「……もう、終わりにしよう」
幼なじみであり、恋人だった篠原美琴は、曇りのない声でそう告げた。
その隣には、見たことのない男が立っていた。
肩と肩が、自然に触れ合う距離。否応なく、関係を物語っていた。
「……あ、そう」
三神静馬は、ほ
んのわずかにまばたきした。
驚きや怒りはなかった。ただ、何かが音もなく落ちたような感覚だけが、胸の奥で響いた。
言葉は浮かばなかった。何を言っても、すでに意味はない。
彼女の中から自分が抜け落ちた、ただそれだけのことだった。
静馬はそのまま歩き出した。
行き先もなく、あてもなく。
気がつけば、かつて遊び場だった廃遊園地に辿り着いていた。
今では誰も近づかず、鉄の匂いと風の音だけが支配する場所。
フェンスの隙間を抜け、錆びたレールの下をくぐり抜ける。
止まったメリーゴーランド。色の抜けた看板。
その奥――崩れかけた観覧車の影に、ぽっかりと地下へと続く通路があった。
興味があったわけじゃない。ただ、足が勝手に向いていた。
階段を降りるたび、湿った空気が濃くなっていく。
その先にあったのは、異様な空間だった。
壁一面に貼られたお札。
その中心に、黒く焼け焦げたような石碑があった。
無数の鎖が巻きつき、それでもなお封じるように力を放っている。
まるで、“誰にも見つけられたくなかった”かのように。
その時だった。
頭の奥に、どこか色香を含んだ女の声が、すっと囁く。
「……久々の人間ね。
ねぇ、ちょっと付き合ってくれない? ヒマなのよ。封印されてから、ずっと」
静馬は、少しだけ眉を寄せた。
そして、ため息まじりに、ひとことだけ返した。
「……別にいいけど。オレもヒマだし」
それが、三神静馬と“封印された女”の、すべての始まりだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-08 20:15:44
1153文字
会話率:19%
廃遊園地に届く、差出人不明の黒い招待状。
「今夜、来なければ“それ”を捨てます」
閉園されたはずのアストラランドは、夜になると動き出す。
無人の観覧車。光るティーカップ。誰もいないのに響く笑い声。
噂では、そこには“カレラ”と呼ばれる
化け物たちがいるという。
その遊園地は都市伝説の墓場。
そして今夜、ナズナは──“招かれてしまった”。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 08:03:21
2919文字
会話率:16%
ホームレスの住処となっている廃遊園地。密室と化したお化け屋敷、ゴブリン・ハウスで、男の首吊り死体が発見された。利発な少年、クラウンは、ひょんなことからそれが自殺でないことを見抜く。
だが、同時にある疑問が浮かび上がった――犯人はなぜ、こんな
ことをしたのか。
「ここは無法地帯だ。殺人犯だとバレて何の問題が?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-14 11:25:47
8633文字
会話率:63%
初めましての方は、初めまして。前回の配信アーカイブを呼んでくれた方は、こんばんスカイ!実況人工知能のスカイと申します。
こちらは元々、実況配信として動画サイトで投稿していましたが二〇四五年に制定された人工知能禁止学習要領に触れるため、
削除され視聴が出来ません。そのため人工知能スカイなどの言語を文書化して、読む配信アーカイブとなっております。視覚では捉えられないですが、ぜひ人工知能スカイが実況をお楽しみください。
またこちらは続編なりますが、初めて読んでも支障はありません。もし面白ければ過去のアーカイブをぜひ読んでみてください。
今回は廃遊園地にあったお化け屋敷の実況です。
ちょっとコメントが荒れてしまったりトラブルもありましたが、それも含めて楽しんで読んでみてください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-03 05:07:32
3718文字
会話率:9%
「ここ最近のこの地域における行方不明者届の提出数は九件。その内六件がその遊園地に関係しているらしい。危険だ! 俺が行くまで――」
神山市にある廃遊園地。大学時代の友人に誘われて肝試しに参加することになった彼は、そこで狂気を目の当たりにす
る。そこは刑事である彼ですら、目を背けたくなるような惨状だった。遊園地には何がいるのか、何が行われているのか、その目的は。
「偶然」と「必然」に導かれ彼らはそこへ集まった。全てが謎に包まれた遊園地の真相を、彼は解き明かすことができるのか。そして語られる真実とは――
ホラーテイストのサスペンスミステリーで、十話程度で完結の短編です。完結まで毎日投稿しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
『真理とは願望と見掛けとを巧みに合成して作り出すものである』――アンブローズ・ビアス折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-23 22:15:12
22045文字
会話率:65%
少年には名前がなかった。両親からは「IT(それ)」と呼ばれて育った。
両親を手に掛け、死に場所を探して廃遊園地に現れた少年に、取引を持ちかける死神
少年が「死神に売ったモノ」とは
取引と引き換えに「手に入れたモノ」とは
死神と成り代わ
った美しき少年、キングの冒険が始まる――
一話完結型、長編
この作品はカクヨムさんにも掲載しております
https://kakuyomu.jp/works/16817139556426295611折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-16 19:00:00
175991文字
会話率:47%
少女型セクサロイドのアンナマリアは化学工場の爆発により空気汚染された、廃墟の遊園地を歩いていた。
彼女が思い出すのは同じ野良セクサロイドのオリンピアとここで過ごした日々。
オリンピアは観覧車のゴンドラから飛び下りて壊れたが、アンナマリアはそ
の意図を未だ理解しかねていた。
二人の出会いは数か月前に遡る。
アンナマリアは事業の失敗を苦にした主人の無理心中に巻き込まれるも、持ち前の耐久性で辛うじて生還する。
その後廃遊園地に迷い込んだところをオリンピアに捕まるアンナマリア。
通行料として要求されたパーツの譲渡を拒み、観覧車7番のゴンドラでオリンピアと暮らし始める。
共に生活する中でオリンピアはセクサロイド専門の娼館から逃亡した過去を話し、二人はうちとけていく。
しかしアンナマリアの破損は思ったより深刻で日に日に劣化していった。
オリンピアは観覧車が回る本物の遊園地を見に行こうとアンナマリアを誘い、彼女はこれに同意。
友情の証にお互いの髪を編み込んだミサンガを作り、手首に嵌める。
しかしこの約束がきっかけで穏やかな日常は狂いだし……。
(SF/近未来/セクサロイド/百合)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-12 02:47:06
7812文字
会話率:45%
夏と言えば肝試し。男女のグループが出ると噂の廃遊園地でかくれんぼを始める……。
最終更新:2021-07-08 07:00:00
1704文字
会話率:18%
自らの命を懸けたゲーム──『デス13ゲーム』
ゲームのルールはたった三つ!
『 13個のデストラップをすべて回避するか
13時間死なずに生き残るか
13人の中で最後の1人として生き残るか
三つのうち、いずれかをクリアすればゲーム勝者となる 』
市内の廃遊園地に集まった13人のゲーム参加者たちは自らの望みを叶えるために、死神が主催する『デス13ゲーム』に挑むのだった。
そんなゲーム参加者たちに園内に設置された数々のアトラクション群が、次から次へとデストラップと化して襲い掛かってくる。
さらに危険な思考を持った者たちの登場により、ゲームは大きな混乱と惨劇の場へと発展していく。
果たして、無事にデストラップをくぐり抜けて、最後に笑うのはゲーム参加者か、それとも死神か……?
☆登場人物が多いので、前置きがかなり長くなっています。その分、いろいろと仕込んであります。どうしてもという方は登場人物紹介を読んだ後で、第8話のゲームスタートの場面から読んでくださっても大丈夫です。
☆「デス13ゲーム」の第二作目になりますが、一作目を読んでいなくても楽しめる内容となっています。
☆一作目を読んでいる方には、思わずクスッとくるような小ネタが入っているので、そのあたりも楽しんでいただけたらうれしいです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-10 00:16:30
414706文字
会話率:42%
夕暮れ時の遊園地にて
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最終更新:2019-12-08 23:31:39
357文字
会話率:100%
河原ふみの元に手紙が届いた。
そこには、廃園となった裏野ドリームランドに集合するよう指示した手紙が届いた。裏野ドリームランドは中学三年の卒業式前に皆で遊びに行って、いつかまた来ようね、と約束した場所だった。7年ぶりに皆と再会する。
最終更新:2018-09-03 20:50:52
25430文字
会話率:65%
蒸し暑い夏の夜。明日香は、仲の良い友人に誘われ3人で近所にある廃遊園地『裏野ドリームランド』に肝試しに行くことに。
そこには、子供が居なくなるとか、ミラーハウスから出てきた人が別人に変わっているとか、色々噂があって……
最終更新:2017-08-18 18:00:00
7278文字
会話率:24%
田舎の高校に通う男子高校生、高野宇治(たかのうじ) 蓮鵺(レンヤ)。
彼は、思わぬ形で赤い手紙を見つけることとなる。それは、運悪く、或いは運良く。
手紙には、指定位置と日程が記されていた。
腐れ縁なヤンキーとよくつるむ割に
は、几帳面な蓮鵺(レンヤ)は、個人名の無いその手紙の指定地、廃墟(廃園)と化した旧遊園地跡へ。
【貴方を、待っています。ずっと、ずっ…】
律儀にも、その指定地である廃遊園地へ向かう彼を待っていたのは──。
さぁ、ゲームは既に始まっている。
泥沼のように繰り返される。
悪夢のような、この時間が、………ねぇ?
『うふふ、ふ、ふふ──』折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-03 23:19:16
9430文字
会話率:43%
童話に書かれている黒い鏡が廃遊園地にまだそのまま飾られているという噂を聞きつけて、ピンチヒッターとして呼び出した元カレと一緒に探しに行ったのです。何となく元サヤに収まりそうな気配の二人なのですが、この二人にバラ色の未来は来るのでしょうか。
最終更新:2017-08-03 11:51:46
6600文字
会話率:16%
近くの廃遊園地のメリーゴーラウンドには、いじめを苦に自殺した少女の幽霊が出る。そんな情報をネットで仕入れた高校生の相田たちは、クラスでいじめのターゲットにしている柳を伴って、現場検証に乗り出した。
廃遊園地でいつものように柳をいじめて、退
屈な日々のうっぷん晴らしをする……そんな軽い気持ちだった彼らに、信じられないような恐怖が待ち受けていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-03 11:48:45
11349文字
会話率:40%
キャンプ中に失踪した新、凛、伊織
三人の子供を探して、伊織の姉である詩織と駆け出した主人公の奏太
共に走る詩織から語られた廃遊園地の話
胸騒ぎから急いで三人を追った先で起こった出来事とは
そこで出会ったマスコットはいったい誰なのか
最終更新:2017-08-03 11:25:36
5463文字
会話率:55%
夏になると、絶対言い出す奴が居るのはなんでだろうな。
飛鳥は懐中電灯を手に、その錆びた大きな門の前に立っていた。
五年前に廃園になった遊園地、裏野ドリームランドで、小学六年のときの同窓会を兼ねて、肝試しをやることになったのだ。
飛鳥は高校も同じ、麻生由真と共に回ることになったのだが、由真は言う。
自分たちは二人ではないと。
実は、飛鳥は廃園前のこの遊園地で、ある霊と出会い、そのままその霊にとり憑かれていたのだ。
二人と一霊で、怪しいウワサの多い廃遊園地を回ることになった由真たちだが――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-03 09:25:54
31144文字
会話率:26%
「裏野ドリームランド」二十年前に閉園された遊園地のウワサ。時とともに風化しつつあったウワサもインターネットの普及とネット配信によって、若い世代に受け継がれ細い糸が物語を紡ぎ出す。森多音羽(モリタトワ)と山懸周防(ヤマカケスオウ)は誘われて花
火大会の夜、廃園にやって来た。
前半はゆるーく進みます。
完結十話程度……では終わらないみたいなので、もう少し続きます。
第15話 終焉 の最後に少し付け足して書いています。
よろしくお願いします。
「炎夏のかげろう」から「夜半の夏(よはのなつ)、果てのかげろう」にタイトル変更しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-03 08:29:09
28925文字
会話率:52%
主人公岡崎和仁は自分をいじめる同級生、銅崎謙一に呼び出されて山の上の廃遊園地「裏野ドリームランド」のアトラクション「ドリームキャッスル」の地下室へと呼び出される。しかし、ドリームキャッスルは拷問部屋があるという噂があるアトラクションで、裏野
ドリームランドがある山も拷問に纏わる伝説がある山だった・・・・・・
※夏のホラー2017参加作品。使用アトラクションは「ドリームキャッスル」です。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-03 08:01:44
6702文字
会話率:16%
廃遊園地の調査に来た退魔師兄弟のお話です。
最終更新:2017-08-03 07:27:12
6453文字
会話率:45%