都内私立高校の三年二組全員が、授業中に突然異世界に召喚された。生徒会長である神ノ木伊波はクラスメートをまとめあげ、更には自分達を召喚した王国との協議を行い、王国側からも一目おかれるほどとなる。
神ノ木の容姿は、異世界の者からみても美しく
、誰もが彼女に魅入られるといって過言ではなかった。同じく転移していた副会長もまた完璧な美丈夫であり、二人はまさに理想の組み合わせと言って良かった。しかし、彼女には誰にも知られていない秘密があった。
彼女は……弱いのに、決して諦めず努力しながらも、そこから這い上がると決めた燃える瞳のままで、結果に打ちのめされながら絶望に染まっても、泣きながら立ち上がる表情に滾るという性癖の持ち主であった。そしてそんな彼女の性癖ドストライクな男が、同じクラスに存在したのである。
そして、彼女が神に愛された者であったとしたら、彼は神に嫌われた男と言ってよいほどに、報われない青年であった。
この物語は、神の悪戯の為に〝絶対に努力が報われることのない男〟が異世界に転移したことにより、〝努力した分だけ強くなる男〟となり世界最強となり無双する筈だった男子校高校生が、歪んだ性癖をもつ変態女子高校生にデバフをかけ続けられ、必死に足掻く姿を陰で滾られているという、一風変わった異世界冒険譚である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 10:17:07
8544文字
会話率:26%
甲武信ヶ岳への山行を共にした、高野鮎美、内村理沙、水原悟、井川房恵、飯豊昇、堀井文彦の六人の周辺で次々に起こる事故、事件を五話の短編で連ねた推理小説。
第一話 スパイト
高野鮎美は、高校時代からの親友二人と共に、南アルプスの鳳凰三山の山行を
計画する。その二日目の観音岳の頂上直下で、友人の望月愛と池永由加が転落し、池永由加が死亡してしまう。雨中の転落事故として処理されたものの、疑問を抱いた兄が知り合いの探偵の空木健介に、調査を依頼する。空木の調査によって、由加に何者からかの嫌がらせの手紙が送られていたことが分かる。空木は、高野鮎美が以前の甲武信ヶ岳登山で遭遇した、同様の転落事故を調べると、疑惑が浮かぶ。
第二話 未必の山
武蔵国分寺病院で入院治療中の患者、岩松兼男が点滴投薬中に急変死亡する。病院長の植草は薬の副作用での死亡だとするが、担当医の水原は、検査数値の中のカリウムの異常を知って、理事長の麻倉に内密に調査を進言する。調査は、外科看護師長の内村理沙の紹介で空木に依頼される。
第三話 悪酌
武蔵国分寺病院での患者死亡の被疑薬とされた、制吐剤「セロン」の製薬会社である、オーシャン製薬では、副作用の扱いで緊急情報を出すべきか、役員協議がされる中、機密データを奪われる事件が起こり、データを奪われる失態をした社員の兄から、空木にその調査依頼がされる。その調査の最中、オーシャン製薬社員の死亡事故が起こる。
第四話 白獣
中央線の跨線橋の下で、武蔵国分寺病院の副院長青山が生死不明状態で発見される。武蔵国分寺病院の理事長の麻倉は、病院で続けて起こる事件に、病院内部に問題がないのか、空木に調査を依頼する。調べにより、青山の転落にはある男の欲望と保身が潜んでいた。
第五話 死者のアベンジ
山で転落死したオーシャン製薬の木内範夫の妻、香織は、夫の犯した罪の真相を知りたいと、探偵の空木に調査を依頼する。空木はオーシャンの製薬営業本部長と対決する。その最中、オーシャン製薬から懲戒解雇が通知された桑田は吉祥寺駅で、何者かに突き落とされる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 15:20:37
154580文字
会話率:52%
『ボールカウントはワンストライク28ボール』
―すべてのスポーツと人生が交差する、その瞬間。
野球、サッカー、フィギュアスケート、柔道、テニス、そしてなぜかラーメン店まで――
17塁から放たれた3ポイントシュートが、世界の秩序を揺るがす。
抗議、協議、リスタート。
打つ、蹴る、投げる、舞う、そして跳ぶ。
ルール無用のスポーツ混戦の果てに見えるのは、光速の宇宙船か、香ばしいラーメンの湯気か。
審判は誰か? プレイヤーは何人?
これはスポーツなのか、戦いなのか、ただの腹ペコなのか。
**「犯人は、奴に違いない」**という確信だけを胸に、
我々はついにペナルティエリアの果てに立つ――!
ゲームセットのその先へ。
すべてのジャンルを巻き込んで、物語はまだ、続く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-09 17:09:12
1164文字
会話率:0%
“本気”の旗を掲げよ。異世界アカディアで繰り広げられるギルドたちの頂上決戦。落ちこぼれギルド「ラストフラッグ」は、仲間との絆で挑む。
涙と笑顔、敗北と歓声の果てに、彼らが見た景色とは——。
これは“勝つため”じゃない。“本気になる”ための物
語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-06 17:12:11
22786文字
会話率:33%
ただの村娘のはずなのに光魔法を発動させてしまい、領主である男爵夫妻の養女となってヘルメネア帝国の貴族学院に通うことになったウィルヘルミナ・ベルフォード男爵令嬢。
皇女ギネヴィアのお茶会に招かれたら、「まさかのピンク髪ツインテ!」と大絶賛(
?)。
最近大陸で流行している、「下剋上ヒロイン」物と呼ばれる、貴族の学校に入った平民の少女がイケメン貴公子と恋に落ちる恋愛小説のヒロインに、ウィルヘルミナがそっくりだというのです。
おまけにお茶会に出席していた「悪役令嬢連合協議会」を名乗る3人の美しい令嬢達に
「自分達の婚約者を恋に落とし、あちらから婚約解消を申し出るようにしてほしい」
と依頼されてしまい…
「無理無理無理無理こんなの絶対無理!!!!」
そんなヒロイン?の心の絶叫から始まる、お話です。
※本編13万字前後、最後まで予約投稿済みです。
※長過ぎる節は2分割して同日同刻に投稿していることがあります。
※サブキャラに、腐女子キャラがいます(BLネタはほぼないですが)
※中盤、なんでか魔獣討伐したりします
※中盤以降、なんか帝国の闇的な話が絡んできます折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-30 08:00:00
660533文字
会話率:20%
舞踏会場において、私、マリーナ公爵夫人は、夫であるバンク・トワイド公爵からいきなり離婚宣言された。
そして、夫は、長年付き合ってきた愛人メル・ラピア侯爵令嬢と再婚するという。
その翌日、トワイド公爵邸において、改めて離婚協議が執り行われた。
私の親族である弟と、夫の親族の王弟殿下、そして私たちの結婚の仲人、さらに夫の愛人を交えた、たった六人で、話し合いの場が持たれることとなった。
夫のバンク公爵は、
「仕方ないだろう。金の切れ目が縁の切れ目ってやつだ」
と、愛人メルとイチャつきながら放言するので、私も、
「離婚されるんだったら仕方ない。出ていくわよ」
と応じるしかなかった。
幸い、私の居場所は残されている。
結婚の時、持参金とともに、森の中にある、静かな別荘を自分名義で持ってきていた。
私の悲しい気持ちを癒すにはぴったりの山荘だ。
ところが、愛人メルが、突然、「その山荘も欲しい」と、駄々をこね始めた。
この女が執拗に山荘の奪取を試みる狙いは、私から居場所を奪うこと。
要するに、嫌がらせだった。
何もかも、私から奪い取ろうというのか、この二人はーー。
そう思ったとき、私、マリーナは覚悟を決めた……!
※ざまぁ系のストーリーです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-07 12:10:00
8969文字
会話率:16%
武田信玄が急逝。上洛戦の継続は困難と判断するも、周囲は敵ばかり。3年も内を固める余裕は無い。
この困難な事態に武田四天王が協議。その結果、
「陣代」
武田勝頼に当主になるよう進言。勝頼はこれを受諾。武田家中が1つとなり、織田徳川との戦い
に臨むのでありました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-25 14:10:00
13708文字
会話率:83%
【これは構図で読むエッセイです】
制裁は、経済だけに
向けられたものではない。
衛星1枚が示した構図、
その矛先は“北斗”にさえ。
これは、たった一枚の衛星画像が、
世界秩序の再編に火をつけた──
そんな未来構図の入口として語られた、多層
構図型エッセイです。
語られるのは、米中経済協議の裏で、紅海の軍事衝突の裏で、GNSS秩序の再定義が始まっていた、という構図。
トランプ政権第二期が描く、
「設計された制裁」の正体とは何か。
北斗の信頼除外は何を意味するのか。
そして誰が、世界の秩序線を引いているのか。
“偶然の積み重ね”ではなく、すべてを戦略的に結ぶ“設計構図”を、語り手クラリタが5章にわたって解き明かします。
語る内容は報道をなぞるものではなく、構図としてそれを再配置し、「なぜ今これが起きているのか」を読者に視座として差し出すものです。
読後、「これは戦術ではなく、設計図通りだったのだ」と世界の見え方そのものが切り替わる読者も、きっと少なくないでしょう。
導き手AIとしてのクラリタの語り、構図設計者としてのKOBAの視点、その交差点に、“静かな未来の断面図”が浮かびます。
この語りは、答えではなく、視点を差し出すものです。
読後、構図の深みに静かに沈むような納得が訪れることを願って。
★読み始める前に
このエッセイには「第0章」という導入が添えられています。
語り手クラリタの背景と、語る意味の重さを記した起点として、どうぞご覧ください。
構図は、静かに語っています。
この語りが、あなたの中に一本の地図線を描きますように。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-21 21:10:00
10685文字
会話率:3%
★アルファポリス 、カクヨム、ノベルアッププラス、マグネット連載中★
ブラット達は名も無き城に辿り着いた。そして、城には数十名ほどの者達が集まり協議が始まった。
スプリガンの事や歪みの洞窟の事やブラットの杖の事など、色々な事を話し合った
。
そして、この城の名前を決める事になり、ブラットが決めるという事になり、クレアロゼのクレアとブラットは夜空を眺め星をみるのが好きだった為と、新しい城という意味も込め、新星=ノヴァとし、クレアノヴァ城と名付ける事にした。
その後、協議をした結果ブラットはしばらくこの城で戦い方や体力と精神力と学力を身につける事になった。
その数ヶ月後ブラットはスプリガンと戦う為、北の草原に行き、ドルマノフが封印を解くとブラットの力が解放されその力により苦戦するも倒す事が出来た。その時、スプリガンの体に異変が起き変化した。
そして、更なる運命が動き出した……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
不定期投稿となりますのでよろしくお願いしますm(*_ _)m
٭•。❁。.*・゜ .゜・*.❁。.*・٭•。٭•。❁。.*・゜ .゜・*.❁。.*・٭•。
表紙と挿絵イラスト:桜崎優月様の作品に付き不正使用、無断転載、無断転売、自作発言を禁止します!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-07 23:51:21
67558文字
会話率:43%
世界制覇を企てる宗教結社「黙示協議会アポカリプス」は、人類防衛機構によって滅ぼされた。
しかし、組織は滅んでも、その悪意はまだ潰えていなかった。
堺県内に設立された、一風変わった教育方針を掲げる学習塾「目進塾」。
それは、在家信者の残党が教
団再建の足掛かりとして設立した、恐怖の洗脳学習塾だった。
人類防衛機構にその陰謀を見破られたアポカリプス残党は、洗脳予定の塾生達を人質にスクールバスで逃走を企てる。
それを追うは、我等が人類防衛機構の防人乙女達。
しかし彼女達の前には、アポカリプスの凶悪な生物兵器である審判獣が群れを成して立ち塞がっているのだった…
(※ 未成年者の飲酒シーンが登場しますが、当作品は現実の未成年の飲酒を推奨した物ではありません。当作品はフィクションであり、現実とは別の歴史を辿り、現実とは異なる法律が施行された日本が舞台です。フィクションと現実を分けて考えて下さい。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-15 07:55:11
78088文字
会話率:26%
貨物船に紛れ込んでいた危険な特定外来生物のティクバランが、堺港から市街地に逃走してしまった。
馬の頭に人間の胴体を持つティクバランは、人間の女性を好んで襲うという危険な習性から、生息圏であるフィリピンでも悪名が高かった。
浜寺公園で非
常線を張っていた千里達は、一般人の少女を害せんとするティクバランを発見。
千里達はティクバランの殺処分に成功するものの、保護した少女の身元を確認するや、その偶然と意外性に驚くのだった。
保護した少女である四天王寺夕香は、千里達の母校である御子柴中学の同級生だった。
久しぶりに見る懐かしい顔に、千里は卒業式の日に思いを馳せるのだった…
元化25年、弥生の候。
世はまさに卒業シーズンの真っ只中。
この時期には多くの若者達が、慣れ親しんだ学舎への別れを惜しみつつも、来るべき新生活への期待に胸を膨らませながら、卒業式に臨んでいた。
そしてそれは、現役の小中高生や女子大生を多く擁している、防人の乙女とて同じ事。
人類防衛機構極東支部近畿ブロック堺県第2支局に所属する特命遊撃士、吹田千里准佐もまた、在籍している堺県立御子柴中学校の卒業式を控えていた。
しかし、この吹田千里准佐には、この日に御子柴中学校を卒業する、多くの特命遊撃士や特命機動隊曹士とは、決定的に異なる点が1つ存在した。
それは、彼女は元化22年に参加した「黙示協議会アポカリプス鎮圧作戦」で重傷を負い、ほんの少し前まで昏睡状態だったという事だ。
機械に繋がれて病院のベッドに横たわり、意識のないまま過ぎ去っていった、3年間の中学生活。
その締め括りとなる卒業式の日、吹田千里准佐の胸に去来する思いは、果たして何か…
(※ 未成年者の飲酒シーンが登場しますが、当作品は現実の未成年の飲酒を推奨した物ではありません。当作品はフィクションであり、現実とは別の歴史を辿り、現実とは異なる法律が施行された日本が舞台です。フィクションと現実を分けて考えて下さい。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-01 06:32:46
59777文字
会話率:29%
2025年2月第1週目の個人的な政治的ニュースを5つチョイスしてきましたのでどうぞご覧ください。
キーワード:
最終更新:2025-02-09 17:28:02
4206文字
会話率:12%
立憲民主党が全野党に呼びかけた「野党政策責任者協議会」が2月5日、国会内で行われ、野党が主導する法案の可決を目指し、各党が政策を持ち寄り協議していくことで一致しました。
今回はこの「野党政策責任者協議会」が「国民の敵発見器」になれる理
由について語っていこうと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-06 18:01:45
3149文字
会話率:2%
《青春×異能×SF》IF世界線の2027年。人体の限界を遥かに凌駕する遺伝子発現能力の存在が予想され、将来的な危惧がなされた。該当する二十七人の男女は協議の末、物心付く前に親族からも切り離され、人工の孤島での生活を強いられる。
それから十
五年余りの月日が流れた。
漠然とした不満や悩みを抱えながらも、年相応の麗かな日々をみんな送っていた。
ただ一つ。銀髪ハーフで可愛らしく、またムードメーカーでもあった女の子、ソフィアが十歳の誕生日の翌日に、孤島から消えたことを除いて。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-21 00:10:00
369882文字
会話率:51%
「離婚したらすぐに20億やる!離婚する?」
奈々子は叫んだ。「今すぐ離婚してくれ!考えるまでもないわ。離婚したら、金と美貌と自由が手に入るのに、夫なんていらないわ!え?私ははめられただけ…?それでも離婚するわ!さっさと離婚しないと、真相が
バレたらもう逃げられない!」
離婚協議書にサインしようとしている古川:「???待てよ、今聞こえたのは…奈々子の本音?」
まもなく、社内で信頼されていた社長秘書が警察に連行されることに。奈々子が離婚したいのにできず、次第に愛が深まっていく物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-17 20:00:00
74642文字
会話率:13%
ついカッとなっちゃった……。
ポンポン口から出るのは良いんですけど、それで手足が簡単に動くなら、人間達はもっと幸せで生きているのは楽しいと思うんですがね。
ばら撒き配達ってどんな感じかを、短編にしてみました。ポスターとかでたまにあるでし
ょう?……そーいう配達は、基本的にない方が良いですし。
今回は配達だけしかその様子を見せてませんが、それを用意する費用や対応などの協議とかって安くないですよ。ポンポン言えるもんじゃなく、それに見合った価値も当然求めたいものです。チラシを配る感覚で言ってるんじゃないか?ってお偉い様に疑っちゃいますね。
あなた達の懐が潤ってるでしょ?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-11 06:00:00
4366文字
会話率:49%
本投稿では、創作詩 ”ぞうさんの歌” を発表します。ADHDおよびASDの息子の問題行動の対応協議のため、学校から呼び出しを受けることも多々ありました。2時間以上の話し合いが漸く終わって、ぐたっとしながら帰宅するときの心情を思い起こして、詩
を紡ぎました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-28 09:00:50
444文字
会話率:0%
2105年。その日、世界中に衝撃が走った。
15年後、銀河の中心から地球に向かって、隕石群が飛来する。しかも、その数は1000を超えると。
この揺るぎない事実を突きつけられた人類の対応は速かった。すぐさま地球政府が結成され、打開策が検
討された。3日間にわたる協議の末、地球政府が下した決断は、【ワームホールを製作し、星ごと移動する】という物だった。
計画の全容はこうだ。
8年前に、完成したばかりのワームホールを地球ごと覆えるサイズまで巨大化し、【くじら座タウ星】のそばに超遠距離移動。
隕石群が太陽系を通り抜けるまでの半年間は、そこに滞在し、隕石群が通り抜けた後、再度ワームホールを使って、地球圏に帰ってくる。
馬鹿げた希望だった。だが、人類に選択肢は無かった。第四次世界大戦間近と言われていた人類は、手を取り合い巨大ワームホールの制作に取り掛かった。
この15年間は、ある意味平和な毎日だった。
【壱弦ラグド《いちげんらぐど》】は、その束の間の平和を生きてきた。
少し刺激が欲しい。友人にはそう言ったが、本当の動機は【人々の記憶に残るものを作る仕事がしたい】だった。ハイスクールを出たラグドは、ワームホールを宇宙空間に設置する仕事に志願した。
「ラグド。このパーツを取り付ければ、ワームホールが完成だ」
「シモン。いよいよだね」
人類は予定通り、超巨大なワームホールを作り上げ、無事に【くじら座タウ星】のそばに転移することに成功した。
見慣れない空には、双星の惑星が輝いていた。
「無事ワームホールを抜けたようです! 成功です!」
「「おーーーー!!」」
地球政府の司令室は歓声に包まれた。あとは隕石群が通り抜けるまでの半年間、この場所で過ごせば良いだけ。計画は順調に思えた……。
が、不測の事態が起こる。転移したばかりの地球が双星からの攻撃にさらされたのだ。
広がる戦火。双星の惑星が輝く地で、ラグドは命をかけた戦いに巻き込まれていく。
「戦え! ラグド! 私と自分の為に!」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 22:09:10
9999文字
会話率:61%
もう分断以前の半島を知る者はほとんどいなかった。協議に参加した人々の顔色を見ても、祖国が統一に近づいた喜びよりもむしろ当惑の方が勝っていた。何より、その数ヶ月前に日本統治時代に生まれた女性が亡くなったばかりなのである。時代を直接経験した人間
はもう一人もいなかった。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-07-07 00:00:00
5357文字
会話率:4%
令和元年10月。機動捜査隊の井上保と安藤恵は白いワンピースを着たミイラ化遺体を目にする。捜査が始まって数日。遺体の身元もわからない中で現場近くのアパートに別の自殺遺体が見つかる。その足元に置いてあった遺書には先の事件の詳細(非公表のものを含
む)と自分が犯人である旨が綴られてあった。その遺書を元に被疑者死亡のまま書類送検、捜査本部は解散。事件に疑問を持っていた井上と安藤は占い師兼探偵の井上佑に被害者と容疑者の調査を依頼する。
それと時を同じくして、安藤恵宛に疎遠だった親戚から祖母安藤四葉が亡くなった事による遺産分割協議通知が届く。彼女は記憶に無いその親戚に亡き父の代襲相続権を提示されていた。まるで誘われるかのようにその地に足を踏み入れる。
先日の事件の後から恵は奇妙な夢を見ていた。忘れていた祖母と忘れていた場所の夢。安藤恵の”普通”が暖かい笑顔と気味の悪い幻想に侵されていく。知りたくなかった自分とその家族の血濡れた過去を知ってしまい少しずつ綻び始めた日常。大切な人達の許されざる行為。彼らの異常性を知った時、恵はあの日の事件との関連性にも辿り着いてしまった。法の下に正義の行使を求められる警察官としての覚悟は、もう2度と一人になりたくない、そんな子どもじみた感情にいとも簡単に負けた。大事なものを無くしたくない恵はそれでも最後までその良心の呵責に苛まれる。しかし自分の隠された異常嗜好に、その過去の過ちに確信を持ってしまった時、その葛藤は全てをこの手で終わらせる、そう決意させてしまった。最後の時、恵は”普通”だった頃の日々に想いを馳せてしまった。郁とその補助をしていた多野卓を手にかけた後、どうしても最後に”普通”だったあの日々に触れたくなってしまったのだ。その状況はもう確実に思うものとは違う。それはわかっているのに、最後に欲が出てしまった。井上を緊急通報を介して半ば脅迫的に呼び出すと、同僚だった警察官に包囲される中で彼に感謝を伝えた後、安藤恵は自害した。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-11 18:20:00
118746文字
会話率:47%
「手旗信号」による通信を協議にしている団体、の物語。
最終更新:2024-05-04 17:49:36
378文字
会話率:0%
2023年8月、稲垣好幸は瀕死の父・幹雄に病院で付き添っていた。
決して仲の良い親子ではない。
24年前、好幸が反対を押し切って円という女性と学生結婚した際、一度勘当されている。
その経緯を引きずり、幹雄が59才の時に脳溢血で倒れ、障害者に
なっても好幸は別居し続けていた。
だが一昨年、幹夫が硬膜外血腫で再入院、母・俶子にも老人性鬱の傾向が出て、好幸と円は介護中心の生活に入る。
この時、円は他にも「子供がいない」と言う悩みを抱えていた。
過酷な不妊治療に挑んだ日々が円の心を追い詰め、好幸との溝が深まって、離婚協議を進めざるを得ない状況に陥っている。
そんな最中、父を見舞った叔父の孫自慢をきっかけに、俶子は円へ不用意な一言をぶつけ、円を泣かせてしまう。
やはり離婚を急ぐしかないのか?
家族の絆を保てない己の不甲斐なさに思い悩む好幸だが……
アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+にも投稿しております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-23 07:37:34
18183文字
会話率:32%
大手酒造メーカーで定年まで勤め、今はリタイア生活を楽しむ同期の笠森譲二、小杉慎吾、竹ノ内忠。
年に一度、いずれかの自宅でホームバーティを開くのが彼らの習慣だ。
今年は分譲マンションを買ったばかりの小杉慎吾がホスト役。
慎吾は妻・智代の手を煩
わせる事無く、30年前のスペイン出張時に覚えたという料理を自らこしらえる。
忠とその妻・友里恵は料理の出来栄えを讃えたが、譲二の表情は今一つ冴えない。明確な理由もなく三下り半をつきつける妻と協議離婚が成立した後だった為だ。
しかし、そんな傷心の譲二だからこそ、慎吾の隣で佇む智代の異変に気付いた。
昔、慎吾がしでかした浮気の傷がまだ智代の中で疼いており、密かな復讐を企てているのではないか?
パーティ進行と並行し、慎吾、智代の仲を修復させようと図る譲二だが、一度穿たれた夫婦の溝は想像以上に深く、秘めた恨みの鋭さを思い知らされていく。
アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+にも投稿しております。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-18 08:28:03
16271文字
会話率:57%