歴史とは、忘れられた未来の夢である。」
——伝承詩篇《光より昏きものへ》より
彼の名を今なお記す者が、銀河にはいくらか残っている。
だが、彼の“意志”を語る者は、もはやいない。
我々が知る歴史は、勝者によって編まれた「物語」である。だが
、この物語は“勝利”では終わらない。
この叙事は、あるひとりの男の《理想》が、世界の重力を変えた瞬間の記録である。
それは剣による革命であり、言葉による戦争であり、血と数字が交錯する冷たい神話だ。
かつて、「銀河連邦」と呼ばれる秩序が存在した。
それは百六十九の惑星系、三千八百の有人衛星、数億の種族と宗教、思想、矛盾を束ねた、銀河最大の政治共同体であった。
その統治機構は、地球旧世紀の「ローマ共和制」を模した《惑星代表議員院》によって運営され、民衆の名のもとに、秩序が維持されていた……と、記録にはある。
だが、真実は異なる。
連邦の中枢では、腐敗した貴族階級が《ゼロライト》資源を独占し、属星市民は法の名の下に沈黙を強いられていた。
議会は腐り、軍は宥和に疲弊し、商業同盟は密かに利を漁る——そして、辺境では飢えた民が銃を取った。
この歴史の頁は、そこから始まる。
《レオニス・アル=ヴァレンティア》。
辺境の星に生まれ、軍事の才を以て連邦に登用された若き将軍。
彼は正義を求め、力を持ち、やがて秩序そのものを敵に回す。
だが、彼の進軍には、常に“正しさ”があった。それは彼自身が定義した正しさであったにせよ。
本書は、彼の手による「戦略報告」と、彼を敵と見なした議会の記録、そして彼に忠誠を誓った者たちの詩編をもとに構成されている。
我々が語るのは、“帝国の興亡”ではない。
それは《人間の正義》と《国家という怪物》の相剋の記録である。
剣を取った理由は、誰のものだったのか?
民を救ったのは、彼か?それとも、誰か別の《帝》だったのか?
光の時代は終わった。
だが、この物語を読む者よ。
もし君が、“秩序”と“自由”の間に立ち尽くしたことがあるのなら、
レオニスの生涯に、かつての己の影を見いだすだろう。
それが、星々に刻まれた最初の問いであり、最後の応えである。
——銀河歴1520年、帝政書記官庁《記録局・第五室》より抜粋
再構成・文責:エレウシア・ダーン(惑星オルディア・学芸評議員)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-29 00:10:00
53688文字
会話率:26%
――「水の悪鬼伝承」
江戸時代よりも前の時代、ある村で“水の悪鬼”と呼ばれる怪異に憑かれた村人が、突如として暴れ出し、仲間を次々と殺した。村人たちはその男を取り押さえて殺すが、関わった者も全員、奇妙な苦しみの末に死んだという。
恐
れを抱いた村長はそれを“祟り”と断じ、村の奥にある洞窟へ小さな祠を建て、悪鬼を封印した……という伝承が残っている。今ではその村は地図からも姿を消し、口伝と文献に記録されたこの怪談だけが、ひっそりと語り継がれている。
大学の小さなオカルトサークルが夏休みを利用して、伝承の調査へと向かう。水の悪鬼が封印されている祠の撮影を終え、無事帰宅したメンバーたちに次々と怪異な出来事が襲い掛かる。
――ひとりは自殺、ひとりは行方不明……。平和だった日常が少しずつ壊れていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 22:00:00
9497文字
会話率:35%
俺の名前は「斎上院(さいじょういん) 燈矢」だ。
名前から察するだろうが、中級以上の家に生まれだったのだが、獅子からハゲワシが誕生した。
そのハゲワシが俺だ。
一応、言っておくが、爪弾きにされない程度には高校生として学んでいた。
まあ、少年
時代が劣悪だったのも含めて、良く言えば「薬にも毒にもならない男」で、悪く言えば「小悪党」だと言われたな。
そんな俺でも、手を差し伸べてくる物好きなアイツのお陰で、俺の中にも綺麗な所が残っている。
そんな俺だから、交差点でダンプに轢かれると自覚した時はあっさりと「生」への執着は消えたな。
それに、俺が死んだ後に動く金は、全て「アイツ」に渡る様にしたから「恩返し」としては充分だろう。
だから、未練は無い……と思っていたら「異世界転生」かよ!
確かに、少年時代に散々読んだが、まさか本当に異世界転生するとは誰も思わないだろう?
しかも、前世を思い出したのが、テンプレ「ダンジョン深部での追放」とはな。
……まあいい。
どうせ、天涯孤独なんだ。
好き勝手に生きるさ!
それに、前世ではアイツの恩に報いる為に我慢していた事でも、この世界なら自由だ!
助けたい奴は助け、殺したい奴は殺そう。
今の俺なら、それが出来る!
何故なら、俺はダンジョンマスターだからだ!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 20:50:00
609164文字
会話率:56%
大阪で一人暮らしをしながら働く女性・山口真理(27)は、ある日、東京に住む大学時代の友人・香織から奇妙なLINEを受け取る。
「この前、渋谷で真理を見かけた」と。
だが、その日、真理は大阪で勤務しており、確かなアリバイ(タイムカード、レシー
ト、位置情報)も残っている。
やがて、別の知人からも「東京で見かけた」との報告が届き、しかもその目撃情報には「優香と一緒にいた」という証言まで加わる。
優香──大学時代、真理が一線を越えてしまった、かつての親友。
そしていまや、疎遠になっていたはずの存在。
真理は次第に、東京で自分として目撃されている人物が、ただの他人の空似ではないのではないか、という不安に取り憑かれていく。
通勤途中に、ビルの窓に映る「わずかに異なる自分」、人混みに紛れて消える後ろ姿。
日常の風景のなかに、もうひとりの「私」が忍び込みはじめる。
不安に耐えきれず、真理は長く連絡を絶っていた優香にLINEを送る。
送信をためらったその瞬間、部屋のインターホンが鳴る──知らない荷物の配達、間違えた部屋番号。
何気ない出来事にも、どこか異様な違和感がまとわりつき始める。
そしてついに、優香から返ってきたメッセージ。
香織や遥とは会っていないという優香。
しかし香織は、「東京で真理と優香が一緒にいた」と証言している。
さらに、遥からの連絡で明かされる事実。
駅で真理にそっくりな誰かを見かけた遥は、「それが本当に中身のある人間だったのか分からない」と告げる。
私を装い、私の顔をして、私の声で喋る何か。
それは一体、誰なのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 20:23:15
46159文字
会話率:9%
日々の喧騒に紛れ、仕事をこなすだけの毎日。
いつの頃からか、風の音も、人の声も、世界から消えてしまったように感じていた。
そんなある朝、夢の中でーー風鈴の音を聞いた。
胸の奥がざわついた。
あの音を、昔どこかで聞いたことがある気がする
。
けれど、どこで聞いたかを思い出せない。
ただ、確かに風鈴が揺れていたーーそんな記憶だけが残っている。
気が付けば、電車に揺られ、ふとある無人駅で降りていた。
そこは地図にも記録にも残っていない、不思議な町。
人影もなく、時間さえ止まってしまったかのような静けさの中で、また風鈴が鳴った。
ーーこれは夢か、それとも記憶か
音に導かれるようにして、主人公はその町で、とある少女と出会う。
どこか懐かしくて、でも名前の思い出せない少女
風鈴の音が響くたび、少しずつ色と音を取り戻していくこの世界で、
主人公は忘れていた”何か”を探すべく記憶を旅し始めるーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 19:00:00
8339文字
会話率:25%
戦争があった。
それはまさに地獄のようで、火のように絶望を灯して回った。戦争は、やがて世界を巻き込み、戦争という火は消えることなく広がり続けた。
度重なる戦い、戦争開始から一年。人々はもうこの戦争は終わらないのではないかと絶望した
。しかし、その絶望の果てにキュリアという国が、英雄の活躍もあり勝利を収めやがて戦争は終結した。
人々は戦争の終わりに歓喜した。だがただの一度の戦争で、取り返しのつかないほどの、たくさんのものを失った。例えば人々、豊かな大地の壮大さ、そして空の色の鮮やかさ、本当にたくさんのもの失った。
人々は戦争の果てを見て絶望し、後悔し、嘆いた。些細なことから始まった戦争は、人々からあらゆる幸福と自由を奪い去ってしまったのである。
ならば、二度とこんなことは起こすまいと人々は己の心に誓った。
それに、また戦争が起きれば、今度こそこの地球ほしが耐えられないと思ったのだ。さすがに、わかりきった災厄を、自ら手繰り寄せようとするような、愚かな人類ではない。
だが、枯れた世界に住む人々は以前のような暮らしができずにいたのだ。
飢えた人々は餓死し、死におびえた人々は弱き者から奪い、かくして戦後の混沌は広がり続け世の中は混乱するばかりだった。
生きるには、また戦うしかない。
その結末をわかっていても、戦争の傷はさらなる過ちを呼ぶばかりだった。
戦争は終わっても、まだ戦争の火は消えずに残っている。
欲望が、生への執着が、あるいは戦争の怨念が、今一度世界に争いをもたらそうとしている。
癒しを求め、されど求めず。
ならば火を消し、太陽ひを受けよ。いずれ影の平和は訪れよう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-28 10:41:54
35333文字
会話率:33%
16歳の「僕」は、雪の降る12月の終わり、誰もが一目置く美しい先輩・Sと付き合い始めた。
けれど、その恋が長く続かないことは最初から分かっていた──先輩は、卒業とともに遠くへ行くからだ。
ほんの数ヶ月の、刹那のような関係。
それでも、その記
憶は今も胸の奥に残っている。
青春の終わりに残ったのは、後悔でも、涙でもない。
ただ、「或る、晴れた日」の光景だけだった。
北国の空のように澄んだ、ひとつの恋の記憶を描いた、短く静かな物語。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-27 12:27:21
1793文字
会話率:25%
群青の空に立ち込めるは背高のっぽの入道雲。
一齧りのアイスは溶けるはいつか。
―小さな村を襲う悲劇。
「村の森の奥の井戸水は汲んで飲んではいけない」
代々の言い伝えは村を苛酷に貪り尽くす古き悲劇。
なんでも江戸時代初期に起きた人災が森
の主を起こしてしまい、村の水という水が飲めなくなってしまったという伝承が残っている。
現代まで続いた名前は「龍神伝説」と言われるまでに昇華された忘れることのない語りべは若きにまで伝えるべきと長が。
渦巻く村の謎、かく語りき龍神伝説。
今宵、解き明かす者の後日譚を語りだす。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 11:31:16
5381文字
会話率:60%
始業式の朝、校舎裏のプールの底に“階段”が見えた。
水の中にあるはずのないコンクリの階段。
そして、その階段を誰かが昇ってくる姿が見えた。
翌日、1人の生徒が消えた。
誰も信じてくれないが、あの階段はまだ残っている。
しかも、影の位置が昨日
よりも上に来ている。
水面まで、あと数段。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-10 19:17:48
521文字
会話率:8%
大学の屋上、夜空を見上げる拓海(たくみ)。手には使い古されたロケットの模型。
* 幼い頃、父と見た流星群の記憶。父が語った「いつか宇宙へ」という言葉が、彼の中に根強く残っている。
最終更新:2025-07-06 14:57:03
10906文字
会話率:38%
大切にしたかったのに、うまく愛せなかった。
彼の声と、鳥のギターが、今も胸に残っている。
最終更新:2025-06-26 06:18:57
1489文字
会話率:11%
世界は平和になった。
勇者アルテによって魔王は討ち果たされ、人々は魔物の脅威には晒されなくなり、争いがなくなる――はずだった。
だが、そんなに都合の良い話などなかったのだ。
何故なら、魔王を倒した〝勇者アルテ〟という脅威がまだ残
っている。
そんな化物が、この世に存在していいはずがない。
人類は学習した。
今度こそ世界を平和にするため、総勢数千もの討伐隊を組み上げる。
そして、凄絶な争いの末、世界の脅威を取り除いた。
世界は平和になったのだ。
トゥルーエンド。
――そんなわけあるか!
本作では、魔王を倒し人間達に殺されたはずの主人公アルテが、新たな魔王と新たな勇者で自作自演してスローライフをするお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 20:00:00
361828文字
会話率:37%
吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で
一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-19 17:54:49
1627文字
会話率:0%
吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で
一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶やかんだ。その後ご猫にもだいぶ逢あったがこんな片輪かたわには一度も出会でくわした事がない。のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙けむりを吹く。どうも咽むせぽくて実に弱った。これが人間の飲む煙草たばこというものである事はようやくこの頃知った。
この書生の掌の裏うちでしばらくはよい心持に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが無暗むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底とうてい助からないと思っていると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見ると書生はいない。たくさんおった兄弟が一疋ぴきも見えぬ。肝心かんじんの母親さえ姿を隠してしまった。その上今いままでの所とは違って無暗むやみに明るい。眼を明いていられぬくらいだ。はてな何でも容子ようすがおかしいと、のそのそ這はい出して見ると非常に痛い。吾輩は藁わらの上から急に笹原の中へ棄てられたのである。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-03 17:40:14
809文字
会話率:0%
「ギルドのハウスならば手放してしまった。ちょうど皆が解散した瞬間にな!」
「じゃあ僕たち何処で寝泊まりするんですか?!」
ユーザーの個人情報を動画サイトで公開処刑する集団・ヴァロランドによってサービス終了を余儀なくされた世界的MMORPG
、LSO。
その稼働最終日。
とある小規模ギルド・翼蛇の杖(カルドケウス)では、仲間達と語らい、サ終を名残惜しむプレイヤー達数人が最後の挨拶を交わしていた。
それぞれ別れを告げログアウトしたはず……
が、そのうちの二人……なりきりロールプレイヤーでギルドマスターの魔術師・キリシマと、お人好しなご意見番の剣士・バーレッドが何故かゲームの中に取り残されてしまう。
ゲーム時代のステータス表記やコマンドは残っている。けれど痛みや匂い、感覚は現実と混合しそのもの。
レベルや装備はそのまま最強でも、二人には住む家やお金がない。
無いならば取り戻すしかない。
と、大金を手に入れるためとあるNPCの屋敷に忍び込む作戦を立てるのだが……。
■第十回ネット小説大賞、一次選考通過しました
■カクヨム様戦うイケメン中編コンテスト、中間選考通過しました
■普段は長編ファンタジーなどを書いています
https://ncode.syosetu.com/n4400ff/
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-19 17:10:00
43988文字
会話率:37%
中年が一人寂しく酒を飲む。人生の途中で足を止め、目的意識もない。ただ、そこにいるだけの空虚。しかし大いなる、もしくは馬鹿げた陰謀に巻き込まれ、命を狙われる少年と出会った。無価値な玉座から立つ時が来た。人生の責務など果たさなかったが、大人とし
ての面子はまだ残っている。空っぽでも見栄の残骸はある。男の生き方なんてそれがあれば十分。なにも握らなかった手で拳を作る。なにも乗せなかった肩に少年を乗せる。子供を連れた男の旅が始まろうとしていた……が。彼がいないこそ世界は睨み合っていた。彼がいないこそ強者達は栄達を極めていた。彼がいないこそ技術は発展した。結構、大いに結構。這いつくばることはない。惨めな死を迎えることもない。無価値だと捨てられることもない。偉大にして高慢なる国家は我が世の春を謳歌し、強者達は我こそが最強であると謳い、最高の防御手段は詩人達に歌われる。ならばこそ、だからこそ、【もしも】の世界に叩きつけてやろう。教えてやろう。【正史】において列強を真っ正面から粉砕し、強者を屠り、あらゆる手段、戦術が無価値と断じられることになった原因を。最強を!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-13 10:46:16
43946文字
会話率:42%
静かで、やさしい時間だった。
何気ない会話と、本をめくる音だけが響いていた日々。
それでも僕は、彼の背中を、いつも目で追っていた。
言葉は交わしていた。
でも、本当に伝えたかったことは、最後まで言えなかった。
触れられないものが、たしか
にあった。
それでも、あの静けさだけは今でも胸に残っている。
声にならなかった感情が、
いちばん深く残ってしまった。
幻だったのか、それとも――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-05 15:00:00
15902文字
会話率:9%
狂気、それは外から来るものじゃない。
私の中に、最初からあったんだと思う。
あの電柱の灯りを見たとき、わかってしまった。もう誰にも止められないって。
昔のことなんて、忘れてしまえばよかったのに。
でも、忘れたふりをして生きていた私が、いちば
ん許せなかった。
あの子たちは、まだ知らない。
灯りがともるとき、何が始まり、何が終わるのか。
けれど、それでいい。
語るべきことは、まだ残っている。
そして、次に灯りがともるのは……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-04 13:54:04
3358文字
会話率:20%
町外れの商店街で出会った、ふわふわのクマの着ぐるみ。
何気なく袖を通したその瞬間、少年の身体はぬるりと溶けはじめ、
皮膚も骨も輪郭も、静かに、甘く、毛皮の内側へと溶け込んでいく。
目覚めたとき、彼はもう“おとな”ではなかった。
そこにあっ
たのは、知らない小学生の姿と、空になったクマのぬいぐるみ。
声も、体も、日常も変わってしまったのに、
心の奥には、あの着ぐるみのぬくもりがまだ残っている。
それは恐怖ではなく――どこか、懐かしさに似たやさしさ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-22 14:27:15
2607文字
会話率:12%
あなたのことを忘れても、
あなたの中に“わたし”が残るなら、それでいい。
“選べない”優しさを持つ少女が、最後に選ぶのは――自分の存在を消してでも、誰かを救うこと。
名前を失っても、きっとあなたの記憶の奥に、わたしは残っている。
最終更新:2025-04-21 18:00:00
27719文字
会話率:20%
天才女優と称された彼女が転生したのは、ネオンサイン輝く地下隔離犯罪都市ウロボロンだった!?
そこは地下の都市。太陽は登らず衛生と正義と秩序が風化し、欲望と堕落だけが残っている。
前世のアウトローを詰め込んだ最悪最低な異世界だ。
ク
ソみたいな世界で自由を求める彼女は、今日も楽しそうに笑う。
これは前世と今世、二つの人生を賭けて演じる一人の女と仲間たちが暗躍する嘘みたいにイかれた物語。
カクヨムで先に更新しています。
続きが気になる方はぜひそちらもご覧下さい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-10 19:50:00
134011文字
会話率:41%