……意識が戻ったわたしは、ロボット二体に抱えられてトラックの荷台に放り投げられた。2289年7月初め、一斉安楽死の死体処理が始まっていた。わたしは、咄嗟にトラックから飛び降りると、ロボットに見つからないように部屋へと戻った。
6月30日
の「最終日」。わたしは、残っていた何人かの知り合いと、別れの挨拶を交わした。家族は、選ばれて火星に移住した一人息子のオガワ・マモル以外は、すでに安楽死処置でこの世を去っていた。火星の息子に最後のメッセージを送ったその夜、わたし、ミヤマ・ヒカリはこの部屋で「享年28」の最期のときを迎えるはずだった。
生まれ育ったここネオ・トウキョウで、一斉安楽死処置の失敗例は、確率的におそらくわたし一人のはず。月に本部を置く国際連邦のマザーAIに知られたら、再び処置を施されるに違いない。どうしよう…
かつて老占い師に言われた、「会いたいと思う者のところへ向かうとよい」という言葉を思い出した。会いに行ける可能性のある唯一の人物は、自分が生まれる前に大陸で行方不明になった、祖父のミヤマ・マモル。彼の写真と、その裏に書かれた「30115」の数字を手掛かりに、わたしは大陸へ向かうことにした。
マリンビークルという小型船で、AIによる追跡が来ないうちにネオ・トウキョウを後にする。航海のお伴をするビークルを、わたしは「アルト」と呼ぶことにした。「30115」をもとに指定した「北緯30度、東経115度」の地点は「到達不能」。代わりに、最寄りのレフュージを目指して東シナ海を航行し、長江河口のネオ・シャンハイへ到着した。
第四次世界大戦後、寄るべき国を失い、核兵器、生物化学兵器で汚染された地上に残された約1億の民。彼らを収容すべく、国際連邦が建設した大型シェルターであるレフュージは、ネオ・トウキョウ、ネオ・シャンハイを含めて地球の30ヵ所に設置されていた。
レフュージの外には、国際連邦管轄外のAOR(Aliens Outside the Refuge)と呼ばれる居住民たちがいる。その大きなコミュニティーが、ネオ・シャンハイの対岸に存在することをアルトから聞かされ、わたしは長江を渡り、上海へ向かった……
※事情があって削除した長編を、少し再構成して、再び連載の形で公開します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-12 20:10:00
55109文字
会話率:22%
西暦2045年
この物語は、グリス連合国の大統領の息子として生まれた、アラン・ウィンチェスターが主人公だ。現在7歳だが4歳までの記憶がない記憶障害を患っている。そんなアランは母親と2人で暮らして、国際連邦直属教育学校に通っている。なぜ、敵で
ある国際連邦の学校に通っているかは謎だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-11 21:58:35
928文字
会話率:20%
西暦2026、春。
突如として、第三次世界大戦が勃発する。
“謎の組織”による一方的な攻撃……これにより、ものの数日で人類の約半数が死亡した。
だが、“謎の組織”は突如として消え去り、残されたのは謎と――崩壊した世界だった。
後に、人はこれ
を“アルマゲドン”と呼んだ。
それから時は経ち――約2000年後。
宇宙歴999。
西暦時代の国連を基とした組織「宇宙国際連邦」――「Space International Commonwealth」――通称“SIC≪シック≫”の本部コロニー“セフィロート”にある、“天枢学院”と呼ばれる学校に、一人の少年がいた。
彼の名は、ゼノ=エメルド。
彼は特殊能力者“チルドレン”と言われる人間であり、その中でもトップクラスである“SSSクラス”に所属していた。
ある日、セフィロート内にてテロが発生する。それは“神の手――GOD・HAND(通称GH)”と呼称される反政府組織“PSHRCI”が起こしたものだった。
ゼノは親友・ディン、そして義妹・サラと共に、テロ鎮圧のために行動を開始する。
「動くな!」
ゼノたちに向かい、銃口を向ける少女――フィーア。
その出逢いは、少年たちを数奇な運命へと巻き込んでゆく。
咎を背負いしものたちが織り成す、血塗られた生命の軌跡。
紐解かれゆく神と人と星の物語。これはその第六章――最終章である。
EpisodeⅥ――全ての始まりにして、全ての終わりなる時へ――
※「BLUE・STORYⅡ」とありますが、前作を知っている・知らないに関わらず内容がわかるようになっております。これはこれで独立したお話なので、ご安心ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-05 01:00:16
763690文字
会話率:49%
2086年 国連とロシア・東側諸国連合との核戦争によって荒廃した地球。ロシア・東側諸国連合を降伏させ世界を統一することは出来たが、人類人口は4割にまで減少していた。失った6割の人口、それでも増え続ける人口、核によって汚染された都市や土地、問
題は山積みであった。ある日、太平洋上に作られた人口島の国連軍基地に一つの実験装置が送られてきた。この実験ではワームホールを出現させ他の惑星への進出のための試験的試みであった。実験は成功して、調査隊がワームホールへと通っていった。そこで、調査隊が見た光景は、空を飛ぶドラゴンや魔物の姿であった。調査隊の情報から国連総会では『異世界侵攻』案が提案され全会一致で採択された。2か月後、突如ワームホールを通って中世のような軍が攻めてきたが、既に世界中から集結した国連軍によって壊滅させた。その二日後に国連軍は異世界に本格的に侵攻を開始した。国連はこの先何を手に入れるのか、異世界はどうなるのか、物語は始まったばかりであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-23 18:10:28
3962文字
会話率:35%
「これが、所謂『平凡な生活』なのか?」
幼い頃に両親を失い、ある暗殺者養成組織で育った、ティオゲネス=ウェザリー。
その組織は四年前に、CUIO(国際連邦捜査局)によって崩壊した。
組織から解放されたティオは、ようやく世間で言うと
ころの『平凡な日常』を営み始めた――筈だった。
しかし、その『日常』は、しばしば『トラブル突進&吸引体質(ティオ命名)』の少女・エレンによって崩されることになる。
エレンが持ち込む面倒事の尻拭いに奔走するティオの気の毒な日常、次なる事件は――?
中編~長編・一話完結シリーズ、巻き込まれ型・サスペンスアクション。
※本館サイト、エブリスタにも同じ作品を掲載しております。
※エブリスタ開催のジャンル応援企画『アウトロー』にて、佳作入選致しました!
応援、有難うございます!
©️和倉 眞吹2014- .
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この小説の文章の著作権は和倉 眞吹に帰属いたします。許可なく無断転載、使用、販売する事を禁止します。
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557946文字
会話率:41%
舞台は地球温暖化が進んだ地球。
温暖化の影響で環境が一変、土地が枯渇し作物がなどの収穫が出来なくなり食料困難が世界的に問題視されるようになった。
国際連邦共和組合通称"UNR"は食料困難を回避すべく食料収布制度を可決した
。
これにより世界は安定を保っていた。
しかし、世界の枯渇化が進んだ国は作物が収穫出来なくなってしまう。
やがて作物が収穫出来ない国はUNRの判断により食料提供を停止されてしまう。
提供を停止された国の一つハルベスタン共和国は突如武装組織シャドウ・アイを設立。
これによりUNRはシャドウ・アイ撲滅を目的とした組織、国際連邦軍を設立した。
今、国際連邦軍とシャドウ・アイとの長期に渡る戦いが始まる…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-06 13:34:20
1809文字
会話率:30%
人類が宇宙へと進出して数百年、既に月面までに居住域を拡大した時代。
国際連邦軍(IFF)に所属するアームド・ドール(AD)のパイロットであるウィルクリス・アンガードは、極東支部に着任したその日、蒼天から舞い降りてきた「天使たち」の姿を見
た。
その正体は月面テロ組織「レコンズ」のADであり、レコンズ所属のアーノイア・エリオットが率いる作戦部隊は、極東支部への強襲作戦を実行、そして地球政府とIFFに対し、宣戦布告をする……。
二人のADパイロットと、地球と月面の戦いを描いた物語が、今ここに始まる――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-07-21 22:55:07
19968文字
会話率:45%
かつて、国際連邦の主導のもと、地下迷宮計画が行われた。極秘裏に行われていたが、ついに発覚し、国際連邦は解体され、世界中で戦争が巻き起こった。
戦後、人々は復興を取り戻しつつあったが、新たな歯車が動き出した。それが、牢獄の箱庭。
主人公
は、その牢獄の箱庭にとらわれ、右も左も分からない中、一人の軍人と出会う。そして、この箱庭から逃げ出すために、走り出すのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-11-09 15:21:40
6087文字
会話率:56%