『白蓮の帝』
白鳳麒が生を受けたのは、泰水の辺境にある小さな村であった。その年、泰水は干ばつに見舞われ、作物は枯れ、蝗が襲来し、疫病が蔓延した。白鳳麒の家族は貧しく、彼が十七の時、両親と長兄は飢饉と病で命を落とした。
白鳳麒は生き延びる
ため、近くの寺に身を寄せた。しかし、寺もまた飢饉の影響を受け、わずか二ヶ月で食糧が尽きてしまった。彼は托鉢の旅に出ることを余儀なくされた。
三年の放浪の末、白鳳麒は寺に戻った。その頃、泰水の各地で反乱の火の手が上がっていた。寺は反乱軍に通じているという疑いをかけられ、兵士たちによって焼き払われてしまった。
焼け跡に立つ白鳳麒の前に、一羽の赤い鳥が舞い降りた。鳥は彼に語りかけた。「汝の運命は白に染まっている。白の旗の下に身を投じよ」と。
白鳳麒は赤い鳥の言葉に従い、白巾軍の一派に加わった。そこで彼は才覚を発揮し、軍の中で頭角を現していった。
ある夜、白鳳麒の夢に老賢者が現れ、こう告げた。「汝は天命を受けし者なり。泰水を統べる者となるであろう」
夢の啓示を受けた白鳳麒は、独立した勢力を築き上げていった。彼は応天と呼ばれる地を本拠地と定め、そこから勢力を拡大していった。
白鳳麒は三つの大きな戦いを経て、泰水の覇権を手中に収めた。鄱陽湖の戦いでは、火を操る妖術を使って敵軍を焼き尽くした。蘇州の戦いでは、長き包囲戦の末に敵将を自刃に追い込んだ。そして最後の戦いでは、北方の異民族の軍勢を撃退し、泰水全土を統一した。
統一後、白鳳麒は自らを皇帝と称し、国号を大鳳と定めた。彼は荒廃した農村を立て直すため、流民を故郷へ戻し、新たな田地を開拓させた。また、農民の教化のため『六諭』を発布し、民に生業に励むことや孝行を説いた。
しかし、白鳳麒の治世は平穏ではなかった。彼は常に謀反の影に怯え、多くの功臣や知識人を粛清していった。「胡藍の獄」と呼ばれる大規模な粛清では、数万人もの人々が処刑されたという。
ある日、白鳳麒の前に再び赤い鳥が現れた。鳥はこう告げた。「汝の治世も終わりに近づいている。次なる者に道を譲る時が来た」
その言葉通り、白鳳麒は間もなく崩御した。彼の孫が後を継いだが、わずか一年後には白鳳麒の四男との間で王位争いが勃発した。
こうして白鳳麒の時代は幕を閉じ、泰水は再び動乱の時代を迎えることとなった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-15 08:12:33
76688文字
会話率:46%
主人公は、「由子の兵法」の著者である由(ヨウ)子(ヅゥ)が、大韓を建国するまでの物語です。
城主に陵辱され殺された姉の敵討ちをするも、敵わず殺される所を救われ、その者に師事する。
由子は後に「一振り十殺」と恐れられる飛燕剣と言う剣技を生み出
し、城主を討って姉の復讐を遂げるが、お尋ね者となり各地を放浪する。
越南領主の命の危機を救い、我が義弟と称されて招かれるも断る。当時、亡国韓の公主・紫水蘭(水姫)が客将として越南に身を寄せていた。彼女は諸葛亮の再来と謳われる才女であり、越南ではなく、彼女に忠誠を誓う事を認めるなら仕えると答えた。韓の公主は、亡くなった姉に瓜二つであったからだ。
由子は天下一の武勇にこだわった。理由は、自分にあの時、力があれば姉を救えたと後悔していたからだ。
「由子の兵法」は天下に広く知られ、由子を手に入れ様と、天下統一の野望を持つ斉国に攻められる。
斉国には中華最強と謳われる馬光(紫光)がおり、由子とは浅からぬ因縁があった。その馬光の正体は亡国の韓の王子で越南の宰相となった紫水蘭の兄であった。
意に反して兄妹で争う事となる。
越南は、かつての韓・魏・趙・秦を北遼から奪い返して国号を越南から晋へと改めた。
富国強兵を進める斉は遂に北伐を開始し、晋と共に北遼を中華から駆逐して北に還す事に成功する。
天下は晋と斉に二分されるも、斉の天下一への野望は尽きず西侵して晋と覇を争う。
丞相となった紫水蘭は、韓再興の夢を由子に託して病の為、亡くなる。弔い合戦と称した由子の不敗の兵法によって斉は滅び、晋によって天下は統一される。
韓は馬光(紫光)によって再興され、由子は斉王に封じられるも放棄し、表舞台から降りて野に降る所まで1部。
第2部は晋帝が統一僅か2年で後継者もなく、死去する所から始まる。晋の五柱国によって後継者争いが起き、これの事件は後に「五柱国の乱」と呼ばれる。
馬光は陰謀によって北伐中に命を落とす。馬光の娘によって由子は迎えられ、乱収拾の為に軍を起こす。
楚王・龐越との争いに勝ち、韓が天下を統一し、由子が大韓帝国を建国する。
第3部は、建国から300年経ち、再び中華は不穏な空気に包まれていた。北方騎馬民族である遼に攻め込まれ、帝都は包囲され、皇帝や皇族が殺される。
主人公は皇族唯一の生き残りとなる。最後まで抵抗するも討ち死にし、大韓が滅ぶまでの物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-08 15:52:34
58716文字
会話率:43%
『架空のサムライの国』がファンタジー小説や漫画に登場したとき、 ここも『ヤマト□国』? また『ミズホ○国』? と思ったことありませんか? あなたが作り手なら、和風のキャラクターや和食の島国を出すとき、独創的印象的な国名にしようと四苦八苦しま
せんか?
── このエッセイは、日本が過去に何と呼ばれていたか、他国へ何と名乗っていたか。架空国家ネタ(も)好きな趣味人が、史実、雑学とともにご紹介。『細矛千足国(くわしほこちたるくに)』、 『玉垣内国(たまかきうちのくに)』、『言霊の幸わふ国』… とは! 読むと『この国』の新たなすがたがみえてくる !!( かも⁉︎ )折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-05 20:00:00
8392文字
会話率:17%
地球人は西暦2650年、地球を統一した地球連邦国の名のもと宇宙大航海時代を迎え太陽系の全ての惑星と小惑星に至るまでを征服した後、他の恒星系へと乗り出し幾千年。地球連邦国は西暦5150年を迎えると形は大きく変わり国号を地球星間連邦国と改め、
版図を天の川銀河の三分の一程度まで広げた。
地球星間連邦国は勢力拡大を伴い様々な戦争や大事件が起きたが西暦5000年から150年もの間、他星間国家との小競り合いや内乱もなく比較的に平和な状況が続いていた。
だが、その平和も長く続かず、天の川銀河中心部にヴィデハ星間帝国という地球星間連邦国との国力を5倍をも差をつける超大国が誕生すると状況は急変した。
地球星間連邦国はヴィデハ星間帝国と通商を結ぶと共に大幅に軍事力を増加させると共に新艦隊を編制。その艦隊はヴァレンチノ艦隊と呼ばれた。
※不定期投稿になりますのでご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-29 21:00:00
1284文字
会話率:0%
神によって作られた、全ての願いを叶える願望機―”大宝玉”
人類を監督する”観測者”は、その宝玉を追い求め、幾度となく争いを繰り返してきた。時には町を。時には国を。時には文明を灼きながら。
時は西暦二十二世紀。世界を大混乱に陥れた「シャ
ッフル革命」から、既に一世紀が経過した。革命時に故郷を追われた日本人は国号をヤシマと改め、周辺国との絶えない戦火に苦しみながらも、この激動の時代を生き抜いていた。
五年前のとある失敗が原因で軍籍を離れた珠衛伊吹は、今は「普通の大学生」として「普通の生活」を謳歌していた。数は少ないが、気の置けない友人たちとの、いつもと変わらないある日のこと。自身も通うカシハラ大学でのある事件をきっかけに、伊吹は再び自身の運命と向かい合う!
*感想やご指摘などございましたら、お気軽に書いていただけると幸いです。ブックマーク、お待ちしてます!
*エブリスタ様でも投稿させていただいております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-31 20:10:05
115766文字
会話率:37%
2020年の東京オリンピックの中止は
日本国統合を崩壊させ、各地での地方ナショナリズムを勃興させるには充分過ぎるものだった。
税収の大幅減による時の内閣の小さな政府志向の結果生じた防衛費の大幅削減は、自衛隊の独立性の向上をもたらし、それらは
周辺諸国との直接的な貿易によって中央政府より強力な指導力を得た自治共和国の支配下に入っていった
日本各地で独立運動が激化する中、2023年に日本政府は特に独立運動が激しく、またもはや中央政府による完璧な統制が困難になってている各地方の独立運動を鎮静化すべく
北海道共和国、西日本連邦、北陸連合、大琉球国の連邦内で独立させ
国号を日本連邦へと改定したが、この行為は独立運動を加速させる結果となった。
2025年もはや中央政府より大きな指導力を獲得した西日本連邦は、その年開催された大阪万博にて日本連邦からの離脱を宣言、山口から近畿に至るまでの広い範囲に西方合衆国が建国された。
この動きに触発され、大沖縄帝国、長野共和国、新潟王国、能登半島及び北陸連合王国、北海道社会主義共和国連邦が相次いで独立
また、北海道の影響が削がれた東北地方では津軽共和国、福島共和国、秋田人民国が独立を果たし、その他の地域でも建国宣言が相次いだ。
この様な流れの中、北関東に位置する
茨城県も他地域に続くように、独立国家茨城共和国として2026年日本連邦からの独立を果たした。
しかし独立の直前まで防衛を中央政府に頼っていた茨城に、日本国の崩壊と同時に起こった周辺諸国からの侵略を止める力は無く、鬼怒川以西は中央政府の後継国家である首都連邦へ、また北部は福島共和国に奪われ、国力の衰退を招く事となった。
そんな混迷を極める茨城に、2027年ある一つのファシスト政党が誕生した…
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-14 23:50:03
5892文字
会話率:41%
時は暗黒戦争といわれた時代、勇者ジークフリートは暗黒竜ファブニールと戦い、伝説の聖剣ライトサーベルを用いて、ファブニールを倒した。
しかし、その時の仲間だったカルザスに裏切られ、ジークフリートはいわれのない罪を着せられ、そして処刑されてしま
い、地獄へと落とされてしまう。
そして、その地獄では、かつて自分が倒した暗黒竜ファブニールと手を組み、再びジークフリートという名で転生する。
そして、自らの国の国号をカルザス帝国と改め、その初代皇帝、カルザス1世となったかつての仲間に復讐するための戦いが始まったのだった。
さらに、カルザス帝国軍によって、家族と仲間たちを皆殺しにされた、エルフの女アイリスも、ジークフリートたちの戦いの旅に同行することになったのだった。
この物語はフィクションです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-09-26 09:15:05
15586文字
会話率:31%
統合新暦301年。
「世界統合連盟」が誕生して既に3世紀が過ぎたこの時代。
連盟加盟国であったアクラス自由交易国が、「元統国家アクラス」と国号を変え、突如独立を宣言。
統合連盟との平等国交条約の締結と、とある機動兵器の引き渡しを要求した。
世界統合連盟はこの要求を拒絶。
これにより、およそ300年振りの国家間での武力衝突が起こったのである。
圧倒的国力差にも関わらず、連盟側の主要拠点を次々と陥落するアクラス軍に対し危機感を覚えた統合連盟軍は、連盟条約によって封印されたていた、とある機動兵器の投入を決意する。
その機動兵器こそが、アクラスが独立時に引き渡しを要求した機動兵器、「PBM-02“ザンフォース”」である。
そして物語は、ある少年が“ザンフォース”のパイロットに選ばれた時から始まる・・・
戦争が無くなった世界で起こった戦争。
その戦争の行く末をある少年を中心に描きます。
外部サイトにて設定等ものせる予定です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-31 00:00:00
1920文字
会話率:47%