:18%
ジュエリアル帝国第二皇子レオンハルトの元に、皇太子である異母兄アデルバートの危篤の報せが届いた。
病床の兄の元へと急ぎながら、レオンハルトは兄と過ごした日々へと想いを馳せる。
兄と出逢った日、兄と夕陽を見た日、兄の腕の中で眠った日――
―。
幸せだった幼い日々を想い出すたび胸に刺すような痛みが走るのは、自らの犯した罪のせい。
償うことも赦されることもない罪を抱えたまま、レオンハルトは最愛の兄を見送った。
数ヶ月後、兄の葬儀のあと新たに皇太子となったレオンハルトの前に一人の侍女が現れる。
レオンハルトの異母妹たちに仕える彼女は元々、第六皇妃のローズマリーが祖国から連れてきた侍女だった。
かつて皇太子妃候補と噂されながらも皇妃として皇帝に嫁いだローズマリーは、レオンハルトにとって今なお忘れられない初恋の女性。
そしてアデルバートが最期に呼んだのも、彼女の名前だった。
妹姫の懺悔、侍女の昔語り、父による断罪。
最愛の兄の死後、次々に明かされる真実に、レオンハルトは自らの犯した罪の重さを知る。
※現代パートと過去パートが交錯して話が進んでいきます。
※最初の方は皇子とゆかいな従者たちが主ですが、最終的にはシリアスです。
※ざまぁは無いし、救いもないです。レオンハルトは終始どうしようもないです。
※ハッピーエンドがお好きな方はご注意ください。
※本編はすべてレオンハルト視点で進んでいきます。
※レオンハルトの半生をダイジェストでお送りしてる感じです。
※本編完結済です。
※現在レオンハルト以外の登場人物視点の番外編を不定期に更中。
☆或る側妃の献身
最愛の姉を喪ったセレスティアが色んな人に色んな人の面影を求めて依存していく話。
☆或る教育係の渇望
ブラコンとか初恋とか忠誠心とかいろいろこじらせたジャンが無い物ねだりして迷走する話。
☆或る侍女頭の内証 ※現在更新中※
自己肯定力低めのステラが様々な出逢いによって自分にとって一番大切なものは何かを考える話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-16 00:00:00
576314文字
会話率:26%
「もしかして私、求められてない……?!」
ハンバーガー専門の大人気チェーン店『MAGDANEL'S』にて、看板メニューのマグバーガーとギガポテトのLサイズを購入した女学生。白を基調とした清潔感あふれる制服、金の装飾が気品を添え、エンブレ
ムが胸元で光る。高く一つに結われた揺蕩う黒髪の先が紫に輝くのがチャームポイント。女学生の名は、桜縁鬼百合霞。
この物語の主人公を一言で表せば「腕の中で揺れるバーガー達を愛でていたら異世界でした」だ。
更に、なんとも非常に非情なことに、彼女の転移させられた異世界は、転生者が求められる〝愛しき世界〟だった!
それを知ってか知らずか、神に異世界へと招き入れられた彼女は世界をどう攻略する!?
※この小説は『カクヨム』様でも同時連載中にございます
【月・火・水・木・金・土】
→更新日は執筆者の出来により
(必ず21:30投稿)
【日・祝日】
→更新なし
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-08 19:30:00
29372文字
会話率:23%
魔王を討った、はずだった。
目を覚ますと、俺は──あの魔王の腕の中にいた。
最弱スキルしか持たず、誰からも期待されなかった俺が、命を賭けて倒した魔王。
だが次に目を覚ました瞬間、そこには“顔面最強”のイケメン魔王が微笑んでいて──
「お前は
、俺のものだ」
そう言って俺を抱きしめる魔王に、戸惑いながらも心が揺れていく。
勇者だった俺は、なぜ魔王の腕に抱かれているのか?
この世界に隠された真実と、魔王の“本当の目的”とは──?
敵同士だったはずのふたりが辿る、
世界と愛を巻き込む運命逆転ファンタジー、ここに開幕!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-03 20:04:06
70353文字
会話率:47%
修正します。
---
なーちゃんが小さな息を漏らしながら、和樹さんの腕の中で身じろぎした。晶子ちゃんがそっと手を伸ばし、娘の額に触れる。
「汗かいてるね。お昼寝したほうがいいかな」
「そうだな。そろそろ寝かせようか」
和樹さんは軽く七瀬を揺らしながら立ち上がり、柔らかな口調で言った。
座敷には、食事を終えた親戚たちが思い思いに寛いでいた。響子さんと母が並んで座り、昔の話をしている。洋輔さんは縁側に出て、ぼんやりと庭を眺めていた。なーちゃんを見つめていた真紀が、ふと口を開く。
「なーちゃん、もう少ししたら喋るようになるのかな」
「どうだろうね。でも、最近表情が豊かになってきたよ」
晶子ちゃんが微笑む。
その言葉を受けて、母と響子さんも話に加わる。
「このくらいの時期って、ほんとにあっという間よね。志紀や真紀の赤ちゃんの頃も、ついこの前みたいな気がする」
「うんうん。気づいたら歩いてて、気づいたら口答えするようになってるのよね」
「そうそう。あと、子どもって変な言葉覚えてくるのが面白いんだよ」
「あるある。うちの晶子なんて、昔『ぴっぴ』って言葉が好きで、何でも『ぴっぴ』って言ってたなぁ」
「えー、かわいい」
真紀が目を細める。
「でも、最初は何を指してるのか全然わかんなくてさ。『ぴっぴ持ってきて!』って言われても、何のことやら……」
響子さんが笑いながら話すと、皆がつられて笑った。
私は塗り替えられてゆく輪の中で静かに頷いていた。
思い出話に花が咲く中、私はふと視線を落とし、手元のコップを撫でた。湿った水滴が指先に絡みつく。笑い声が交錯する空間の中で、私はそこに溶け込めずにいた。彼らが共有する記憶の網目から、自分だけが零れ落ちているような感覚があった。
なーちゃんが小さく声を上げた。晶子ちゃんがその声に気づき、すぐに抱き寄せる。
「眠いのかな。ちょっと涼しいところに行こうか」
和樹さんが立ち上がり、晶子ちゃんと共に七瀬を寝かしつけに行く。
座敷に残された私は、親戚たちの声を聞きながら、グラスの中で溶けていく氷を見つめた。ゆっくりと形を失い、水に溶けていくそれは、どこか私自身と重なるように折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-03-31 19:53:13
878文字
会話率:48%
人生で最も愛した小説の主人公・リディアに転生した私。
ただ、女騎士であるリディアの物語の結末は最悪だった。
王の命により隣国の公爵でもあり騎士団長でもあるアーサーを暗殺することを遂行しようとするが、リディアはアーサーに殺される運命だった。
読者としてリディアに、何よりアーサーに幸せになってほしいという願いから、転生後は騎士を辞めて穏やかに暮らしていくと宣言する。
これでアーサーも死ぬことなく穏やかに過ごしていくだろうと思った矢先、なぜかアーサーが妙に距離を詰めてきて……?
「こうでもしないと、また俺から逃げるでしょう?」
逃げる私を追い詰め、甘い言葉を囁いてくる公爵様。
──ちょっと待って、私たち、本来は殺し合う運命では!?
なのに、気がつけばアーサーの腕の中で溺愛されていて……。
(激よわ転生)女騎士×つよつよ侯爵さまとの甘々な展開になる予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-17 18:52:29
72536文字
会話率:50%
薄暗いバーで出会った、硝子細工のような少女、小夜子。
彼女は、孤独という名の病を患い、刹那的な快楽を求めていた。
主人公は、そんな彼女に惹かれ、禁断の愛に溺れていく
。毎晩、バーで、ホテルで、彼女の部屋で、愛を囁き合う二人。
しかし、それ
は、決して陽の光を浴びることのない、儚い恋だった。
彼女の病状は、悪化の一途を辿り、ついに、主人公の腕の中で、硝子のように砕け散る。
彼女のいない世界は、あまりにも残酷で、主人公は、酒と薬に溺れる。
一年後、主人公は、まだ彼女を愛している。
しかし、それは、決して届くことのない愛。
今日も、彼は、一人、酒を飲み、彼女のことを思い出す。
この物語は、退廃的な美しさ、孤独、そして、刹那的な快楽に彩られた、儚い恋愛を描いている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-14 23:55:46
1442文字
会話率:0%
夜の闇が深まる中、森の小道を一組の夫婦が急ぎ足で進んでいた。女性は腕に小さな包みを抱き、男性は周囲を警戒しながら歩を進める。時折、遠くから犬の遠吠えと人々の怒号が風に乗って聞こえてくる。
「早く、レイラ。彼らが追いついてくる」
紫がかっ
た黒髪の男性、ザイルは妻の背中に手を添えた。彼の目は暗闇の中でわずかに赤く光っている。
「でも、アルトを…このまま置いていくなんて…」
レイラは腕の中で眠る幼子を見つめた。わずか三歳のアルトは、母親の温もりに包まれ、何も知らずに安らかな寝息を立てている。その小さな額には、かすかに紫がかった産毛が生えていた。
「他に方法はない。俺たちが一緒にいれば、アルトは常に危険にさらされる」
ザイルの声は強く聞こえたが、その瞳には深い悲しみが宿っていた。彼は息子の頬に触れ、小さく震える指で愛しい顔の輪郭をなぞった。
「あの戦争さえなければ…」
レイラの言葉は途切れた。五年前、人間と魔族の間で勃発した大戦は、両種族の間に深い溝を作り出した。人間たちは魔族への憎しみを募らせ、魔族の血を引く者たちを容赦なく追い詰めていった。
魔族と人間の間に生まれた少年が大人になっていく物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-05 04:30:20
49107文字
会話率:52%
子爵の家に生まれたアンティークは、前世の知識を使って家や婚約者の役に立とうとしていた。
しかし彼女がいるのは「女と鏡台は、静かで美しいものに限る」とされるイースタリア神国。
彼女のがんばりで婚約者は出世したものの、その功績は認められること
はなかった。
それどころかアンティークはまわりから【古家具令嬢】と蔑まれてしまう。
そして迎えた結婚式では実の妹に飛び入りされ、婚約者からも婚約破棄を言い渡される。
このイースタリアでは婚約破棄された女に未来はない。
絶望に打ちひしがれるアンティークだったが、その前に【暴君】と呼ばれるファルネロ公爵が現われる。
「新婦が飛び入り参加したんだ、なら新郎が飛び入り参加しても問題ないはずだ」
これは古家具と呼ばれた令嬢が、暴君の手によって本当の幸せを手に入れる話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-15 12:05:13
31447文字
会話率:30%
シュヴラン王国には希少な宝石資源があり、代々海神の末裔である国王が守っている、絶対不可侵の領域である。
西隣にあるバルリング帝国がその資源を欲し『王女を差し出せ、さもなくば攻め入れる』と脅迫してきたらしい。海神の血を自国へ入れることで、宝石
資源を狙ったのだろう。
まだ四歳である王女を差し出すことを躊躇った国王は、『時の魔女』の協力を得て、同じ髪色と目の色である十八歳の公爵令嬢(王族の系譜)を四歳まで若返らせ、差し出すことに決める。そうしてユリアーナ・ロジエは、隣国皇太子の婚約者となって国を出た。日本からの異世界転移者でありユリアーナの護衛兼侍従のエンゾは、実はこの世界は乙女ゲームの世界で、ユリアーナは悪役令嬢であることを知っている。しかもユリアーナを『推し』と豪語し、共に帝国へ入る。婚約する相手は、氷の皇太子と有名なフォルクハルト・バルリング。なんと触れるだけで何もかも凍らせる、最強の氷魔法使いだ。そんな彼は態度も言葉も冷たいのだが、ユリアーナと接するうちにだんだん様子がおかしくなってきて?
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カクヨムとアルファポリスでも公開しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-30 12:04:11
58616文字
会話率:56%
アイザックはA級の冒険者である。元は貴族家の生まれだが、優秀な兄たちと比較され「要らないもの」とされた。成人と共に家を出て、死をも恐れぬ無謀な戦い方で武功を立てる。
一生を遊んで暮らせる報酬を得て、三十代も半ばを過ぎた今では指名を受け
た時にだけ出張る気ままな一人暮らしだ。
そんな日々の中、とある依頼で出掛けた森の奥。出会ったのは、蜘蛛の巣の罠に掛かって磔にされている美しい少女、サンビタリア。
「──お主の働きはなかなか良いものであったぞ」
やたらと偉そうな口調で話す彼女もどうやら訳ありの様で、たまに見せる不安気な表情はアイザックの庇護欲を大いに掻き立てる。
どこかが欠けたふたりが偶然に出会い、共に過ごす時間で足りなかった何かを埋めていく。
結局のところ、初めて自分の腕の中に彼女を捕まえた瞬間から離す気のなかったくたびれおじさんと、閉鎖的な故郷の暮らしに耐えきれなかった逃亡エルフのほのぼのラブストーリー。
【この作品はさらさらしるな様主催 #匿名年の差カップル企画 参加作品であり、『連載の冒頭』という前提で書いた作品を連載版として加筆・修正を加えたものです】
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-12-21 08:30:20
100138文字
会話率:53%