残価設定 小説家になろう　作者検索

高級ドラゴンのヘルファイアを残価設定ローンで購入。 毎朝首都へ空の通勤渋滞、休日の家族サービス。 空路では黒くて派手な翼が周囲の羨望を集める。 サイトゥーマに一軒家、妻、子供、ミニヴァン。 夢の暮らしを手に入れた―― ある日始まるヘルファイアからの異音 そしてディーラーから残価設定ドラゴン返却の話しが出る。 家族の成長と共に歩んだ、ドラゴンとのかけがえのない日々。折りたたむ>>続きをよむ

良い大学を出て、上場企業に就職し、綺麗な妻と結婚し、子ども二人に恵まれた。 誰もが羨む「人生の正解」を、俺はひとつずつ手に入れてきた。 順調だった。いや、完璧だったと言ってもいい。 ある日、妻がぽつりと呟いた。 「子どもたちに、ちゃんとした環境を用意してあげたいの」 その言葉に背中を押され、俺はタワーマンションの購入を決意した。 都心の再開発エリアにそびえ立つ、新築の制震タワー。 駅直結、徒歩0分。コンシェルジュ常駐、スカイラウンジ、ジム、パーティールーム完備。 そして何よりも、リビングから見下ろす景色は絶景だった。 価格は1億円――年収の10倍。だが、銀行は購入資金をポンと貸してくれた。 「年収1000万円の上場企業勤務」の肩書きがあれば、住宅ローンもクレジットカードも、すべてのドアが開かれる。 管理費は月3万円、修繕積立金は当初こそ1万5千円程度だったが、入居から数年で倍額に。 家計をじわじわと締めつけていく。 それでも、「まあ大丈夫だろう」と思っていた。 妻は専業主婦。子育てに専念してくれているし、俺が稼げばいい。 業績も好調で、ボーナスも毎年しっかり支給されていた。 ……そう、「あの日までは」。 振り返れば、どの選択にも“理由”はあった。 無謀だったとは思っていない。むしろ、あの時点での判断としては“正しい”とさえ思っていた。 だが今、手元に残っているのは、 限界まで膨らんだ借金と、赤い封筒の督促状だけだ。 なぜ、あれほど堅実だったはずの自分が、ここまで転落してしまったのか。 なぜ、「正解」ばかりを選び続けた人生が、こんな結末になったのか。 この物語は 年収1000万円だった俺が、夢のタワーマンションを買い、 やがて自己破産するまでの記録である。折りたたむ>>続きをよむ